最初は裏主人公視点。
では本編どうぞ。
一話 『たどり着く者達』
どうも。紅魔館の執事、本堂静雅です。さっきまでのオレはアリスの家に泊まり、天牌という特別な人形を作って宴会の日。
そして今のオレは……精神的に追い詰められている状態だ。現在地は博麗神社。だが、その家主の博麗霊夢なんだが──
「──ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ──」
すごく……帰りたいです。何かどこか壊れている霊夢。おかしい。いくら煽ったとしてもここまではならないと思うんだが……?
「お、おーい。霊夢? オレが来たぞー? 皆大好き本堂静雅だぞー?」
「ふふふふふふふふ──あら? 静雅。ちゃんと約束通り来たのね?」
よかった……話しかけたら正常に戻った。これならもう大丈夫──
「さて。さっさと侠をしばきに行くわよ!」
「いや待て待てっ!? 煽ったオレも原因だと思うが、目的は侠を奪還することだろ!?」
何故攫われた侠をしばく!? 普通しばくとしても攫った方だろ!?
オレはそう指摘したが、霊夢は何食わぬ顔で言う。
「そうよ? 侠を取り返した後に侠をしばくの」
「……何があったんだ?」
「…………ちょっとね。ちょ〜っと侠から聞きたいことがあるのよね〜」
侠……とりあえずオレの能力で死なないようしてやるから安らかに逝ってくれ……。
「──ここら辺か?」
「えぇ。この辺りに冥界への入り口があるはずなんだけど……紫が結界を張っているせいで出入り口が感知しづらいのよ。そこであんたの能力でこじ開ける。いいわね?」
上空へあがったころ。普段冥界の入り口がある場所に来た。これでオレの能力で開けるのか。
オレは両手を構え、こう念じる。
──結界を解除した事象──
オレが能力を発動した瞬間──何かがゆっくり崩れ落ちるような感じが広がり、そして目の前の風景に長い階段が表れる。
念のためオレは霊夢に振り返り確かめた。
「……ここが冥界への入り口か?」
「! よくやったわ静雅! じゃあさっさと向かうわよ!」
霊夢は入り口を確認すると真っ先に飛んでいった。
しっかし……まぁ……。
「侠……お前さんは一体どうするつもりだ……? 責任取らないといけないまで好感度があったとは……」
オレは呟きながら霊夢の後を追っていった……。
〜side out〜
霊夢達が結界を突破する少し前。白玉楼には西行寺幽々子と魂魄妖夢、そして今日帰還する予定の辰上侠がいる。
現在何をしているかというと──
「──こんなもので良いのかな?」
「はい。お上手です侠さん。後はお皿に盛りつけるだけですね」
「ご〜は〜ん〜っ!」
侠と妖夢は台所に立って朝食作りを。主である幽々子は今の座布団に座って待機している。
二人は作った料理を配膳しながら話を交わす。
「魂魄が教えてくれた自分が作った料理、今更だけど大丈夫?」
「私は見た限りでは間違ったことはしていませんよ。それにしても侠さん、お料理上手ですね……」
「料理はあった方が便利な技術だからね。よく自分で作ったりとか、家族に振る舞ったりしていたし。自分より魂魄の方が上手と思うけど?」
「幽々子様が多く食べれますからね……必然と料理する品目が多い分、それなりには経験を積んでいるつもりです」
お互いに仲良く話す。約一週間ほど前と比べると全然違う態度である。
その二人の光景を見てか幽々子は微笑んでいたり。
そして料理を全て運び終えた──その時。
「「──っ!」」
「? 二人ともどうしたの?」
幽々子と妖夢が何かに気づいたような反応を見せて、侠は疑問を抱いている。
把握しきれていない侠に妖夢は説明する。
「侠さん……侵入者です! 紫様の張った結界を破ってきました!」
「侵入者……?」
「はい……侠さん。今すぐ侵入者を捕らえた方が良いと思うんですけど……どうしますか?」
妖夢は簡潔に説明し、侠にどうするか尋ねる。
「う〜ん……まずはどんな人物か確かめる必要があるよね。ゆゆさん、確かめに行っても良いですか?」
「そうねぇ……妖夢と一緒に行ってきなさい。それなら良いわ」
相談されたことを答え、実行に移すために幽々子に許可を求める。そして条件付きで了承したので、改めて侠は妖夢に尋ねる。
「一緒ということで良い?」
「はい! 問題ありません! では行きましょう!」
「わかった!」
侠達はエプロンを外して靴を履き、白玉楼から出て行った。
「……ちゃんと妖夢、侠から教えてもらった教訓を生かせているじゃない。半人前から一歩前進ね」
白玉楼から出た二人は階段で待ち伏せをすることにした。侠は腕を構えて、妖夢は楼観剣を構えて待機する。
侠は妖夢に話しかける。
「侵入者って……紫さんの結界を破れるほどの実力者?」
「その可能性は大です。破れる可能性があるとしたら結界術に長けている人物か、力任せで強引に破る人物です。紫様が実力者でも結界は感知が難しいレベルといっていたので……油断は出来ません!」
警戒は解かないで答える妖夢。
そして──二人の影が侠達に向かってくる。二人から見た人物の特徴は──一人は赤いリボンをして、全体的に赤い服を着た、脇の空いた巫女服。もう一人は髪に留め具をし、全体的に黒い服を着ている男性。
その二人が侠達の目の前に降り立つ。
「──侠っ! ようやく見つけたわ!」
「──階段が長すぎるだろJK……」
博麗神社の巫女、博麗霊夢。もう一人は紅魔館の執事、本堂静雅。一見変わった二人組が冥界にやってきた。侠は二人が来る理由を思い出す。
「(そういえば静雅と霊夢が白玉楼に行くと言ってたっけ……)」
状況を整理して侠は腕を構えるのをやめて、妖夢は楼観剣を鞘に収める。侠は二人に話しかけようとしたが──
「静雅はともかく、博麗久しぶ(ドゴォ)っ……!?」
挨拶をしている途中で──霊夢から陰陽玉が投球された。無論、隣にいた妖夢は驚愕する。
「侠さんっ!? 霊夢さん、あなたは一体何をしているんですか!?」
こらえている侠に妖夢は駆け寄り、霊夢に何故こんな事をしたのか尋ねた。
当の本人というと──
「あ・ん・た・ねぇ〜っ! 人里に来たなら神社に来なさいよっ!」
拳を振るわせて怒りを表している。そして、その言葉に反応したのは二人いた。
「「(あ、私(オレ)の所為だ……)」」
妖夢と静雅は困惑してしまった。妖夢は紫の命令とはいえ博麗神社に行くと言った侠を引き留めてしまった。静雅は明日でも良いか、と見送ってしまった。
しかし、静雅は侠が人里に来たことや会ったことを伝えていない。むしろ何処でそういう情報を知ったのか静雅は不思議だった。
そして──侠の言った言い分とは。
「ごめん……明日博麗に会えると思ったから行かなかった。そうだよね……博麗に心配かけたよね……」
正直に言って謝罪した。長ったらしい言い訳はせずに。侠は俯きながら謝罪した。
霊夢は長い言い訳を予想していたのか、予想外の素直な謝罪で少し困惑した後、霊夢は侠に話しかける。
「えっ? あ、いや、その……そりゃそうよ! 侠は私が保護しているのに、紫が勝手にあんたを持って行ったから、す、少しは心配したわ! 私が用件を話している途中でまったく……」
「用件っていうと……自分が寺子屋での仕事の終わりに買い出しに行こうって話のこと?」
頭をかきながら思い出すように言う侠。それを聞いた霊夢は驚いた。
「え……ちゃんと聞いていたの?」
「抵抗しながらちゃんと聞いてたよ。一週間ほど遅れたけど、その約束は守るよ、博麗」
「…………なら罰として荷物持ちをすること! わかったわね!」
「それで許してもらえるのなら」
「…………誰もそれで許すとは言ってないけど?」
「ゑっ!?」
「ふふ、冗談よ。安心しなさい」
侠の驚いた顔を見た後の霊夢は少しはにかんでいた。自分の言っていたことを覚えていて霊夢は少し嬉しかったのだろう。
その様子を見た二人は言うと。
「(また……胸が苦しいです……何なんでしょう? この痛み……)」
「(見事に好感度をあげたな……)」
二人はそれぞれのことを思った。妖夢は寂しそうに、静雅は感心したように。
そんな二人をよそに、霊夢は侠の服の袖を掴んで誘導しようとする。
「ほら、神社に帰るわよ」
「え? ちょ、ちょっと待って博麗? 今から帰るの?」
「当たり前でしょ? そのために静雅を呼んでめんどくさい結界を開けてもらったんだし。直接人里に行って荷物持ちしてもらうわよ!」
機嫌がすっかり直った霊夢は侠を連れて行こうとする。しかし、妖夢は二人を止めるために声をかける。
「あ、あの! 待ってください!」
「? 何よ妖夢? 侠の貸出期間は今日で終わりよ?」
行動を妨害されたのか霊夢は少しドスの利いた声で返す。
妖夢は「侠さんを連れて行くのは待ってください」と声をかけたかったが、おそらくその事を決める際に弾幕ごっこになる。今の妖夢の実力では霊夢に勝てなく、侠と少しでも一緒に過ごすために出した言葉は。
「ちょ、朝食を作ったばかりなので……一緒に食べませんか?」
「食べてから人里に向かうわよ侠」
妖夢の言葉にあっさり霊夢は釣れた。それを見た静雅は一言。
「現金なやつだな……」
「そもそも侠を奪還する際に私はまだ朝食を食べてないのよ! 出してくれるのを食べて何が悪い!?」
「別に悪いとか思ってねーけどよ……あ、オレもいいか? 実はと言うとオレもまだなんだ」
「大丈夫ですよ。幽々子様は多く食べるので、多めに作っているので」
ちゃっかり静雅も朝食をもらうことに。彼はアリスの家から出ただけで朝食は何も食べていなかった。
この場にいる人を見て侠は一言。
「……何だか賑やかになりそうだねぇ……」
その言葉に誰も否定するものはいなかった……。
悪いと思ったらすぐに謝罪しましょう。例え自身が悪くなくとも、素直に謝罪。それ以降の荒事が少なくなります。
ではまた。