ストライクウィッチーズ 一匹の狼   作:長靴伯爵

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科学者キャラっていいですよね




番外編8 作って遊ぼう鷹守教室

番外編8  作って遊ぼう鷹守実験室! その1

 

 

 

 

 

 

 ここはラドガ湖防衛陣地の外れにある扶桑皇国海軍スオムス派遣分隊格納庫。

 普段は整備兵が彼方此方で動き回って騒がしいが、今は何故か耳が痛くなるほど静かだ。

 その中にポツンと並び立つ2つの人影があった。

 

「なぁ・・・。呼び出し場所はここだったよな?」

 

「ああ」

 

 毎度お馴染みの神崎と島岡のコンビ。彼らが行く戦場はいつも激戦区になると巷では「地獄兄弟」とか恐れられたり言われたり多分していない。

 そんな2人がなぜ格納庫で立っているのかと言うと・・・。

 

「で、呼び出した鷹守の野郎は?」

 

「さあな」

 

「ふざけんなよ!!こっちとらようやくゆっくり飯が食えてたっつうのに!」

 

「上官の命令には従わなければならないが・・・流石にこれは怒りが沸く」

 

 最近はネウロイの襲撃が激しく2人とも休む間も無く連続して出撃していた。だが、今日はいつもよりもネウロイの襲撃が少なく、いつもは慌てて掻き込む事になる夕食を久しぶりに談笑しながら食べていたのだ。

 まぁ、鷹守にいきなり格納庫に呼び出され、その時間も台無しになったのだが・・・。

 食い物の恨みは根が深くそして激しい。

 2人がイライラを順調に募らせていると・・・。

 

 突如、格納庫を照らしていた照明が全て消えた。

 

「なんだ!?」

 

「共生派か!?」

 

 突然の事態に臨戦態勢を取る2人。体勢を低くしてそれぞれ炎羅(えんら)と拳銃を抜いているあたり、あまりにも襲撃慣れして逞しくなっている。

神経を尖らせ暗闇に目を凝らしていると、突然2人の背後に位置する照明が1つ復活した。当然、2人は反応し、炎羅(えんら)の切先と銃口を向けて・・・。

 

「ようこそ!!!僕の実験教室へ!!歓迎しよう!盛大にね!」

 

 お立ち台で白衣を翻して両手を広げる鷹守の姿に2人して目を点にした。

 2人が呆けている間に格納庫の照明が通常の状態に戻り、格納庫の全貌が見渡せるようになった。お立ち台の両脇には整備兵もとい鷹守子飼いの工作兵が控えていた。

 

「は・・・?」

 

「なんだこれは・・・」

 

 大概の状況には慣れてきた2人だが、鷹守が楽しそうにしている時点で大概いいことは起こらない。先程の発言からよくない。先程まで募っていたイラつきが憂鬱感へと変換されていく。

 

「いやぁ、2人ともよく来てくれたね!」

 

「お前が呼び出したんじゃねぇか・・・」

 

「アッハッハ!そんな些細なことを気にしちゃダメだよ?」

 

 島岡の言葉を一笑して一蹴するなり鷹守はお立ち台から飛び降りた。大して高くも無いのに着地でふらつくあたり、運動不足を感じて哀愁を感じる。

 工作兵達がえっちらおっちらお立ち台を片付けていくのを背景に、鷹守は眼鏡を指で押さえ無駄に真剣な声音で語り始めた。

 

「今日、君達を呼んだのは他でもない。僕の発明品を是非見て欲しくてね」

 

 そう言って鷹守がパチンッと指を鳴らすとお立ち台を片付け終わった工作兵が、今度はえっちらおっちらと台車を押してきた。台車には布が掛けられた大きな台が置かれておる。しかも布はこれ見よがしに何かの形が浮き出ていた。

 普通なら少しは興味が湧きそうだが、2人は別の所に気を取られていた。

 

「え?鷹守って発明できたのか?」

 

「何を言っている。大尉は民間の技術屋出身だと聞いたはず・・・技術屋だったよな?」

 

「おいおい君たち。日頃僕をどういう風に思っているのかな?」

 

「変態」

 

「扶桑海軍の恥部」

 

「う~んこの即答。しかも地味に神崎君の方が辛辣だ!よぅし、もう余計なことは言わずに発明品を見せちゃうぞ!ご覧あれ!!」

 

 地味に2人の言葉が響いたのか、鷹守は有無を言わさぬ勢いで布を一気に取り払った。

 

「こ、これは!?」

 

「まさか・・・!?」

 

「そう!これは・・・」

 

 形は銃。

 しかし、通常のものよりも1回り2回りほど拡大したような形容をしている。銃口は生身の人間が扱えるよう弾丸を撃ち出す大きさではなく、野太い銃身の上には緑色のレンズを嵌めたこれまた野太いスコープが付けられている。そして、極め付けはこの銃を彩るグレーの塗装。

 要するに、これは・・・。

 

「ビー○ライフルだ!!!」

 

「いやいやいや!?!?これはヤベェだろ!?何故かは分かんねぇけどヤベェだろ!?」

 

 馬鹿と天才は紙一重と言うべきか。

 しかし、馬鹿な発想を実現してしまうが故に天才だとも言える。

 少なくとも、鷹守はありえない思考から1つの兵器を形作ってしまっているのだから。

 

鷹守はダイナミックに身を翻すと、台座のビーム○イフルの隣に仁王立ちした。

 

「説明しよう!!!動力は勿論魔法力!魔法力を物質と仮定することにより、この為に開発した魔導超振動発生装置と発熱装置によって魔法力を分子レベルまで振動させることで一種のプラズマ現象を発生させ、ストライカーユニットの装置部分の異次元を参考に開発した特殊な銃身を通過させることにより、銃自体が振動と熱によって自壊してしまうのを防ぎ、更には発生直後の不安定なプラズマを異次元を通すことでなんやかんやあって安定させ、空気中での減衰を著しく低下させるという画期的な方法も発見したりもしたけど、正直原理はよく分かってないというかつまり・・・」

 

「長い。3行で」

 

「魔法力でビームが撃てます」

 

「こいつ、一行で纏めやがった!?」

 

「アッハッハ。まぁ、天才ですし?」

 

 驚愕する島岡に鷹守はウインクして煽る。カチンと、いやブチンときた島岡が握り拳で詰め寄ろうとするのを神崎が羽交い絞めにして抑えるのを尻目に、鷹守は上機嫌に叫んだ。

 

「さぁさぁさぁ!!!早速実験だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてやってきたのがのどかなラドガ湖の畔。

 計測用の機材やら、もしもの場合の時の移動式防護壁、はたまた素人目にはさっぱり分からない装置を展開し、工作兵達は黙々と作業を進めている。

 

「ああ!早く始まらないかなぁ!」

 

「なぁ?あれ本当に動くのかよ?」

 

「やってみなくちゃ分からない!」

 

「お前、この状況で言っちまったら台詞だろうが!!」

 

 防護壁の後ろではもしもの為にヘルメットを被った鷹守と島岡がくだらない言葉の応酬を繰り広げながら、目だけを防護壁から出している。その視線の先には・・・。

 

「まぁ・・・こうなるとは薄々察してはいたが・・・」

 

 鉄杭でガッチリと地面に固定された台とそこに置かれ銃口を湖に向けるビームラ○フルの前に立つ神崎。・・・まぁ、ビームライ○ルに魔法力が使われていると分かった時点で、この面子で唯一魔法力が使える神崎が実験台になるのは分かりきったことなのだが。

 

「じゃあ、神崎君!!!そのビーム○ライフルにありたっけの魔法力を込めちゃって!!!」

 

「ついに伏字が意味を無くしたか・・・」

 

「スオムス分遣隊のエネルギーを君に託そう!!!」

 

「俺の魔法力だけなんだが・・・」

 

 防護壁越しに飛んでくる鷹守の指示に悪態をつきつつも、神崎は言われた通り魔法力を発動させた。フソウオオカミの耳と尻尾をぶるりと震わせて、野太いグリップを掴んで魔法力を注ぎ込んでいく。

 

「エネルギー充填率・・・60%・・・70%・・・!撃鉄起こせ!」

 

「撃鉄だと?どこにある?」

 

「あ、そんなの無いから気にしないで」

 

「・・・」

 

「80%・・・90%・・・!」

 

 どうしようもないやり取りをしている間にもビームライフルのエネルギーは充填されていく。神崎も自分の魔法力がほとんど持っていかれるのを感じながら100%になるのを待った。

 時間にして数秒の間が空き、鷹守が叫ぶ。

 

「100%!!!」

 

 ガチリと引き金を引く重い音が鳴った瞬間、神崎の視界は真っ白な閃光に包まれた。

 

「・・・ッ!?!?!?」

 

 視界を奪われたのと同時に後方に吹き飛ばされるような風圧を感じ、神崎は足を踏みしめて何とか体勢を保つ。霞む視界で見えたのは銃口から迸る紫電とピンク色のビーム状の塊だった。それが一瞬球状に変化すると、前方に向かって射出された。

 バキュュュュュン・・・!!!という宇宙世紀じみた音が辺りに鳴り響き、ラドガ湖の水面に巨大な水柱が上がった。

 

「これは凄い・・・!」

 

「めちゃくちゃな威力じゃあねぇか!!!」

 

「この計測結果は・・・。これは凄い!戦艦を一撃で葬り去る威力だ!!これが量産された暁には、人類は後10年戦える!!」

 

「あながち嘘じゃないな。それどころか、この戦争自体が変わるぞ」

 

 島岡は防護壁の裏から見た光景を見て驚愕で目を丸くし、鷹守は計測器から打ち出された数値に狂喜乱舞している。そしてビームライフルを発射した当人である神崎もこの絶大なる威力に感服し、改めて紫電を纏い始めている(・・・・・・・・・・)ビームライフルに視線を向けた。

 

「・・・ん?」

 

 ビームライフルからはバチバチと紫電が走り、不協和音のような動作音が聞こえてくる。神崎は一瞬だけ思考しシールドを張ろうとし、そこでシールド分の魔法力さえこのビームライフルに奪われていることに気付いた。そうしている間にも危険な雰囲気がヒシヒシと増大していく

 判断は一瞬。

クルリと踵を返して駆け出す。その顔面に冷や汗がびっしりと張り付かせて。

 

「あ?なんでゲンはこっちに走ってくるんだ?」

 

「え?なんだって?・・・数値が異常に高い?暴走?」

 

 防護壁の後ろの2人もそれぞれが異常に気付いた時には、神崎は防護壁を飛び越えて地面に伏せた。

 

「あれは爆発するぞ・・・!!!」

 

「やっぱりよく分からない技術を使ったら駄目みたいだね!!!」

 

「爆発オチなんて最低だ!?!?!?」

 

 そして先程とは桁違いの閃光が辺りを包み込み、防護壁の後ろの3人は地面にへばりつく羽目になった。

 

 

 

 

 

 この爆発の爆心地であるビームライフルは跡形も無く消失し、ラドガ湖の面積が増える始末。予想外の規模の実験にアウロラからは苦言が飛んできたのだが・・・少なくとも鷹守は反省していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、今回はこういう結果になっちゃったけど、素晴しいデータが取れたからね!次も期待していてね!!!」

 

 鷹守の実験は続く。

 






私にとっての科学者キャラはウリバタケさんとロイド伯爵です
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