幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 本格的な出番。
 誰かの語りかは察していただけると幸いです。
 では本編どうぞ。


三話 『月の兎、永遠亭』

『今日もノルマは達成したし……師匠に報告すれば完了ね』

 

 人里での薬売りを終えて、永遠亭に帰宅している私──鈴仙・優曇華院・イナバ。耳をぴょこぴょこ動かしながら歩いていた。

 

 最近、特に問題はないんだけど……最近気になっていることが二つ。

 

「……一昨日の竹林の場所で誰が戦っていたのかしら……?」

 

 そう。昨日、同じように薬売りをするため人里に向かって竹林を歩いていたとき……誰かが戦っていた後があった。辺りは少し焼け焦げていたり、湿っていたり。

 

「姫様は一昨日、永遠亭にいたはずだし、案内人と【殺し合い】はしていないし……。焼け焦げていたのはその人として、湿った後は……?」

 

 この近くには河がなければ水も傍にない。だからと言って雨ということもあり得るかもしれないけど、一昨日は雨が降っていなかったはず。

 

 そしてもう一つ気になっていたこと。

 

「昨日人里で見覚えが正しければ……過去に左腕を怪我して治療した――辰上侠だったはず。師匠に言われた通り話しかけようとはしたけど……どうしてか、人里の人間たちに囲まれていたのよね……」

 

 本人は戸惑っていたはずなんだけど──急に態度が変わったのよね。気のせいか髪の毛の色とか変わっていた気がする。それで人里の人間たちは【龍神様】と呼んでいたような……?

 

「……外来人なのに幻想郷の最高神? そんなのあるわけないのに──」

 

 そう考えていたとき……視界に誰かが入り、見てみると──黒い服を着て胸元がはだけ、男性では珍しいヘアピンをしている誰かが……竹にもたれて座っていた。顔を伏せているせいか顔色が確認できない。

 

「! まさか迷い込んだ外来人!? 見た感じ衰弱しているし……!」

 

 急いで容体を確認しなくちゃ!

 

「すいません! 大丈夫ですか――(ヒュン)」

 

 駆けつけて容態を見ようと近づいているときに──何故か一瞬体が浮遊感に包まれて……落ちた。足から地の底に落ちてしまう。

 

「──痛っ! この落とし穴は……てゐね! また落とし穴なんか作って……!」

 

 私はこの落とし穴に確信を持った。この竹林はてゐの罠が多く設置されている。何度私に被害を被ったか……!

 

 私はすぐに立ち上がろうとしたけど──

 

「──っ!? もしかして……やっちゃた?」

 

 立ち上がった瞬間に、左足首に痛みが走った。多分、足から落ちて捻挫をしちゃったんだと思う。

 

「もう~……どうして私ばかりこんな目に──」

 

『おーい。大丈夫かー?』

 

 痛みで足首を手で触っていると、落とし穴の上から声が聞こえる。上を向いてみると……さっきまで竹に持たせかかっていた男の人だ。もしかすると今の私の事で起きたのかもしれない。

 

「だ、大丈夫だけど……逆にあなたは大丈夫なの? もたれかかっていたけど……?」

 

「ただ疲れて眠っていただけだ(ということにしておこう)。オレもさっき同じ落とし穴に落ちたんだが……ここは落とし穴で有名なスポットなのか?」

 

「ご、ごめんなさい……それ、うちのイタズラ兎の仕業なの……」

 

「そっか。それよりお前さんは大丈夫なのか?」

 

 そう言いながら何故か落とし穴に降りてくる外来人……って何で降りてくるの!? 必要ないじゃない!?

 

「ちょ、ちょっと!? どうして落とし穴にわざわざ降りて──痛っ」

 

「……どこか痛むのか?」

 

「落とし穴に落ちたとき、捻挫しちゃったみたいなの……でも、気にしなくていいから。師匠に頼めばきっと──」

 

「……ちょっと診せてもらえるか?」

 

 座り込んで足首を触っている私に、その外来人は私の手を外して診てくる。その様子はいたって真面目で、見たままのことをその人は言う。

 

「……結構腫れてきたな……」

 

「……あなた、医療の知識があるの?」

 

「ない」

 

「……どうして診てるのよ……? 意味ないじゃない」

 

「診るのは意味ないかもしれないな。現状を確認しただけだし。だが──」

 

 外来人は私が捻挫した場所に男性の指をくっつけて──

 

「──もう痛くないだろ?」

 

「えっ…………?」

 

 外来人が指を離し終えたとき……痛みがなくなった。腫れも引いてきている。まるでもう治ったかのように。

 

「いい加減この落とし穴から出るか。ちょっと失礼」

 

「ちょ──」

 

 今度は彼が私の肩に触ると……竹林の風景が広がった。さっきまで正面は土ばかりだったはずなのに。瞬間移動みたいに移動していた!?

 

 ……何なの!? 捻挫を治すは、いきなり移動しているは……この外来人!?

 

「あ、あなたはいったい何者なの!?」

 

「ん? オレの名前をまだ知らないやつがいたのか? それとも関わりがなくて忘れているのか……まぁ、簡単に説明すると──」

 

 目の前にいる男性は──手で髪の毛を流しながらこう言った。

 

「──紅魔館の執事長であり、【幻想日食異変】の首謀者。本堂静雅と呼ばれている」

 

 

 

 

 

 

 

「──おー着いた着いた! ここが永遠亭か! ありがとなうどん!」

 

「……だから【うどん】で区切るのはやめなさいよ……」

 

 どうやら、師匠が前に言っていた人物の一人がこの本堂静雅らしい。図書館の喘息もちの薬を買うために竹林に来たらしいけど……。

 

 不思議な現象に戸惑ったものの、永遠亭への道中でとりあえず私の名前である鈴仙・優曇華院・イナバだという事を伝えると──

 

 

 

『長いな……【うどん】で良いか?』

 

『なんでそこで区切るの!? 私は麺のうどんじゃないわよ!?』

 

『いや、ネタだろこれ? こう呼んだ方が良いとガイアが囁いている』

 

『誰よそれ……? それだったら名前の方での【鈴仙】で良いわ』

 

『だが【うどん】と呼び続ける!』

 

『何でよ!?』

 

 

 

 ──傍若無人な態度に私はついていけない……どこか私の負担を減らしてくれる人はいないの……?

 

 そして……目の前に広がる和式の屋敷。静雅とともに永遠亭に上がり、師匠に帰りの挨拶を含めて呼びかけてみる。

 

「師匠ー! ただ今戻りましたー!」

 

『あら、うどんげおかえり──? その男の子は……?』

 

 ちょうど師匠が出迎えてきてくれました。師匠は新聞のことで静雅の事を知っているから、現状を確かめているのかも。

 

 とりあえず私から説明した方が良いわよね。

 

「あ、彼は──」

 

「どうも、鈴仙の彼氏の本堂静雅です」

 

「──外来人の…………はっ!?」

 

 すごい出まかせを言ったわよ!? あって数十分なのにどうしてそんなことを言えるの!? しかも名前で呼んでいるし!

 

 いきなりの会話の流れに、師匠は興味を持ってしまい、詳細を彼に尋ねる。

 

「うどんげの……? そういう事は聞いてなかったけど?」

 

「意外と鈴仙は恥ずかしがりな面があるんだ。本当ならすぐにもあなたに紹介してもらいたかったんだが、決心がつかないままでな。ようやく決心がついてお邪魔しに来たんだ」

 

「そうだったの……じゃあ今夜はお赤飯ね♪」

 

「師匠っ!? 何嘘を真に受けているんですかっ!? 私と静雅は数十分前に会ったばかりですしそういう関係でもありませんっ!」

 

 見た目疑わずに静雅の言葉を受け入れてしまった師匠。思わず私は意見しけど……師匠は笑みを浮かべながら言った。

 

「嘘という事はわかっているわよ。そうだったら日頃のうどんげの様子でわかるもの」

 

「ツッコミ役がいると話は弾むな。よくやったうどん」

 

 静雅は私を褒めるようにいうけど……どうして師匠が乗り気なんですか!?

 

「何で師匠も彼に悪乗りしているんですかっ!?」

 

「久々に面白いお客さんが来たと思ってね。良いんじゃない? こういう茶番も」

 

「良くないですよ……」

 

「ツンは見せてデレはまだか? うどん」

 

「あなたは黙ってて」

 

「おぉ、怖い怖い」

 

 何だろう……今の静雅の表情がすごいムカついた。どこぞの烏天狗みたいなうざい表情に似ていたような気がする。

 

 さすがに話を脱線しすぎたというのは自覚しているのか……真面目な顔に戻って静雅は師匠に尋ねる。

 

「話を戻して……こちらの人が八意永琳先生で良いのか?」

 

「えぇ。合っているわよ。今日はどんな用事でここまで足を運んだの?」

 

「紅魔館の大図書館にいるパチュリーの喘息を抑える薬が切れそうでな。とりあえずその薬が欲しい」

 

「あの魔女の薬ね。調合してくるから屋敷内で待っていて頂戴」

 

「了解した」

 

「あ、ちょうどいいからうどんげ。彼を永遠亭を案内して頂戴」

 

「え……私も手伝うんじゃないんですか?」

 

 師匠に静雅の案内を頼まれた。私は師匠の調合の手伝いをすると思ったけど……師匠は理由を言う。

 

「てゐがいれば手伝ってもらったんだけど……いないのよね。どこにいるか知っている?」

 

「……いえ、わかりません……」

 

 そういえばてゐを見かけていないわね。お灸をすえてやりたいのに、どこにいるのかしら?

 

 ……静雅も落とし穴に落ちたって言ってたわね。もしかしたら何か知っているかも。

 

「静雅。あなたは兎の耳がたれていて、全体的にピンクの服を着て人参のアクセサリーをしている女の子を見なかった?」

 

「…………オレの記憶が正しければ、土の中に埋まっていたな」

 

「え……土っ!? 土の中に埋まっているって!?」

 

「マイブームか何かじゃないのか?」

 

 ……知らなかった。てゐにそんな趣味があっただなんて。

 

 意外すぎる情報だった所為か、聞いていた師匠も苦笑い。

 

「あの子イタズラ以外にそんな趣味があったの……? まぁ、その内帰ってくるとして、調合する間彼を案内してあげて。何なら姫様にも会わせても良いわ。姫様も退屈しないだろうし」

 

「わ、わかりました……」

 

「? 姫様って誰だ?」

 

 私達には共通の認識だけど、静雅はわかるはずないわね。

 

 静雅の疑問に師匠が答えてくれました。

 

「ここの主よ。名前は蓬莱山輝夜っていうの」

 

「……ここの主って先生さんじゃないのか? 一番偉そうなのに?」

 

「月にいる時から姫様のお目付け役が私みたいなものだったからね。まぁ、私が従者みたいなものなのよ」

 

「……ちょっくら待った。【月】って言ったか? 月って……夜空に浮かぶあの月なのか?」

 

 ……やっぱり、何も知らない外来人は興味を持つ話よね。彼の言葉に師匠は肯定。

 

「そうよ。私と姫様、そしてうどんげも月から地上にやってきたの。色々事情はあるんだけどね」

 

「……ヘビーな話なのか?」

 

「ヘビーと言えばヘビーなのかもしれないけど……機嫌が良かったら姫様が話してくれると思うわ」

 

「……ふーむ……」

 

 師匠の言葉に悩んでいる風にする静雅。まぁ、外来人には無理な話なのかも知れないけど……。補足的な意味で、私も肯定する。

 

「まぁ、月云々は本当の話だから」

 

「……どっかでそういうの聞いた話があるんだよなぁ……月に輝夜……竹林……」

 

 ……何かに悩んでいるんだろうけど、私は師匠に言われた通り静雅を誘導をし始める事に。

 

「ほら、師匠がここを見て良いって言ってるんだから案内でするわ」

 

「わかったけどよ……何か忘れているんだよなぁ……」

 

 どこか腑に落ちない様子だったけど、とりあえずは私に着いてきた……。

 

 

 

 

 

 

「……紅魔館の外来人ね……只者ではないことは確かだわ。短時間でうどんげに会ったとしても仲が良くなるのは早すぎるわね……」

 

『……一体何なんウサ? あの男……』

 

「……てゐ? どうしてたの──って服が随分汚れているけど……そんな楽しいの? 土の中に埋まるの?」

 

「そんな趣味ないウサよ!? これはどこぞの変な男に土の中に埋められたんだウサ!」

 

「……納得いったわ。さすが異変の首謀者ってとこはあるわね……大方、その男を罠にはめようとして返り討ちに遭ったというところでしょ?」

 

「……何でわかったウサ?」

 

「ちなみにだけどその男、お客さんとして今うどんげと行動しているわよ」

 

「! ウササ……ちょうど良いウサ。ここは第二のホームグラウンドウサ。てゐちゃんのトラップフルコースを味わってもらうウサ……」

 

「(……何て言うのかしら……またてゐが負ける気がするわね……)」

 

 

 




 うどんは弄られキャラだと私は思う。

 ―P,S―
 活動報告でとある募集──ランキング形式で一位になったキャラの特別番外編の投票を現在も行っています。詳しくは活動報告の【唐突に始まる募集】にて。

 ちなみに現在の途中経過だと──


 7票:本堂静雅


 6票:辰上陽花


 5票:辰上侠    アリス・マーガトロイド


 4票:無し


 3票:水橋パルスィ 初代龍神


 2票:上白沢慧音  古明地こいし


 1票:古明地さとり 西行寺幽々子 伊吹萃香   藤原妹紅
    封結     結梨華    魂魄妖夢


 まさかの順位変動。本堂静雅が一位に。このまま静雅が一位のままでしょうか……? 期限は四月末なので、まだ投票可能です。よかったら立ち寄ってみてください。

 ではまた。
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