三人称。
では本編どうぞ。
一方。静雅が探している人物である──龍神の先祖返りの辰上侠は東風谷早苗と共に紅魔館に着いた。門番である紅美鈴は頭にナイフが刺さってながら起きている。そして侠達を確認すると挨拶をした。
「これはこんにちは、侠さん。早苗さんと一緒なのは珍しいですね? 本日はどのようなご用件で?」
「(頭のことに疑問を問いかけるのは野暮なのかな……?)ちょっと静雅に会いに来たんですよ。外界で静雅の事を知っていた東風谷が会いたいと言っていたもので」
「(前みたいに頭にナイフが……?)それで本堂さんにまた会いに来たわけですが……いらっしゃいますか?」
二人ともナイフの事に触れたかったがスルー。二人の問いに美鈴は答えた。
「そういえばまだ静雅さんは見ていないですね……いつもなら私と談笑してから紅魔館に戻っているはずなんですが、まだしていないということは帰ってきていないかもしれません」
「あれ? そうなんだ。そうなると寺子屋ですれ違ったのかな? フランドールの迎えにいつも来ているはずだし」
「そうなんですか!? じゃあ寺子屋で待っていれば本堂さんに会えたかもしれませんのに……すいません、侠君」
「いや、過ぎ去ったことはしょうがないよ。でもせっかく紅魔館に来たわけだし……本でも読んで帰ろうかな?」
「本……ですか? でもだいたいある本って魔力のある魔法使いじゃないと読めない本が多数じゃなかったですか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。龍神補正……というよりは自分も魔力を持っているから」
「龍神様の先祖返りってすごいですね……」
「だから紅さん。図書館に行っても良いかな?」
「あ、はい。侠さんはお嬢様から許可されていますし、あなたの監督内でしたら早苗さんも大丈夫だと思います。ではどうぞ」
美鈴は侠達に道を譲り、彼らは図書館へと向かった……。
『……図書館に来たと思ったら、連れてくる人物もいるとはね……』
「本当は静雅に会わせたかったんだけど、生憎いないみたいだからね。ちょっと本を読んで帰ろうかなって」
「いえいえっ! それだけでも大丈夫ですよ侠さん! ゆっくりしていってください!」
「ありがと、こぁさん」
「……む」
図書館へと移動し、侠はパチュリー達と会話をしている中……早苗は不機嫌そうにしているが、パチュリーから読み聞かせをしてもらっていたフランドールは侠に話しかける。
「あ、侠。静雅と会った?」
「いや、会ってないよ?」
「私、静雅に能力で送ってもらったんだけど……その前に侠の事で話していたんだよ。何か知らない?」
「さすがにそれだけの情報だとわからないかな……そもそも静雅はどこにいったのか分からないし」
「そうなんだー……早く静雅帰ってこないかな……?」
「まぁ、静雅の事だからその内帰ってくるんじゃない? まぁ、それはおいておくとして……ノーレッジ。魔法を扱う本ある? ちょっと読んでみたいんだけど」
フランドールと会話をし終えた後、パチュリーに魔法の本について侠は尋ねるが……疑問を含めた声で彼女は聞き返した。
「え? つまり魔導書? 前に図書館に来たときは何でか大丈夫だったみたいだけど、魔力を持っていない人物にはやっぱり読ませるわけには──」
「じゃあ魔力に切り替えれば良いんだね? じゃあちょっと待ってて」
「──は? 切り替える? それってどういう──」
早苗以外疑問を含めた視線を侠に送るが、当本人は左手の二本指を額に当てて目を閉じて……終わる頃には何故か侠の持つ雰囲気が変わった。
そしていち早く感じたパチュリーは驚きの声をあげる。
「──!? これは……確かに魔力っ!? それに魔力量は甚大じゃない……!?」
「多分、静雅達に聞いたと思うけど、初代龍神の先祖返りなのは知っているよね? その特性の一つとして霊力、魔力、妖力、神力を持っているってご先祖様から教えられてね。デフォルトは妖力だけど、切り替えることも出来るんだよ」
「侠さん……それじゃあ魔法使いにもなれるっていうことですか?」
「ぶっちゃけそうだと思う。でも、あくまで【人間】として生きるつもりだけど」
小悪魔の質問に答えた侠。その後、早苗からあることも問いかけられる。
「? どうしてデフォルトが妖力なんですか? 人間として過ごすのならば、霊力でも良いような気がしますが……?」
「前に博麗にも説明したけど、妖力に設定していた方が妖怪に襲われにくくなるんだって。だから」
「さすがに初代龍神様を襲うような妖怪はいませんって──」
早苗が侠に言い終えたとき……図書館の扉が開き、そこには──紅魔館の主のレミリアと従者である咲夜が入ってきて、レミリアは侠を見て疑問と共に非難の言葉を投げつけた。
「感じたことがない気配だと思ったら……自称人間、お前かっ! 紛らわしいわよ! 普段の自称人間の気配が消えたから新手の敵だと思ったわよ!?」
「あ、ゴメン。気配まで変わるとは思ってなかった」
「全く……慌てて来たと思ったらこれだもの……一体何が原因で──」
「──侠っ!? どうしてあなたがここにいるのよ!?」
珍しく、咲夜がレミリアの言葉を遮って侠の存在に驚いている。その事に疑問に思った侠は返事を返す。
「ゑ? だって自分紅魔館を顔パス出来るし──」
「今、静雅があなたを探しに妖怪の山に向かったのよ! 霊夢に命令されて!」
「……博麗に言われて? それはどうして?」
「私は霊夢が怒っていた理由を見つけたのよ……それがこれ」
咲夜はどこからか出した紙の纏まり──新聞を渡す。それを見ようと周りの人物達ものぞき込む。
そして、侠はある見出しを読み上げた。
「え〜っと何々……【初代龍神の先祖返り、辰上侠。暴漢から守矢の巫女を救う!】──って三日ほど前にあったことじゃないかっ!?」
「あっ!? それに侠君、この写真は……!?」
侠が読み上げた見出しと共に、載せられていた写真。それは──落ちないようにして侠の首に手を回して──第三者から見ると抱きついている写真。
それを見て、一番早く反応したのは……小悪魔。
「こぁっ!? きょ、侠さん!? も、もしかして……早苗さんとはそういう関係なんですかぁっ!?」
小悪魔の言葉に侠が反応するより、早苗がその事について喋っていたが──
「え、えっと小悪魔さん!? 実はそういう関係だったら私的は嬉──」
「こぁさん、違うから。自分と東風谷はそんな関係じゃないから」
「…………(よ、よかったです……)」
「…………(そんな躊躇いもなく否定されると悲しいです……)」
「しかもこの新聞、射命丸のじゃないか!? いつ撮られたんだ!?」
「霊夢を怒らす原因となった一文が、これもあるんじゃないかしら……?」
小悪魔は安堵し、早苗は寂しそうな表情をしていたが……咲夜は一文を指し示し、侠はその文を読み上げる。
「……【どうやら博麗神社から守矢神社に拠点を移した模様。住みやすさでは守矢神社の方が上なのか? 守矢神社の信仰活動に協力していた場面から考えると、二柱ではなく『三柱』となりつつあるかもしれない。私から見た視線だと二柱は龍神の先祖返りである辰上侠を快く思っており、守矢の巫女の婿になる可能性が大】……東風谷とそういう関係じゃないのに勝手に婿扱いにされてる!? まさか博麗は自分が守矢神社に居候を始めたという勘違いを!?」
「わ、私と侠君が許嫁ですかっ!?」
「いや、許嫁とは書かれていないでしょうに……」
急に早苗は勘違い的な発言をしたが、冷静にレミリアがツッコミを入れた。
彼女とレミリアの言葉を聞いてか、フランドールは疑問そうにパチュリーに話しかける。
「ねぇパチュリー?【いいなずけ】って何?」
「許嫁というのはお互いの将来を──」
「いやノーレッジ!? 自分と東風谷はそんな関係じゃないからね!? それにわざわざ許嫁の説明しなくて良いから!」
「あら? 妹様の探究心のために教えようかと思ったのに」
「今そういう時間じゃないからな!? 俺の問題が片付いてからそういう事を教えろっ!」
「「「「「「(あ、男口調になった……)」」」」」」
パチュリーのどこかふざけているような言葉の返しに、彼は一時的だが【素】に戻った。普段とっている態度ではまとめられないと思ったのかは定かではないが……。
素に一時的に戻った侠は改めて咲夜に情報を求める。
「十六夜、静雅は妖怪の山、つまり守矢神社に向かったんだよな? 静雅は妖怪の山の地理が分からないはずだがそれはどうしたんだ!?」
「それは魔理沙が同行したわ……妖怪の山は人間禁制にも関わらずにね」
「俺はご先祖様が心にいて先祖返りだから例外的に認めてもらったが、能力はあれど、襲われる危険性があるじゃないか! 静雅と霧雨は人間だぞ!」
「「「「「…………え?」」」」」
侠は自分の思ったような発言を出したが……早苗を除く紅魔館メンバーは驚いている表情をしている。
侠の発言に疑問を覚えなかった早苗が咲夜に問いかけた。
「あの、咲夜さん? 他の皆さんもそうですが……どこか侠君の発言におかしいところがあったのでしょうか?」
「おかしいもなにも……侠、あなた静雅の種族を知らないの?」
「は? 数十年幼馴染みしているんだぞ? どう考えても人間だろうが。一体何を言っているんだお前らは……?」
……早苗はともかく、一番過ごしている時間が長い侠が知らない事実がある。
──彼は能力を教えてもらっただけで、種族については一切のことは聞いていないし教えてもらってもない。実際に静雅は幻想郷に来る前は人間だったが──彼は幻想郷の環境に突然変異をおこし、神様の種族になっていることは今まで知らなかった。
それに察したパチュリーは今まで知らなかった侠、外界で人間でモデルとして知っている早苗に説明しようとしたが──
「今まで知らなかったことに驚きだけど……静雅はこの幻想郷に来たときに突然変異を起こして【荒人神】という特殊な神様に──あっ!?」
──説明している途中で、パチュリーは静雅と会話した重要なことを思い出した……。
『──それで、今のオレの種族って何だ? 神か?』
『──神よ』
『…………Really?』
『本当よ? 神の分類で間違いないわね……落とすようで悪いけど、性格の悪い方面の神だけど。あなた、ロキって神を知っている?』
『いや、聞いたことがないな……』
『ロキっていうのは災いの神として有名で、賢いがいつわり多く,神々の滅亡の原因をつくる神なのよ』
『……神なのに他の神を滅亡させるのか?』
『そうみたいね。他に特徴としてあげるとしたら悪知恵にたけているところね。簡単に言えば普通誰もしないようなことをしたり、イタズラするのが好きな神なのよ……妖怪の山の方の巫女はあなたと同じような人の姿を現した神──現人神と呼ばれているけど、静雅の場合は人の心を荒らす姿の神の方の──荒人神ね。これは推測なのだけど……あなた以外の神に分類する人物から見ると、第一印象で嫌悪感を抱く可能性があるわ。何だって神を滅亡させる原因だもの。だからもし会うときは注意しなさい』
『あぁ。注意する』
「──もしかすると、今の事態はいけないかも知れないわっ!」
「……いろいろと何故か静雅が神の種族というのことが気になるが……どういけないんだ? ノーレッジ?」
重要なことを思い出し発言したパチュリーの言葉に侠が問いかけ、彼女にしては珍しく焦るように言う。
「静雅はそんなつもりはないんだけど。神々を滅ぼす神なのよ! 例え静雅自身が喧嘩を売らなくても、ほかの神々から敵意を持たれやすいのよ!」
「むしろ人間よりダメじゃねぇか!?」
渾身の侠のツッコミが入る。そしてパチュリーの言葉を聞いて次に反応したのが早苗だ。
「!? 本堂さんが私と同じ現人神なのですかっ!?」
「いえ、違うわ。静雅は荒れる人の神と書いて【荒人神】。それに妖怪の山は神々が多く住んでいる……そして守矢神社に向かっているとしたら二柱と戦うことは避けられない!」
「! 神奈子様と諏訪子様と!?」
「そりゃそうでしょ! 霊夢の命令で侠を取り返そうとする静雅。そして第一印象で敵意が持たれやすいんだから例え外界事情を知っていても、傍目から新手の敵と勘違いしてもおかしくない! それに今も守矢神社で厄介になっている辰上侠を無理やり奪おうと勘違いするに違いないわ!」
「っ!? 侠君、急いで守矢神社に戻りましょう!」
「それに同意だっ! 東風谷、向かうぞ!」
「はいっ!」
事の深刻さを知った侠と早苗は、急ぐように図書館から出て行った……。
次話は裏主人公達の場面に戻ります。
ではまた。