オリジナルイオン(?)がアリエッタと共に世界救世旅行へ 作:ヴィヴィオ
イオン様のメッセージ通りに頑張って死んだアリエッタをイオン様が迎えに来てくれた。アリエッタの大好きなイオン様。イオン様に連れられていると、泣き声がきこえてイオン様が方向を変えた。そこでみつけた子をアリエッタと同じペットにした。
アリエッタにはよくわからなかったけれど、とりあえずアリエッタに後輩ができた。一緒にイオン様のお役に立てる。でも、サイモンがアニスのようにアリエッタからイオン様を取らないかが心配。イオン様がアリエッタ達を可愛がって愛してくれるのなら別にかまわない。サイモンがアリエッタからイオン様を奪うならアニスのように容赦なく殺してやる、です。
でも、アリエッタはイオン様のフォンマスターガーディアンにもどれたからアリエッタと一緒にイオン様に尽くすのなら仲良くする。
「アリエッタ」
「イオン様、おかえりなさい、です」
「ただいま」
イオン様が優しく頭を撫でてくれる。それだけでアリエッタは幸せです。
「色々と女将に頼んでおいたから、ボク達も休憩しよう。しばらくは動けないしね」
「はい、です……」
「どうしたの?」
「あの、イオン様……イオン様はアリエッタを捨てない、ですか?」
「どうだろうね。それはアリエッタ次第だよ。アリエッタがちゃんとボクのいうことを聞いて、サイモンとも仲良くすればボクから捨てることはないよ。ボクはアリエッタのことが好きだからね」
イオン様が抱きしめて囁いて撫でてくれます。それだけでアリエッタの中にある不安はなくなっていく。そのまましばらくイオン様に抱き着いていると、キスしたくなってキスをするとイオン様からもしてくれます。そのままキスをしてから舌を絡め合っていると気持ち良くてぼぉっとしてきます。
「よっと」
「んんっ……」
イオン様がアリエッタを膝の上に乗せて、身体中を確かめるように撫でてきます。そのうち指がアリエッタの唇を撫でたので、そのまま咥えて舐めていきます。舐めていると次第に瞼が重くなってきます。でも、我慢する、です。
「アリエッタ、眠いなら寝ていいよ」
「いや、です。アリエッタが寝たら、イオン様、またどこかいっちゃうっ!」
「どこにもいかないよ。いいから寝なさい。疲れているはずだからね」
「う~」
「仕方ない。なら、膝枕をしてあげるからそれで我慢するんだ」
「はい、です……」
イオン様がサイモンが寝ている場所を少しどけてベッドに座りなおしたので、アリエッタは寝転がってイオン様の膝に頭を乗せる。
「~~♪」
イオン様が頭を撫でながら歌いだすとアリエッタはすぐに安心して、眠ってしまいました。
目を覚ましてアリエッタは急いでイオン様を探すとイオン様はアリエッタに膝枕をしながら片手で本を読んでいた。もう片方の手はサイモンの手を握っていて、少し嫉妬してしまったアリエッタは悪い子です。だから、そのまままた寝るのです。今度は安心して。
サイモン
私は疫病神だ。私の加護は人に好きな夢を見せるというものだ。与えた時は死者との邂逅や過去のトラウマを乗り越えて現実を過ごしてくれると思っていた。だけど、私の力でみせる夢は現実よりもあまりに夢の中が居心地が良くなり、多数の村の人達が現実にもどらなくなった。そして、村は滅んでしまった。
今も彼等の夢をみる。本人はともかく、残された家族の恨みや絶望の感情が私を蝕んでいく。
それでも生きていて出会ったヘルダルフに救いを求めて従ったけれど、最後まで役に立てなかった。
ヘルダルフの役に立てなかった上に導師であるスレイ達には殺してすらもらえなかった。絶望して泣いていたらいつの間にか今の主様が立っていて、助けて欲しかった私は彼に飛び付いた。主様は驚いたことに人の身でライラと同じく、私の身体から穢れを浄化してみせた。絶望に苛まれていた私は与えられた光に思わず縋り付き、輿入れをしてしまった。
でも、私の力で新しい主様まで夢の中に閉じこもってしまったらと思うと不安になる。ましてやまた捨てられたらと思うと、起きたくなくなって――
「ひぎゅっ!?」
気付いたら後ろから蹴り飛ばされて、頭を踏みつけられた。そっと頭を動かして視線を上にやると主様がいた。まるでガラクタでもみるかのような冷徹な瞳をしている。
「遅い。何時まで寝ているのかな? もう五日目だよ」
「そ、それは……」
「はぁ……やっぱり躾けが必要かな。いいから加護を寄越せ」
「しかし、私の力は……」
「サイモン、ボクをなめないでくれるかな? たかがペットの力に負けるとでも思ってるの?」
「だが、人は心地良い世界に……」
「やれやれ。じゃあ、勝負をしようか」
「勝負……?」
「ボクが勝てば君の全てをもらおう。君が勝てば好きにしていい。それともここでしっかりと教育した方がいいかな?」
「わ、わかった……ほ、本当にいいのか?」
「くどい」
足が退けられて、蹴られるかと思ったが、普通に抱き起してもらえた。相変わらず冷徹な瞳でこちらを見詰めてくる。根源的な恐怖が湧き上がってきて、幻術をかける。
「ん? 何かした?」
「え? えっと……」
何度も試しても一切効かない。おかしい。絶対におかしい。
「いいから加護を使ってみて?」
「はい」
加護を与えて発動させるが、なにもおきない。
「もっと全力で出力をあげて。まさかこの程度じゃないよね?」
そう言われて必死にやる。でもすぐにレジストされていく。幻術と加護、両方を最大出力でやっても一切効かない。
「あ、主様……」
「え、まさかこれで最大?」
私はこくんと頷く。すると主様は私のほっぺたを掴んでぐにぐにとしてくる。
「弱すぎだよ。話にならない」
「あうあう」
「仕方ない。自分からかかってあげるから、もう一度やってみて」
「ふぁい」
言われた通りにかける。すると深い森の中にある一軒家が浮かんでくる。そこには大きな狼や鳥の魔物達がいる。とくに一際大きな狼の魔物とアリエッタが幸せそうに微笑んでいる。主様はロッキングチェアに座ってゆっくりとなされていて……
「はい、駄目。リテイク」
一瞬で夢の世界が罅割れて破壊された。
「ほら、さっさとリテイクだよ。足りないものがあるし、これじゃあ幸せとはいえないね」
「くっ……わかりました」
色々と改善するも何度もリテイクされて、頬っぺたを抓られる。頬っぺたが真っ赤になるとそこ以外にも大事なところも抓られだした。
「リテイク、リテイク、リテイク、リテイク、リテイク」
何十回もやり直ししても駄目だしされる。なにがたりないのかわからない。罰として服を取られて恥ずかしい思いもさせられる。どんなに許しをこいてもリテイクさせられる。泣いても喚いても許してもらえない。
「だからいってるでしょ。大事なのが抜けているって」
アリエッタも彼女の家族もいる。主様の家族はいないし、なんとも思っていないようだし違う。他の人達をだしたら鼻で笑われた。ディストという人をだしたら、笑いながら難しい話をしていたけどしばらくしてリテイクだった。成長した姿や今の姿でも結婚式や子供も作った。それなのに全然だめだと言われた。
「わ、わからないの……もうやだぁっ……私の負けでいいっていってるのに……」
「ボクが降伏を認めないからだ~め」
「鬼っ、悪魔っ!」
「あっはっはっは、よく言われるよ。それよりもリテイクだよ。ボクのペットなんだからこれぐらいできないと駄目だよ」
涙を指で拭かれてから頭をぽふぽふと叩かれる。両手で身体を隠しながら上目使いで主様をみると、もうガラクタをみるような冷徹な瞳をしていない。どちらかというとあほな子をみるような感じ。あとどこか優し気な感じも含まれている。それは確かアリエッタに向けられていた奴と同じで……もしかして……今度は私の姿も入れた奴をみせた。
「ひっ!?」
叩かれそうになってビクッと身体を振るわせたけれど、頬っぺたをぷにぷにされただけだった。
「惜しいけど、リテイクだね」
「うう……私、疫病神なんだけど……」
「関係無いね。必要か必要でないかはボクが決めるんだ。ほら、もう答えはわかっただろう?」
「はい……これでいい、ですか?」
私がみせたのは私も幸せそうに笑っていて、私とアリエッタがそれぞれの赤ん坊を抱いて主様にみせている姿。
「うん、合格だね」
「やったっ!」
思わず嬉しくなってガッツポーズをしてしまう。そしてどん底に落とされた。
「まあ、ボクには効かないんだけど」
会心の出来だったのにあっさりと否定されて、崩れ落ちそうになる私をすぐに抱きしめられた。
「理想はアレでいいけれど、そこに向かうように自分で努力をしないといけない」
「でも、それをできない人が……」
抱きしめながら上を向いて主様をみて話す。主様は私を諭すように頭を優しく撫でながら押してくれる。
「自力でできないのなら、こっちでコントロールすればいい。時間制限をきめてそれでも起きない悪い子には、強制的に目覚めたくなるような悪夢に変えてあげればいい。サイモンは優しい……いや、経験が少ないのか。人は与えるだけでは腐るからね。加護を与えたら試練も与えないと。ボクの前の世界もそれで最悪だったよ」
主様が幻術で教えてくれた世界はスコアと呼ばれるものによって、未来が決められていた。その未来を否定し、あがこうとした人達のことも。
「12歳で死ぬことが定められてるとか、ふざけるなってことだよね。例え、覆らないとしても、それなら教えるなよって思うよ。だから、ぶっ壊してやろうとしたんだ。まあ、失敗したけどね」
「惜しかった、ですね」
「ヴァンとアリエッタ、それにディストがいればいけると思ったんだけどな。まさかディストが裏切るとは思わなかったよ。後、アリエッタがレプリカ達を無視して星を破壊してくれてもボク達の勝ちだったんだけど……復讐を優先しちゃったしね~」
「それは駄目ですよ」
「うん。サイモンをペットにしてよかった。アリエッタはボクが言うことをなんでも肯定するから、ストッパーが欲しかったんだよね」
「ちょっと待ってください。それは無理です、殺されてしまいます」
あんな化け物を止めろとか、相手にすらされない。殴られたり天響術を撃たれたりするだけで消し飛ぶ。初級でも最上級クラスのダメージが入ってくる。
「大丈夫だよ。ちゃんとサイモンも強くなってもらうし、それにアリエッタならサイモンなら瞬殺だよ。ボクを使えばいいんだから」
「なるほど」
確かにあの子には主様の幻影を出せば対処できるかもしれない。破られたら怒り狂ってバーサーカーになるかもしれないけれど。
「まあ、もっと努力してもらわないと駄目だけどね」
「頑張ります」
「それと敬語じゃなくていいよ」
「お断りします。我が主には私の全てを差し上げるのですから、敬語くらい当然です」
自分の幸せな姿に私も入れてくれる主様になら、全力でお仕えしてもいい。決めた。誓約を追加しよう。主様のために生き、主様のために全てを捧げて永遠に仕える。主様が死んだ後も私は一緒についていく。
「そう。それならそれでいいけどね」
「では、誓約をここに。私の全ては主様のもの。例え死しても主様と共に永遠に一緒にいてお仕えいたします。我が力の全ては主様のために」
「サイモンってちょろいね」
「失礼ですね。ですが、構いません。主様が疫病神の私を受け入れてくださったのですから」
「まあ、そこはおいおい変えていっても……」
「無理です。誓約しましたから、言葉通り永遠に離れられません。破れば私は消滅します」
「やられた……」
「はじめて主様を越えられましたね」
主様の顔を両手で挟んでこちらに向かせ、キスをする。主様はなんともいえない……いえ、悔しそうにしています。私のことをちゃんと思ってくれているのがわかって嬉しくなる。
「私はちょろいかもしれませんが……」
「が?」
「重いので気を付けてくださいね。永遠に追いかけますから」
「……怖いよ……」
もう二度と逃がしません。私の加護が効かずに自力で破ってくるような人はいましたが、私をちゃんとみてくれたのは主様だけです。導師スレイ達は認められません。彼等は確かに私の幻術を破りましたが、他が駄目。
彼等は結果が全てではなく過程が大事といっていたが、お前達がそれをいうのかと思う。私は彼等の旅を監視していたので知っている。色々と言いたいことはあるが、連中は自己満足でしかない。そもそも味方も敵も救っていない導師に存在価値などあるのだろうか。それはもはや導師ではない気がする。思えば先代もそうだ。導師のくせに人を呪って災禍の顕主を作り出している。ましてやエドナが可哀想です。記憶を読んだ限り、ドラゴンのことを調べて兄を救うということで協力してもらっていたというのにろくに調べてもいない。ドラゴンの研究施設跡地への手がかりとかも与えられているのに。
「どうしたのかな?」
「いえ、なんでもありません」
「そうか。じゃあ、戻ろうか。アリエッタも待ってるしね」
「はい」
目覚めるとアリエッタが泣いて主様に縋りついていた。不思議に思って彼女の記憶を読めばそれだけで理由がわかった。主様と寝ておきたら死んでいたのだから、それがトラウマとなっているのだろう。
「ん~サイモン、お願いがあるんだけど」
「任せてください」
「まだ何も言ってないけど、わかるの?」
「はい。誓約の追加で力が強化されましたから。アリエッタのトラウマを克服すればいいのですね」
「うん。サイモンの力はそういうことにも使えるから、導師のサポートには最適だね」
「ありがとうございます。さて、アリエッタ。貴女のトラウマを治してあげる。これは主様のためでもあるから受け入れて」
「イオン様の?」
「毎日寝る度にこんなことになったら流石に困るからね。嬉しいことは嬉しいけどね」
「イオン様がそういうなら、頑張る、です」
「よろしい。一番早いのはレプリカというのを本物と思うことだけど、それは嫌でしょう」
「絶対に嫌!」
「ならば主様と常に共にあったというふうに記憶を改竄しよう。それだけで大分変わるだろう」
「イオン様、いい、です?」
「ああ、いいよ。それでいこう。幽霊みたいな感じでいいから……」
「では……」
幻術を利用した催眠術を使って改変していく。ついでだから、私のことも埋め込んでおく。正直、このままだと邪魔者として排除されかねないから怖い。主様には話してお願いしたらあっさりと許可をもらえた。
次の日、アリエッタが私にも凄く甘えるようになってしまった。交霊術師やイタコとして接触したことにしたのが原因と思われる。大好きな主様との再会に協力したからこそだろう。