幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ようやく、あの持ち主がわかります。
 引き続き早苗視点。
 では本編どうぞ。


三話 『思い出した記憶』

 少しばかり歩いて魔法の森の近くに、一軒家がぽつんとありました。

 

「あの……どうして人里ではなくここに家があるんですか?」

 

『なぁに。そっちの方が都合がいいんだ。いろいろとな』

 

 そう言いながら、扉を開けてると……あれ? 人がいない……?

 

「誰もいませんけど──」

 

『──動くな』

 

 現状を家の状態に疑問に思い、体格の大きい人に話しかけてみると──!? どうして私の首元にナイフが突きつけられているんですか!?

 

「ちょっと待ってください!? これはどういう──」

 

『まさか簡単にのこのこついてくるとは思わなかったな。だが、成功だ』

 

『お前は人質なんだよぉ。オレ達の重要のなぁ』

 

『これで計画を遂行できるでやんす! 数日前の妨害がなければもっと早くできたはずけどやんすね……』

 

「!? 計画ってなんですか!? 神奈子様と諏訪子様をどうするつもりなんですか!?」

 

『俺達の大妖怪討伐を邪魔してくれた糞神に、数日前にお前を横取りした妖怪を消すんだよ』

 

 まさか言っていることは神奈子様達と誰を討伐しようとしているんですか!? それで妖怪って誰ですか!?

 

 でも……ナイフを突きつけられては抵抗ができません……。縄で手足を縛られ、布で口をふさがれてしまいました……。

 

『よし……これで妖怪の山に行き、脅せば完璧だ……お前ら、持て!』

 

『俺らが持つのかぁ。どこを触ってもいいのかぁ?』

 

『女の子の秘密のあんなところやこんなところもいいやんすか!?』

 

『別に構わん。やるべきことを終えたら……お楽しみだ』

 

「!? ~~~~~っ! ~~~~~っ!?」

 

 や、やめてください! こんなところであなたたちに触られたくありません! 初めても渡したくありません!

 

 攫われた恐怖、性的な恐怖で涙目で訴える私ですが、相手達はやめてくれません!

 

 神奈子様、諏訪子様――辰上さん! 助けてくださ──

 

 

 

 

 

 

 

 

『東風谷ぁあああ────っ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞き覚えのある声が響きわたり、閉ざされていた扉が壊れ──後は一瞬のようでした。人影が素早いスピードで三人組に近寄り、殴り、蹴飛ばし、投げて三方に散らせて物音をならしながら吹っ飛ぶように家の壁に当たりました。

 

 そして、私はその姿を確認すると──安心した涙が頬にこぼれていくのを感じました……。

 

「東風谷っ!? 大丈夫!?」

 

「~~~~~っ!(こくこく!)」

 

「縛られていたのか……ちょっと待ってて!」

 

 辰上さんは縛られている私の姿を確認すると、辰上さんの左手の人差し指の爪が伸びて、固く縛られていた縄と布を切ってくれます。

 

 何より……辰上さんが来てくれた安心感が胸いっぱいに広がり──無意識で前から抱き着きました。

 

「こ、怖かったです……本当に、辰上、さんが来てくれて、良かったです……!」

 

「……怖かっただろうね。よしよし」

 

 辰上さんは私の頭を優しくなでてくれました。いっそう、安心感が体中に広がりました……。

 

 

 

 

 

『──ふざけんじゃねぇぞぉーっ!』

 

 

 

 

 

 三人組の体格の大きい人が怒りを含めた声を出しながら、立ち上がりました。それに続いてほかの二人も立ち上がります。

 

 その様子を感じ取ってか、辰上さんは私を離し、立ち上がり向かい合います。

 

「……まだ懲りてなかったようだね」

 

『何でお前という妖怪といい、神を名乗る奴といい、俺達の邪魔をしてくるんだ!? ガキはおとなしく引っ込んでろっ!』

 

「そのガキに負ける君たちは何なの? 複数人で勝負を仕掛けて負けた君たちは? 明らかに道徳でみてもおかしいのは君たちじゃないか。おとなしくするのは君たちでしょ?」

 

『ごたごたうるせぇんだよ! ちょうどいい……ここには俺達の武器庫でもある……前みたいにはいかねぇ!』

 

 三人組は銃を取出しはじめ、私達に構え始める……本気ですか!? まさか本当に!?

 

「ちっ……東風谷。武術か何かやっているか?」

 

「い、いえ……やっていません……」

 

「俺だけじゃ正直厳しいぞ……さすがに銃相手だと……」

 

 私は銃におびえ、安心するために辰上さんの手を取る(・・・・・・・・・)。辰上さんは打開策を練っているのか、必死に考えている。

 

 ……? 今、明らかに男らしい言葉づかいだったような──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──お兄ちゃん! 女の人が倒れてる!?』

 

『……陽花? どんな──って、制服から見て隣町の中学生か? しかもこの様子から見ると……風邪か? どうしてここまで放っておいた……?』

 

『どうしようお兄ちゃん!? このままじゃこの人の体調が悪化しちゃう!』

 

『……本家からの依頼帰りでめんどくさい気持ちもあるけどな……まぁ、助けた方が良いに決まっている。陽花。悪いが荷物を調べてみてくれ。さすがに男が女の持ち物を漁るわけにはいかないからな……』

 

『わかった! ちょっと待っててね…………えっと、住所は【守矢神社】みたい』

 

『……? どこだそこは?』

 

『隣町の神社だよ。お兄ちゃんやしずまっちゃんは正月に神社とかで願掛けしないからね。今年の正月にあたし友達と一緒にお参りしたよ!』

 

『神を信じて世の中救われるとしたら、どれだけの貧困層が救われると思っている? 信じるだけ無駄だ』

 

『うわぁ……夢のないことを言うね……』

 

『客観的に物事を言っているだけだ。それよりその神社に運ぶとするか……陽花は道を案内してくれ。この子は俺が背負って運ぶ』

 

『そう言っておきながらセクハラするんじゃないの~?』

 

『暇があれば俺の背中に抱き着いてくる痴女が何を言う?』

 

『痴女じゃないもん! 兄妹のスキンキップだもん!』

 

『はいはい……じゃ、行くぞ──』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──!? これってあの時の記憶!? どうして侠さんが男らしい言葉を使った瞬間、会話を思い出したんでしょうか!?

 

 これって……もしかして!

 

「辰上さん……」

 

「どうした東風谷? この状況を何とかしないと──」

 

 

 

 

 

 

 

「──辰上さんなら大丈夫です。私……信じています!」

 

 

 

 

 

 

 

 ほとんどの核心でそう言った時でしょうか? 私の体から何故か──緑の光が出てきました。

 

 

 

 

 

 

 

 …………!? ちょっと待ってください!? どうして謎の光が私から出てくるんですか!?

 

 辰上さんも、周りの人も急な光に戸惑い始めました。

 

「この光……もしやっ!」

 

『な、何だよその光っ!?』

 

『兄貴ぃっ!? これはもう撃った方が良いだろうぅ!?』

 

『そうでやんす!』

 

 謎の光が辰上さんの体に入り込んだ後、周りの方たちは撃とうとしている。

 

 でもそれより早く、辰上さんはスペルカードを取出し──宣言。

 

 

 

 

 

「──適合【ストームオーバードライブ】!」

 

 

 

 

 

 宣言した後、私達を狙った銃の発砲音が聞こえましたが……それが当たることはありませんでした。宣言した同時に急に強い風が発生したからです。その風のおかげで弾道がそれてくれました。ですが、風が強すぎるせいか、目を閉じてしまい辰上さんの姿が確認できません……!

 

 少し風が収まり、辰上さんを見てみると……姿が変わっていました。髪の毛が私と同じ髪色になって、長さも大体同じぐらい。目の色は髪とは違うみたいで、同じ緑色。そして──緑に近いエメラルド色のコート。

 

 

 

 

 

 

 

 何より──色は違えど、あの時の記憶と重なる姿。

 

 

 

 

 

 

 

「辰上さん……あなたは一体――」

 

「──聞きたいことがたくさんあるだろうが後だ。東風谷のおかげで切り抜けられそうだ。だから──しっかり俺から離れるな!」

 

 辰上さんはそう言うと私を……お姫様抱っこをして風を纏い、天井を突き抜けました!? おそらく辰上さんの風で外傷はないようですが……そ、それにお姫様抱っこって……!?

 

「た、辰上さん!? ちょっとこの状況恥ずかしいです!」

 

「恥ずかしいのは俺も同じだ! 落ちないようにしがみついておけ!」

 

「は、はい!」

 

 空中に浮かんでいる辰上さんの言う通り……恥ずかしいですが……首に腕を回して落ちないようにしがみつきました。それを確認した辰上さんは新しいスペルカードを持って宣言。

 

「風天【ストームドラゴン】!」

 

 宣言と同時に、片手を突きだした辰上さんの手から──可視化された風の龍の弾幕が現れて──真下にある家に放ちました。

 

『『『ぎゃあああっ!?』』』

 

 ……いるであろう三人組を狙ったんですね……。悲鳴が聞こえてきます……。

 

「あの〜辰上さん? 少しやり過ぎでは──」

 

「むしろ足りないぐらいだ。あいつらは前、東風谷を攫おうとしていたんだぞ? 風邪で倒れていたときだ。偶然、俺が通りかかったから良かったものの……それであからさまに怪しい奴の言葉を信じるなよ……」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「まぁ、過ぎ去ったことはしょうがないとして……東風谷が無事で良かった」

 

 安堵したような表情を浮かべるようにして私に言ってくれました。その言葉に嬉しくなる私がいます。

 

 そうなんですか……これで私が助けられるのは二回目──いえ。

 

 

 

 

 

 三回目なんですね。

 

 

 

 

 

 そして私は確信を確実に取るために……あることを尋ねてみます。

 

「話は変わってすいませんが……辰上さんって妹さんがいますか?」

 

「? いるにはいるが……何故急にそんなことを?」

 

「……♪」

 

「…………変な東風谷だな…………」

 

 多分、その時の私は浮かれていたんだと思います。

 

 

 

 

 

 目の前のいる人は……ずっと会いたかった人。お礼を言いたかった人。そして──好きな人。

 

 

 

 

 

 でも……会ったはずなのに──辰上さんは私の事を覚えていない。辰上さんが外界でも私の事を助けてくれたのに。

 

 だから、問いかけました。

 

「やっぱり……辰上さんとは前に会っているような気がするんです」

 

 少しぼやかしながら話しかける。

 

 ……でも。

 

 

 

 

 

 

 

「……? いや、ないだろ? 幻想郷で初めて(・・・・・・・)東風谷に会ったし」

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてなんでしょうか……辰上さんは覚えていないと言います。

 

 私はようやく会ったことを、大事なことを思い出したのに……辰上さんは忘れている。

 

「あの、思い出し──」

 

「それより東風谷……事は解決したんだから、【自分】から離れてくれない? あまりこういうことをしていると、ね……」

 

 私の言葉をさえぎって言いましたが、改めて現状を確認してみると……首に手を回して抱き着いている私。顔の距離も当然近い。

 

「……………………きゃぁあああっ!? す、すいません!? ずっとこのままだったこと本当にすいません!」

 

 飛翔をしながら反射的に私は辰上さんの体から離れました。ぜ、ゼロ距離で抱き着いていたことを忘れていました……!? 羞恥を確認した瞬間、顔が熱くなってくるのを感じます……!?

 

「まぁ、東風谷が飛べることを忘れていた自分も悪いんだけどね……。とりあえずは一先ず守矢神社に戻ろう。お互い疲れたしね」

 

 そう言うと──辰上さんの外見が元に戻りました。そして改めて出す龍の翼。

 

 私達は守矢神社に向かっている最中、ずっと私は何故辰上さんの記憶が無いのか考えていました……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………あやや♪ 今度は私が先取り情報ですね! お二人に着いて行ったらこんな特ダネが手に入るなんて…………♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 守矢神社に帰り、今の私にできる家事をして、時間を過ごして……本日はまだ風邪が完全には完治していない私のためか、昼食と夕食を辰上さんは今日も料理をしてくださいました。

 

 食事をしているときに……無意識に辰上さんを見ていたことに諏訪子様にからかわれ、神奈子様がなだめてくれ、ため息を辰上さんがして。

 

 夜も遅くなり……私は寝ていないといけないのですが、布団から起き上がり、辰上さんが寝泊まりしている部屋まで行き、何をしているか確かめる意味合いで部屋を覗きこむ。

 

「Zzz……」

 

 ……どうやら寝ているみたいですね。それなら大丈夫そうです。

 

 私はまだ神奈子様と諏訪子様が起きているであろう居間へと向かいました……。

 

 

 

 

 

『──さて、ならず者のおかげで制限が解かれたの……とりあえず……釘を刺しておくか』

 

 

 

 

 

 




 ようやく登場、表主人公の義妹。回想ですが。

 フラグが多数出現したという……。

 ―P,S―
 TomomonDさんが執筆する「東方お仕事記」において、オリジナル異変コラボに解決者の一人として表主人公が参加しています。よろしかったらこちらもぜひ。

 ではまた。
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