幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ……もう、察しはついているかもしれません。
 裏主人公視点。
 では本編どうぞ。


七話 『表主人公の【?】』

「……そういや侠は何処行った?」

 

 レミリア嬢達と遊んだ後、侠がいなくなっていたので辺りを見渡してみる。そんなオレに声をかけたのは妖夢だ。

 

「侠さんなら霊夢さんを探しに行きましたよ?」

 

「お、そうか」

 

「でも……探しに行くとしても少し時間が掛かっているような気がするんですよね……どうしてでしょうか?」

 

 言いながら悩んでいる妖夢。ならオレは霊夢を能力で探してみるか──

 

『もう! 侠はどこにいったのよ!』

 

 ──どうやら探す必要はないようだ。小さな杯を持って霊夢は戻ってきた。

 

 しかし……侠がいないな。その事に疑問に思い、霊夢に話を聞いた。

 

「霊夢……侠を見なかったか? お前さんを探しに行ったと思うんだが」

 

「見てないわよ。あんたがそういうならどこかですれ違ったのかも」

 

「じゃあちょっとオレが侠を探してみ──」

 

 そう言いかけたその時──

 

 

 

 

 

『おーおー! 皆楽しんでるかーっ! もっと飲もうぜーっ!』

 

 

 

 

 

 オレにとっては聞き慣れている声が……異様にハイテンションな男の声が聞こえた。オレが危惧していた状態のような……!?

 

 宴会にいた奴らはそっちに振り向く。オレの親友の隣に何やら角が生えて腕に鎖をしていて気さくに笑っている幼女がいるが──問題はオレの親友なんだ。

 

 何故か……片手に瓢箪を持ちながら口に運んでは何かを飲んでおり、目つきが男らしくなって、口調が砕けている。そして、頬が少し赤く染まっているオレの親友──辰上侠。

 

 オレはおそるおそる……変わってしまった親友に話しかける。

 

「侠……まさか……酒を飲んだのか!?」

 

「静雅ーっ! この酒うまいぞー! お前も飲んでみるかー!?」

 

「いや、それは良いんだ……それよりその子は何だ?」

 

 オレは隣の幼女に尋ねてみるが、その幼女は気さくに答えた。

 

「お前とは初めてだね。鬼の伊吹萃香だよ。今後ともよろしく」

 

「よろしく──じゃねぇっ! お前さんが侠に酒を飲ませたのか!?」

 

「私はただ誘っただけだよ。無理矢理飲ましてない。侠自身が望んだんだよ。少しでも酒に耐性をつけようとしたんだろうけど──これがまた実際飲んでみれば強いじゃないか! ちゃんと理性はあるし壁も感じない! これから毎日侠には酒を飲ませよう!」

 

「お願いしますオレだけじゃ対応できなくなるからやめてください」

 

「(あの静雅が素直に謝った……!?)」

 

 何故かアリスから視線を感じるが、オレはある意味飲ませてしまった侠をどうするか悩んでいた。どうすれば良い……!?

 

 オレの焦りの表情と変わってしまった侠を見てか、傍に霊夢がおそるおそる話しかけてくる。

 

「……ねぇ? あれって本当に侠なの? 全然性格が違うんだけど……?」

 

「……あぁ。侠は酒を飲むとな──眠るまで異様に人に絡むんだ。めちゃくちゃ以上に。オレの精神がすり減っていく……」

 

 そして侠の方を見てみると……小悪魔の方へふらふらとした歩き方で近づいていく。

 

 酒を飲んだことを止められなかったことを悔やんでいるのか、心配そうな声を上げて話しかける小悪魔。

 

「きょ、侠さん!? お酒をそんなに飲んで大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫に決まってんじゃんこんぐらい。こぁは心配しすぎなんだよ」

 

「こ、こぁっ!?」

 

 ……あぁ。小悪魔だから良かったものの、面倒くさい状況になってしまった。

 

 小悪魔が焦りの声を上げたのは言葉遣いが砕けた口調で呼び捨てでギャップを感じているせいかもしれない。

 

 萃香が隣にやってきて、そんな光景を見てかご機嫌そうに言う。

 

「こりゃあいいね! 全然他人行儀じゃないし人懐っこいじゃないか! どうしてこれが酒を飲んではダメなんだ?」

 

「萃香……ちょっと耳元を寄せろ」

 

「うん?」

 

 オレは小声でこんな侠になった状態での最大の欠点を伝えると。

 

「……うわぁ。相手が気の毒だ」

 

「だからそういう被害を押さえようとしてたんだよ……」

 

 そうして話し終えると傍にいた──

 

「…………ちょっと侠をしばいて元通りにしてくるわ」

 

 何やら結構いらついている霊夢が侠に近づいていった……。

 

 それを見てか、萃香は心配そうにオレに話しかけてくる。

 

「ん? 何か霊夢の様子がおかしいな……? 数週間前はあまり侠に興味がなかったと思うのに……というより放っておいて良いのかい? 侠の事をしばくみたいだけど」

 

「……おそらく今の侠なら心配ないだろ」

 

 さすが止めた方が良いんだが……異様に絡まれるのを恐れたオレは見捨て──少し傍観していることにした。

 

 

 

 

 

『こら侠! あんた酔いすぎよ! 萃香のだろう瓢箪に入っているお酒を飲むのを止めなさい! ってかそれ度数強いのよ! 普通の人間が飲むものではないわ!』

 

『やだね。俺この酒の味気に入ったし。さすがに無限に出てくるこの瓢箪をもらうのは失礼だと思っているが……この宴会については貸してくれているし。だから俺は限界まで飲む!』

 

『! いつもの侠なら私の言うことを聞いてくれるのに……どうやら本格的にしばかないといけない──』

 

『まぁまぁ──霊夢。後でちゃんと構ってやるから』

 

『うぇっ!? あ、あんた!? 今、名前で──』

 

『宴会じゃ無礼講なんだろう? だったら名前で呼んでも良いじゃないか。何か反応が初々しくて可愛い反応するよな、霊夢は』

 

『か、可愛い!? ああああんた何言っているつもり!?』

 

『霊夢を褒めている。霊夢の容姿は外界でも通じる可愛さがあるからな。そんな風に照れ隠しとかしてよ。たまんないね』

 

『う、うるさいっ!(ひゅっ)』

 

『(スカッ)おっと。だから霊夢は後でな。そうだなぁ……霊夢が【可愛い】なら、こぁは【綺麗】だな。それが当てはまる』

 

『えぇっ!? そ、そんな……お世辞でも嬉しいには嬉しいんですけど──』

 

『大人びた優しい司書とか俺には良いと思うけどな。それと世辞じゃないし』

 

『あぅあぅあぅあぅ……』

 

 

 

 

 

『……凄い性格の変わりようね、自称人間』

 

『お酒を飲むとここまで変わる方は幻想郷では珍しいですよね……』

 

『ですよね〜。静雅さんが止めようとした理由も何となくわかる気がします』

 

『というより二人を口説いているじゃない、あれ』

 

『あれって【にじゅーじんかく】って言うのかな……?』

 

 

 

 

 

「……あんな霊夢初めて見たよ」

 

「面向かって『可愛い』とか言われればそりゃ照れるわ……」

 

 酒を飲んだ侠は妙に人懐っこくなり、オレ以上に口が回るようになる。しかも性格も真逆だ。物静かであまり関わろうとしない。だが酒に酔って明るくなり積極的に人に関わろうとする。

 

 しかし……これによって勘違いする奴もいる。

 

 普段お互いに多少の関わりがあると、侠は積極的にそいつなどに関わるようになる。相手が異性なら尚更だ。自分に気が実はあったんじゃないかと勘違いする。侠は基本的に真面目な性格だったし、オレの傍にいつもいたせいか影ながら人気があった。それでその女子は無謀に酒が切れて戻った侠に告り──振られる。何故振られるかというと──

 

『ほら、妖夢行ってきなさい♪』

 

『えぇっ!? ちょ、ちょっと待ってくださいよ!? あの状態の侠さんに話しかけるのに勇気が──』

 

『紫〜!』

 

『わかったわ〜!』

 

『ゆ、紫様──』

 

 ──八雲紫がスキマで妖夢を落とし、無理矢理侠の目の前に落とした。あの二人……今の侠を使って妖夢をからかおうとしているんだろ。

 

 ……とりあえず巻き揉まれたくないオレは見捨て──見守ることにした。

 

 

 

 

 

『お? 妖夢も俺に構って欲しいのか?』

 

『い、いえ!? それよりも侠さんとりあえずお茶でも飲んで酔いを覚ましてくださ──な、名前!? 今名前で呼んでくださいましたか!?』

 

『? 変なことを聞くんだな? 別にオレ達はそんな他人みたいな関係じゃないんだし。ゆゆさんの思惑とはいえ一緒に風呂──』

 

『何を言おうとしているんですかぁっ!? そ、そのことはこの場では言うことはではないですよ!?』

 

『おっと。これは失礼』

 

『……風呂って聞こえた気がしたんだけど気のせいかしら?』

 

『そんなことを気にしてしょうがないだろ霊夢。一週間いなかった詫びに何か言うことを聞いてやるから妖夢のためにも聞かないでおいてくれ』

 

『(何でしょう……すごい気になります……)』

 

『そういや話を戻すと霊夢は【可愛い】、こぁが【綺麗】で──妖夢は【愛おしい】だな。ふだんゆゆさんに弄られている様子を見ると』

 

『──!』

 

 

 

 

 

「……何か幽々子んとこの庭師、ものすごく顔が赤くなってないかい?」

 

「……何か思い当たる節があったんじゃね?」

 

 どうやら妖夢にもフラグを立てていたらしいな。ちょっとジェラシー。

 

 二人で話をしていたとき、オレ達に誓ういてくる人影が二人。

 

「……ひどいわね、今の侠。酔いが覚めたら発狂するんじゃないかしら?」

 

「それはそれで特ダネですけどね──これは萃香さん! お久しぶりです!」

 

 アリスと──文がやってきては何故か萃香に深く頭を下げている。

 

「何で文は萃香に頭を下げているんだ?」

 

「過去に鬼は妖怪の山を仕切っていましたからね。天狗にとっては上司なんですよ」

 

「私は別に気にしてないからね。ただ天狗達がかしこまっている態度をしているだけさ」

 

「へぇー……」

 

 納得していると、文はメモ帳を取り出し書きながら呟く。

 

「『幻想郷の新たなる異変解決者、辰上侠。お酒を飲むと女たらしに変貌! いろんな女性に口説き回る!』が今回の見出しですかね!」

 

「……文。もしそれを新聞にしてばらまいたらその手足は明日から無いと思った方が良いぞ」

 

「……はい?」

 

「いいかっ! 絶対だ! これ以上侠の酒癖を広めようとするな! 侠のためで有りオレのためだ! 代わりにオレがまだ喋っていないプライベート情報と外界の情報をやる!」

 

「あややや……静雅さんがそうムキになるのも珍しいですが……わかりました。後日、そういうことで」

 

 何とか文を引き留めることに成功した。これでおそらくオレの知らない侠の知り合いに伝わることはないだろう。

 

 ……侠のイメージを崩させるわけにはいかない。侠にはもっと知り合いとは親密になって欲しいからな。

 

 疲れたオレを見てか、アリスは話しかけてくる。

 

「……自分の情報の代わりに侠をそんなに庇うなんて……そこまですることかしら? あくまでお酒を飲んだ侠の自己責任なのに」

 

「……どっちみちアフターケアはオレがするからなぁ……」

 

 そして、また侠達の方へと振り返ってみると──

 

 

 

 

 

『妖夢はちゃんと自分の意見をゆゆさんに伝えること。これが大事だからな。さてとと、霊夢……』

 

『な、何よ……?』

 

『……急に眠くなって──(ふらぁ)』

 

『……え?(どさっ)』

 

 

 

 

 

「……なぁ、静雅? 侠、霊夢を押し倒したぞ? 霊夢は珍しくパニックになって応対に困っているし……」

 

 萃香からそう声をかけられる。いや、あれは……。

 

「違うな……あれはようやく眠ったみたいだ」

 

「……は?」

 

「「えっ」」

 

 萃香ももちろんだが、アリスと文も驚きの声を上げた。

 

 オレはすぐさま侠達の元へ駆け寄り、状況を確認。不可抗力で押し倒した侠は小悪魔と妖夢によって体の状態を座らせている状態になっている。本人はすーすー寝ているが。

 

 一先ず確認という事で赤面している霊夢に話しかけるオレ。

 

「おーい。とりあえず大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫じゃないわよ!? 押し倒してきたと思ったら寝始めたのに何なの侠は!? これもう起きたら絶対しばくっ! それにさっき──」

 

「……言っちゃ何だがリアルに二日間は眠り続けるぞ?」

 

 恥ずかしさを感じて怒っている霊夢だったが、オレの言葉を聞くと疑問を含めた声で聞いてくる。

 

「……それってこのことを隠す方便じゃないの?」

 

「リアルに二日間眠るぞ。侠は変な体質だからな。それと霊夢もそうだが……小悪魔と妖夢。酒を飲んだ侠の言った言葉を真に受けない方が良い。侠は酒を飲んだ一時間前までの記憶をなくすからな」

 

「「えっ!?」

 

「……本当に?」

 

「親友のオレが今まで分析したことだから間違いは無い。問い詰めようとか深く聞いてみようとかは意味が無いからな。覚えておくと良い」

 

 ──そう。勘違いした女が侠に振られる理由。侠が記憶をなくすからだ。何度問い詰めても本当に思い出すことが出来ない。時間にもよるが、会ったことすら忘れることがある。何度それで女は被害を受けたか……。

 

 その様子を見てか、八雲藍と橙がやってきて霊夢に話しかける。

 

「……どうやら侠は眠っているみたいだな。布団は私が敷いておこう。橙は侠を背負ってきてくれ。それでいいな? 霊夢?」

 

「…………はぁ。さっさとしてきなさいよ…………」

 

 ……投げやり気味で霊夢は了承した。それを確認した八雲藍は神社に上がり、橙は侠を背負っていった。

 

 歩きで八雲紫がこちらにやってきて一言。

 

「……難儀な酒癖ねぇ?」

 

「どうにかならないかとオレも思っている」

 

 そう言ったその時──オレの能力で眠らせていた魔理沙が目を覚ました。

 

「──う〜ん……あれ? 私いつの間に眠ってたんだぜ?」

 

「気がついたらお前さん眠っていたぞ? 夜更かしのせいじゃないか?」

 

「そっかなぁ……そこまで研究したりしてないんだが……それより今はどんな状況なんだ? 侠はいないらしいが……?」

 

 オレはかいつまんで侠は誤って酒を飲んでしまったことを伝え、特殊な酒癖を説明して釘を刺すように言っておいた。

 

 しかし……オレの説明を聞いて魔理沙は一言。

 

 

 

 

 

「お前の能力で酔わせないようにすることは出来なかったのか?」

 

 

 

 

 

 …………盲点だった。これからはそうしよう。

 

 一先ず侠はいない状況だが、オレ達は宴会を楽しむことにした……。

 

 

 

 

 

 

『…………胸、触られた…………』

 

 

 

 




 お酒を飲んだ結果がこれだよ! 察しの通りだったのかもしれませんけど!

 具体的な宴会の話は終了。次回は文字数が少ない分、投稿を一つ多めに考えています。むしろ次話でこの章は終わりです。

 ではまた。
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