うどん視点。
では本編どうぞ。
「──これが喘息を抑える薬ね。どうぞ」
「ども。これがお金な」
師匠が待っている部屋に行き、静雅に薬を手渡すと彼はちゃんとお金を払った。これで静雅の用件は終わりのはず。
竹林から出るには案内人か、私達が一緒に行かないと迷うのよね……てゐはめんどくさがるだろうし、私が案内するのが妥当よね。
「それじゃあ永遠亭を出て、人里付近まで案内するわ。ここの地理は私達じゃないと把握できないから」
「そうか……? じゃあ頼もうか」
静雅を誘導し、外に出ようとしたけど……何故か師匠が静雅を呼び止めた。
「静雅、ちょっと良いかしら? あなたが外界の異変解決者の辰上侠と親友ということで聞きたいことがあるのよ」
「……侠についてか?」
「そう。彼が過去に怪我してその治療を行ったのがうどんげで、初診ということで血液を調べさせてもらったんだけど……ただの外来人ではないことが分かってね。あなたの意見も聞きたいのよ」
……過去に私が治療した外来人であり、昨日人里の人間に囲まれていた外来人。師匠が調べたのは知っているけど……ただの外来人じゃない?
その事について静雅は何かに察したように答える。
「……一応聞くが、どこら辺がおかしかったんだ?」
「人間のはずなのに霊力、魔力、妖力、神力と全ての力の源の素養があったのよ。普通なら一人一つのはず。私が霊力でうどんげが妖力みたいにね。それについての心当たりはある?」
「人間が四つの力を持っているんですか師匠!?」
「そうみたいなの。このパターンは初めての事例だったから気になったのよ」
え……何なんですかそれ!? それ明らかにただの人間じゃないですよね!?
静雅はというと、少し悩んでいるような表情を見せたけど……口を開く。
「薬剤師で診療所みたいなここなら言っても良いか……まぁ、その内広がることだと思っていたが……一言二言で表すなら【辰上侠は初代龍神の先祖返りである】。以上」
「「……え?」」
私達が考えていた事よりも、よりベクトルの向きが違う発言に戸惑う私と師匠。それでも静雅は話を続けた。
「多分、幻想郷を創ったと言われる初代龍神のティアー・ドラゴニル・アウセレーゼの子孫で先祖返りだから、そういった全ての力が使えるんだと思うぞ」
「じゃあ何!? 昨日人里の人間達が【龍神様】と言っていたのはそれが原因!?」
「? そんなことがあったのか……? そういえばフラン嬢も『侠の体で幻想郷を創ったと言われている龍神様の授業を受けた』と言っていたな。侠の体を借りて初代龍神は授業を行ったのか……じゃあそれが広まって人里の大半の住人は知っているんだな」
私からの情報に納得し始める静雅。
体を借りるとかって何よ……!?
当然師匠も静雅の言っていることに疑問に思い、静雅に問いかける。
「今、【侠の体を借りて】って言ったわね? それは何? 初代龍神は辰上侠に取り憑いているとか?」
「心の中に住んでいるらしいな。今じゃお互いの合意があれば意識を交換できるらしい」
「……子孫とはいえ、その先祖返りに取り憑く必要はあるわけ? この幻想郷を統次していると言われている龍神は何なの?」
「それはお互い龍の純血の子孫らしいぞ。今じゃ三代目か四代目って言ってたな。昔は不老不死だったらしいんだが、詳しい理由は知らないが世襲制にシフトチェンジしたみたいだな」
「……いろいろとまだ聞きたいことはあるけど、今日はもう良いわ。また、あなたが来たとき聞かせてくれる?」
「侠に何か病気になったときは必要な情報もあるかもしれないからな。また来たときに話す」
「そう。ありがとう」
……何で幻想郷の最高神の子孫があの辰上侠なんだろう? 彼って外界の人間(?)のはずよね……どうして龍神の血を引いて、初代龍神が取り憑いているんだろう?
自分なりに考えていたとき……窓にポツポツと水滴がついていき、雨が降り始めた。
「あ、雨……静雅、傘は持ってきて──ないわね」
「ポケットに財布を入れてきただけだからな。そういうのは持っていない」
「じゃあ傘貸してあげるから、私が送り届けたら後日返してくれる? 運が良ければ人里で薬売りをしていると思うし、その時に返してくれれば」
「実はそんなことしなくても──いや、素直に厚意を受け取るか。世話になる」
静雅は何か言いかけたのを止めて、私の言っていることを承諾してくれた。
師匠もこんな天気の中これ以上聞くことは遠慮しているみたいなので話しかける様子はない。師匠に私は声をかける。
「では師匠、静雅を送ってきます」
「えぇ。行ってらっしゃい」
師匠に挨拶をした後……何故か静雅は願うかのように話し掛けてきた。
「……なぁ、うどん。相合い傘で帰るのは無しなのか?」
「無しよ。それぞれの傘で行くの」
「そこは青春しようぜ? 今生きている時間をオレは大事にしたい」
「……私だけ傘を差してあなたを入れないで、お互い傘があるのとどっちが良いの?」
「お互い傘にしようぜ畜生」
静雅のからかいに対応しながら、私達は人里へ向かった……。
「じゃあここで良いわね。それじゃあ」
「名残惜しいけどな……まぁ、また会う日まで」
竹林を抜け、人里が見えたので静雅に別れを告げる。
……何だろう? 静雅に会ったことによっていろいろ何か起こるような気がするのは……?
『……別に能力で一瞬で帰れたんだけどな。まぁ、次回から永遠亭に直接能力で行けるようになったしいいか。それに傘を返すという理由で永遠亭にいけるしな……!』
再び、次章で出ます。
次話から表の章です。
ではまた。