三人称視点。
では本編どうぞ。
『幽々子様! 見つけました!』
『あら〜……本当に侠にそっくりね』
『……何という妖力。紫様の仰っていたことは本当かも知れない……』
『侠さんとは全然違う感じがします……』
スキマ越しで侠の真実を聞いて、竹林に到着した妖夢と幽々子。藍と橙。静雅達と合流した。
初代龍神──ティアーは妖夢達に話しかける。
「増援が到着か。我が一人なのに対して多数で攻めるつもりかの?(しかし……何故頬が少し傷むのかの?)」
「……侠さんの姿をしているうえに、この幻想郷を創ったといわれる龍神を甘く見ません! 個人では及ばないかもしれませんが……侠さんのために、あなたを斬る!」
「……我を斬る、の……別に斬っても構わんが──」
溜息交じりで言葉を句切り、ティアーはこう告げた。
「致命傷になり得る攻撃、もしくは我が死ねば──
「──!? ……いえ、ハッタリですね。あなたは侠さんではない! 侠さんの姿をしているだけです! そんなハッタリが通用するなど──」
「よせっ!」
妖夢は急なことで動揺したが、気にしないそぶりを見せて二本の剣を取り出し斬りつけようとしたが……静雅が手で制して止めるように促した。
無論、彼女は何故親友である彼が止める理由がわからなかった。その事に問い詰めるように聞き出す妖夢。
「なっ!? 静雅さん、どうして止めるんですか!?」
「おそらくあいつが言っていることは本当だ! 侠は一度──いや、目の前にいる存在のおかげで生きていられるんだ! 多分侠の体と龍神の体はリンクしている! どちらかが傷つけば両方傷つくんだ!」
「そんな……っ!?」
「……不思議ではないわね。仮にも龍神と仮定して、その場しのぎの嘘はつかないでしょうからね」
「……我は龍神と言っておるのに……白玉楼の主は……」
静雅の言葉に妖夢は動揺し、幽々子の言葉にティアーは呆れているような声を出す。
しかし、その事に疑問を持った慧音は妹紅に話しかける。
「なぁ、妹紅? あの龍神と戦ったんだろう? 傷つけていないのか?」
「いや……相性が悪いせいかダメージは与えられなかったよ……空気を冷やしたり、水で防がれたりしたから」
少し悔しそうに言う妹紅。おそらくティアーの言っていることは本当だろう。
「藍様……一体どうしたら良いんですか!?」
「くっ……紅魔館の方ではどうにかならないのか?」
橙の問いかけに悔しそうな返事をしながら藍はレミリア達へと視線を移す。ダメージを与えると侠にまで連鎖するという事から、頭の回転が速い藍でもすぐには答えが出なかった。
「私の能力は自称人間もどきには効かない。咲夜はどう?」
「……実は能力で機会を伺っていたのですが……時を止めているとき明らかに顔を私の方へ向けていたんです。能力の発動タイミングがまるでわかっているように……。静雅は?」
「……使ったところで根本的な解決にならない。そもそも何かを待っているような──」
そこに──スキマが現れ、紫、霊夢、魔理沙、そして──侠が出現。それを見たティアーは言葉をかける。
「八雲紫と博麗霊夢に──普通の魔法使い、霧雨魔理沙。そして……侠。待っておったぞ。お
魔理沙はこの場で初代龍神を見たが……思ったことをそのまま口に出していた。
「……こいつ本当は侠の兄か弟じゃないのか?」
「はっはっは。魔理沙よ。我は分類的は祖先だの」
気さくに笑っているティアーをおいて、侠は先に静雅に話しかける。
「静雅……どうして君がこういうことを知っていたの? 自分は辰上の人間とか、目の前にいる龍神の子孫とかいろいろ」
「……すまない。まだ言えないんだ……」
「…………何時か絶対話してくれる?」
「それは絶対約束する。その時が来たら全部話す」
「…………信じるよ。親友の言葉。この場では聞かないことにしてあげる」
「……ありがとよ」
話を終えた後、侠は初代龍神──ティアーに話しかける。
「……何でご先祖様が自分の中にいたんですか?」
「それを説明するのは簡単で少し長い話しだがの。しかしその前に我は──」
ティアーは一度言葉を句切り、こう言った。
「──
「……体?」
「…………どういうことか説明してもらえるかしら、龍神様?」
侠の疑問に声に、真意を確かめる紫。
「今の我は何とか実体を保っている亡霊にすぎぬ。我もこうして表にでられるようになれたのだ。そのためには体が必要での。別に主の精神を殺そうというわけではない。主人格が我になるのだ」
「……つまり自称人間もどきが勝ったら主に体を使うのがお前になるってワケね」
レミリアの要約に妖夢は怒気を含めて初代龍神に言葉を投げかける。
「何で侠さんの体を狙うんですか!? 幽々子様ならともかく、亡霊というなら成仏をしたら良いじゃないですか!」
「お
妖夢の言葉に理由を付けて言葉を返すティアー。妖夢が悔しそうな表情をするが、藍が疑問に思ったことを尋ねる。
「それならばお互いに傷つくと弾幕ごっこが成立しないじゃないか。どうやってやるんだ?」
「それは簡単だの。我が一時的に主の体に戻って精神世界でやるのだ」
「それって……心で戦うと言うことですか!?」
「うむ。そういうことだの。それならここの環境に影響を及ばさない、一方的にどちらかがダメージを受けても同じダメージを受けないのだ」
橙の言葉に同意すると、慧音と妹紅が順番に話しかけてくる。
「……その間侠の体はどうなるんだ?」
「ちょっとばかりか、戦闘次第にもよるのだが……意識を失う状態になるの」
「……二つの精神が争っているのそうなるのか?」
「うむ。で? 主はどうする? 我の決闘を受けるか?」
「……受けなかったらどっちみち自分の体が奪われることになりますよねそれ? もう受けないという選択肢はありません。決闘を受けます」
侠の言葉を聞いて満足したようだが、まだ言葉を続けるティアー。
「そこで我は主の救済事項として、ある一つのことの許可をする」
「許可……それは何かしら?」
幽々子の問いにティアーはこう答えた。
「……共に戦う者を一人だけ許可しよう。言ってはなんだがの、精神世界の中では若干我が有利に運ぶのだ。それはさすがにフェアじゃないからの」
「……龍神はたいした自信を持っているんだな?」
「そうではないと我は幻想郷を創らないわい」
魔理沙の挑発じみた言葉に笑って言葉を返す。そして、侠は答えようとする。
「だったら静雅で──」
「それはダメだの。ここは幻想郷。外界の親友ではなく幻想郷住民から選ぶのだ」
「えぇー……」
「悪い、侠……オレは力になれないみたいだ……」
侠は改めて静雅を除くこの場にいる人物を確認する。
霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア、妖夢、幽々子、橙、藍、紫、慧音、妹紅の十一人。少なくともここの中から選ぶことになる。侠は一度全員の顔色を伺い、そして決めた。
侠はその人物の前に歩いて行ってこう言う。
「……悪いけど、協力してくれる──博麗?」
「私? ……良いわ。協力してあげる」
「ふむ……霊夢を選んだか。では手を繋げ」
侠の選択肢を見てティアーは次の行動へ促そうとするが、霊夢はその方法に少し戸惑うように言う。
「え……手を?」
「その方が体をリンクさせるのにちょうど良いのだ。ほれ、早くせい」
「博麗、言う通りにしよう。そしてさっさとご先祖様に勝つ!」
「……仕方ないわね……」
少し恥ずかしげに霊夢は侠の手と繋ぐ。だが一瞬──
「(……? あれ……何か今体が凄く軽くなったような……?)」
霊夢は何かの違和感を感じていたが、今度はティアーは侠の頭に触る。
「では……始めるぞ!」
ティアーが侠の体に戻った瞬間──侠と霊夢は倒れ、意識を失った……。
次話は戦いの前に一部の真実を。
ではまた。