幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ……。
 表主人公視点。
 ではどうぞ。


『弱肉強食な世界』

 寺子屋で授業が終わり、チルノ達に遊ぼうと誘われ、霧の湖付近で適当に遊んだ頃。良い具合の時間で解散して──とある生徒と途中まで一緒に帰っていた時だった。

 

『ねぇー侠ー……食べ物持ってないー?』

 

「今は持ってないなぁ……? そんなにお腹すいた?」

 

「最近、多くの食べ物食べてないのだー……。お腹すいたー……」

 

 一緒に歩いていた生徒であり妖怪──ルーミアはお腹をすかしているらしい。

 

 ……懐には余裕はあるし、良いか。

 

「……団子数本なら人里で買おうか?」

 

「食べるーっ!」

 

 ……何時か食べ物で悪い奴らに連れて行かれないか心配だ。

 

 とりあえずルーミアと共に人里に戻る。それで団子屋で数本頼んだのだけど……さらに二、三本おまけで追加された。

 

『「主よ。それを見通して少ない本数にしたのだろう? まぁ、経済的で何よりだがの」』

 

 こういう時の親切は本当にありがたいと思っています。

 

 人里を出て、再び魔法の森付近の道でルーミアは両手に団子の串を持ちながらご機嫌そうに食べていく。それなら買ったかいもあるんだけど……今まで少し気になった箇所があったので問いかける事に。

 

「ねぇ、ルーミア……頭にある飾りって今までリボンかと思ったけど御札なんだね? 霊夢か誰かにおめかしとしてつけられたの? そうだとしても変わったおめかしだと思うけど……」

 

「頭のこれのことなのかー? これは私が自覚したときからあったー」

 

「あれ? 幼い頃からその御札みたいなリボンを付けてるの? いっそ、本当のリボンをすれば良いのに……」

 

「んー……チルノ達からそう言われてはずそうとしたんだけど……私だと何故か触れないのだー」

 

 ……自分から外すことが出来ない? 一体どういう仕組みなんだろうか?

 

「それでチルノ達はルーミアの御札を外してみた?」

 

「どうしてか、皆もこの御札には触れないのだー。まぁ、それでも私は困らないけどー」

 

 この御札がルーミアを何かから守っているとかそういうの事だろうか?

 

 自分の考えた事に、ご先祖様は意見しようとしたけど──

 

『「……主。そのルーミアの札についての事なのだが──」』

 

『──こいつか? 兄貴の邪魔な人物の一人の奴は?』

 

 急に聞こえる第三者の声。その声の主に自分は聞き覚えがなく、振り返って見ると──七人ほどの、ゴツい外見の男達が自分たちを取り囲んでいた。それぞれの人物達は武器を持って。

 

「…………何か用かな? 君達は?」

 

『兄貴はとある二人の人物が俺達の計画を邪魔しているって言う事を聞いているんだよ。そのウチの一人がお前というわけだ』

 

『それに今じゃ龍神の先祖返りだか知らねぇが、それなりの知名度があるって話じゃねぇか?』

 

『それで日食だかの異変で、博麗の巫女が解決できなかった異変をお前が解決させた……つまり──お前を殺せば、俺達の知名度もあがるってもんよ!』

 

「! まさか君達は東風谷の一件の仲間達か!?」

 

 自分はこういう輩に何となく覚えがあった。三人組の、ならず者。その人物達と被った。

 

 そしてちょうど団子を食べ終えたルーミアは、現状把握という意味で状況を尋ねてくる。

 

「……侠ー? この人間達は侠の事を狙っているのかー?」

 

「そうみたいだね……。ルーミアは飛んで逃げて良いよ。これくらいなら自分一人でも何とかなる──」

 

「嫌だっ!【友達】をおいて逃げるのはダメなのだー! 私もいるっ!」

 

「えぇー……?」

 

『がははっ! よほどバカな奴がいたもんだ! お前はそいつを庇わなきゃいけないわけだ! 俺達を相手しているならば、その餓鬼の命はねぇなっ!』

 

 ルーミアの拒否に少し呆れている時に、ならず者はこちらを見て笑っている。おそらく、人数も含めてハンデを負わせていると思っているらしい。

 

 ……だけど。向こうは勘違いしている事柄がある。一つは多分、ルーミアを人間の少女だと思い込んでいる。外見に騙されやすいのもあるんだろうけど。

 

 そしてもう一つは──相手はルーミアの実力を測り間違えている。確かにルーミアはあまり頭は良くない。だけどその分──自分の能力でフォローする!

 

 自分はルーミアに右手を差し出し、行動を促そうとする。

 

「ルーミアが残って戦うというならば──手を繋いで! そうすれば君の力を底上げ出来る!」

 

「! わかったーっ!」

 

 そしてルーミアが自分の右手と繋ぐ。そして──

 

 

 

 

 

 

 

 ──ルーミアから闇が溢れ出す──

 

 

 

 

 

 

 

『──!? そいつ、まさか妖怪なのか!? しかも何だ!? その【闇】は!?』

 

 ならず者達が動揺している中──闇が晴れ、ルーミアの外見は変わっていないものの──目つきが変わっている。無垢な瞳だったのが、得物を狩るような鋭い視線に。ルーミアは自分と手を繋いでいるのを確認して話し掛けてくる。

 

「──へぇ? 侠の能力って私の力を底上げ出来る能力なのね? おかげでこの小さな体でも、力がみなぎってくるわ」

 

「……ルーミア? 何か君、変わってない? 口調とか、雰囲気が変わっているような気がするんだけど……?」

 

 自分の能力である【力を発展させる程度の能力】はあくまで基礎的な力と能力の発展。だけど──性格や口調などといった精神面は発展しないと思うんだけど……?

 

 少し精神面が大人びたルーミアは自分に行動を促す。

 

「とはいっても根本的な問題が解決していないと、貴方から接触が離れたら元に戻ると思うけどね。それよりも──この粋がっている人間達を片付けましょ? 誰が強者で、誰が弱者か体でわからせてあげなくちゃ」

 

「……いろいろと君に疑問が湧くけど、まぁ、いいや。君の意見には賛成だ!」

 

 ルーミアの言葉に頷き──右手以外を龍化。翼を出し、利き手の左手、足を龍化。機動力を上げる。

 

 そしてならず者達は、騒ぎ出す。

 

『……行くぞお前らぁっ!』

 

 その声と同時にならず者達は動き出した。自分はルーミアに行動を促す。

 

「自分が君の動きに合わせる! 好きな通りに動いて!」

 

「じゃあお構いなく──」

 

 ルーミアが動くと共に、自分も移動。運動神経も活性化されている所為か、一人のならず者のそのまま反応できずに──ルーミアは右手で相手の顔を掴み、地面にそのまま勢いよくたたきつけた。トドメと言わんばかりに、体が活性化されているのを利用し、背骨を狙ってかかと落とし。そのまま一人のならず者は苦痛の声をあげるものの、動かなくなった。

 

 一人の仲間が数秒でやられたのを見たならず者の一人は、怯えた声でルーミアに声をあげる。

 

『な、何だ今の動き……!? 人間じゃねぇっ!?』

 

「妖怪だもの。それに、初代龍神の子孫の能力によって私の力は底上げされている。だからといって私を狙えば、侠が黙ってはいない。むしろただの人間が私達を襲おうだなんて生涯を使っても無理なのよ。そもそも、どうして私を狙おうとしたのかしら?」

 

『そ、それは──』

 

「大方、侠の近辺の人物に探りをいれていたんでしょう? それで、普段の私が一番人間の少女に見えたってところかしら? 侠一人でも勝てないなら、足手まといを作ればいい。チルノ達と離れたところを狙いたかったんでしょうけど……その時、私と侠は人里に向かっていたから襲えなかった。人里の近くで騒ぎを起こせば警備団や、人里の守護者が来てしまうから。だからこそ、人里から距離を取って、このタイミングを狙ったといったところでしょ? そして仮に、あの時の私が逃げていたら、複数人で私を追いかけて侠を錯乱。隙あればトドメ……と、いったところでしょうね」

 

「…………」

 

 ルーミアの推察に、ならず者は悔しそうにしているけど……自分からの視線にルーミアは気づいたのか、問いかけてくる。

 

「……どうしたの侠?」

 

「いや、君って本当にルーミア? すごい根拠のある話し方だけど……?」

 

「私には変わりはないわよ。ただ、今のところ貴方の能力での限定の私だけどね」

 

 そして自分の話し終えたルーミアは、体の向きを変えてならず者達に鋭い眼光を向けながら──

 

 

 

 

 

 

「──そういえば、まだお腹がすいているのよねぇ……? ここにいる人間達を食べちゃおうかしら? 人里外だから──問題は無いわね? 世の中、弱き者は強き者の糧となるんだから」

 

 

 

 

 

 

『ひ──ひぃいいいっ!?』

 

 ルーミアの言葉を聞くと、既に倒れているならず者を残して去って行った。そこは仲間を救おうよ? よほど性格に難があるとわかる一面。

 

 ふぅ、と溜息をルーミアはつきながら、龍化を解いている自分に彼女は話し掛けてくる。

 

「侠……手を離したら博麗神社に戻りなさい。ここからは妖怪として、人間を襲う場面になるわ。そこに寝っ転がっている人間をね。正直、まずい物であれ、空腹は満たさないといけないから」

 

「……そういえば幻想郷は弱肉強食の具体的な例だったね。でも、ルーミア……今の君の状態で自分を食べようとは思わないの?」

 

「あら? 食べて良いの? 正直言ってあの転がっている人間より、貴方の方が確実に美味しそうだから良いけど?」

 

「いや、ゴメン食べないで」

 

「冗談よ。侠は食べない。そうすると【あの子】が困るからね……」

 

 クスクスと笑いながら食べない事を公言してくれた。気になるような言葉を最後に残したけど……ルーミアは手を離した。するとルーミアは──射貫いた視線から、無垢な瞳に戻った。そして自分に話し掛けてくる。

 

「──うーん……あ。変な人間達はいなくなったのかー?」

 

「……覚えてないの?」

 

「どうだろう……? 何か、侠と手を繋いで戦ったのは覚えているんだけど……ま、いっか」

 

 ルーミアは気に掛けないようにした後、倒れている人間を見つけると確認するように問いかけてくる。

 

「……侠ー? あの人間は食べても良いのかー?」

 

「……まぁ、良いんじゃない? 弱肉強食だし。今回の戦利品だと思えば。だけど、川の近くで食べること」

 

「わかったー!」

 

 そう言うとルーミアはならず者の足を掴んで去って行った。

 

「……何かおかしかったな? あの時のルーミア……?」

 

 自分は一先ず、博麗神社に戻っていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「(……主の能力で一時的に全盛期になったのか……? それと随分と丸くなっておるし……主との触れ合いで、そうなったのかの……? だったら、心配はいらぬかもな……)」』

 

 

 

 

 

 

 




 お察しの通り、一時的にルーミアの中はアレになっています。アレに。

 ではまた。
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