ブレイブウィッチーズの面々がアニメで動き、彼女達の性格がよく分かって嬉しいですね
段々と緩くなっていくラル隊長を見るのが楽しいです
そんな訳で第五十七話です
感想、アドバイス、ミスの指摘等々よろしくお願いします
カレリア地方の廃墟の街を利用したこの隠れ家はいまだ『
先日襲撃された隠れ家は壊滅されたが、そこに保管されていた秘密兵器の半数はこの場に運び込むことが出来た。
コリン・カリラは次々と運び込まれていく沢山の木箱を眺めると静かに瞑目した。
「散っていった者達に・・・」
幾つかの木箱には焼け焦げた跡や血が付着している物もある。同志達が命を懸けて運んできたのだ。彼らの為にもこれらを使ってこの作戦を成功させなければならない。
「報告が・・・あります」
いつの間にかコリンの背後に小柄な航空
「何ですか?」
「作戦の第一段階が・・・発動されました。計画は順調・・・です」
「分かりました。ありがとうございます」
コリンが微笑んで返事をすると、小さく一礼して何処かへ行ってしまった。少女からの報告通りなら、やっと同志達がこちらの動きに呼応してくれたらしい。すでに慣れていたつもりだったが、同志達の行動の気まぐれさにはやはり悩みの種になってしまう。
「何はともあれ・・・。ここからが私達の仕事ですね。戦うことになりますか・・・『アフリカの太陽』と」
あのヴィーブリ近郊の飛行場の一室で見た激しい感情に彩られている神崎少尉の目をコリンは忘れていなかった。彼の心にあるものは過程は違えど、自分と殆ど同じもの。共生派への誘いを彼が受け取ってくれていたらあるいは今隣にいたかもしれない。
だが、いないのなら・・・戦うしかない。
「それはそれで・・・楽しみです。本当に楽しみです」
その戦いが自分の本願を祝う最高の演目になるのではと、コリンは無邪気な笑顔を浮かべるのだった。
視界は真っ白。
スオムスの天候はいつもこうだ。絶えず雪が降り続け、止んだとしても空をどんよりとした雲が覆っている。スオムスに来た当初はこうやって飛行困難になってしまうほどの気象の悪化が本当に嫌だった。
「いや、今でも嫌だがな・・・」
降雪の中を飛ぶ羽目になってしまった神崎はゴーグルに張り付いた雪を拭って呟いた。
悪天候にも関わらずに下された出撃命令が今のスオムス軍の現状を如実に表している。形振り構っている場合ではなく、動員出来る兵力を使わなければ先が見えないのは事実なのだ。
拭っても拭ってもゴーグルのレンズに張り付く雪に辟易するが、ゴーグルが無ければそれらがそのまま眼に直撃すると考えると肝が冷える。急遽、ゴーグルを提供してくれたシーナへの感謝は絶えない。
『ウルフ1、こちらソルタヴァラタワー。約5分後に敵と接触』
「ウルフ1、了解」
感謝と言えばこの航空管制である。いままでは地上監視による貧弱な警戒網が主だったが、ソルタヴァラ基地に配備されたレーダーによってより高精度の警戒管制を受けることができるようになった。このお陰で、降雪のような視界が塞がれる天候でも管制と計器を併用することで、今までより格段に楽に飛行することができるようになった。
ウルフ1というコールサインもソルタヴァラの管制に入るにあたり新しく与えられたものだった。神崎の使い魔がフソウオオカミだからウルフ1。流石に安直過ぎると苦言を呈したかったが、そんなことに費やす時間も勿体無かった。
管制からの報告通り、5分飛行していくと視界が段々と明るさを帯びてきた。もうすぐ、荒れた天候の範囲から抜けることが出きる。つまり・・・すぐに戦闘が始まるということだ。
腰の両側にかけた扶桑刀『
「さて・・・やるか」
誰に伝える訳でもなく、己の覚悟を決める為の言葉を呟いた瞬間に、視界が一気に開けた。視界を埋め尽くさんばかりの中小型のネウロイの群れ。管制通りに飛行した結果、敵のど真ん中に飛び出してしまったらしい。
だが・・・それでいい。
MG34とヰ式散弾銃・改を構える神崎は、ざっと捉えただけでも50近いネウロイの姿を確認した。
それでも、レンズ越しの神崎の目は揺らがなかった。
「ウルフ1、戦闘に入る」
問題ないとばかりに告げられた通信を皮切りに、両手の銃器が一斉に火を噴いた。
後に第二次ネウロイ侵攻との名付けられる戦争が始まって7日目のことである。
ネウロイの奇襲的な侵攻に対し、スオムス軍は迅速な対応をして見せた。陸軍は即応可能な部隊が遅滞戦術を展開して主力を動員する時間を稼ぎ、空軍は陸軍の支援及び航空優勢確保の為に部隊を展開した。
この初動は功を奏し、ネウロイの侵攻をある程度ゆるしたものの一時的に押し止めるにいたった。
ここからスオムス軍は本格的に戦力を動員し反撃に転じようとしたのだが、ここでネウロイの侵攻に異変が生じた。ただ湖を避けて直進していくだけだったネウロイの侵攻経路が即応部隊の防衛線を迂回しだし、奇襲をしかけ始めたのだ。
これにより規模にして約半数の即応部隊が撤退を余儀なくされ、スオムス軍の当初の作戦は頓挫。主力が動員された頃には防衛線は計画よりも大幅に後退した位置に設置されることになってしまったのだった。
ラドガ湖防衛陣地にある扶桑皇国海軍スオムス派遣分隊の滑走路に神崎はゆっくりと降り立った。つい先程戦闘を終え、弾薬と燃料を殆ど使い果たした為重量が随分と軽くなっている。全弾を撃ち切った背中のMG34とヰ式散弾銃・改はここ最近の連戦で随分と草臥れてきていた。
神崎は防寒具で包まれた体をキビキビと動かす整備兵の誘導に従い格納庫に入る。格納庫の中は連戦で消耗した装備の整備に追われ、騒音に満ちていた。神崎もだが、整備班もフル稼働で働いていた。滑走路にも格納庫にも零戦が無いということは島岡も出撃しているらしい。
ユニットケージにユニットを繋ぎ、軽くなった銃器を整備兵に渡して地面に足をつけると、空戦の疲れがドッと体にのしかかってくる。重い足取りで格納庫に隣接する休憩室に進む神崎を引き止めたのは鷹守だった。
「あぁ、神崎君ちょっと待って」
「・・・どうした?」
いつ次の出撃要請がかかるか分からない中、少しでも体力を温存すべく何か食べ物を腹に入れ仮眠を取りたかったのだが、立場上上司に引き止められれば立ち止まるしかない。
今の今まで整備をしていたのか顔に煤やらオイルやらを付けた鷹守の手招きに従うと、彼の足元に2つの大きな長方形の箱のようなものが置かれていた。
「これは?」
「フリーガーハマー。空対空ロケット・・・つまり噴進弾の発射装置だね」
「そんなものが何故ここに?」
「神崎君の装備だよ。ブリタニアからの支援物資の1つでね。精密射撃には向かないけど、当たれば中型ネウロイなら一撃だよ~」
「だが・・・こんなのを持って空戦は・・・」
「空対空とは言っても地上攻撃にも使えるよ。まぁ、神崎君の場合は固有魔法があるからね~」
でも・・・と鷹守の表情からふざけた雰囲気が一瞬影を潜めた。
「出撃頻度がこれ以上になってくると、武器も弾薬も君の魔法力も足りなくなってくる。使えるものは使わないとね?」
「わかった。・・・魔法力の節約にもなるな」
「分かってくれて嬉しいね~」
再び砕けた調子に戻り、いつもようにアハハと笑い始める鷹守に神崎も少し頬を緩ませた。疲れている分こうしていつものような雰囲気があれば、精神的に気が楽になるものだ。
気を利かせた整備兵が持ってきてくれた甘い紅茶を片手に、神崎はフリーガーハマーの傍に膝をついた。鷹守は先程まで神崎の体のバランスに合うようにフリーガーハマーの調整を行っていたとのこと。この武器は自身の身長とほぼ同じぐらいの長さを誇っているのだ。これを何の調整もせずに持って空戦すればバランスを崩して失速しかねない。
神崎は複雑な心境で鷹守に言った。
「こうも腕はいいのに、なぜその性格なんだ・・・」
「よく言うじゃない?神様は二物はくれないんだよ?」
「なら・・・沢山の支援物資を送ってくるブリタニアは神様以上という訳か?」
スオムス軍への支援物資は半分以上をブリタニアから送られている。このフリーガーハマーしかり、ソルタヴァラに設置されたレーダーしかり。ブリタニアは神崎にとってアフリカから関わりがある分、少しは思い入れがあった。
だが・・・この言葉にいつもなら何か軽口でも返しそうな鷹守は何も答えなかった。表情は変わらずに、ただ静かに沈黙を保っている。
「・・・どうした?」
「まぁ、ありがたいよね。特にレーダーで迎撃能力は大幅に強化されたよ」
「・・・鷹守?」
「まぁ、僕もブリタニアにはお世話にはなったしね~。神様か・・・。邪神じゃなければいいね」
そう言い残して鷹守は何処かへと歩いていってしまった。何かおかしいとは思ったが神崎には何かできる訳でもなく、黙って紅茶を飲み干すことしか出来なかった。
島岡の眼下には夥しい数の陸戦ネウロイが進撃している。
今回は偵察任務で爆装しておらずどうしようも出来ない。そもそも戦闘機は基本的に地上の敵を相手にするものではないのだが。
「こちら、イーグル1。現在、ネウロイは予想進路を侵攻中」
『了解。ソルタヴァラから爆撃部隊が発進した。イーグル1はその結果を確認せよ』
「イーグル1、了解」
レーダーによる警戒管制の影響で神崎と同様に島岡にも新たにコールサインが決められた。以前、島岡には『タカ6番』というコールサインがあったが、そこから取って『イーグル』
そしてスオムスには零戦は1機しかない。だから『イーグル1』
神崎の『ウルフ1』同様、非常に単純である。
「イーグルねぇ。名前負けしそうじゃねぇか・・・お?」
自分のコールサインに苦笑していると、視界の端に幾つかの黒点が現れ始めた。段々と数が増えていき、程なくしてスオムス空軍の航空
島岡が見守る中、爆撃機がネウロイの対空砲火が届かない高高度から爆弾の投下を開始した。甲高い風を切る音と共に何十もの爆弾が空を舞い落ちていき、地面に沢山の火柱を作り出していく。
少なくない数の陸戦ネウロイが爆炎の中に消えていった所で、次に航空
中型ネウロイも黙って爆撃を受けるわけではない。生き残っていた小型ネウロイを伴い各々が持つ砲塔を上空に向けてビームを発射し始めた。中々に濃密な砲火を形成したのだが、相手が悪い。総じて高い戦闘力を持つスオムスの航空
爆撃が終わった頃には、夥しいほどいたネウロイはもはや半数以下に減っていた。中型ネウロイが撃破され、生き残ったネウロイ達は混乱するように右往左往している。島岡はその様子を確認して、通信機のスイッチを入れた。
「こちらイーグル1。爆撃で侵攻していたネウロイの半数は消滅した」
『了解。ネウロイの様子は?』
「混乱しているみたいにウロウロしていて・・・ん?」
島岡は見た通りの様子を伝えていったが、その途中で地上で何かが瞬いた。1度報告するの止めて地面を凝視していると、森の隙間からチカリチカリと何かが紅く発光している。
「なんだあれ・・・?」
一瞬、ネウロイのビームかと緊張したが何も発射されていない。結局、何か分からぬまま紅い発光は無くなってしまった。ネウロイ達もいつの間にか元来た道を戻っている。先程までの右往左往していた混乱ぶりが嘘のようだった。
「なんだったんだよ・・・?」
『イーグル1?応答しろ、イーグル1』
「あ、ああ。それで・・・」
通信手に催促され、島岡は慌てて通信に意識を戻した。この地点での防衛は成功したが、いまだ大規模侵攻は続いている。次の任務はすぐに始まるだろう。
島岡は手早く通信を終えると基地への帰路に着くのだった。
最近はブレイブ、ストライク共にウィッチーズの作品が増えて嬉しいです