三人称視点。
では本編どうぞ。
「……こういう自主練のときに相手が欲しいところだが……侠が相手じゃ意味がないし、誰かいないかなぁ……?」
何時かのように黒い半袖Tシャツ一枚と黒いズボンをはいて、自主練に励んでいた静雅。一区切りがついたのか、ストレッチをしながら考えている。
静雅は侠が自主練していない間に、実力を詰めるというのが目標だ。実はというと魔理沙の押しかけには感謝している。異変解決者であるため実力は高い方で、新しいスペルカードができたときは重宝している。いい練習相手だと思っているのだ。
しかし、相手が魔理沙だけなのは物足りなくなってくるのは事実。彼はそこを悩んでいた。
「(レミリア嬢はしないだろうし、フラン嬢とは稀にするか? 少し大変そうだが……咲夜は家事で忙しいだろうし、美鈴は近距離戦が強すぎるから却下。パチュリーは体を動かすとアレだし、小悪魔は非戦闘向き。霊夢は絶対断るだろうし、だからといってアリスは……やんないな、うん。妖夢はオレより侠の方が嬉しそうな気がする。ちょうどいい相手がいないなぁ……)」
ほんの一瞬だが……風見幽香を思い浮かべたがやめた。自主練ではなく大惨事にある意味なりそうだと考えたため。
そう悩んで座りながらストレッチをしていると……頭に何かが掛かる。彼は手を動かして確認してみるとタオルを確認できた。
『お疲れ様。良かったらこれ食べる?』
背後から声が聞こえて静雅はタオルを肩にかけて立ち上がり、タオルをくれた本人を振り返って確認すると……紅魔館のメイドの十六夜咲夜だった。手にはバスケットを持っており、渡される。
彼はここにいる咲夜が疑問に思っているようで話しかけた。
「……咲夜? どうしてここにいるってわかったんだ?」
「前、美鈴に話しかけたことで『ちょっと修行してくる』と話しかけたことがあるでしょう? ちょうどお嬢様に静雅はどこにいるか言われて探していたら昨日、ここでちょうど静雅を見かけたのよ。ずいぶん精が出ているわね」
「……まさか見られていたとはなー……あまりこういう姿を見せたくなかったんだが。オレってあまり努力していなさそうじゃん? 何かオレのイメージ崩れるような気がしてならない」
「そう? 普段見せないあなたの一面を見れて私は楽しかったわ」
「解せぬ……」
「大方、親友に能力無しで勝てるようになるためにやっているんでしょう? 良いじゃない? 目標のために頑張る姿は格好いいと思うわよ?」
「……褒められているのはうれしいが、さらに解せぬ……」
クスクスと笑いながら褒めてくる咲夜に、頬を掻きながら少し照れながら不満そうに言葉を漏らす静雅。
不満げにしながらも、静雅はバスケットを開けてみる。そこにあったものは──サンドイッチ。
そしてそれを見た静雅は……こうつぶやいた。
「……これが愛妻弁当か……!」
「──えぇっ!? ち、違うわよ!?」
急な静雅の発言に咲夜は顔を赤く染めあげる。まさかの静雅の反撃に反応してしまった。咲夜の表情を見て満足したのか、笑いながら話しかける。
「弄られているだけだと思うなよ! オレは機会を見つけて反撃するんだからな!」
「……そこまでムキにならなくてもいいんじゃない?」
「やりたいことをする。咲夜の照れた顔を見たかったためにやった。反省もしてないし後悔もしていない」
「……返してもらおうかしら?」
「だが断る! ちょうど腹減っていたし! 食べるったら食べる!」
急いで口の中にサンドイッチを入れて食べ始めた。その静雅を見て、何かを思い出したように咲夜は話しかける。
「そうそう。それ食べ終わったら時間的に妹様を迎えに行くでしょ? 妹様の迎えが終わったら永遠亭に行って欲しいのよ」
「ふぁへふぃ?(何故に?)」
「そろそろパチュリー様の喘息を抑える薬が切れるのよ。人里に永遠亭の兎妖怪がいれば別だけど……いないときは永遠亭に向かって薬を買ってきて頂戴」
「ほうふぁいひは(了解した)」
「……ちゃんと飲み込んでから喋りなさいよ……」
「ふぁがほほあふ!(だが断る!)」
静雅は咲夜が作ってくれたサンドイッチを食べ終え、フラン嬢を紅魔館に送り届ける。その後、人里を練り歩いていく。もちろん、幻想入りして数日後に見かけた人物を探すためだ。
「……ウサ耳JKが見あたらない……」
辺りを見渡すが、静雅は見つけられなかった。もしかするとすでに永遠亭に戻ったのかもしれない。
「……迷いの竹林だっけか? 永遠亭があるっていうのは。とりあえず行ってみるか……」
静雅は迷いの竹林へと向かった……。
少年移動中……
「……しっかしなぁ……どこまで歩けば竹林じゃなくなるんだ?」
静雅はしばらく歩いていた。竹林に入ったのは龍神の事とで二回目だが、その時は偶然に初代龍神のティアーと妹紅のところにたどり着いた。だが、それは永遠亭までの道中にすぎない。
「てっとり早く永遠亭の誰かがいればいいんだが──(ヒュン)」
歩きながらそう言いかけたその時──急に静雅の体が地面の中へと急に落ちてしまった……。
『おー♪ 今日も私の作った落とし穴は絶好調ウサ。本当は鈴仙用だったけど……結果オーライウサね。どこかで見覚えがあるような気がするけど……』
竹藪からひょこっと誰かが現れた。彼女は何時か、偽の看板表示を作り、故意に患者を作って儲けようとしている腹黒の妖怪兎──因幡てゐだ。
「さてとと、この落とし穴は一般人には上がってこれないくらい深く掘ったウサからね。救出料金としてどれくらいもらおうか──」
そう言っててゐは落とし穴を覗きこむが……何故か落ちたはずの男がいなかった。当然のことにてゐは疑問に思う。
「……ウサ? おかしいウサね? ちゃんと私は落とし穴に落ちたのを見て──」
『そしてダストシュートッ!(ドンっ)』
急にてゐの背中が勢いよく押された。急なことに対応できなかったてゐは──目の前にある自分で作った落とし穴に落ちていく。
「ウサァアアアッ!?」
「悪い子はしまっちゃいましょうね~♪」
てゐは落ちていく中で見逃さなかった。自分を落とした犯人は……落とし穴に落ちたはずの男だった。男は呑気に鼻歌を交えながら落とし穴に手の照準を合した瞬間――土が崩れ落ちてきた。
「(!? 何で落ちたはずの男が地上に──)」
そして……落とし穴は埋まった。静雅は近くの土を能力で操り、でこぼこしないように固めて均しておいた。てゐは生き埋め状態である。
「さて、仕置き完了。見た感じ兎の妖怪だったし問題ないだろ。ウサ耳JKなら話は別だったんだが……聞いとけばよかっただろうか……」
静雅は考える。どうやったら目当ての兎妖怪と出会えるのか……。
「(……薬を売っているという事は、医療の知識があるわけだろ? だったら──病人っぽくすればいいのか?)」
静雅はてゐが埋められた場所に【この土荒らすべからず】と書いた看板を立てて置き、静雅は場所を移動して作戦を決行した……。
次回は苦労人の一人が登場します。過去に数回出た事がありますが。
ではまた。