幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 神様達の回。
 最初は表主人公視点。
 では本編どうぞ。


二話 『妖怪の山の麓【表の場合】』

 少し歩いていたところに……ポツンと一軒家が建っているのを見つけた。やっぱり誰かが住んでいるんだろうか……。

 

 自分を通してご先祖様は見て教えてくれる。

 

『「……気配から感じ取ってみると、秋を司る神の姉妹だの。姉で紅葉(こうよう)を司るのが姉の秋静葉で、妹が豊穣を司るのが秋穣子。今の時期は二人にとってつまらない季節だからのぉ……適当に話をしているかもな」』

 

 ご先祖様は一定範囲内なら幻想郷住民の情報が分かるらしい。見えなくても一定範囲でも可能。それで秋の神様達がいるんですか……。

 

『「さて、突撃訪問をするかの。ほれ、レッツゴー!」』

 

 ……それにしても初代龍神というのにこの軽さ。自分が主に動くのにそれでも楽しそうにしている。

 

 ご先祖様の言う通りに行動して、家に近づき、ドアにノックをしてみる。

 

「すいませーん。少しよろしいですかー?」

 

『? お姉ちゃん、秋でもないのにお客さんが来たよ?』

 

『きっともしかするとあれよ! 今の内に私に信仰してくれる人が来たのよ!  今年の紅葉を素晴らしくするために! やっぱり紅葉って素晴らしいわね!』

 

『それは違うよ! きっと秋の収穫祭でお芋の味を良くするために私に信仰しに来てくれた人だよ!』

 

『いや、私よ!』

 

『私だよ!』

 

「…………」

 

 おかしい。ただ尋ねただけなのに口喧嘩をし始めた。

 

 その声を聞いてか、ご先祖様は解説をしてくれる。

 

『「……この二人はどちらがより秋っぽいか議論することがあるらしいの。それで基本的に信仰を受けるのは秋のために、秋以外に来た主を信仰に来た者だと勘違いしておるのだろうな。よし、主、体を貸してくれ。少しばかりか説教をする」』

 

 まぁ、別に構いませんが……。

 

 体を貸すと、ご先祖様は扉を開ける。そこにはお互いを睨みつけている少女みたいな神様と思われる二人。お互いの服は似たようなオレンジ色系統だけど、髪飾りで判断すると、何も帽子を被っていなく紅葉の髪飾りをしているのが姉で、帽子を被っていて葡萄の髪飾りみたいのを帽子に付けているのが妹だろう。

 

 ……正直神様っぽくない。

 

 自分──というよりご先祖様が入ってきたのを見て、その二人はこちらに振り返って詰め寄ってくる。

 

「こんな季節なのに信仰ありがとう! お姉ちゃんより豊穣の私の方が──あれ?」

 

「何言っているの! 紅葉の方が良いに決まって──ん? 何……? この違和感……? あなたって人間なの……?」

 

「違和感が感じることは結構。お主達はどうでもいいことで争いすぎだの。同じ秋の風物詩だからいいではないか」

 

「……何か年配みたいな言い方だけど……全然見た目若いのに?」

 

「それにその服装って外界の……?」

 

 ご先祖様の言葉に戸惑っている姉妹。呆れたような声を出してご先祖様は答える。

 

「察しが悪いの、お主ら。そんなどうでもいい争いをするから信仰が少ないのだ」

 

「初対面の人なのに言われようがひどい!?」

 

「待って穣子。この人から私たち以上の信仰を感じる……! もしかして何かの神様!?」

 

「姉は察しがいいの。満点までは遠いが。体は借り物だが……我はティアー・ドラゴニル・アウセレーゼ。ここまで言えば分かるの?」

 

「「──えぇえええっ!?」」

 

 ご先祖様が名前を言い出した時、二人の神様はものすごい驚いていた。

 

 ……やっぱり、ご先祖様の名前をわかる人がいるんですか?

 

『「人妖は知らないのはいても、神は我のこと知っていて同然。何せ最高神なのだからな。この幻想郷を創りだした我だぞ? 知らない方が恥だの」』

 

 その最高神が自分の心に住み着いているって一体……?

 

 当然目の前にいる最高神と名乗る人物に動揺して、姉妹はそれぞれの反応を返した。

 

「どどどどうしようお姉ちゃん!? 龍神様がににに人間の体を媒体にして家にききき来ちゃったよ!?」

 

「おおお落ち着きなさい! べべべ別に私達は何もやましいことをしていないからだだだ大丈夫よ!」

 

「落ち着け、お主ら。さもなければこの家を吹き飛ばすぞ?」

 

「「やめてくださいお願いします龍神様っ!」」

 

 脅迫じゃないですかそれ……。この二人の神様としての貫録は見えないようで、姉妹そろって謝りながら土下座した。

 

 ため息をつきながらご先祖様は話を続ける。

 

「これ、神がそんな簡単に土下座するものでない。もう少し貫録を持たんか」

 

「で、でも、龍神様と私達を比べたら天地の差ですし……」

 

「ど、どうして……龍神様が下界にいられるのですか? それは禁止事項であるはずですが……」

 

「何、いろいろと事情があるのだ。【今】の龍神は寿命から考えれば三代目か四代目なのだ。我は確かに龍神ではあるが、【今】を統治するする龍神ではない。この先も何回も説明すると思うがの……我は初代龍神の霊的なものだ。今体を借りているのは我の先祖返りの子孫での。名は辰上侠。覚えておくとよい」

 

「龍神様って永遠の命じゃないんですか!? 龍界から幻想郷の事を見守っているとばっかり……!?」

 

「全然知りませんよそんな事!?」

 

「機密事項だからの」

 

 ちょっ!? 機密事項だったんですか!? 人里の人に喋ってましたよね!? いいんですか広げちゃって!?

 

『「構わぬ。我が幻想郷に現れた時点で動き出す人物もいるからの」』

 

 でしょうね……。

 

 姉妹が戸惑っている中、ご先祖様は話を戻し始める。

 

「話を戻すがの……お主らの紅葉と豊穣は楽しみにしている人物はたくさんおる。だが、その二人が優劣を争ってどうするのだ? 葉が紅葉になることで果実が実り秋を広める。お主らは二人で役割分担をして、一つの事をしているにすぎぬ。それはお互いの優劣は関係ないのだ。紅葉になることで実る。実ることで紅葉に染まる。それだけの事なのだ。お主らが争いをやめ、協力し合えば……より多くの成果を出し、信仰が集まるであろう。我も楽しみしているのだ。お主らがより秋を美しくしてくれるのをな」

 

 始めは注意して、後から盛り上げる。そして最高神の期待。

 

 その言葉を聞いた二人はというと──

 

「……お姉ちゃん、私間違ってたよ。お姉ちゃんがいるから実るんだね……」

 

「それは私も同じよ穣子。あなたがいるから紅葉になるのね……」

 

「お姉ちゃん!」

 

「穣子!」

 

 争いはなくなり、二人はハグをしあっていた。ご先祖様の言葉で心が動かされたんだろう。

 

『「ふむ。これで結構。さて、体は主に返して次に進むぞい」』

 

 あ、放置なんですね。

 

 体を返してもらった自分は家から出て、再び山頂を目指した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歩きすすんでいく自分。だけど進むごとにつれて……空気が悪くなっているような気がする。

 

 自分が思ったことにご先祖様が説明してくれる。

 

『「……この感じは【厄】だの」』

 

 厄? 厄払いとかの厄ですか?

 

『「うむ。おそらく近くに厄神がいるはずだの。厄というのは基本誰にも持っておる。不幸を具現化したようなものが厄なのだ。まぁ……【龍神補正】ということでそういう類は主に降りかからぬから安心するといい」』

 

 龍神補正ってすごい。

 

 ご先祖様が言う【龍神補正】というのは、自分にご先祖様がいる時にあるステータスみたいなもの。お互いの存在を認め合ったため使えるようになったという。心にご先祖様がいる時は特殊系、幻覚系、精神系の【負】になるものは無効化できるという。ご先祖様曰く【最高神に小細工は効かぬ】ということ。

 

 ご先祖様から説明を聞いていると──茂みから赤いドレスのようなものを着て、頭に赤いリボンをしている。髪の毛を首元の正面に集めてリボンで結ばれている女の子。その人は自分に話しかけたが──

 

『……人間はこの山からすぐに立ち去りな──ってあれ? 何……? あなたから伝わるこの感じ……というよりも厄を感じない……?』

 

 あ。さっそく違和感を感じている。やっぱり自分に何かあるというのは気づくんだ。

 

 とりあえず自分はその女の子に話しかけてみる。

 

「君は誰? ちなみに自分は(一応)人間の辰上侠なんだけど」

 

「え、えぇ……私は鍵山雛。厄神よ。それよりあなた……人間なの? 普通の人間にしては何かおかしいような……?」

 

 戸惑いながらもしっかり自己紹介してくれるけど、疑問をぶつけてきたので答えることに。

 

 

 

 

 

 少年事情説明中……

 

 

 

 

 

「──と、いう事なんだよ」

 

「……ある意味厄いわね。この幻想郷の最高神の先祖返りって。それで初代龍神様があなたの心の中に? 厄いわ……」

 

 何かの口癖っぽい言葉を言いながらもとりあえずは納得してくれた。

 

 ……しばらくぶりに冷静に話を聞いてくれる人(神様)でよかった。

 

 続けて鍵山さん(さすがに神様を呼び捨てはどうかと思う)は話を切り出す。

 

「普通の人間なら妖怪の山に入らせないんだけど……龍神様の先祖返りで心にいるとなると、天魔さんもたじろぐでしょうね……さすがに最高神を追い出しづらいもの……」

 

「……? 天魔?」

 

 聞き覚えの無い名前らしき事に疑問を思っていると、ご先祖様から自分に問いかけるように話し掛けてきた。

 

『「ふむ……? もしかすると──(あるじ)よ、その天狗の名前は【一進】ではないか? 雛に問いかけてくれ」』

 

「あの、鍵山さん。その天狗の人の名前って【一進】という名前だったりしますか?」

 

「? えぇ、そうよ。その天狗の長である天魔さんをやっているの」

 

『「ほほう! 一坊が現役か! あやつも出世したのう!」』

 

 誰かの事か疑問に思っていたけど、ご先祖様はその名前を聞いて嬉しいそうな声を上げる。

 

 今更……誰ですか? 一進って?

 

『「我がまだ幻想郷を統治していて下界に関わっていたころ、よく相手をしていた天狗の坊や、名前から少しとって通称一坊なのだ。天魔の肩書は最も天狗の中で上に君臨する証。いやはや、あやつも大きくなったものだのう……」』

 

 ……とりあえず天狗で何やら問題になったときはその話題は使えそうだ。

 

 ところで……目の前の神様について一応気になっていたことがある。

 

「……鍵山さん、話すのに距離が遠くない?」

 

 そう。話すなら一メートル前後なのだが……三メートルぐらいは離れて会話をしていた。

 

 鍵山さんは少し困ったような表情をしながら謝ってくる。

 

「ごめんなさい……私の近くにいると厄が移っちゃうのよ……今はまだ厄を一定量まで集めていないからそれを受け取る神々に渡せなくて……あなたを不幸にしてしまう恐れがあるの。いくら龍神様の先祖返りに迷惑をかけるわけにはいかないわ」

 

 ……それって龍神補正でなんとかなるんじゃあ?

 

『「できるにはできるが……そっとしておくのが一番だの。【厄を集める程度の能力】で雛は他人との肉体的距離を無意識のうちでも距離をとっておる。接触でのコミュニケーションの取り方がわからぬのだ。今の我は厄払いの力は持っていないからの……本堂の者なら出来るかもしれぬが」』

 

 ……そういう事なら仕方ないですね。静雅の能力なら確かにできるんでしょうけど……。

 

 鍵山さんに向かい直って話を続ける。

 

「すいません。嫌なことを聞いちゃって」

 

「いいえ。そういう気遣いはうれしいわ。あなたならこのまま登って行っても大丈夫そうね。話しかけても戦闘にならないもの」

 

「……過去になったことがあるの?」

 

「……前に博麗の巫女と魔法使いが来た時があって、二人とも一応人間だから山から去るようにと警告したんだけど……逆にやられちゃって」

 

 ……あの二人は。

 

 話すことは終えたので、鍵山さんと挨拶をしてその場を進んだ……。

 

 

 

 

 

 

 

  ~side out~

 

 一方、守矢神社。その神社の巫女である東風谷早苗は信仰を集めるために人里へよく出向く。主に人間の信仰を集めるのが目的だ。妖怪の山は妖怪と神様しかいない。人間は妖怪の山に立ち入ることが禁止されているのだ。そう決めたのは現在妖怪の山を仕切っている天魔の一進である。

 

 過去に守矢神社が妖怪の山に出現した時は天魔は警戒していたが……一先ず神奈子の交渉により和解した。

 

 そして現在、早苗は人里に行こうと神奈子達に挨拶をするが――

 

「では、神奈子様、諏訪子様。行ってまいりま──クシュンっ」

 

 ──クシャミをした。どうやら体調は良くはないように見える。

 

 それを心配した神奈子と諏訪子は早苗に話しかけた。

 

「早苗……もしかして昨日の雨で風邪ひいたんじゃないか?」

 

「そうだったら今日は休んでもいいんだよー?」

 

「い、いえ! お気になさらず! このくらい何ともないです! では行ってきま──クシュンっ!」

 

 早苗は急ぐようにして飛んで向かって行った……途中でふらつきながら。

 

 

 

「……なぁ、諏訪子? 私は嫌な予感がするんだが……」

 

「あーうー……私もそう感じてきたよー……」

 

 

 




 平行にフラグ……。

 天魔についての名前の設定が無かったので、名前については二次創作なのであしからず。

 ではまた。
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