リオレウスを倒した日から3日が経った。
わたしたち家族はというと、アルマ筆頭討伐隊がリオレウスを撃退してくれたお礼にと、村長さんから借りていた部屋を無償で提供してもらえることになり、もう少しだけやっかいになろうとアルマの疲れを癒していたところだ。
すっごい居心地がいい家だよ……布団柔らかいし。庭なんて子ども2人が走り回っても尚余りある広さ。
ベルナ村のご飯は美味しいし。
わたし、このうちの子になりたい。
そんなわけにもいかないけどね。
自然に生きる生活は、わたしたち家族のルーツでありルールだ。
わたしが独り立ちできるようになるまでは家族と愛を育むよ(何目線?)。
次は、件のリオレウスの報酬について。
これについても、村長さんがギルドに申し立ててくれたらしい。
原則として、依頼を受け、尚且つトドメをさした人に報酬を与えるのがハンターギルドのルールではあるが、今回は事情を考慮して討伐隊の4人で山分け出来るように、素材の80%を討伐隊に。
そして残りの20%を村の発展に役立てることと相成った。
ハンターギルドの取り分はなし。
村に壊滅の危機が迫る時は、
ハンターギルドって太っ腹なんだね。
ちょっと見直したよ。
そもそも見限ることもないんだけど、あんまりいいイメージがないんだよなぁ。
なんでだろう?
アルマはというと、報酬80%を人数割にした20%の素材とお金をどうするのかと思っていたら、
「これでアルトに大剣を作ってやろう」
と言いだした。
お父さん!?早くない!?アルトまだ7歳だよ!?
曰く、「これを自由に扱えて漸く半人前」との事だけど、どんなスパルタ教育だよ……。
アルトもアルトで、誕生日とクリスマスとお正月と夏休みと席替えと愛しさと切なさと心強さがまるで一堂に会して一気に押し寄せてきたかの様な、あまりの感情にさっきから叫び回ってる。
羨ましいけど鬱陶しい。
いいもん!自分の装備は自分で作るもん!
というかアルト、7歳で大剣なんて絶対持てないからね?自分の身長より大きい剣なんて担げるわけないからね?大人ほどもある剣なんだよ?
ところで。
わたしには明確な目標ができたことをここに報告しようと思う。
わたしは───ハンターになりたい。
今までは村や街に下りるといっても、用を足す程度にしか利用することがなかった。
ところがどうだ、こうして数日とは言え集落で過ごす機会が出来ただけで、どうしようもなく尊さを覚えるんだ。
知識はある。
後は、それを活かして誰かを護れるだけの力が欲しい。
とは言っても、ムキムキマッチョになりたいわけでは決してない。
決してない。
持って生まれたこの容姿、活かさない手はないんだ!
めちゃめちゃ強くてくちゃくちゃ可愛い、そんなハンターをわたしは目指すよ……!
かと言って、慢心なんかはしていないよ。
勉強しなきゃいけないこともたくさんある。
前世では終わりがないと思っていたこの世界も、いざ現世に現実として迎えてみれば、死ねば終わりの1度きり。
きっちり終わりを用意してくる鬼畜仕様。
生まれ落ちた以上
転生に気づいた1週間前。
前世に戻って楽しみたかった怠惰な毎日も、怖くて怖くて堪らなかったこの世界も。
思いつく限りの未練と不安を天秤にかけて、それでも尚、覚悟と目標を以てして、現世を謳歌してやるんだと腹を括ったんだ。
───10年。
10年修行すれば、1人前とはいかないまでも、独り立ちが出来るだろうか。
一人で生きていく為に、たくさんの技術と知恵を身につけなきゃいけない。
日常的に使うものから、局所的に必要になるものまで。
この世界の常識。
この世界の広さ。
どこまで通用するかわからない、前世の知識。
未知のモンスターだっているかもしれない。
どうしようもなく、怖い。
それでも、ワクワクしている自分がいる。
あの日、リオレウスと対峙してから、頭の中は狩りのことで一杯なんだ。
やらなきゃやられる、残酷な命の奪い合い。
その駆け引きの
端的に言うと、病みつきになってしまった。
完全に虜になってしまった。
完全にわたしはダメにされてしまった。
だからわたしは、わたしの大切なものを。
愛と思想と時間と身体を。
人生全てを捧げようと思う。
だから、責任取ってよね、世界。
短いですが、キリがいいのでここで。
これにて第一部、完。です!
書き溜めはここまでになります。
第二部からちまちまと書きますので、何卒よろしくお願いいたします。