ミスの指摘やアドバイスなどよろしくお願いします。
「お前は、男だ。どういう意味か分かるな?」
齡14ほどであろう少年を前に、父が告げる。少年はただ頷いた。
暗転。
「ごめんなさい。こんなことになって・・・ ごめんなさい」
少年の手を握り、ただただ謝る母。少年は気にしないでと言い、優しくその手をほどいた。
暗転。
「兄さん!頑張ってね!」
無邪気に笑い、兄を応援する妹達。少年は目を細めると二人の頭を優しく撫でた。
暗転。
「ふん!やっとあの神社が動いたか。お前らがもっと早く動けば多くの命が救われたのだ!分かってるのか!!」
怒鳴り声を上げ、明らかな敵意を向ける上官。少年は怯むことなく、胸を反らし続けた。
暗転
「君か。魔力を持つ男というのは」
車椅子に乗った一人の魔女が近づく。出港する軍艦を見ていた少年は、驚いて敬礼する。それに見事な敬礼を返した魔女は彼に語りかけた。
「これから進む君の道は、おそらく大変なものとなるだろう。でも、自分が成すべきこと。自分がしたいこと。これを忘れちゃいけないよ」
そう言うと、その魔女の姿はグニャリと曲がり、そして周りの景色に溶け込んでしまった。暗転。暗転。暗転・・・。
「・・・!・・い!おい!!」
大声で叫ばれ、激しく体を揺すられ、ようやく神崎玄太郎は目を覚ました。1941年、夏。夢の中の少年ではない。第二種軍装を着た17歳の青年である。舞鶴飛行場近くの土手で寝ていた神崎はのっそりと体を上げる。
「よう。やっと起きたか」
坊主頭の青年――名を島岡信介という――が神崎を見下ろし、不機嫌そうに声をかける。
「シン・・・」
「なんだ、その呆けたツラは。行くぞ。お前、もうそろそろ飛行訓練だろ」
「そうか。もうそんな時間か・・・」
神崎は手元の懐中時計を確認し、ズボンについた汚れを払って立ち上がった。
二人は歩いて飛行場に向かう。神崎は島岡に話しかけた。
「お前は、これから?」
「俺か?俺も飛行訓練だ。もっとも、俺はただの戦闘機だがな」
軍帽を団扇替わりに仰ぎながら、面倒くさそうに口を開いた。予科練出身の彼は戦闘機パイロットとして非常に優秀であり、若くして特務少尉である。
「まぁ、お前の所と違ってむさ苦しいさ。いいよな~。お前は可愛い子と飛べて」
うって変わった、からかう様な声。しかし神崎の顔は暗い。
「なんだよ。嫌なのか?
「まぁ、そりゃ・・・」
どこか遠くを見つめる神崎。なぜそんな反応するか分からない島岡は首を捻った。
しばらく歩き、舞鶴の基地に到着した。
「じゃあな」
「ああ」
お互いに敬礼し、短い言葉を交わす。神崎は、島岡が行く格納庫とは別の方向にある格納庫へ歩いていった。格納庫に入ると、部隊の
「神崎少尉!遅いぞ!!さっさと準備を始めろ!!」
隊長の鈴木大尉の怒号が響く。
「はい!!」
彼は大きく返事をし、自分のストライカーに走る。周りの
(はぁ・・・またか・・・)
ペンキで汚されたユニットを見て、欝な気分になる神崎。
男性にして
そんな中で付けられた名が『一匹狼』・・・本来、群れで行動する狼だが、たった一匹で行動する異質な存在。
今回もそれだろう。よく見れば『一匹狼は出て行け』と言う文字もある。しかし、掃除をする時間もなかった。神崎はそのままユニットを装着し、訓練用の銃を掴むのだった。
「神崎少尉。なんだ、そのユニットは」
ユニットを装着した
「誤ってペンキをこぼしてしまいました」
笑い声を隠す他の
「それは本当か?」
「はい。本当です」
鈴木はじっと神崎の目を見た。だが、神崎はなんの反応も返さない。
「分かった。なら、お前には罰として訓練後の走り込みとユニットの掃除だ」
「了解しました」
鈴木は小さくため息を吐いた。
訓練が始まった。神崎の訓練には幾つかの制約が掛けられる。扶桑刀による近接戦闘の禁止と固有魔法の禁止。これは以前、訓練相手を傷つけてしまった為だ。
もう一つの制約は、相手側が神崎を集中的に狙うことだろう。もちろん味方は援護しない。神崎はもう慣れていたが、傍目から見たら嬲り殺しにされているようにしか見えない。何度も注意していた鈴木だが、誰も聞かなかった。そんな訓練を神崎は毎回行っていたのだった。
訓練が終わり、日が傾き始めた飛行場を、神崎はただ一人走っていた。近くに同じく訓練を終えた島岡が座って、暇そうにこちらを見ている。
「お前のユニットさ、なんであんな塗装になってんの?」
格納庫の中に鎮座している九六式艦上戦闘脚(ペンキ仕様)を指差して言った。ちょうど走り終わった神崎が汗を拭きながら答える。
「部隊の
「うわ。だから『一匹狼』かよ。陰湿だな・・・」
『一匹狼は出て行け』とペンキで書かれた文字を見て、苦い顔をする島岡。それを尻目に神崎は近くに置いてあったバケツと雑巾を手に取った。
「俺は掃除をしてから帰る。お前は帰っていいぞ」
「手伝うさ。このまま帰っても後味悪いしな」
「じゃあ、そこの雑巾を使ってくれ」
「分かった」
神崎と島岡は黙々とユニットを拭いていった。
その頃、基地司令の部屋である会話がなされていた。
「海軍参謀本部から提案された計画です。誰かを送ることになりました。陸軍に対抗してらしいですが・・・」
女性士官がほとんど沈みかけた夕日を見つつ口を開く。
「では、誰を?」
基地司令が尋ねる。
「そうですね。大体は検討をつけてますが・・・」
そういって彼女は数枚の書類を取り出した。
「で、なんで俺らは呼び出されたんだ?」
「さぁ?」
島岡の問いに神崎はぶっきらぼうに返す。今朝、二人は基地司令の部屋に呼び出しを受け、扉の前で待たされていた。二人は昨日の行動を振り返り、互いに非を擦り付け始めた。
「お前が無断でペンキを使ってユニットを上塗りしたからだ」
「雑巾じゃ取れなかっただろ!お前、自分のユニットがあのままでよかったのか!?」
「・・・よくはない」
「だろ?・・・あれだ。お前、歌いながら帰ったろ。それがうるさかったんだ」
「そんなわけない。あの曲はカールスラントの名曲だ。うるさいわけが・・・」
「扶桑でカールスラントの曲なんか歌うな!」
そろそろ手が出始めそうになった頃、ようやく扉が開いた。
「入っていいぞ」
互いに襟首を掴む手を離し、神崎と島岡は背筋を伸ばして中に入る。机の前に二人が立つと、基地司令が口を開いた。
「神崎玄太郎少尉、島岡信介特務少尉、両名にアフリカ派遣を命じる」
「「・・・は?」」
神崎と島岡の口から気の抜けた声が出た。
人物紹介2
名:島岡信介
愛称:シン
生年月日:1924年6月11日
階級:特務少尉
人物設定
普通の一般家庭の生まれで、もちろん魔法力もない。飛行機が好きで、予科練に入り若手の中でも屈指の操縦センスを発揮した。神崎とはひょんなことから知り合い、そのまま親友となる。
身長は170程で坊主頭。性格は感情型で友情に熱い。神崎とは対照的に他人に積極的関わる。趣味は釣りで結構な腕前。
一人だけ男だと絶対こうなると思うんだよ・・・。
自分で書いて夢がないな~って思いました(笑)。