鈴仙視点。
では本編どうぞ。
妙にすっきりした侠と、満身創痍な静雅(私はその事に絶対突っ込まなかった)が帰ってきたのを確認すると、時間もそろそろ近づいてきていたのでそれぞれの行動に移した。慧音さんと侠は教室の後ろで待機、私が教壇に立って右側の傍に静雅が立っている。静雅にはこれから説明する際に使用する応急装置の道具を持ってもらっている。それで――時間が来たので教えることに。
基本的にやる内容の応急処置の多量に出血した場合。妖怪に襲われて離れ、出血が多い時にする対処方。私が説明しているときに、話の速度に合わせて静雅は実演してくれていた。普段真面目に見えないのに、真面目な顔でやっていた。
黙っていれば外見通りにかっこいい方だと思うのに……残念よね……。
……? 何で私残念がっているんだろう……?
問題もなく教えていき、生徒の疑問は私が答えたり、バックアップの二人が私の話を理解してくれて結構やりやすかったり。
「――じゃあ、私の話はお終い。覚えておいて損はないからちゃんと復習してね」
『はーいっ!』
私の声に生徒達は返事を返してくれた。
……私がしゃべっている間誰も小声で話してなかったわね……ちょっとおかしいような……? あの氷精とか、ヤンチャな生徒が絶対騒ぐはずなのに……?
静雅の方へ視線を送ると、私が立っている教壇に近づき……何かのメモをわたして、生徒たちに話しかける。
「じゃあこれにて授業は終わりだ。ちゃんと鈴仙先生が教えてくれたことを復習するんだぞ!」
そう言って静雅は指をならすと――さっきまで騒いでいた生徒達は騒ぎ始め、今日の授業が終わったのを実感しているのか、話に花を咲かせている。
私は静雅に渡されたメモを読んでみると……。
『【静かに授業を受ける】ことにしておいた。おかげでやりすかっただろ? とりあえずおつかれさん』
……静雅の能力っ!? それでスムーズに進んでいたの!? た、確かにやりやすかったけど……。
そして部屋の後ろにいた慧音さんと侠が近づき……慧音さんが私に話しかけてきた。
「うむ。大変わかりやすい授業でなによりだ。子供たちも静かに聞いてくれていたようだし、よかったぞ」
「あ、ありがとうございます……」
私がお礼を言われている間、侠は静雅に話しかけている。少し小声だったので……耳を澄ませてみることに。
「静雅……授業中に能力を使ったでしょ?」
「おう? 何でわかったんだ?」
「ご先祖様が教えてくれたよ。龍神補正ということで」
「何だよそれ……龍神補正ってのは……?」
……何か侠にバレているみたい。
一段落終えたころ――ほかの生徒と談笑していたチルノが侠達に話しかけてくる。
「ねぇーキョー! キョーとシズマサはライバルなんでしょ! 弾幕ごっことかやらないの!?」
「あ、それ私も気になる! 異変のとき対決したっていうけど、同じ外界の外来人通しの弾幕ごっこ見てみたい!」
氷精の言葉に夜雀も同意する。同じ外来人通しの戦い……異変のとき対立したっていうけど……確かに気になる。
氷精の言葉と共にほかの生徒も同調し始めた。それを受けてか侠は静雅に尋ねる。
「なんか弾幕ごっこがみたいって言っているけどどうする?」
「オレは全然構わない。むしろやりたいと思ってるぐらいだ」
「まぁ、自分も構わないんだけど……慧音さん、良いですか?」
お互いは了承しているみたいだけど、先生でもある慧音さんに尋ねてみる侠。彼女は少し悩むように意見していたけど……静雅がその言葉に意見した。
「うーむ……子供たちが弾幕ごっこを観戦するのも良いかもしれないが……ちょうどいい場所がないぞ? 魔法の森も瘴気でダメなわけだしな――」
「先生さんよ。なら上空でやればいいんじゃね? オレの能力で人里に絶対被害が出ないようにするからさ」
「私は静雅の能力を知らないんだが……侠、大丈夫なのか?」
「問題ないですよ慧音さん。静雅の能力なら問題ないです」
「そうか……侠がそう言うなら大丈夫だな。では外に出るぞ!」
侠から確認を取って生徒たちに声をかけると、生徒たちは外に出て行った。同時に侠や静雅も出ていく。
私がまだ寺子屋にいるのを確認した慧音さんは私に話しかけてきた。
「鈴仙はどうする? そのまま謝礼を渡してもいいが、侠と静雅の弾幕ごっこを見てから謝礼を渡すか」
「そう……ですね……」
特に急ぎの用事もないし――
「――じゃあ、見てからそういう事で」
「わかった。では私達も見に行くとしよう」
私達は一緒に寺子屋の外へと出た……。
外に出てみると、周りに生徒以外に一般人も上空を見ている。そして空には飛翔している静雅と……龍の翼を出して飛翔している侠。
『侠? 龍化には制限時間があったんじゃなかったのか?』
『それについては問題ないよ。龍化はご先祖様が制限を外してくれたからね。でも、龍化は翼以外するつもりはないよ。他の変化スペルは使うかもしれないけど』
『まぁ、侠本来の能力は基本オフ状態だからな……異変のときと同じ、組手だ!』
『了解!』
お互いの戦闘の意思を確認すると……おたがいそれぞれ違う色の弾幕を放ち始めた。そしてお互いに接近し――静雅はどこからか槍を出現させるかのを侠は確認すると、スペルカードを取出し宣言。
『武符【リトルセイバー】!』
侠の手から変わった剣を出現させると、お互いの武器がぶつかり合う。それと同時に空いている手から弾幕を放ったり、肉弾戦をしたりしていた。
その光景を見てかギャラリーは騒ぎ興奮する。あまり人里で弾幕ごっこはあまり見れないから興奮しているのかもしれない。
私は外来人同士のその光景を見てこう思う。
「……何か楽しそう」
静雅はもちろん楽しそうにしているけど、大人しい侠まで表情も楽しそうに見える気がするのよね……。
隣で見ていた慧音さんもその光景をみて呟く。
「……静雅はともかく、侠が楽しそうな表情を見るのは初めてな気がするな……」
「え? 初めてなんですか?」
少し気になる発言だったので私は反射的に慧音さんに聞いたけど、それでも言葉を続けてくれる。
「普段真面目な顔つきや、生徒達の応対であったとしても困ったような反応だけだからな。ある意味侠のこの表情は貴重だと思う」
そう話を聞いていると……弾幕ごっこは進み、静雅はスペルカードを取り出して宣言しようとしていた。
「荒符【荒れ狂いし迷う者】!」
宣言し終えると……数は少ないけど、不規則な形の槍の弾幕が侠を襲い掛かる。侠は最初戸惑ったが、来る方向を予測しているのか、紙一重で避けている。
『おいおい……予想はしていたが、これ不規則に散らばる弾幕なんだぞ?』
『目で見て迷うなら体で感じればいいでしょ? まぁ、さすがにきついから――適合【ヴォルケイノオーバードライブ】』
侠が新しいスペルを宣言。宣言すると……侠は炎に包まれて――炎が収まると腰まで伸びた白髪に変わり、朱色のコートを着ている。遠目からでもなんとかわかるけど……目も朱色に変わっている。ついでに剣の色も赤に近い色から朱色に。
――なんなあのスペル!? それに心なしか――
「……あれ? 竹林の案内人に似ている……?」
そう。目を除けば白髪の長髪、炎を扱う力で藤原妹紅に似ているような……?
私の疑問を察してくれたのか、慧音さんは説明してくれる。
「あの時は初代龍神が使っていて、名前も若干違っているが……侠は妹紅の力が使えるんだ」
「えっ!? それはどうしてですかっ!?」
「少し話が長くなるんだが……過去に妹紅は初代龍神と闘ったことがあってな? 条件を満たさないといけないらしいが、初代龍神の能力である【力を手に入れる程度の能力】で妹紅の力を手に入れたみたいでな。それで初代龍神は侠と一心同体。初代龍神が使えるものは侠も使えると思うんだ」
……もしかして、あの焼け焦げて湿っていた場所って案内人と初代龍神と闘った後なのかな……?
『あの時の初代龍神スペルの進化版か! 炎の弾幕で相殺に掛かるとは……!』
『それでも何発かかすったけどね……本当に厄介なスペルを使うね、静雅は……』
『単なる攻撃だとつまらないからな……ブレイクされたし、次のスペルだ! 神符【戻りゆく軌道線】!』
静雅は多数の円球状の弾幕を侠に繰り出した。それに対して侠はグレイズしたり、炎の弾幕で相殺したりする。
ただ、躱した弾幕が侠を通り過ぎると……弾幕が逆戻りして侠を襲い掛かろうとしている!
それに対して侠は後ろを向かないで――後ろからの弾幕を躱し続けたっ!?
『おおいっ!? 何で振り向かないで躱せるんだよっ!? 初見だったら被弾の一つや二つはしているだろ!?』
『ご先祖様がどんなスペルか見極めて分析してくれているからね……今の自分にはトリッキーな攻撃は効きにくいよ』
『せけぇっ!? 初代龍神働きすぎだろ!?』
『ご先祖様曰は情報分析が早くて対策案も出してくれて大体は無効化できるから。これはご先祖様のおかげだけど……何という静雅対策。フフフ』
『初代龍神の助言とかせこ過ぎるっ!? チートじゃねぇかっ!』
『それでも静雅の能力には敵わないけどねー……ま、自分の能力はチーム戦じゃないと役立たないし、これぐらいでちょうどいいかも!』
『オレの戦法が封じられた……だとっ!?』
『じゃあさっさと自分のこの妹紅の力を操りたいから攻めるよ――火炎【メテオブレイズ】!』
侠は炎の弾幕を空に放つと……炎球が隕石のように静雅に降りかかる!? 強すぎない、侠っ!?
「何よあれ……むちゃくちゃじゃない……!?」
「……侠の気分が凄い上がっているな。これも初めて見たかもしれない……」
それで隕石みたいな弾幕がこちらに降りかかろうとしていたんだけど……それは途中で消えた。おかげで私達に危害はない。
……弾幕が消えたのが静雅の能力の影響かしら……?
『おまっ!? メテオ降らせんな!? それともこれは流星群か!?』
『隙だらけだよ静雅!』
『しまった――(ピチューン)』
……あ、静雅がピチュった。隕石みたいな弾幕に目を奪われていた静雅は剣から出された弾幕に当たる。さらに侠は接近して剣を静雅の首元に突きつける侠。
『……何ていうか今回あれだよね。静雅からアクションを起こしたけど逆に静雅が驚いて負けたみたいな』
『だってよ……あのスペルの発想はなかなかないだろ? 避けて安心している時に狙うスペルなのによ、初代龍神で無効化されるだなんて』
『……うーん。それじゃあ次回からご先祖様には組手のときは黙っててもらうよ』
『そうじゃねぇとオレの勝率が下がるしな……お前さんには悪いが、初代龍神に黙っててもらってくれ』
『うん。了解したよ』
弾幕ごっこが終わるのと同時に、観客たちは静雅達に拍手を送った……。
実は表の二話で早苗が見た弾幕ごっこはこの二人だったりします。
ではまた。