幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 宴会の章で表主人公が眠っていたときの起きるまでの裏主人公の二日間の内容。
 三人称。
 ではどうぞ。


『裏主人公の例外な二日間』

 過去に行われた博麗神社での宴会。そこで辰上侠は禁止されている酒を飲んでしまい──急変。普段積極的に関わりに行かない侠だが──真逆な性格になり、言葉でその気にさせるような発言をした後──糸が切れたように眠った。彼の親友曰く、二日間は目を覚まさないらしい。彼が眠っている時の本堂静雅は普通のつもりで過ごしていたのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一日目。侠が眠り始めた次の日、彼の親友である本堂静雅が肩車をしているフランドールと共に博麗神社に現れた。そして神社の家主でもある博麗霊夢に彼は声を掛ける。

 

「おーい、霊夢ー。ちょっくら良いかー?」

 

『あーはいはい。ちょっと待ってなさい』

 

 彼の言葉に応えるように、霊夢が襖を開けて静雅の正面に現れた。そして彼は霊夢にあることを尋ねる。

 

「一応、念のために来たんだが……やっぱり、侠は眠り続けてるか?」

 

「あんたの言う通り、侠は起きやしないわ。明らかに聞こえる声で呼んでも、体を叩いてみても起きないし……何なのよ侠のあの体質は?」

 

「そんなもんオレが知りたいわ」

 

「ねぇー静雅? 侠ってご飯食べなくても大丈夫なの?」

 

 フランドールも会話に参加し、食事はどうなのか彼に尋ねる。彼は当然のように言う。

 

「別に問題ねぇよ。体を動かして食べないのはともかく、動かさないで食べないんだからな。それに人間ってのは確か最低限三日間は飲まず食わずが可能だ。眠って体力を消費しにくいなら尚更だ」

 

「へぇー、そうなんだー……」

 

「……それを聞いてちょっと安心したわ。もし必要だったらどうすれば良かったのよ……?」

 

 感心しているフランをよそに、ちょっとした心配事だった事を呟く霊夢。そして彼は霊夢の言葉に反応し、からかいの言葉を。

 

「口移しだろJK」

 

「はぁっ!? く、口移し!? も、もしも二日間以上眠るようだったら……し、しなくちゃいけないのっ!?」

 

「いや、マジになるなよ? 普通に口元に運んで入れさせて、咀嚼させれば大丈夫だろ。それに明日中には目を覚ますだろうし」

 

「た、質の悪い冗談を言うなっ!」

 

「ふはははっ! オレ達はこれにて失礼するっ!」

 

 霊夢が怒りと共に御札を構えたところで、静雅達は一瞬にして消えた。その後の博麗神社では、朝食をたかりに来た白黒魔法使いに八つ当たりしていたのは彼女たちしか知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ってな事で、本来は本日から復帰予定だった侠がダウンした。二日後には復帰できると思うからそれまでの間、まだ代理を続けたいと思うが……良いか先生さん?」

 

「……意外だな? 侠はそんな酒に弱かったのか……」

 

 小声で侠が来られない事を寺子屋の教師でもある──上白沢慧音に伝える静雅。割愛して、『侠は酒を飲んで二日間寝込んでいる』という事を伝えた。

 

 話し終えた事を両者確認し、慧音は教壇の前へ。静雅は彼女の近くに立つ。

 

「皆。本来は今日から辰上侠は復帰するはずだったんだが……体調を崩しているみたいでな。二日ほど、療養するみたいだ」

 

『えーっ!?』

 

 生徒の残念そうな声。寺子屋では実は言うと、静雅より侠の方が人気がある。あくまで総合的に見ればだが……侠は男女構わず人気があるのだが、静雅は女子に人気が偏っている。だからといって静雅は男子に嫌われていないようだが。

 

 その中、氷の妖精であるチルノが文句を言う。

 

「今日こそキョーに弾幕ごっこで勝とうと思ったのにーっ!」

 

「ち、チルノちゃん? 侠さんだって疲れているんだよ。普段と違う場所の白玉楼で過ごしてたみたいだし。それで多分、博麗神社に帰ったなりで一気に疲れが出て体調を崩しちゃったんだと思うよ?」

 

「そうなのかー……」

 

 大妖精が自分なりの考えを述べながらチルノを宥める。彼女の考えを聞いてか、ルーミアは悲しそうな声が。

 

 彼女達の共通の友達でもあるリグルが思っていたことを呟いていた。

 

「異変解決者といえど、やっぱり人間なんだね……霊夢さん達とは違って本当の」

 

「(……あの宴会での侠さんの事を話しちゃったらダメですよね……)」

 

 寺子屋の中で数少ない、侠が休んでいる理由を知っている橙は黙っていた。

 

 生徒がざわついている中──

 

「……え? 侠と会えない……? ようやく会えると思ったのに……?」

 

 ──夜雀の妖怪が、物凄く落胆していた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これといって特に大きな出来事が起きなく、夜になっていた。静雅は図書館に寄り、パチュリーの使い魔である小悪魔と話していた。

 

「──ほぉ。一応小悪魔は見舞いに行ったのか」

 

「はい……本当に侠さんに声を掛けても起きないんですよね……」

 

「一種の眠りの呪いだよな、あれ」

 

 呪いの言葉に反応したのか、フランに本を読み聞かせながらパチュリーは会話に参加してくる。

 

「眠りの呪い、ねぇ……どこかの話でその呪いと解く方法があったような……?」

 

「えっ!? 本当ですかパチュリー様!?」

 

「そうねぇ……確か過去に妹様に聞かせた話だったと思うけど……何だったかしら?」

 

 もしかしたらという意味合いで、小悪魔はパチュリーの言った事に興味を持った。パチュリーは思いだそうとするが──それよりもフランが思い出したようで発言。

 

「確かそれって【きす】で目覚めてなかった? パチュリー?」

 

「あ、そうそうそれだわ。だからこぁ──辰上侠にキスしてきなさい」

 

「こぁあああっ!? それはあくまで話の中ですよね!? 確証ないですよね!?」

 

 平然と言うパチュリーに小悪魔は顔一面赤く染め上げ投げながら首を横に早く振りながら拒否。しかし、彼女の主は発言を続ける。

 

「もしもそれで目を覚まさなかったら【この発言は事象として認められない!】すれば良いのよ。それで辰上侠の【この発言は事象として認められない】をこぁの【この発言は事象(ry)】に注いで、辰上侠を父親にすれば……やっぱり、そういうフォローをしてくれて助かったわ、静雅」

 

「……だいたいは予想していたけどな……フラン嬢もいるんだからそういうのは控えてくれないか?」

 

「いずれ妹様もシチュエーションは違うとしても、そうなると思うわ」

 

「清々しいなおい」

 

 意味合いが分かっている静雅はおいて、フランはパチュリーに疑問を覚えているようで疑問をぶつけた。

 

「……? ねぇパチュリー何て言っていたの? 所々聞こえなかったんだけど……?」

 

「大丈夫よ妹様。私の言ったことは何時か分かるときが来るわ」

 

 そしてパチュリーは使い魔に視線をチラッと向けると──顔や首筋まで赤く染まって……固まっていた。

 

 そして、自分の従者である静雅にフランは類似の言葉を交えながら問いかける。

 

「何か言葉が所々聞こえなかったのって静雅の仕業? パチュリーは何て言ってたの?」

 

「HAHAHA。フラン嬢の精神年齢は幼いからな。まだパチュリーの言葉を聞くことが出来ないんだ」

 

「……む〜っ!」

 

 笑って誤魔化す静雅にフランは頬を膨らませながら不満そうな声を。

 

 そこに──急に人影が現れる。そこにいたのは紅魔館のメイド長である十六夜咲夜。彼女は静雅を見るなり、彼の正面に駆け寄って話し掛けていたが──

 

「やっぱり図書館にいた……それで明日の買い出しの事なんだけど──」

 

「──私幼くないもーんっ!!」

 

 咲夜に話し掛けられていた静雅だったのだが──彼の背面に、フランが飛びついた。予想外な出来事だった所為か──彼は驚きながら倒れ込む。

 

「うおっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

 巻き込まれた咲夜は彼の下敷きに──なる前に静雅は両膝を床に、片手を床に着けて急ブレーキを。もう片方の手も同様にしようとしたのだが──

 

 

 

 

 

 ムニュッ

 

 

 

 

 

 ──彼の片手に、柔らかい感触が伝わってきた。

 

「…………ん?」

 

 床の感触とは違い、違和感を覚える静雅。違和感の片手の先を見てみると──

 

 

 

 

 

 

 

 十六夜咲夜の胸に静雅の手が乗っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「……………………おっふ!? 悪い咲夜真面目に悪い十割オレが悪いっ!?」

 

 すぐさま彼は背中にフランがくっつているまま咲夜と距離をとった。咲夜は立ち上がったが……彼女の顔は羞恥で顔を赤く染めあげながら、彼女は困っているような表情で彼が触った後の胸に手を置いている。

 

「…………」

 

 そのまま咲夜は──時を止めて、逃げたかのように図書館を去った。

 

 そして放っておくワケにはいかなかったのか──静雅は背中にくっついているフランを離して──

 

「フラン嬢悪いっ! ちょっくら咲夜を追ってくるっ!」

 

 彼もまた、能力で図書館から去った。恥ずかしさのあまりに逃げてしまった彼女を追っているのだろう。そして図書館に残っている人物はというと。

 

「……あれ? これって私の所為なのかな……?」

 

「……妹様。事の発端は私だから妹様は悪くないわ……」

 

「…………」←未だに放心中の小悪魔

 

 そして咲夜と静雅の鬼ごっこが始まったのだが……一日目の勝者は咲夜だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二日目。紅魔館の朝食で同じ場所に居合わせている──咲夜と静雅。二人は一瞬でも視線が交わると気まずそうに顔を反らした。当事者であるパチュリー、フランは申し訳なさそうにしているが(小悪魔はパチュリーに大雑把に聞いていた)、それを見て事情を知らない一人である紅美鈴は咲夜に問いかけた。

 

「? 咲夜さん、どうかしたんですか? 静雅さんを見るなり顔を反らして……?」

 

「っ! な、何でも無いわ!?」

 

「(……? いつもの咲夜さんの【気】が乱れているような……?)」

 

 美鈴の能力である【気を扱う程度の能力】で咲夜の気を探ってみたところ、どうやらいつもと違い、落ち着きが無いらしい。あまり突っかかるとナイフが飛んでくると思ったので深く探るのを美鈴は止めた。

 

「…………」

 

 その中、紅魔館の主であるレミリア・スカーレットは咲夜と静雅を観察するように見る。二人を一通り見て、再び咲夜に視線を戻したところで──彼女は自分の従者に話を振った。

 

「そういえば、今日は買い出しの日だったかしら? フランと静雅は寺子屋にいて……咲夜。静雅がフランを紅魔館を送り届けたら一緒に行きなさい」

 

「! は……はい。わかりました……」

 

 一瞬咲夜は戸惑ったものの、承諾。そしてレミリアを出汁にしてかわからないが、好機と思った静雅は咲夜に話し掛けようと声を掛けたが──

 

「あのさ、咲夜……昨日は──」

 

「お、お嬢様の食器が空になったので洗いにいきますねっ」

 

 しかし彼女はレミリアが空にした食器を持つとその場から消えた。自分から逃げられている事実に静雅は落胆。

 

「はぁ……イベントが起きたと思ったら逃げられているな……静雅さんは悲しい……」

 

「…………静雅。一応念のために聞きたいんど……あなた達二人は喧嘩でもしたの?」

 

「いんや。喧嘩はしていないんだが……立場が立場だからなぁ……。オレが悪いんよ。せっかくレミリア嬢が場面を作ってくれたというのに……」

 

 落ち込んで見える彼にレミリアは詳細を尋ね、静雅は回答。彼女は少し溜息をすると、注意するように話し掛けた。

 

「はぁ……何が原因であぁなったのかは聞かないわ。でも……静雅。あなたの所為で咲夜が淹れる紅茶の質が落ちているの。切っ掛けはちゃんと作ってあげたんだから、ちゃんと誠意を持って謝罪しなさい」

 

「……了解した」

 

 控え気味に静雅は返事をすると、箸を進めるのを再開し始めた……。

 

 

 

 

 

 

 

「(……あなたは能力で操れないけど、咲夜の方では有効なのよ。あなたの能力の影響で、私の操った【咲夜の運命】が私の筋書き通りになれば良いのだけど……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間が過ぎ、静雅がフランを紅魔館に送り届けて──買い出しまでの道中。静雅と咲夜は平行に歩いていたのだが──

 

「「…………」」

 

 ──二人とも、微妙に距離が離れながら歩いていた。静雅が咲夜の方へ視線を向けると咲夜は顔を反らし、逆に彼女が彼に視線を送ると彼が顔を反らしたり。何とも言えない気まずさが流れていた。

 

 そして……何とかしないといけないと静雅は思ったのだろう。彼は咲夜に話を振る。

 

「やっぱさ、咲夜が作る料理はうまいと思うんだよ。外界の料理とはひと味違うし、オレなんてそういう料理が出来ないから羨ましいと思ったり」

 

「…………そう」

 

 褒めてから謝ろうとしたのだろう。彼は行動に移したのだが……反応はあったものの、それだけ。反応は薄かった。

 

 そして──折れるのが早かったのか、静雅は──

 

「──すいませんでしたぁっ!!」

 

 ──言葉と共に彼は土下座して謝罪した。急な彼の謝罪方法に咲夜は驚き、必然に声を掛ける。

 

「ちょっと静雅!? 土下座ってどういう事!?」

 

「男のエデンに勝手に触れてしまった事は大変すまないと思っているっ! それで咲夜は気分を害しただろうっ!? さっさと謝れば良いのに少しずつ先延ばして──詫びに何でも言うこと聞くからさっ!!」

 

 彼の謝罪の最後の言葉に、咲夜は確認するように復唱して聞く。

 

「……何でも?」

 

「あぁ。男に二言はない。オレに出来る事なら何でも言ってくれ」

 

 土下座したままで彼は彼女の言葉を肯定した。

 

 そして……数十秒後、咲夜は口を開いて行動を促す。

 

「……静雅。まずは立ち上がってくれるかしら?」

 

「……了解した」

 

「それで……目を瞑ってくれる?」

 

 静雅は咲夜に促されるまま行動に移した。そして彼の内でこう思う。

 

「(恋愛フラグビンビンならキスイベントなんだろうが……それはない。平手打ち一発で済むなら安い方だな……)」

 

 目を瞑ったままで、彼は彼女の行動を待つ。そして──頭に振動が伝わった。

 

 

 

 

 

 尤も──彼の額に何か当たったような感覚だったが。

 

 

 

 

 

「イツッ……」

 

 静雅は額に手を当てて、目を開けて現状を確認すると──【デコピン】の手を形をした咲夜を確認。

 

 彼女は少し小悪魔的な笑みを浮かべながら、からかうように言う。

 

「──一先ずはこれね。少なくとも私を押し倒したのだから、肉体的なダメージは負ってもらわないと」

 

「……は? デコピン? 何か軽くないか?」

 

「……あなたが謝ろうとしてくれたのはわかってたわ。でも──それから逃げていた私もいたから、それについては迷惑をかけたと思っているわ。それに、静雅は普段まともに謝らないのに、土下座まで……。ブンヤがいたら特ダネものだったわよ?」

 

「……オレの場合外界でも取り上げられるな、そのネタ。でも、本当にそれで良かったのか?」

 

 確かめるような彼の声。だが、咲夜は否定する。

 

「違うわよ。まだあるわ」

 

「…………はい? デコピンだけじゃないのか?」

 

「言ったじゃない。『一先ず』はって。まさか人の……む、胸に触っておいて、それで済むと思っているの?」

 

「……言葉の通りで」

 

「だから買い出しの時、あなたは能力で紅魔館に買った物資を送るでしょ? それで今回は能力無し。自分の手で紅魔館まで運ぶ事。それでチャラにしてあげるわ。まさかだと思うけど……男に二言があったりはしないわよね?」

 

 クスクスと笑いながら、静雅の反応を楽しんでいるように見える。優位性が彼女にあると理解した彼は苦笑い。

 

「そりゃないぜメイド長。そんなことを言われたらやるしかないだろ?」

 

「えぇ。あなたは貴重な男手だし、頼りにしているわよ?」

 

「……咲夜──いや、何でも無い。じゃあ人里で荷物持ちしてやんよ」

 

「お願いするわね、執事」

 

 静雅は一瞬、ある事柄について問いかけようとしたが──やめた。

 

 

 

 

 

「(さっきの笑った顔、すげー可愛くて魅力的だなんてくさいセリフでも言ったら……仕事が増えるな、うん)」

 

 

 

 

 

 普段見せることは無い彼女の一面を見られて役得だと思っている静雅はおいて、従者組は人里に着き──当然、執事は苦労して重量のある荷物を運ぶ事は必然である。

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃の博麗神社では──紅魔の魔法使いと同じ考えを持っていたのか……侠の見舞いに来た紫と幽々子に行動を促されて、妖夢は暴走しかけていたところを霊夢が必死になって防いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その日の満月の夜に侠は目覚めるのだが──龍神騒動が起こることになる。

 

 

 

 




 二日間で起きた出来事……ラブコメとはこれでいいのかい?

 そして時折ネジが外れるパッチェさん。こういうのも良いと思う。そして新しい伏せ字【この発言は事象として認められない!】が追加されました。どういう内容かは……察してください。

 ではまた。
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