ストライクウィッチーズ 一匹の狼   作:長靴伯爵

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祝!ストライクウィッチーズOVA&TVシリーズ制作決定!!
しかもケイズリ3も出版だと!?最高じゃないか!!
と、いうわけで第七話です。
今回は戦闘が中心となってます。

感想、アドバイス、ミスの指摘などよろしくお願いします。


第六話 後編

第六話 後編

 

 

 

 マッダレーナ砦。ハルファヤ峠の南方に位置し、ブリタニア陸軍南アフリカ第一師団、カールスラント・アフリカ軍団(KAK)第15装甲師団、ロマーニャ陸軍第17パヴィア歩兵師団が防衛を担当していた。何もない砂漠地帯に面し、また、ネウロイとの最前線であるアライメンからも離れているため比較的重要度の低い防衛拠点だった。

 

 が、今はネウロイからの攻撃を受けていた。

 

 

 

 マッダレーナ砦の指揮をとっているKAKのディルク・クリューヴェル大佐は押し黙り、戦況が描かれた地図を見ていた。戦況はブリタニア風に言えば、「控えめに言って良くない」といったところか。前線に配置されていた地雷原や、第一、第二陣地は既に突破されており、現在この砦を含めた予備陣地で防衛戦を展開していた。

 

「B中隊、被害増大!部隊壊滅の恐れあり!」

 

「F小隊、通信途絶!陣地右翼がもう持ちません!」

 

「第三戦車中隊全滅!8.8センチ高射砲(アハトアハト)も残りわずかです!」

 

 次々と報告される戦況にディルクの表情は曇る。ディルクは重々しく口を開いた。

 

「・・・魔女(ウィッチ)の増援は?」

 

「後20分程で到着する模様です」

 

 無線にかじりつき、顔面蒼白で通信兵が告げる。この指令室にも外の戦闘の音と衝撃が響いているのだ。皆、一様に恐怖を感じている。ディルクは頷くとそっと立ち上がった。

 

「諸君。戦況は芳しくない。いや、最悪だ。このままではこの砦は陥落し、ネウロイの侵攻を許してしまうだろう。しかし、ここを抜かれれば次はハルファヤだ。ハルファヤまで侵攻されれば、最前線にいる友軍は挟み撃ちに合う。それだけは絶対に阻止しなければならない。少なくとも後20分、何が何でもここを死守する。撤退はしない。各隊に厳命しろ」

 

「りょ、了解!」

 

 各通信兵が、無線で指示を伝える。その様子を見て、ディルクは扉へ向かった。

 

「司令、どちらへ?」

 

「私が直接指揮を取りに行く」

 

「しかし、司令にもしものことがあれば!?」

 

「私が死んでも関係ない。ここを死守するのみだ」

 

 引き止める副官を無視して指令室をでる。途中、近くに置かれたMP40を拾い、初弾を装填する。

 

「私一人でも、防戦の足しになればな」

 

 自嘲気味につぶやき、ディルクは戦場へと踏み出した。

 

 

 

 

 

 

「野郎ども!ここが正念場だ!何が何でもここを守り抜くぞ!!」

 

「敵、増援!さらに3!」

 

「畜生!また弾詰まりしやがった!」

 

「トーマス!おい、返事しろ!トーマス!!」

 

 爆音、怒号、悲鳴。

 

 戦場は阿鼻叫喚の様相を呈してた。戦車、大砲の轟音が響き渡り、ネウロイのビームにより所々で爆発が起きる。

 連合軍はもはや陣形を維持することもできていない。そこかしこに死体が転がり、ネウロイに対して有効な対抗手段であり、兵士が絶対的な信頼を置いていた8.8センチ高射砲(アハトアハト)も尽く破壊され、残り数門となっていた。

 

「あぁ・・・。もうダメだ・・・。」

 

 兵士の士気もどん底。所々に、頭を抱えて蹲っている兵士もいる。もはや、この戦線の崩壊は時間の問題だった。

 

「おい!何をしている!戦え!!じゃなきゃ死ぬぞ!!」

 

 蹲っている一等兵に、古参の軍曹がKar98kを撃ちながら怒鳴る。

 

「死ぬって・・・。戦っても死ぬじゃないですか!」

 

 一等兵が、涙と鼻水と恐怖でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、軍曹を見上げた。

 

「馬鹿野郎!!貴様も軍人なら戦って・・・。」

 

 再び怒鳴りつけようとした軍曹だが、その続きを言うことは出来なかった。空から降り注いだ幾筋もの赤い光線が軍曹の上半身を吹き飛ばしたのだ。吹き出した血を浴びた一等兵は、空を見上げ、固まってしまう。

 

「フ、飛行杯(フライングゴブレット)!?」

 

 コップのような形の空に浮かぶネウロイ、飛行杯(フライングゴブレット)がそこかしこに現れ、対地砲火で掃討戦を開始していた。そして、一等兵の上空にいる飛行杯(フライングゴブレット)もビームを撃つべく発射体勢に入る。

 

「う、うわぁぁあああ!!」

 

 一等兵が半狂乱に陥り、血で濡れたKar98kを拾い乱射するが、全く意味がなかった。

 

(も、もう駄目だ・・・!)

 

 銃を投げ捨て、腕で顔を覆い、撃たれる瞬間を覚悟するが、いっこうにその時は来ない。

 

(・・・?)

 

 恐る恐る目を開けて空を見上げ、目を丸くする。

 飛行杯(フライングゴブレット)が真っ二つに切り裂かれ、白い破片となり砕け散っていた。そこには、刀を構える魔女(ウィッチ)の姿。

 

魔女だ(ウィッチ)!ウィッ・・チ?」

 

 一等兵が喜びの声を上げるが、その姿が女性のそれとはあまりにも違うので困惑してしまう。そこで、近くに転がっていた無線機から上空の航空魔女(ウィッチ)(?)から通信が入った。

 

『統合戦闘航空隊「アフリカ」所属、神崎玄太郎。遅れてすみません』

 

 空に浮かび、刀を構える魔法使い(ウィザード)、神崎を見て一等兵はポカンと口を開けていた。

飛行杯(フライングゴブレット)は自分が相手をします』

 

 一言、神崎は告げると次なる相手に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 ディルクは最後の数門となった8.8センチ対空砲(アハトアハト)が残る陣地の指揮を取っていた。さすが8.8センチ対空砲(アハトアハト)といったところか。数体のネウロイを撃破していたが、その程度でネウロイの攻撃を防ぐことは出来なかった。

 

畜生(シャイセ)!!大佐!これ以上持ちません!」

 

「まだだ!なんとしても持たせろ!!」

 

 自身も土嚢に身を隠し、MP40を撃ちながら叫ぶ。

 

「ですが、大佐!このままじゃ・・・!?」

 

 ネウロイのビームが着弾し、兵士を吹き飛ばす。何人もの兵士がゴミ屑のように地面に転がった。

 

「衛生兵!早く来い!!衛生兵・・・畜生(シャイセ)!!!」

 

 慌てて駆け寄ったディルクが衛生兵を呼ぶが、近くにいないのか誰も来なかった。ディルクは苦悶の表情を浮かべて一度地面を殴りつけると、いまだ戦い続ける兵士達のところへ向かった。

 

「諦めるな!もうすぐ魔女(ウィッチ)が来る!もう少しだ!」

 

 戦っている一人一人に、そして自分自身に言い聞かすように叫ぶ。魔女(ウィッチ)の増援が来る・・・。それだけが、ここにいる兵士達の士気を保つ唯一の希望だった。そして・・・。

 

「大佐!魔女(ウィッチ)です!!魔女(ウィッチ)の増援が来ました!!」

 

 若い二等兵が、泣きながら空を指差す。そこには、飛行杯(フライングゴブレッド)を次々と撃墜する神崎の姿があった。周囲の兵士達がわっと歓声をあげるが、ディルクはそれを見る暇がなかった。

 

「馬鹿野郎!前を見ろ!!」

 

「え?」

 

 二等兵が前を見ると、そこには弾幕を突破してきたネウロイいた。その威圧感に、兵士達は完全に飲み込まれてしまう。

 

「あ・・・あぁ・・・。」

 

「何をしている!?逃げろ!!」

 

 ディルクは叫びながら、地面に落ちていた収束集榴弾を拾い駆け出す。部下達が恐怖でおじけづいた今、自分が皆を鼓舞するしかない。例え刺し違えてでも・・・!手榴弾の紐に手をかけた時・・・。

 

「下がって!!」

 

「へ?」

 

 不意打ちの凛と響いた声に、ディルクはつい間抜けた声を出してしまった。声の主は、土埃を巻き上げながらディルクの脇をすり抜け、腰から抜いたサーベルでネウロイを突き刺した。

 

「ハァァァアアア!!」

 

 気合の声をあげ、ネウロイを一気に押し出すと、そのまま突き飛ばし、カノン砲で止めを刺した。白く砕け散ったネウロイの破片を浴びながら、彼女は叫んだ。

 

「ブリタニア陸軍第四戦車旅団C中隊マイルズ少佐-以下12両、到着です!!」

 

 彼女、マイルズに続いて、12両の陸戦ウィッチが現れる。

 

「全車両!横隊を組めぇ!・・・行進!!!」

 

 マイルズの号令の元、陸戦魔女(ウィッチ)達の攻撃が始まった。

 

 

 

 一方、神崎は扶桑刀「炎羅(えんら)」を振るい、7体目の飛行杯(フライングゴブレット)を撃墜していた。

 

「・・・ッ!七体目・・・!」

 

 いい調子に見える神崎だが、相当消耗していた。魔力残量も少なくなり、また一人でこの戦場の空を支えなければならないという精神的な疲労もあったからだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・クッ・・・!?」

 

 一息つく間もなく、神崎は地上からの対空砲火にさらされた。慌てて回避し、すぐさま炎を放とうと左手に魔法力を集めようとする。だが、精神が不安定な為か、上手く収束することが出来なかった。

 

「ツ!?それなら・・・!」

 

 神崎は魔法力を左手ではなく、炎羅(えんら)を持つ右手に集める。魔力は右手ではなく炎羅(えんら)を中心に据えることで魔法力の収束を安定させ、炎の刀を形作った。

 

 

 

 かの扶桑の三羽烏の一人、黒江綾香がに使う秘剣に刀の切っ先に魔法力を集中させる「雲耀(うんよう)」というものがある。今、神崎が行なった技は奇しくもそれに酷似していた。しかし、雲耀(うんよう)ほど洗練されているわけでもなく、技名も神崎は適当に「火炎剣」とか「火炎斬り」などと呼んでいた。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 神崎は炎の刀となった炎羅(えんら)を一度振ると、対空砲火を撃ち続けるネウロイに向かい急降下をかけた。ビームをシールドで防がず、逸らすことで減速するのを避け、一気に肉薄する。

 

「アァァァアアアア!!!」

 

 消耗した自身に気合を入れるように叫び、炎羅(えんら)を一閃。装甲が硬いはずの陸戦ネウロイをいとも簡単に焼き切り(・・・・)、そのままコアまで焼き尽くした。

 

 

 

が、そこまでだった。

 

 

 

「うおぁ!?」

 

 爆散したネウロイの破片を防ぎそこね、神崎はそのまま地面へと墜落してしまった。砂とシールドで墜落の衝撃は緩和されたが、ユニットは脱げてしまい、地面に投げ出される。

 

「大丈夫ですか!?」

 

倒れた神崎に、進撃してきたマイルズが駆け寄る。

 

「ツッ・・・。あなたは・・・」

 

「ブリタニア陸軍のセシリア・G・マイルズです。立てますか?」

 

(そういえば、この前の宴会にいたな・・・)

 

 少し躊躇しながらも、神崎はマイルズに支えられ立ち上がった。この時、神崎は初めて落ち着いて戦況を確認することができた。神崎により、飛行杯(フライングゴブレッド)を撃退し、マイルズをはじめとした陸戦魔女(ウィッチ)が戦線を押し返したことにより、人類側が優勢となっていた。

 

「・・・なんとかなったみたいだな」

 

「いえ、まだです」

 

 セシリアが空を指差す。そこには敵の増援で、大量の飛行杯(フライングゴブレット)が押し寄せていた。

 

「ここの対空防御の能力はほとんど失われました。残念ですが、ここは撤退するしか・・・」

 

『それには及ばないわ』

 

「来たか・・・」

 

 無線機から響く加東の声。直後、上空を「アフリカ」の面々が飛んでいく。その中には、島岡の零戦もいた。

 

『よう、ゲン。なんだ、落とされたのかよ』

 

『まぁ、いきなり戦死しなくてまずは安心したわ』

 

『相手は飛行杯(フライングゴブレット)か・・・。ケイ、どうする?』

 

『マルセイユとライーサは突っ込んで。私と信介は二人の援護。真美は地上部隊の援護ね。飛行杯(フライングゴブレッド)だけど、油断しないように』

 

『了解!』

 

『了解しました!』

 

了解(ヤヴォール)。行くぞ、ライーサ!』

 

了解(ヤヴォール)!ティナ。』

 

 

 

 そこから戦闘の終了まで短かった。マルセイユには飛行杯(フライングゴブレット)など相手にもならず、瞬く間に全滅。地上部隊も制空権を奪還したことと、真美の援護によって完全にネウロイを圧倒。マッダレーナ砦の防衛は成功し、ネウロイの危機は去った。

 しかし、防衛には成功したものの、人類側の損害も多大なものとなった。マッダレーナ砦に駐留していた部隊はほぼ壊滅状態となり、再編成の為に後方へ下がることとなった。

 

「私たちも一度後方へと下がります」

 

 神崎が衛生兵の治療を受けているなか、マイルズが言った。

 

「もともと、私の隊は前線への予備戦力として配置されていたので」

 

「そうですか・・・」

 

 治療も終わり、神崎は立ち上がった。こうして立つと、マイルズは神崎よりも頭一つ分ほど小さい。

 

「今回はお世話になりました。マイルズ少佐」

 

「いえ、それは私の方です」

 

 では、私は行きます。そう言ってマイルズは去っていった。神崎は彼女の後ろ姿に敬礼すると、

「アフリカ」の面々のところへ歩いて行った。

 

 

 

 

 

 マッダレーナ砦からの帰還。魔力をほとんど使いきり、ユニットも不調となった神崎は、島岡が操縦する零戦の翼を掴んで飛んでいた。今回だけは島岡が渋々、本当に渋々翼を掴むことを許してくれた。その零戦を中心に、マルセイユ、ライーサ、加東、稲垣が編隊を組んで飛んでいる。

 

「・・・なぁ。シン」

 

「あ?どうした?」

 

 ジッと外を見ていた神崎は、無線を通してふと島岡に声をかけた。

 

「俺たちは戦争してるんだな」

 

「そりゃそうだな」

 

「・・・疲れた」

 

「そうかよ」

 

 島岡がチラッと神崎を伺う。

 

「大丈夫か?」

 

「・・・ああ」

 

 そう言って神崎は目を閉じ、飛行を零戦に任せた。

 

 神崎のアフリカでの初陣はこうして終わった。

 

 

 

 

 

「アフリカ」基地、隊長用天幕

 

 

 

 

 

 神崎は今回の戦闘の報告書を書かなければならず、深夜近くになってやっと書き終わり、加東に提出していた。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 ジッと報告書を読む加東。直立不動で待つ神崎。

 

「・・・。よし。OKよ。よく書けているわ」

 

「そうですか」

 

 無事、加東の了承をもらう神崎。

 

「では、自分はこれで・・・」

 

「ちょっと待って。お茶ぐらい飲んで行きなさいな」

 

 見れば既に加東はやかんを手に持ち、お茶を入れる準備をしている。

 

「・・・はあ」

 

 このまま天幕から出るのも気が引けて、神崎は近くの椅子に腰を下ろした。つかの間、お茶を淹れる音だけが天幕に響く。

 

「はい」

 

「いただきます」

 

 加東から湯呑を受け取り、口をつける。お茶の渋みと苦味、そして暖かさが口の中に広がり、疲れた体に染み込んでいった。

 

「・・・美味しいです」

 

「それは、よかったわ」

 

 加東はそこで一度言葉を切った。

 

「今回は、あなた一人でもなんとかなったけど、これからはちゃんと私の指示に従って。絶対に」

 

「・・・はい。すみませんでした」

 

「分かってくれればいいのよ」

 

 その後は特に話すこともなくお茶を飲み終えた。

 

「では、失礼し・・・」

 

「あ、あともう一つ」

 

 天幕から出ようとした直前、再び加東が神崎を呼び止めた。

 

「戦闘に向かう直前、あなた言ったわよね?一人なら大丈夫って。それってどういう意味?」

 

「・・・」

 

 神崎は黙り込んでしまう。言うべきなのだろうが、どうしても気が引けて言えなかった。

 

「・・・すみません」

 

 結局、神崎は一言謝りそのまま立ち去ってしまった。そのまま自分の天幕に入り、ベッドに潜り込んだ。

 




OVAとTVシリーズがでるのはいつぐらいですかね?来年ぐらいかな?どんな話になるか、夢が膨らみますね。

では、また。

ヒロイン選考中。

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