Fate / ゼロ   作:JALBAS

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自身の魔力アップのため、暗躍を続けるゼロ(ルルーシュ)。
そんな中、残った全てのサーヴァントがようやく出揃います。
激戦に備え、集めた生気を回収に行くルルーシュは、そこでセイバーと対峙する事に……
果たして、ゼロ対セイバーの勝負の行方は?




《 第五話 》

 

ルルーシュは、例によって朝から水晶玉で、他のマスター達の動きを監視している。

私は、昼間の内に、食料品等の買い出しに行って来た。最も、もう私に食事は作らせないみたいなので、食材はルルーシュの指定した物だけを買って来た。

ついでにまた街を見学して来たので、帰ったのは夕方だった。

例の部屋に行くと、相変わらずルルーシュが水晶玉を見詰めていた。

「何か動きはあった?」

「ああ……ライダーのサーヴァントが現れた。」

「え?本当?」

私は、ルルーシュの向かい側に立ち、水晶玉を覗き込む。

そこには、黒いボディコンスタイルに身を包んだ、地面まで付きそうなくらいの長髪の女が映っていた。その目には、何故か目隠しがされている。

「何で、目隠しをしているの?」

「分からん……だが、これではアサシン同様、ギアスが使えん。」

そのライダーと対峙しているのは、セイバーのマスターの衛宮士郎だった。既に、右腕を負傷している。

「何で、セイバーを呼ばないのかしら?」

「それも分からん……こんな魔力の弱い小僧が、サーヴァントの相手になる訳が無いが……」

案の定、衛宮士郎はライダーの罠に嵌まり、木に吊り上げられてしまう。

絶体絶命というところを、駆け付けた遠坂凛に助けられた。ライダーは、これで引き上げて行った。

衛宮士郎と遠坂凛は気付かなかったが、私達は、木の陰に隠れているライダーのマスターも確認した。衛宮士郎達と同じ、穂群原学園の男子生徒だった。

「知っているか?カレン?」

「いいえ……教会の資料には無かったわ。」

「マスターに選ばれる者だ、魔術師の家系だとは思われるが……それよりも……」

「それよりも?」

「どうしてあの小僧は、最後までセイバーを呼ばなかったんだ?遠坂の娘が来なかったら、死んでいたぞ。」

「そうね……でも、何で遠坂凛は、衛宮士郎を助けたの?お互い敵同士なのに?」

「先日のバーサーカーとの戦いでも、共闘していた……マスター同士は知り合いのようだし、同盟を結んだのかもしれん?」

「そうなると、厄介ね……」

「だが、それでバーサーカーを倒してくれるのならば、儲けものかもしれんが……」

 

翌日、私は穂群原学園に潜入し、ライダーのマスターの事を調べた。

名前は間桐慎二、間桐家の長男だった。

早速隠れ家に戻り、この事をルルーシュに報告する。

「間桐家の長男だと?」

「ええ。」

「そうなると、間桐臓硯とグルの可能性もあるな?」

「そして、セイバー陣営とアーチャー陣営は同盟関係……」

「更に、バーサーカーは強力無比……」

「正に四面楚歌ね……」

いつものように、他人事のように私は言う。しかし、ルルーシュは突っ込んでは来ずに、腕を組んで考え込んでいる。そして言う。

「よし、今夜、集めた生気を回収に行く。」

 

 

その夜、私達は柳洞寺に向かっていた。

その途中、私はルルーシュに尋ねる。

「何で、柳洞寺に生気を集めているの?」

「我々の隠れ家を誤魔化す意味もあるが、柳洞寺は、この地で生気を集めるのに最も適した場所なのだ。」

「でも、ここが私達の本拠と勘違いされる訳だから、直ぐに他のサーヴァントの標的になるんじゃない?何で、今迄襲撃されなかったの?」

「それは、着けば分かる。」

 

柳洞寺の前まで来て、その理由が何となく分かった。

柳洞寺の周りは、強力な結界で覆われていた。

「これは、サーヴァントを寄せ付け無い結界だ。容易に突破はできない……但し、一箇所だけ結界の無い場所がある。」

「え?」

私達は、境内に続く石段の前まで来る。

「ここから上の山門までの間だけ、結界は張っていない。」

「え?それじゃ、ここを通れば、誰でも境内に入れちゃうんじゃない?」

「そうなるな。」

「何で、今迄誰も侵入しなかったの?」

「考えてもみろ、周りにこれだけ厳重な結界が張られていて、ここだけ“はいどうぞ”と道が開いていたら、普通はどう思う?」

「……罠?」

「そうだ!だから、迂闊に踏み込めなくなる。」

「そんな複雑な事しないで、全部結界で覆っちゃった方が良かったんじゃないの?」

「そうすると、強引に結界を破ろうとする者も出て来る。こうしておいた方が、より警戒して直ぐには手は出さん。」

「そんなものかしら?」

私は、いまひとつ半信半疑だ。石段を登りながら、ルルーシュは話を続ける。

「それに、万一罠と知りつつ、果敢に挑んで来る者があったとしても、境内に入っても何も無い。」

「え?」

「ここだ。」

石段の中腹で、ルルーシュは脇の林の中に入って行く。そこだけ、結界に穴が開いているようだ。林の中を進み、大きな岩の前まで行く。そこで、ルルーシュは岩に手を当てて呪文を唱える。すると、岩に大きな入口が現れる。

「本当の生気の収集場所は、ここだ。」

そう言って、中に入って行く。私も、後に続く。洞窟をしばらく進むと、広い空間に出る。そこには巨大な魔法陣が敷かれており、その上に、目では見えないが集めた膨大な生気が漂っているのを感じる。

「どうだ?これならば、簡単には見つけられまい?」

「本当……大したペテン師ね。」

「褒め言葉として、受け取っておこう。」

 

 

その時、ルルーシュ達以外に、柳洞寺に向かう影が2つあった。

ひとつは、新都の市民から生気を奪い、暗躍を続けるキャスターが柳洞寺に巣を張る事を知り、マスターの制止に逆らってひとり飛び出した、セイバーだった。

セイバーは、夜の街を柳洞寺に向かって駆けて行く。

そして、もうひとつは……

 

 

ルルーシュは、生気の充満する魔法陣の中心に立つ。そして呪文を唱える。すると、生気が一気にルルーシュの体に吸収されていくのか、ルルーシュの体は激しく輝き出す。

その輝きが消えた後、ルルーシュは、ゆっくりと私のところに歩いて来る。

「どうだ?」

「凄いのね、さっきまでとは、桁違いに魔力が増大している……」

「ふふ……これで、今迄控えていた宝具も使える……」

 

私達は洞窟を出て、元来た石段に戻ろうとする。

すると、私達の前に、ひとつの人影が現れた。

黒のボディコンスタイルに、地面に付きそうな長髪、目には目隠しをしたサーヴァント……

「ライダーか?」

ルルーシュの声には、余裕がある。

目隠しをしているライダーにはギアスは使えないが、今の桁外れの魔力を持つルルーシュには、そのくらいは丁度良いハンデかもしれない。

「マスターの命令で探りに来たか?それとも、私が集めた生気を横取りに来たか?ならば、生憎だったな。既に生気は回収済だ。」

ライダーは、無言で佇んでいる。

「どうする?私を倒して、奪って行くか?」

しばらく、ライダーはこちらに正対していたが、このままでは部が悪いと感じたのか?結局、一言も喋らず去って行った。

ルルーシュは、特に追おうともしなかった。

 

石段まで戻り下ろうとすると、今度は、青い服に銀の鎧を纏った、ブロンドの髪の女騎士が行く手を遮った。罠と知りつつも挑む、勇猛果敢な戦士が……最も、“罠”というのはハッタリなんだけど……

「セイバーか?」

その姿を見た、ルルーシュが問う。

「あなたがキャスターか?」

セイバーは、逆に問い返して来る。

「確かにキャスターだが……私の事は、ゼロと呼べ。」

「ゼロ?」

「マスターは一緒じゃ無いのか?お前が単独行動とは、珍しいな?」

「ゼロ……何故、無関係な者を巻き込むのです?」

「無関係?……この冬木が戦場となっている以上、無関係な者等、この街にはひとりも居ない。」

「だからといって、一般市民から生気を吸い取るなどと……」

「心配するな。吸い取っているといっても、ほんのわずかだ。数日もすれば、皆回復する。」

「そういう問題では無い!こんな非道を行って、英霊として恥ずかしく無いのですか?」

「聖杯戦争に勝つためだ。そんな、綺麗事は言ってられん。」

セイバーは、厳しくゼロを睨み付けるが、ゼロは全く動じない。

「どうやら、議論は無駄のようですね?」

「そのようだな?」

セイバーは、カモフラージュ施した見えない剣を抜き、構える。

「カレン、下がっていろ。」

ゼロは、戦闘に巻き込まれないよう、私を石段の脇に下がらせる。

「行くぞ!」

セイバーは、一気に石段を駆け上がってゼロに斬り掛かる。

ゼロは、簡易的な防御壁を張ってこれを防ぐ。

間髪入れずにセイバーは剣を放つが、ゼロはその全てを防御壁で防ぐ。しばらくはその繰り返しであったが、痺れを切らしたセイバーが、一旦離れてゼロに問い掛ける。

「何故、あなたは手を出さない?」

「お前の攻撃が早過ぎて、手を出す隙が無いのだ。」

「私を馬鹿にしているのか?」

「そう思うのは、お前の勝手だ。」

「お……おのれ、ならば……」

セイバーは、剣のカモフラージュを解く。黄金に輝く剣が、その姿を現す。

「ほう?」

それでも、ゼロは動じない。

「あなたを、本気にさせる!」

セイバーは、力を解放した聖剣でゼロに切り掛かる。

「はあああああああっ!」

しかし……

「な……何?」

力を解放した聖剣も、ゼロには届かなかった。ゼロの体を、今迄の防御壁とは比べものにならない、強固なバリアが覆っていた。セイバーの聖剣は、このバリアに止められた。

「こ……これは?」

「“絶対守護領域”、私の第2の宝具だ!如何なる宝具の攻撃をも跳ね除ける、鉄壁の防御壁だ!」

「ぜ……絶対守護領域?」

「魔力消費が激しく、今迄は乱用できなかったが、今の私なら惜しみ無く発動できる。」

「おのれ……うっ!」

突然、セイバーは、その場に蹲ってしまう。

「ん?どうした?セイバー……」

「な……何でも……無い……」

セイバーは、何とか立ち上がるが、非常に辛そうにしている。額には、汗も流れている。

「お前……まさか?」

「セイバーっ!」

そこに、別な声が割って入る。石段の下を見ると、セイバーのマスター、衛宮士郎が息を切らせて立っていた。

「し……士郎……」

顔だけ後ろを向き、マスターに気付くセイバー。

「今宵はここまでだ!セイバー!」

「な……何?」

「カレン!引き上げるぞ!」

ゼロに呼ばれて、私は彼の元に行く。

「に……逃げるのか?ゼロ!」

「そうだ!勝負は預ける!」

「ま……待て!」

「一応言っておく。ここは、私達の本拠では無い。今後、いくらここを探しても、私達は見つからないぞ。」

「な……何を……」

そこまで言ったところで、セイバーは意識を失い、後方に倒れて行く。そのまま階段から転げ落ちそうになるが、衛宮士郎が駆け上がって来て、何とかセイバーを受け止めた。

そこまで見届けた後、私達は転移して、柳洞寺を後にした。

 

 

隠れ家に戻って来た後、私はゼロに尋ねた。

「何故、ギアスを使わなかったの?」

「ん?」

「セイバーは、真正面からあなたに向かって来た。ギアスを使う機会は、いくらでもあった筈よ。」

「ふん、俺が手を下すまでも無いだろう。」

「え?」

「セイバーは、じきに消滅する。」

「何ですって?」

「お前も見ただろう?ちょっと聖剣の力を解放しただけで、あの消耗ぶりだ。」

「そういえば……やっと立ってるって、感じだったわね。」

「おそらく、マスターからの魔力供給が絶たれている。」

「え?どうして?」

「それは分からんが……惜しいな……」

「何が?」

「今のセイバーは、実力の半分も出せてはいない……もし、奴に十分な魔力提供ができれば……」

ゼロは、しきりに考えを巡らせている。

「随分と、セイバーにご執着のようね?でも、セイバー陣営は既に、アーチャー陣営と同盟を結んでるわ。今からこっちに引き込むのは……」

「同盟など、共通の敵を倒せばそれまでだ。そんな、一時凌ぎでは意味が無い……」

「なら、どうしようって言うの?」

「……」

「まあ、いいわ……戦略は、あなたに任せているのですから……」

その夜は、ルルーシュはずっと考え込んでいて、以降何も語らなかった。

 






遂に、強大な魔力を手に入れたルルーシュ。
ギアスを含め、宝具の使用にほぼ制限が無くなりました。
逆に、魔力の提供が無く、日に日に消耗していくセイバー。
そんなセイバーを、ルルーシュはどうするつもりなのか?

ルルーシュに対して、セイバーや士郎はスザクのようなもんですね。
でも、“間違ったやり方で聖杯戦争に勝っても、意味が無いのに”とは言いませんが。
Protのセイバーなら言うかな?
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