幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 おそらく早いと思います(とあることが)
 三人称。
 では本編どうぞ。


三話 『妖怪の山の麓【裏の場合】』

 侠達が紅魔館へ向かっているのを知らず三人──静雅、魔理沙、鈴仙という不思議な組み合わせで妖怪の山の山頂にある守矢神社に向かっていたのだが──

 

「──大体お前は来る必要ないだろ! 私は直接霊夢に頼まれたんだぜ!」

 

「だから何? そもそも私はあなたの事はどうでもいいの。静雅が妖怪で誰かいるかと呟いていたから親切心で着いてきたの! いくら地理を知っていても問題を起こす人物じゃ遅くなるじゃない!」

 

「(こいつらどうしてここまで仲が悪いんだ……!? 何だよこの修羅場!? どこかでフラグを間違えたか!?)」

 

 静雅を板挟みにして二人はずっと口論していた。板挟みになっている静雅は平常心を保ちながらも、二人をなだめようとする。

 

「あのさお前さん達。今ピリピリするより敵が出現したときにしてくれないか? もしも神々が現れてオレを攻撃を仕掛けようとしたときに対処してくれると嬉しいんだが」

 

 静雅は場をわきまえてくれという意味でとらえてほしかったのだが――二人には提案であり、お願いに聞こえた。

 

 そのようにとらえた二人の内、魔理沙が鈴仙に提案する。

 

「じゃあこうしようぜ! 攻撃を仕掛けてきた奴を退治して、守矢神社に到着するまでに多く撃ち落とした奴の勝ちだ! 負けた奴は素直に帰る! それでいいな!」

 

「いいわ。その提案に乗ってあげる!」

 

「…………オレの労働が少なくなるのだったらもういいか…………」

 

 そう割り切ったとき……途中で一軒家が見えた。そしてその家から二人の人物が出てきた。

 

『穣子! 何か気味悪い気配がすると思ったら──って何よあの三人!?』

 

『何かあの男から嫌な気配が――って何か戦闘する気満々のような気がするんだけど!?』

 

 その二人は龍神ティアーの説教により、お互いの存在の必要性を確かめ合った秋静葉と秋穣子、通称秋姉妹とも呼ばれている。

 

 彼女たちは静雅の神々にとっては負の性質である力を感じ、何とかしようと思い外に出たのだが……戦闘する気のある魔理沙と鈴仙を見て怯え始めた。

 

 その二人を見て、魔理沙と鈴仙はドスの利いた声で問いかける。

 

「お前たちは敵か? なら弾幕で吹っ飛ばす!」

 

「いいえ! ここは狂気を操って──」

 

「──待て待てお前さん達!? まずは敵意があるかどうか確かめろ! こっちから喧嘩を売るんじゃないっ!」

 

 攻撃的な二人を制止し、静雅は落ち着かせてから前に出て秋姉妹に尋ねた。

 

「道をふさごうとしているように見えたんだが……どうしたんだ? お前さん達?」

 

「そうだった……そこのあなたから嫌な気配がしたの!」

 

「そこの二人はどうしようもないとして、あなたをここを通すわけにいかない!」

 

「嫌な気配……? そうなるとお前さん達、神々の何かか!?」

 

 会ったこともない自分に対しての嫌悪感。それから静雅は察し二人を神様だという事を理解した。一目で神様と判断されたのが嬉しかったのか、胸を張りながら自身達の紹介をしていたのだが──

 

「一目で私達が神様ってわかった!? そしてそう! 私が紅葉を司る神の秋静葉──」

 

「そして私が豊穣を司る神、秋穣子──」

 

『静雅。こいつらは静雅を敵として見ているから……ぶっ飛ばしても良いんだな?』

 

『えぇ。今回はその意見に同意ね。静雅は何もしていないのに、勝手に敵としてみなしているようだし……さっさと片付けるわよ!』

 

「(あ、こいつら終わったわ)」

 

 静雅の前に再び出てくる魔理沙と鈴仙。二人はスペルカードを持ち、魔理沙はミニ八卦路を。鈴仙は目を赤く光らせている。当然、秋姉妹は困惑するばかり。

 

「……えっ? えっ? どうしてその二人が出てくるわけ!?」

 

「私達あなた達と戦うつもりなんてないわよ!? あくまでその男に用があるだけで──」

 

「──恋符【マスタースパーク】!」

 

「──幻惑【花冠視線(クラウンヴィジョン)】!」

 

 魔理沙の光線が静葉に、鈴仙のリング弾が穣子に襲い掛かり──

 

「──いやぁあああっ!?(ピチューン)」

 

「──どうしてこうなるのよーっ!?(ピチューン)」

 

 ──二人とも、地面に倒れ伏せた。彼女達の動く気配がないのを見て静雅は一言。

 

「…………これはひどい」

 

「むしろこいつらが悪いだろ。何もしていない静雅に敵意を持って来たんだからな」

 

「さぁ、次に進みましょ」

 

「あ、あぁ……」

 

 倒れている二人を置いて、魔理沙と鈴仙は移動し始める。静雅は二人に手の焦点を合わせ──

 

「……とりあえず、家に転送させてやるか……というより幽香が過去に言っていた神様がこいつらだったんだな……」

 

 静雅は二人を能力で家に入れさせ、先に行った二人を追いかけた……。

 

 

 

 

 

 

 

 次々と進んでいき、途中見回りをしていたと思われる天狗が現れ、不運なのか攻撃を天狗は仕掛けてしまい……静雅達が通った後は死屍累々。進み終わった道には多数の天狗が倒れている。

 

 無論、静雅は一度も攻撃をしていないし、能力も使用していない。喧嘩(というより警告多数なのだが)を売ってきた人物は片っ端から魔理沙と鈴仙が退治している。

 

「どうだ! これで私が退治した数が多いぜ!」

 

「残念だったわね! 私も追いついて同数だから!」

 

「(……【同数の事象】っていうことで守矢神社に着くころは同じ数になるよう能力で調整しておこう……)」

 

 そう心から決心した時……森の茂みから赤いリボンが特徴な、ゴスロリみたいな服を着た女性が現れ──

 

『厄いわ……物凄い厄い気配を感じる──』

 

「また新手か出たか!」

 

「今度は私が──」

 

「だから最初から喧嘩を売るのをやめろっ!」

 

「…………何? このすごい厄い組み合わせ? それに男のあなたから感じるこの感じ……私と似ているような……?」

 

 その女性は襲われかけて呆然としていたが、静雅が再び二人の行動を制止させ、目の前にいる女性に話しかける。

 

「お前さん……一言聞きたいんだが敵意があるのか?」

 

「敵意はないわ。ただ、人間が妖怪の山に入らないように警告をしているだけよ? それに男のあなたから……何か感じるわね? 厄に似ているような違う【負】に」

 

「厄……?」

 

 静雅の疑問に、魔理沙と鈴仙が次々に答えた。

 

「確か名前は鍵山雛だっけか? そいつは厄神だぜ」

 

「人の持っている厄を集めてくれる神様なの。ただ厄神に近づくとその厄が移って不幸になると言われているわ」

 

「つまり……どういう形であれ、神々の類なのか?」

 

 静雅の疑問に目の前にいる女性──鍵山雛は同意した。

 

「えぇ。そこにいる二人の言う通り。ところで……あなたは何者? 明らかに人間ではないことは確かだけど……厄とは違う【負】を感じたのは初めてだわ」

 

「ようやく、話を聞いてくれる神がいて助かった……とりあえずオレの話を聞いてくれ……」

 

 

 

 

 

 神々お話し中……

 

 

 

 

 

「──成程ね。あなたも神様で、ある意味私達の天敵。でも滅ぼすつもりは毛頭なくて、初代龍神様の子孫で親友である辰上侠を連れ戻しに来たわけね」

 

「理解が早くて助かる。ところでもうオレの嫌な気配はしないか?」

 

「あなたの素性を知ったとたん、そういう感じはなくなったわ。第一印象で何か感じたけど、私もある意味【負】の分類だからそんなに嫌な感じはしなかったわ」

 

「それは喜んでいいのだろうか……? 秋の神達は嫌悪感を持っていて、厄神様は持っていたなかったのは。いや、むしろ良かったんだろうな。敵に回す事がなくて。それより──」

 

 幸運にも戦闘は行わず、静雅は雛と会話をしていたが……侠も同様に思った疑問を雛に問いかける。

 

「──話すのに距離が遠すぎないか?」

 

「ごめんなさい……あまり近くにいると厄を兎妖怪の言う通り移しちゃうの……」

 

「……厄があるとその厄が移ると解釈していいのか?」

 

「えぇ。まだ一定量まで厄がたまっていなくてね……厄を受け取ってくれる神々に渡せていないのよ」

 

「……そうか」

 

 相槌をうちながら、雛の言葉に何か考えている静雅。その静雅に傍観していた魔理沙と鈴仙は声をかけた。

 

「静雅。雛もそう言っているんだ。さっさと進もうぜ」

 

「えぇ。ここで時間を消費するのはもったいないし。行きましょう」

 

 二人は次に進めようと行動を静雅に促す。

 

 だが、当本人は──

 

 

 

 

 

「だったら……その距離感をなくすか」

 

 

 

 

 

「「「……え(は)?」」」

 

 急な静雅の発言にその場にいた人物たちは疑問に思った。そして、その発言をした静雅はというと……雛に歩いて近づいていく。当然、彼女は静雅にやめるように行動を促していた。

 

「っ!? あなた話を聞いていたでしょ!? 私の近くに寄ると厄が移っちゃうのよ!?」

 

「厄の所為で雛の近くに寄れないのは解せぬ。だからオレが近づく」

 

「何よ根拠のない理論!?」

 

「お、おい静雅!? 近づくのはやめとけって!?」

 

「そうよ!? どうして自ら不幸になるような選択肢を――」

 

 二人は静雅に近づき止めようとしたが……途中で魔理沙と鈴仙の体の動きが止まった。

 

「な、何だぜ!? 体が動かない……!?」

 

「静雅!? この金縛りみたいなのはあなたがっ!?」

 

「悪いが二人には【体を動かせない】事にした。何、自ら不幸になるつもりはない。オレはただ──」

 

「こ、来ないでっ!? 私が溜め込んでいる厄であなたを不幸にしたくない──」

 

 雛は拒絶の意思を示したが、静雅の手の標準が雛に合った時──

 

 

 

 

 

 ――雛の纏っている【負】がはじけ、消えた。

 

 

 

 

 

「──えっ……!? 私の厄が……消えた!?」

 

「さぞかし、【厄払い】の事になるんだろうな、この場合。だけどな──」

 

 静雅は雛の手を取り、彼女の顔を見ながら、笑いかけながら言った。

 

「これならお互い、温もりを近くに感じることができるだろ? 遠慮することはねぇよ、雛」

 

「────」

 

「しかし……雛の手、少し冷たいな……どれ、オレが少し温めて──」

 

 そう言いかけた時……静雅の首後ろの襟が掴まれた。二つの手で。

 

 静雅は壊れかけのロボットのように、ゆっくりと後ろを振り返ると……怒りの表情を浮かべている二人が。

 

「やべ……気を抜いて能力解いちまった」

 

「静雅っ! 道草食ってないでさっさと向かうぜ!」

 

「そうよっ! 私達はこんなところで無駄に時間を消費するわけにはいかないんだからねっ!」

 

「ちょ、まっ!? もう少し雛との触れ合いを!? せっかく厄払いしたのに触れ合えないとかっ!? 雛、ヘルプ――グフッ!? 襟元を引っ張っていくな!? 首が絞まる──!?」

 

 引っ張られるようにして静雅は無理やり魔理沙と鈴仙によって強制連行され、次へと向かわされた……。

 

 

 

 

 

 

 

「…………私が人肌に触れられるだなんて思っていなかったわ…………」

 

 雛はいきなりの静雅の行動で呆然としていたが、遠くなっていく静雅を見て思う。

 

「(男の人の手って……あんなにも温かいのね……)」

 

 愛おしそうに、静雅の温もりを感じていた手を胸に置いた。それと同時に――胸の内から温かくなるようにも感じた。今まで感じたことのない感情に包まれて、頬を赤く染め上げながら――心から思った。

 

 

 

「(──また、会えるわよね? 静雅……)」

 

 

 

 

 

 




 雛さんって結構癒し系と分類だと思う。

 ではまた。
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