最初は表主人公視点。
ではどうぞ。
『とある日での寺子屋』
守矢神社の騒動から数日経って、霊夢と……まぁ、いろいろあったけど。午後になって寺子屋で慧音さんと瓦版作りをしていると──扉が開き、寺子屋で見知った顔が挨拶して入ってきた。
『慧音に……侠もいるな』
「妹紅か。まぁ、そこに立っていないで座ると良い」
「ん」
慧音さんに促されて妹紅は自分の目の前に座ったけど……どうしてか落ち着きが無い。
「…………」
「? どうしたの妹紅?」
「あ、いや……」
何故か自分の方をチラチラ見て本当に落ち着きが無い。自分は何かしただろうか……?
それに察したのかわからないけど、慧音さんが少しにやつきながら妹紅にも聞かせるようにして自分に話し掛けてきた。
「侠、妹紅はこの間のことをまだ気にしているんだ。何だかんだ初心なんだよ」
「け、慧音!? 何言っているんだよ!? 別に私はそんなことは──」
「じゃあ違うのか?」
「…………」
慧音さんがそう改めて問いかけてみると……肌が少しずつ赤くしながら顔をうつむけていた。
この間の事というと……間違って自分が押し倒されたことなんだろうけど──
「妹紅? 君って不老不死なんだから長生きしているんだよね? 恋愛の一つや二つはしているんじゃ──」
「……普通の奴が私の不老不死を受け入れると思うか? 例え結ばれたとしても相手は年老いていくのにも関わらず、私は老いない……一緒の時間が共有できないんだぞ? それは……悲しくないか?」
「……まぁ、確かに」
「それに人を仮に……その、何だ……人を愛するのは一度だけが良い。私が無限の時間の中でいろんな奴とそういう関係になるのはおかしいだろ? せめて、そういうときだけ……一度きりの人生として楽しみたいんだよ」
頬を掻きながら恥ずかしそうに説明した妹紅。確かにそうかもしれない。
……そういえばご先祖様が教えてくれた事で、先祖返りである自分は──
「自分は全ての種族に当てはまることが出来るから……【蓬莱人】だったけ? その気になれば妹紅と同じ【蓬莱人】になれるかも……」
「はっ!?【蓬莱人】になれるってどういうことだよ!?」
「侠? それは私も初耳だぞ? 何故なれるんだ?」
……よくよく考えたらこの事は霊夢しか話していなかった。慧音さんも意味深そうに自分に尋ねてくる。
その事も含め、自分は説明する。
「初代龍神であるご先祖様の先祖返りである自分は全ての種族に当てはまることが出来るらしいです。ご先祖様は幻想郷の生物を創ったって言っていましたし。慧音さんのワーハクタクでしたっけ? 多分それにもなれますよ」
「……侠が私と同じ種族になれるのか……」
「まぁ、自分は人間として生きるつもりですけどね──あ、仕事が終わったので自分は失礼します。しばらくは博麗神社で家事をしばらくしないといけないんで」
仕事が区切りの良いところで終わったので、慧音さんと妹紅に挨拶をして寺子屋を去って行った……。
『「……これなら我は妹紅と戦わなくても良かったかもしれぬのう……」』
心で聞こえるか聞こえないかぐらいでご先祖様は何かの言葉を呟いていたけど。
〜side out〜
『…………同じ種族になれる、か…………』
侠が去った後の寺子屋。意外な事を彼から教えられた妹紅は復唱するかのように呟いていた。
その言葉が慧音に聞こえたのか、彼女はどこか気遣うようにして妹紅に話し掛けた。
「……妹紅、侠が自分と同じ【蓬莱人】になれると知った時……嬉しかっただろう?」
「バッ!? 慧音!? そ、そんなことは──」
「別に今侠はいないだろう? 言っても良いじゃないか」
慧音の落ち着いた口調に妹紅は冷静さを取り戻していく。落ち着いてきたところで……彼女は慧音に打ち明けながら話し始めた。
「…………正直、嬉しかったさ。同じ蓬莱人はバ輝夜とその従者だけだし……。でも……侠は【人間】として生きるって言ってたじゃないか……」
「ふむ……では、もしも仮に侠が妹紅を好きとなってお互い結ばれたとしよう」
急な話の展開に妹紅は戸惑いと同時に恥ずかしさを感じた。何故、彼女の話がどういう経緯でそういう話になったのか理解出来なかったため。
「ちょっ!? 何かいきなり会話が飛んだぞ!? それに何だよ……わ、私が侠と……結ばれるって──」
「まぁ、仮の話だ。そこは気にしなくて良い。それでもし、侠は妹紅の【蓬莱人】のために合わせてくれると思う。侠は寺子屋での生徒の対応を見ると差別していない。それに妹紅の蓬莱人の事を教えても侠はひかなかったし、恐れもしなかったんだろう? それだったら──妹紅と一生過ごすために【蓬莱人】になるのはためらわないと思う」
「……推測とはいえ、相変わらず侠はよくわからないな……」
「私も侠の事は詳しく知らないさ。でも、これは確実に言えると思う」
どこか優しい瞳で例え話をした慧音。妹紅も侠の事を考えたりしたが、あまり良くは話さない為情報が少なく、どこか寂しそうだ。しかし、彼女の背中を押すように慧音は侠を擁護する。
その中……妹紅はどこか怪しむようにして慧音に視線を送り、とある話題について持ち出し始めた。
「……ぶっちゃけ慧音も侠の事は気に入っているんだろ?」
「なっ!? それとこれは話は別だ!」
「知ってるんだぞ私は! 何度か侠を人里の警備隊に誘っていることを!」
「き、聞いていたのか!?」
「あぁ、偶然にな。ちょうど数日前だったか──」
『うーんと……慧音はまだこの時間帯にいるよな……」
数日前の午後。妹紅は雑談という情報交換の為、慧音が現在にいると思われる寺子屋に向かっていた頃だった。耳を澄ませては、誰かいるのか気配を探ろうとする。
「……声からして慧音と……侠か? 何話しているんだ?」
さらに集中して耳を澄ますと──声がクリアに聞こえていくようになった。彼女が聞こえるようになって改めて聞いた声の主は慧音。
『……やっぱり、駄目なのか?」
『自分の移住権は博麗が握っていますからねぇ……。彼女が肯定しない限りは無いと思います」
『もうちょっと侠は自分の意見をきちんと伝えた方が良いぞ? それで誤解を招く事もあるんだからな』
『そんな事を言われましても、自分は今の現状に満足していますし……』
「(……一体、何を話しているんだあの二人?)」
妹紅が心の内で疑問に思っていたところで──その疑問は解消されることになる。
『侠が人里の警備団に入ってくれれば……人里は安泰する方向に向かっていくと思うんだ。龍神の先祖返りである分、安心感もあるだろうし、侠自身の性格も良いのだから人里の住民は快く受け入れてくれると思うんだが……』
『逆に住居とか問題になりますよ? 今の自分が人里で一人暮らしをしたら興味本位で24時間見に来る人もいないとは言い切れないですし……』
『む……そ、そうか……なら──前の事は関係無しに、私の家に居候すれば良いんじゃないか? 現に侠は私の助手をしてくれている事だ。寺子屋までの行き来する時間の節約にもなるし、私と寺子屋についての話も簡単にできるようになって良いと思うんだが……駄目か?」
『………………………………それはちょっと』
『また同じ理由なのか!?」
「(前にも誘ったことがあるのか!?)」
二度目以降と感じられる話に妹紅は驚愕しかありえない。内心彼女が驚いている中、侠は話を続ける。
『仮に博麗が良いと言ったら考えておきます。確かに、そういう時間とかリアルの助けになることは良いのですが……。元々幻想郷に送られた場所が博麗神社でもあるので、博麗か紫さんの許可が無いとどのみち駄目だと思うんで』
『む、むぅ……侠、なら本当に辛くなったら何時でも来て構わないからな? 人里の住民は嬉しく思うだろうし……(私も嬉しく思う)』
『……まぁ、無いという前提で覚えておいてください。それで、次回やる授業の瓦版についてのことなのですが──』
侠は話を打ち切って新しい話題を持ちかけている中、妹紅はこの会話の内容が印象的に残る事になった……。
「──何だかんだ慧音は侠を人里に引き入れようとしているじゃないか! 人里の守護者と言われている慧音は合法的に誘えるからな……そこはどうなんだ〜?」
「わ、私は侠は異変解決者としても数えられているから、侠が人里にいれば住民が安心すると思って──」
……しばらくの間、二人は討論していたそうだ。
実は当初書き溜めをコピペしたときは半分ほどの文字量だったので必死に増やしたのは別の話。
閑話はそれぞれの話の文字量は一定じゃありません。極端に少なかったり、多かったりするのであしからず。
ではまた。