幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 サブタイ通り。
 表主人公視点。
 では本編どうぞ。


四話 『具体的な目的』

「ご先祖様……あんなことを言う必要あったんですか? ただの挨拶をすれば良かったかも知れませんのに……」

 

 天気が曇りの割合が多くなっている中、貢ぎ物でパンパンに膨らんだ鞄を背負って博麗神社までの道中を歩いていたとき,そんなことを聞いてみる。

 

 問いかけてみると、ご先祖様は肯定。

 

『「必要あったのだ。本堂の者や一部は特別として、神力とは基本信仰の多さで力が強くなるのだ。現状の神力でも構わぬが……多い方が良いからの」

 

 ……何でそこで静雅が出てくるんだろう? その事について聞きたかったけど、今は優先すべき事を考える。

 

「ご先祖様の必要な【力】というのは後どのような属性が必要なんですか?」

 

『「最低限の後必要な【力】は【風】、【雷】、【土】だの。これらの属性を一つだけ持っている人物から手に入れないといけないのだ。三つの力を手に入れることで、それ以外の能力を手に入れることが可能になる。まぁ、(あるじ)の能力で似ている能力を発展させて能力を変えるのも一種の策だの」』

 

「……それって戦わないといけないんですよね?」

 

『「実はというと、まだ別の方法が──」』

 

 そう言いかけたその時……空から水のような──というより雨が降ってきた。徐々に勢いを増していく。

 

「うわ……傘を持ってきてない……」

 

『「そういうときこそ、【氷水を操る程度の能力】で氷の傘を作ると良い。もしくは【火炎を操る程度の能力】で雨を蒸発させながら歩くとかの」』

 

「現実味を考えてみれば傘を作る方が良いですね……」

 

 自分は氷の傘を作り出して雨を避けながら翼を出して飛翔し、博麗神社へと向かった……。

 

 

 

 

 

 少年移動中……

 

 

 

 

 

『……随分能力を有効活用しているみたいね、侠』

 

 神社に帰ってくると、中から眺めていた霊夢がそう言った。自分は氷の傘を溶かして、少し体が濡れてしまったところを火炎の能力を応用し、暖めて蒸発させる。

 

 ……生活に凄く便利だ。これ。

 

 そうだ……渡さなきゃいけない物がたくさんあるんだ。そう思い自分はまずお金の入った封筒を霊夢に手渡す。

 

「はい、霊夢。一応これお給料」

 

「……え? お金? これ全部?」

 

「特に持っていてもしょうがないからね。生活費に充てちゃって」

 

 自分は全額渡したけど……何故か霊夢はいくらか取り出して自分に持たせた。

 

「……さすがにこれは全部は受け取れないわよ。半分で良いわ。それだけでも足りるから」

 

「……そう? なら──」

 

 お金に執着しない霊夢に疑問を覚えたけど、鞄からある物を色々取り出す。

 

「団子にお茶っ葉に、急須に湯飲み、干物や野菜──」

 

「ちょっ!? 何で鞄からそんなに出てくるのよ!? まさか普通に買ってたの!?」

 

「ちょっとね。ご先祖様の事は人里中に広がっていったときに、貢ぎ物としてもらった物だよ。【龍神】っていう肩書きは凄くてね。博麗神社に住んでいるということでのお賽銭の代わりのようなものかな? 信仰が集まった結果だと思うよ」

 

「……じゃあもしかして、初代龍神ティアーの先祖返りである侠は、ある意味博麗神社の神様になっているようなものなの?」

 

「多分そうじゃない?」

 

「……私が生きてきた中でこんなに信仰が集まったことがないわよ……? 早苗みたく信仰活動とかしていないのに……」

 

 次々と卓袱台の上に貢ぎ物を置いていくと、その中の一つのもを手にとってそんなことを呟く霊夢。

 

 ……仮にも神社の巫女としてそれはどうなのだろうか?

 

『「ふむ。早苗という外界の者で思い出した。主。また少し体を借りるぞい」』

 

 ……? わかりました……。

 

 自分はご先祖様と意識を交換して、姿が変わったのを確認してご先祖様は霊夢に話しかけ始める。

 

「霊夢よ。我の我が儘を聞いてくれぬか?」

 

「その喋り方……ティアーね。何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しばかりか──主と遠出しなければならない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ゑ? それ自分も初耳なんだけど……?

 

 当然、霊夢も疑問がわく。

 

「…………は? それってどういうことよ?」

 

「最低限の我の力を取り戻すための遠出なのだ。取り戻し終えたら帰還する。それでも一週間の一度は博麗神社に戻るがの」

 

「何なのよそれ……? 急に何でそんなことを言い始めるのよ……!?」

 

 霊夢からの焦燥の声。だけど、ご先祖様は淡々と答える。

 

「実際、我の力は衰えていての。最低限の力を我のため、主のために手に入れる必要があるのだ。急な発言で困らせておるのは承知しておる。だがの……これは大事なことなのだ。我のおかげで主は生きていられるのだが……その力は薄まってきている。急ぎということではないのだが、主を【人間として】生きながらえる時間が少ないのだ。主は人間で生まれ、偶然により先祖返りとして生まれた。そこまでなら良かったのだが……本家の実験のせいで寿命が大幅に減らされての。何せ心臓に負担が掛かる実験だったのだ。それ相応の力を得たら相応のリスクが生じる。そういうものなのだ」

 

 ……人間としての寿命が少ない? 本来ならあと何年生きられるんですか?

 

 心の自分の疑問にご先祖様はこう答える。

 

「今、主が後何年生きていられるのかと問いかけてきたが……普通の人間は最長で120歳は生きることが出来る。今は氷水の力と、火炎の力のおかげで寿命は延びたが……無かったら二十歳ほどで死んでおった」

 

「侠の寿命が凄く短い……!? 阿求より少ないじゃない!?」

 

「だが安心せい。今は三十年ほど寿命が延びておる。一つの力の平均で十五年ほど伸びたのだ。だが……それでも寿命が短い。最終手段として主を【竜人】にするという手段があるのだが……我としては【人間として】主には過ごしてもらいたい。これは我も関わっているが……主のためなのだ。我は主を死なせたくない。わかってくれ」

 

「……そんなこと聞かされたら……ダメって言えないじゃない……!」

 

「卑怯なのは承知のうえ。だが、許して欲しい。お主も主──侠の事を考えてくれるのならば」

 

 ……本当に卑怯な人だ、ご先祖様は。自分のことを考えてくれるのはありがたいけど、重い話を聞いてしまった霊夢。

 

 少しの沈黙の後……霊夢は答えた。

 

「……紫みたく何も言われないでいなくなるよりはマシね。ちゃんと一週間事に帰ってくること。わかった?」

 

「済まぬな霊夢。ようやく主が戻ってきたばかりで落ち着いてきたというのに」

 

「侠のためでしょ? なら仕方ないわ」

 

「……では、体を主に返す」

 

 ご先祖様がそう言った瞬間──意識が戻り、自分の意思で体を動かせることを確認し、姿も確認。うん……大丈夫。

 

 自分は霊夢にさっきのことで話を続ける。

 

「……さっきの話は自分も初耳だったけど、ゴメンね。また出かけなくちゃいけない」

 

「私は別に侠の生活を束縛したりしないわよ。ただ、勝手にどこかに行くのが嫌なだけ──そういえば【力】を手に入れるためにまずは何処に行くの?」

 

 確かにそうだ。後必要な【力】は【風】と【雷】と【土】。最初は何処に行くのか目星が付いているのですか?

 

『「うむ。妖怪の山の山頂にある守矢神社に向かうのだ。他にもあてはあるのだが……主にとってそこが一番良いのだ」』

 

「守矢神社だって霊夢」

 

 ご先祖様に聞いたらそう答えたので、伝えてみると……顔の表情が険しく変化した。

 

「……何で守矢神社? 意識はしていないけど商売敵よ?」

 

「ご先祖様曰く、そこが一番良いんだって」

 

「(……嫌な予感がするのは気のせいかしら……?)」

 

 霊夢の質問に答えながら外を見てみると、すっかり雨は止んでいた。

 

 ……雨も止んだし、そろそろ言われた場所に行った方が良いかな? それにしばらく霊夢に迷惑を掛けっぱなしだったし──

 

「霊夢。実はちょっと行きたいところがあるんだけど──」

 

 

 

 




 さすがにね、心臓に負担が掛かりすぎている分、リスクがあるんですよ。これでなかったら本当に奇跡。

 フラグ回の前にもう一話。

 ではまた。
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