幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 だんだん表主人公の感情表現が豊かになる(確信)
 表主人公視点です。
 では本編どうぞ。


三話 『宴会の準備』②

 宴会の準備をしていると、石段方面から誰かがこちらに飛んでくる。その人物は降り立ち、自分に話しかけてくる。

 

「侠? 思ったより早く帰ってきたわね」

 

「あ、マーガトロイド。久しぶり」

 

 人形使いのアリス・マーガトロイドだ。昨日会ったばかりなのであまり新鮮さはない。

 

「やっぱり霊夢が取り返しに白玉楼に?」

 

「まぁ、だいたいそんなもんかなぁ? どっちみち今日の宴会で神社に帰るつもりだったけど、博麗がかなり早く迎えに来てね。静雅も一緒だったけど」

 

 マーガトロイドと他愛ない話をしているけど……彼女の傍で飛んでいるのに興味が行く。

 

「【これが僕のモデルかぁ……】」

 

 ……上海人形とは違う人形……というより自分の姿に似ている人形が浮いている。しかもまた言葉が分かるし。

 

「ねぇ、マーガトロイド。その人形は一体……?」

 

「あぁ、天牌のこと? これは静雅が作った人形なんだけど……どういうわけか、あなたに似たように作っているのよ」

 

「静雅の作った人形……もしかしてまた特有の喋り方してた?」

 

「まぁ、してるにはしてるけど。さっき『テンパーイ』って喋ったけど……まさか?」

 

「うん。『これが僕のモデルかぁ』って聞こえた」

 

 何でだろうね? 所有者でもないのに声が聞こえるのは?

 

 自分とアリスとの会話で気づいたのか、その天牌という人形は声をかけてくる。

 

「【君は僕の言葉が分かるの?】」

 

「うん、普通に分かる。上海と同じような喋り方をさっきしたんだよね?」

 

「シテタヨー」

 

「うん。やっぱり──ってあれ? 直接今聞こえたような……?」

 

 さっきは滑らかだったのに、急に片言みたいな喋り方で話しかけてきた。

 

 マーガトロイドは自分に説明するように話しかけてくる。

 

「……ちなみに今のは直接の天牌の言葉よ。上海達も実は喋れるには喋れるんだけど……余り会話が得意じゃないのよ。でも、天牌は会話が得意みたい」

 

「アラタメテテンパイダヨー。キミモアリスサンノフタンヲヘラシテヨー(改めて天牌だよー。君もアリスさんの負担を減らしてよー)」

 

 改めてお辞儀をしながら頼むように言ってくる。その中で、気になる単語が。

 

「負担? 負担って何のこと?」

 

「あぁ……天牌の言っている負担というのは──」

 

「おー! アリス! どうしたんだぜ?」

 

 自分とマーガトロイドが話していると霧雨が気づき、こちらにやってきて話しかけて来るのに対してマーガトロイドは答える。

 

「魔理沙はいつも通りだとして……私も呼ばれたのよ。宴会に」

 

「呼ばれたって誰からだ? まぁ、別に人数が多くても構わないが」

 

「……静雅よ。あいつから誘われたから仕方なく」

 

「あぁー! 奴か! で? 昨日のデートはどうだったんだ?」

 

「だからデートじゃないと──」

 

 静雅のことが出てくると、霧雨はその事でマーガトロイドを茶化し始める。静雅はそう言っていたんだろうけど、本人としては冗談のつもりなんだろう。

 

 マーガトロイドがその事について否定しようとすると──

 

「──オトコトデートヲシタコトガナイマセガキハダマッテロー(男とデートしたことが無いマセガキは黙ってろー)」

 

「……は?」

 

「……え?」

 

 天牌が毒を吐き、その言葉を受けた霧雨、呆然としているマーガトロイド。

 

 霧雨がその人形の存在に気づき、マーガトロイドに戸惑いながら聞く。

 

「な、なぁ……さっき変なことを言ったのはその人形か? 上海とは何か違う──ってこれ何だか侠にそっくりじゃないか!?」

 

「……静雅の作った人形の天牌よ。他の人形と比べると会話をするのは得意なんだけど……そんな言葉を発したのは初めて聞いたわ」

 

「あいつ何てもの作ってんだ……? そ、それより今お前の言ったことは何だ!?」

 

「ジブンガデートヲシタコトガナイカラッテカラカウノハドウカトオモウヨー(自分がデートした事がないからってからかうのはどうかと思うよー)」

 

「っ!? ば、そんなつもりで言ったつもりはないぜ!? しかも勝手に決めつけるな!?」

 

 ……何ていう毒のあるツッコミなんだ……人形に揺さぶられている人間、霧雨魔理沙。

 

 しかし人形は黙らない。

 

「ジャアキミハデートヲシタコトガアルノー? ドンナヒトトー? ドコマデノカンケイマデイッタノー?(じゃあ君はしたことがあるのー? どんな人とー? どこまでの関係までいったのー?)」

 

「…………」

 

「オンナトシテノジツリョクトシテモアリスサンノホウガズイブンウエダヨー。マズハオトコトソレナリノカンケイガアッテイウベキダヨー(女としての実力もとしてもアリスさんの方が随分上だよー。まずは男とそれなりの関係があって言うべきだよー)」

 

「っ! そ、そんなことないぜ!? お、おい! 侠! デートしろよ!」

 

 何か知らないけど巻き込まれた。顔を赤くしてまで人形相手に必死になりすぎなような……?

 

「パス。そんながむしゃらにデートするものじゃないでしょ。まずはちゃんとした相手を探すべき」

 

「おまっ!? 話ぐらい合わせてくれよ!?」

 

「キョウハボクノドウシダカラソンナハナシニノラナイヨー(侠はボクの同志だからそんな話にはのらないよー)」

 

「いつの間にお前らそんな協力関係を結んだんだ!?」

 

「……さっき?」

 

「(……確かに負担は減ったわね。まぁ……後の問題は静雅本人だけど……)」

 

 自分はとりあえず収拾を収めようとするが、霊夢がこちらに近づいてくる。

 

「宴会の準備さぼるなっ。アリスも来たらさっさと手伝う」

 

「まぁ……そのつもりだけど」

 

「ナントイウオーボー」

 

「……何? この人形……何か侠に似ているけど……」

 

 霊夢も天牌の人形が気になったみたいなので、同じ事をマーガトロイドは説明した。

 

 その説明を聞いた霊夢はと言うと。

 

「へぇ〜……アリス、その人形私がもらっても良い?」

 

「「「……えっ?」」」

 

「ボクモヨソウガイダヨー」

 

 自分たちプラスαは少し驚いた。何か意外だ。霊夢は人形を欲しがるとは思ってもなかった。

 

 それを聞いた霧雨は霊夢に問い詰める。

 

「こんな口の悪い人形欲しいか普通?」

 

「結局は上海と同じで便利なわけでしょ? だったら良いじゃない。それにだって──」

 

 そこで区切って……こう言った。

 

「──何か可愛いじゃない。この人形」

 

 …。

 

「ホメテクレテアリガトー」

 

「……まさか霊夢が人形にそう評価するなんて思ってなかったわ……」

 

「静雅もこんな人形を作れるとは思ってなかったわね。何か性別の違う人形が新鮮に感じるのよ。何でかしら?」

 

 ……。

 

「霊夢はこんな人形が好みなのか? 私は上海の方がまだ良いぜ……」

 

「えー? 私は天牌の方が好きだけど?」

 

 ………。

 

「ボクノレイムヘノコウカンドガサンアガッタヨー」

 

「(……今が天牌のふざけているときかしら……?)」

 

「アリス、この人形気に入ったからくれないかしら?」

 

 …………。

 

「……ところでさ、霊夢」

 

「ん? 何よ?」

 

「その人形のモデルが侠のワケだが……お前がその人形を褒める度に侠が気まずそうにそっぽを向いているぜ?」

 

「…………あ」

 

 霧雨の言う通り……気まずさを感じ、会話に参加せず顔をそらしている自分。

 

 それに気づいてしまった霊夢は焦りながら弁解をする。

 

「ち、違うのよ!? あくまでその人形を褒めただけであって侠自身を褒めているわけじゃないの! で、でもあれ? その人形のモデルは侠であってその人形を褒めることで侠を褒めるってことに──いいえ違うわ! 勘違いをしないでよ! あくまで侠ではなく、侠をモデルとした天牌を褒めているの! わかった!?」

 

「あ、うん。言いたいことは分かるから落ち着こうか博麗……」

 

「そ、そう……分かったのなら良いのよ分かったなら!」

 

 一応自分が了承すると、霊夢は顔をそらしながらとりあえず分かってくれた。 

 

「ツンデレイムー」

 

「は? 詰んで霊夢? 静雅と同じようなことを言っているが……」

 

 結局、天牌はマーガトロイドの元におさまることになった……。

 

 

 

 

 

 

 

 夕刻頃。自分は霊夢と共に宴会に出す料理を作っていた。霧雨とマーガトロイド達は食材や飲食関係の調達に。始めは自分がその係になろうとしたけど止められた。

 

「……博麗、どうして自分は食材調達はダメなの? 昼間は一緒に行ったけど」

 

 米をとぎながら隣で野菜を切っている霊夢に聞いてみる。

 

「……私達はもう調達したんだからいいでしょ。それと……今、二人っきりなんだから名前で呼びなさいよ……」

 

 少し顔を赤くしながらそう言ってくる。そういえばそんな制約があったね。

 

「そうだね……霊夢」

 

「……まったくよ。紫が余計なことをした所為で私の予定が狂うわ、家事がいつも通りに私だけになるわ、負担が増えたわよ……」

 

 ため息を吐き、霊夢は話を続ける。

 

「後紫が私を無自覚って言うわ……本当に意味の分からない言葉ばかり残していくのだもの……」

 

「……無自覚?」

 

「そう。侠は意味が分かる?」

 

「……それだけじゃ分からないよ。さすがに」

 

「本当にあのスキマ妖怪は何がしたいんだが……」

 

 再び霊夢がため息をついたとき──近くにスキマが現れた。そこから見慣れた人物達が出てきて挨拶をしてくる。

 

「ごきげんよう。霊夢、侠」

 

 紫さんが最初に出てきて、後からゆゆさん、魂魄、藍さん、橙が出てきた。

 

 そして霊夢はため息。

 

「……はぁ」

 

「霊夢……私を見るなりため息ってどういうことかしら?」

 

「自分のやった行動を思い返しなさい。それと今現れるな」

 

「……侠、何で霊夢はこんなに機嫌が悪いの?」

 

「自分に紫さんの愚痴を話していたからと思いますけど……」

 

「あぁ……悪かったわね霊夢。今度からは了承を取ってから侠を持って行くわ」

 

「……了承しなくても持って行くくせに……」

 

 ジト目で霊夢は紫さんを見ると紫さんはばつが悪そうに居間へと移動した。

 

 その主を見て藍さんは霊夢に謝罪する。

 

「すまなかった霊夢……紫様も悪気があってしたわけじゃないんだ。そこを分かって欲しい」

 

「傍目から見ると拉致という名の悪気に見えるんだけど……」

 

「まぁまぁ〜ちゃんと霊夢の元に侠が戻ってきたんだから良いじゃない〜」

 

 ゆっくりとした声で霊夢を宥めるゆゆさん。

 

 しかし……ゆゆさんは続けてこう言った。

 

「でも……侠は白玉楼に置きたいのよね〜。ねぇ、霊夢? 侠をもらっても良いかしら?」

 

「「……え?」」

 

 急なゆゆさんの言葉に霊夢と魂魄は困惑し始めた。自分は少し呆れながらゆゆさんに問う。

 

「ゆゆさん……その話は断ったはずですけど?」

 

「あくまで侠の意思はね。でも、侠の移住権を持っているのは霊夢なんでしょ? だったら霊夢がよかったら良いかなって──」

 

「だ、ダメに決まっているでしょ!? そもそも紫が私の神社に侠を送り込んだのよ!? だからダメよ!」

 

 ゆゆさんの話している途中で霊夢が割り込み、拒否した。拒否した霊夢に対してゆゆさんは紫さんに話しかける。

 

「紫〜白玉楼に住ませても大丈夫〜?」

 

「ん〜……それでもいいけど……ここは単純に弾幕ごっこで決めたら?」

 

「よし──妖夢、勝ってきなさい!」

 

「えぇっ!? わ、私ですか!?」

 

 紫さんから条件突き出だして、何故か言い出しっぺのゆゆさんが戦うのではなく、魂魄が驚愕する。うん。いきなり巻き込まれたらビックリするよね。

 

 霊夢は何故か御札を取り出し、妖夢に話しかける。

 

「表に出なさい妖夢! 侠は渡さないわよ!」

 

「え……えっ!? 戦わなくちゃいけないんですか──」

 

「──二人とも神社の空中で戦ってきなさーい」

 

 紫さんが二人の足下にスキマを作り──二人とも姿が見えなくなった。しばらくぼうってしていると……何やら上からいろんな音が聞こえてきた。

 

「…………」

 

「侠……二人の女の子があなたのために争っているわよ?」

 

「モテモテね〜」

 

 ……紫さんとゆゆさんは更年期障害か何かだろうか?

 

 助けを求める意味合いで自分は橙に声をかけてみる。 

 

「橙……この状況から抜け出すにはどうしたら良い?」

 

「え……頑張ってくださいとしか言いようが……」

 

 残念ながら橙は戦力にならないようだ。

 

 その状況を見てか藍さんが労るように話しかけてくる。

 

「……私が仕事を変わってやるから少し休むと良い……」

 

「……ありがとうございます。藍さ──」

 

 藍さんにお礼を言いかけていたその時──神社に風が入り込み、中にはいってくる人物が一人。

 

『どうしてだか霊夢さんと妖夢さんが弾幕ごっこをしているようですが……どうしたんですかあの二人? それに侠さんは疲れているようですが……』

 

 ……烏天狗の射命丸文。多分この人も宴会に参加しに来たのかもしれない。

 

 疑問を持っている射命丸にゆゆさんが話しかける。

 

「一人の男の子をめぐって争っているところよ」

 

「! それはそれはまたおいしいネタですね! 侠さんどうですか? 自分のために争ってくれるというのは!?」

 

「さっさと平和にならないかと思っている」

 

「じゃあどちらを支持しますか!? 博麗の巫女の霊夢さんか、半身半霊の妖夢さんか!? それとどちらが好みですか!?」

 

「…………射命丸──」

 

 自分は──心の底からこう言った。

 

 

 

 

 

「──少  し  黙  っ  て  く  れ  な  い  ?」

 

 

 

 

 

「……………………はい、すみませんでした」

 

 お願いしたら黙ってくれた。しばらく弾幕ごっこが終わるまで居間でじっとしていよう。

 

 

 

「……紫さん? 侠さんからどす黒く膨大な妖気を感じたんですか……彼って人間ですよね?」

 

「……妖力を持った人間なのよ。しかも機嫌が悪いせいかいつもより妖気がダダ漏れに……」

 

「……うん、彼は怒らせない方が良いタイプね。弄るのはほどほどの方が良いわね……」

 

 

 

 居間でしばらく休んでいると音が止み、ご機嫌な霊夢と満身創痍の魂魄が帰ってきた。結果は見て通りだろう。

 

「侠。安心なさい。幽々子達に奪われることはなくなったわ」

 

「あ、うん……ありがとう」

 

 霊夢は結果を告げると台所に戻っていく。次に魂魄がやってきたので、労るように自分は話しかけた。

 

「魂魄……お疲れ様」

 

「……いえ、大丈夫です……」

 

 一先ず霧雨達が帰ってくるまで魂魄のメンタルケアをすることにした……。

 

 

 




 主に忠誠を、それ以外は割とどうでもいい天牌人形。

 マジ切れではないが、機嫌を悪くする表主人公。

 ではまた。 
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