最初は表主人公視点。
では本編どうぞ。
寺子屋の前に着いて、中に入ると……久しぶりに他の寺子屋の生徒達がこちらを見た。慧音さんももちろんいる。
……だけど──
『よっ。侠。元気そうで何よりだ』
「あ、侠だっ!」
──どうして静雅とフランドールがいるんだろう? その事に疑問に思って静雅に話しかける。
「静雅……? 確かに自分の代理に先生をやっていたのは聞いていたけど……どうしてまだいるの? そして何故フランドールも?」
「そういや侠にまだ教えていなかったな。フラン嬢は寺子屋の生徒になっているんだ」
「ゑ? そうなの?」
「そうだよー! 慧音先生が勉強して良いって言ってくれたの!」
フランドールが寺子屋の生徒になっていたんだ。それは初耳だ。
少し驚いている中、静雅は言葉を繋げて自分にこう言った。
「授業が終わったら迎えに行く予定だから、フラン嬢の事をよろしく頼む」
「……静雅は勉強しないの?」
「すると思うか?」
「思わない」
「そういうことだ。じゃあな」
そう告げると静雅は能力を使ってこの場から消えた。やれば勉強は出来るのに、やっぱりしたくないんだね。
……一応、授業は始まったのだが、慧音さんにより急遽【初代龍神】についての授業をやることになった。
まぁ……その時の授業はご先祖様に代わってやってもらったけど。当の本人は自分の体を借りてノリノリに龍神について説明していた……。
〜side out〜
場所は変わって紅魔館。図書館でパチュリーはレミリアに先日あったことを聞いた。無論、パチュリーの傍には小悪魔、レミリアの傍には咲夜はいる。
レミリアからの大雑把な説明を聞いて、パチュリーはある意味感心したように言う。
「──ふーん。彼は幻想郷を創ったと言われる龍神の先祖返りだったのね……。おそらく龍は関係あると思っていたけど……龍神はさすがに予想外だわ。それに初代龍神って……?」
「それで初代龍神の思念が自称人間に取り憑いているのよ? ある意味もう人間じゃないわね」
親友通しで会話をしている中、小悪魔は咲夜に話しかける。
「でも、侠さんは無事だったんですよね? 霊夢さんの協力して体を守って。本当に良かったです……」
「本当なら静雅が協力するはずだったんだけど……その初代龍神が幻想郷住民じゃないとダメって言ってて、それで霊夢を選んだのよね。まぁ、侠の居候先が博麗神社ですし、頼みやすかったのかもね。(……でも……今更だけど初代龍神は本当に侠の体を奪おうと思っていたのかしら……? やけに侠に肯定的なのよね……)」
初代龍神騒動について話していると、レミリアが何か思い出したように、ある話題を切り出し始めた。
「そういえば……フランが寺子屋に行っている間──静雅はどこで何をしているのかしら?」
レミリアがそう発言したとき……場に沈黙が訪れた。レミリア以外、咲夜、パチュリー、小悪魔の各々はそれぞれのことを考え始める。
「(そういえば静雅は妹様を送った後、どこにいるか知りませんね……)」
「(だからといって特に図書館にいる事が多いけれど……今はいないし)」
「(まだ静雅さんが妹様を送り出してから見ていないような……?)」
レミリアは侠が寺子屋にいることを知っている。自称人間という特有の呼び方をしているレミリアだが、常識人として侠を評価している。その侠が寺子屋でフランを監督しているので、安心してフランを任せられると思っているのだ。
だが……侠が白玉楼にいる時はフランの監督兼教師は彼女の従者である本堂静雅だった。常にフランドールの傍にいた。しかし今は教師ではない静雅。従者といえど『勉強なぞやりたくない!』と過去に言っていたことがあったのでおそらく寺子屋にいない。
フランの監督は侠がしているとして──静雅は今どこで何をしている?
「……咲夜。時間のある時でいいから静雅に問い詰めるか、探してきなさい」
「畏まりました」
一先ず、それぞれの行動をとり始めた……。
時間ができたので、咲夜は紅魔館の中を探してみる。だが彼の自室にいない、そしてたまに来るキッチンもいない。だからと言って図書館に戻ってもいない。
「(……外でぶらついているのかしら? そうだとしても一体何処に……?)」
咲夜はとりあえず紅魔館の外に出る。そしてちょうど居眠りをしていた門番の美鈴の頭にナイフを投擲。
「──痛っ!? 一体何が──」
「…………」
美鈴は頭にナイフが刺さったまま、原因を探ろうとしたが──察した。無言の圧力で……笑顔で美鈴を見る咲夜。
そしてすぐさま──美鈴は行動に移した。
「す──すいませんでしたぁっ!」
「……いつもどうして門番で寝れるのかしらね……? 夜ならわかるのだけど……?」
そんなことを言いつつ、咲夜はもう一本ナイフを構える。それを見た美鈴は涙目で謝罪。
「本当にごめんなさい咲夜さん! たまに静雅さんが寝ないように雑談してくれるんですが……どうも『修行に行ってくる』と言って以来話をしていなくて……」
「! 美鈴、静雅がどこにいるか知っている!?」
少々気になる点があったが、まさかの美鈴の発言で静雅の情報が出てきた。無論咲夜は問いかけ、美鈴は答える。
「ほぇ? 静雅さんですか? 多分今頃霧の湖近くにいると思いますが……」
「そう。お仕置きはこれぐらいにしてあげる。ちょっと静雅の確認をしてくるわ」
そう美鈴に言うと咲夜は湖に向かって行った……。
霧の湖付近。咲夜は着き、辺りを見渡してみる。
「……美鈴の言う通りならこの近くなんだけど――」
『──はぁっ! ふっ!』
近くで男の掛け声が聞こえてくる。聞き覚えのあるような声なので、美鈴の情報は確かだったようだ。
咲夜はその音源の近くに向かう。しばらく歩くと視界には湖が写し出される。
その近くで──静雅が槍を持って素振りをしていた。いつもの格好とは違い、黒いTシャツ一枚に、黒いズボン。額に汗を流しながら、ステップを加えながら槍をふるう。それはまるで舞いのよう。
『……ふぅ。暑い暑い。ここはいい自主練スポットだな。水も近くにあるし、休憩が簡単にできるな』
そう静雅は呟くと槍を木に立て掛け、湖に顔を近づけて顔を洗い始めた。ここの湖は比較的に綺麗なので、顔を洗ったり多少飲んでも大丈夫だ。
顔を洗い終えて、槍を手に持つと構え始める。
『さて……侠がどんどん強くなるんだ。侠が自主練をしない間に、オレも肉体的に強くならないとな……』
静雅は槍を振るうのを再開した。時折拳を突きだしたり、足で空に蹴りを加え、槍で突く動作をする。
それを見た咲夜は……格好いいと思った。普段ふざけている静雅。能力は反則的。本来なら能力に頼って戦えばいい。
しかし、咲夜は静雅のある信念を思い出す。
──親友の侠に対しては、対等な条件で勝利する──
侠と静雅の戦いは能力禁止という特殊ルールがある。静雅の言い分だと負け越しているらしい。単純な実力だと侠の方が上。しかし静雅自身が不利だとしても能力を使わない信念を持っている。
普段は汗水を流しているのを見せない静雅。しかし信念のために、侠に勝つために汗を流して勝利をつかみ取ろうとしている。
──彼は、見えないところで努力をする努力家なのだ。
「(……静雅。今度は勝ちなさい……)」
咲夜は能力を使い、静雅に話しかけないでその場から去った……。
「──咲夜。静雅はどこにいたの?」
「……申し訳ありませんお嬢様。私からは話すことができません」
「…………え? な、何で?」
「……フフッ。彼の違った一面が見れました……」
「──うー☆ その言い方気になるじゃないのー!」
ガチで静雅は咲夜が見ていたことを知りません。
ではまた。