ドラ子になった話   作:ゆきん子

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主人公の名前すら決まってないのに…。
メモ書きの中でずっと前に燻っていた奴をそのままコピーしたので、校正も何もしていないです。


私はマルフォイ

 

 

私はマルフォイ家の一人娘。

至って普通の"魔女"だ。

生まれは聖28一族の中でも歴史が長く……とにかく由緒正しい生まれだってこと。

 

そんな私も周囲と少し変わったことがある。

私には、いわゆる"前世の記憶"というものがある。

物心ついたときから――死んだ時まで。こちらで16歳を迎える今になってもいくつか覚えている思い出がある。

 

だが、こちらの両親に思い入れが無いかと言われればそうではない。

最初は勿論美しい両親に気後れしたし、彼らの()()に共感できない事もあり、複雑な気持ちだった。(前世では私も"マグル"だった)

それでも彼らはにこりともしない娘を気味悪がらず、世間一般では遅い第一子という事もあってか我ながら掌中の珠と慈しまれた。

 

しかし、私がこの胸に彼らへ愛情を抱いた頃。

父がかつて死喰い人だったということを知ってしまった。

 

杖を持つ前の子供は、時折"奇跡"を起こす。

私は地下室の奥、魔法で厳重に封じられたその場所をその奇跡で開放してしまったのだ。

そこには闇の魔術が掛けられた物や、怪しい薬品、禁書指定された危険な本など、当時の私が知りもしない沢山の闇が集められていた。

私は両親に地下室には入ってはいけないと言われていたのを思い出したが、その時は好奇心が勝ってしまった。

結果、私は厳かな装飾の施された箱を開き、その中にある死喰い人の証であるマスクを見てしまったのだ。

 

そして帰宅した父が異変に気付き、私を見つけ、やむを得ず嘗ての真実を話した。

その時の父は、恐怖に怯えているようにも、歓喜に興奮しているようにも見え、前世の記憶があるとはいえ幼かった私には父が知らない人になったようで恐ろしかった。

 

だから私はいつもの父に戻って欲しくて、苦手な笑みを無理矢理つくっていったのだ。

 

「たとえお父様が悪い人の仲間で、悪い事をしていても、私のお父様はお父様だけですし、私はお父様を、そして勿論お母様も愛しています」

 

父はその言葉に微かに涙ぐみ、その日は久々に(というか記憶する中では初めて)家族三人で眠ったのだったか。

 

 

 

 

 

……今でも、その気持ちは変わっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴォルデモート卿は、偉大で、そしてとても恐ろしいお方だ。

人の心を持たず、それでいて人が人を愛する気持ちを理解し、利用する。

だからこそ誰も逆らわないし、逆らえない。

 

そんなバカは生まれもってそんな定めを背負わされた英雄くらいだ。

 

闇の帝王が復活した時、父は誰よりも早く馳せ参じた。家族を守るためだ。

しかし闇の帝王は裏切りを許さない。彼は自身を探すどころか、操られていたと嘘をついて魔法界で権力者となった父を責め、ほぼ実行不可能な命令を下した。

神秘部の予言は、当人でしか取り出すことが出来ない。

つまり、ハリーポッターの予言を父が持ち帰ることなど、ほぼ不可能なのだ。

父は何とか神秘部までポッターを誘き出す事に成功し、予言を手にさせたがその場の戦闘で予言が砕け、結局それを手にすることは叶わなかった。

 

そしてあのお方は罰として私に、ダンブルドアを殺す事を命じた。

両親を人質にされた私は、なんとしても今年度中に校長を殺さなければならない。

なんとしても……。

 

 

 

 

 

"必要の部屋"から出た私は、急いで誰もいないトイレへと駆け込む。

音が万が一にでも外へと漏れないようにと洗面台の水をいくつか流し、口元をぎゅっと押さえる。

自分がしていることへの嫌悪に、胃から苦い液体が逆流してきて、水を掬って口元を洗う。

 

目からは絶え間なく涙が流れ続けていた。

 

本当はあんなキャビネット、とっくに直せる。

伊達に学年2位なわけではない。本当なら作戦はもう始まってもおかしくない。

 

だが、私の弱い心が、あの闇を呼び込むキャビネットを直すのを拒むのだ。

私自身は、ダンブルドアに恨みなんて無い。例え恨みがあっても人なんて殺せないし人殺しに加担する事も嫌だ。

ベラトリックス達を呼んだら、どうなるだろうか。

 

彼女は私には優しいが、他人を思いやるような人並みの心は持ち合わせてはいない。他の死喰い人も同じくだ。

彼らをホグワーツに呼び込んだら、城は荒らされ、生徒にまで危害が及ぶかもしれない。

だが、自分ひとりで世紀の大魔法使いと呼ばれる校長を殺す実力も無ければ勇気も無い。校長が忙しくしており学校に居ることが少ないこの状況が、皮肉にも私の小さな救いであった。

 

私がまた小さく嗚咽を漏らすと、後ろから小さな物音が水の音にまぎれて聞こえた。

ハッと顔を上げると、驚いたように眼鏡の向こうの目を見開くポッターと鏡越しに目が合った。

 

「マルフォイ?」

「……ポッター、ここは女子トイレよ。何故貴方が居るの」

「泣き声が聞こえたんだ」

 

聞こえるわけが無い。手の平の奥で押し殺した上、この水の轟音だ。

だが私はそう反論するのも面倒で、振り向く事も無くうつむき、蛇口から出る水を焦点のいまいち合わない目で見つめた。

 

「ここのゴーストはいつも泣いてる」

「彼女の声じゃなかった」

「しつこいな、私は貴方と違って忙しい。こそこそ嗅ぎまわっていないでさっさと出て行ったらどうなの」

「待って!」

 

ポッターの肩を擦るように足早に横を通り過ぎようとすると、左腕を強く掴まれた。

途端に焼けるような熱と痛みが走る。闇の帝王にとって特別なポッターが触ったせいだろうか、こんな痛みはこれを付けられた時以来だ。

 

「っ!く、ぅ…離せ!」

「君、まさか腕に……」

「私の腕がどうだろうが、貴方に関係ないでしょう!」

 

らしくも無くヒステリックに叫ぶと、私は乱暴に腕を取り戻してその場を立ち去った。

ポッターに私のやろうとしている事を知られたら、何が何でも阻止しようとするだろう。

そしたら両親が殺される。あの人は一瞬の躊躇も無いだろう。

 

「次だ……次には直して、確認に移る」

 

私はようやく計画を進める覚悟が決まった。

人を、殺す計画を。

 

急がなくては。ポッターだけならそれほど脅威ではないが、スネイプ教授まで私の行動を怪しんでいる。

教授にはお世話になったが、邪魔をされては両親が危険だ。何が弾みで殺されてしまうのか分からない。

急がなくては。両親を守るためには、なるべく早くダンブルドアを殺す必要がある。

あの人の命令に従う必要が。

 

 

 

 




皆の英雄はドラ子を救う事は出来ないし、そもそも疑ってかかっているので救おうという発想もこの時点ではない。
救えるのはダンブルドアだけだけど、彼もドラ子に殺される気まんまんで救わない。それがハリーの為で、より多くの為だから。

これも長編予備軍かもしれない。
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