幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 サブタイ通りにパルる。
 三人称。
 では本編どうぞ。


『人形使いの嫉妬?』

 人里において、広場にアリス・マーガトロイドはいた。彼女の周りには小さな人間の子供を中心に、その子供の保護者もいる。何故、彼女の元に人が集まっているのかというと──

 

 

 

 

 

「──勇者はお姫様をさらった魔王に対面し、剣を突きつけながら言います」

 

「ヒメサマヲカエセー。ワレハメシアナリー、フハハッ」

 

「──勇者の言葉に、挑発的な言葉で魔王は勇者に言う──」

 

 

 

 

 

 

 ──人形劇を行っていた。彼女はたまに人里にて人形劇を行う事がある。そして今やっているのは、勇者が魔王から姫様を救う定番な物語。勇者は静雅の作った天牌。姫様は上海。魔王は──過去に静雅が作った怪獣だったりする。

 

「(……何で過去に静雅が言った大雑把な物語をやろうと思ったのかしらね……? それで天牌は私の教えたセリフの他に、アドリブを言っているのかしら……?)」

 

 結局、過去に静雅が提案した物語をやることに決めた。怪獣の人形だけならやらなかったかもしれないが、男の子の人形がある事は随分変わった。それに加え、天牌は上海達と比べて喋るのが得意。他の人形のセリフはアリス自身が言っているが、勇者のセリフは天牌が言う事が出来る。しかし、中には教えていないセリフも混ざっていたりするが。

 

 そして、物語は終盤に入り──エピローグ。

 

「──こうして、勇者は魔王を倒し、お姫様を取り戻しました。その後、勇者は国の王に功績を認められ、二人の合意の元に仲良く暮らし始めました」

 

「セイギハカナラズカツー」

 

 アリスの言葉で天牌はアドリブを言い、物語が終わったのと同時に観客から拍手が湧いた。それと同時に──

 

『おー! 中々面白い物だった!』

 

 彼女は劇に集中し過ぎて気づかなかったが、ようやく気づく。この人形劇の関係者──本堂静雅の存在に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あなたがちょうど人形劇をやっている時にいるとは思わなかったわ……」

 

「偶然だ。フラン嬢は寺子屋の生徒と遊ぶと言っていたし、人里で知り合いと雑談し終わるとちょうど見かけた。ちゃんとオレの人形使ってくれてるようで何よりだ。まさかゴ○ラまで使ってくれるとは思ってなかったが……」

 

「あなたの言う通り、この人形を有効活用できる劇を考えたら静雅の意見になったの。他意はないわ」

 

「そこは『あなたのおかげで出来た』って言ってくれれば、オレの好感度は上がったのに──だがそれが良い!」

 

「……結局どうなのよ?」

 

 人里で対面したアリスと静雅は、彼女の家にあがっていた。紅茶に合うような菓子をだし、菓子をつまみながら静雅はアリスに話し掛け、アリスは紅茶を飲みながら受け答えしていた。

 

 彼と触れ合う中でアリス自身は過去に気になる話題もあったのだろう。その一つの話題について静雅に話し掛ける。

 

「ねぇ……魔理沙から聞いたんだけど、侠って実際先祖返りだったんでしょ? しかも訳ありの。それに初代龍神が取り憑いていて、その【龍神】の先祖返りだとか」

 

「あぁ。侠はどういう因果かこの幻想郷の創造神の子孫だ」

 

「……それ、一番あなたが驚いたでしょう? 外界からの親友がそういう事だったのは」

 

「いや、ほぼ確信してた」

 

「そう、ほぼ確信してたの──ちょっと待ちなさいよっ!? 知ってたの!? 侠が龍神の先祖返りだったて事!? じゃあ何であの時黙っていたの!? むしろ隠してたの!?」

 

 紅茶を飲み直そうとした彼女だが、彼の平然と言った言葉に度肝を抜かれて聞き返した。あの時というのはもちろん、過去に紅魔館で辰上侠についての議論をしたときを指している。アリスの迫るような質問に、気楽に謝りながら静雅は答えた。

 

「すまんすまん。この事実はあまり当時は知られるわけにはいかなかったんだ。むしろさ、オレが言ったところで【大人数】だと必ずしもオレの意見を蹴る人物は一人や二人はいるだろ? だからこそ、言わなかった。幻想郷といえど、その時の侠の真実の一部は信憑性に欠ける」

 

「……【真実の一部】? まだ、侠には龍神の先祖返り以外に何か秘密があるの?」

 

 静雅の言い方に疑問に思い、アリスは問いかけるものの──彼は紅茶のカップを片手に持ちながら、怪しい笑みを浮かべる。

 

「……どう思う?」

 

「……(表情がわかりづらい。普段覇気がある表情をしているけど……こんな表情をするのは初めて。何か静雅は紫に似ている気がする……真実は知っているのに、それを遠回しにする言い方とか。これは多分──)」

 

 彼女は腹の内の探り合いをしている中、冷静に頭を働かせている中──

 

 

 

 

 

『コイツハスベテシッテイルヨー』

 

 

 

 

 

 さらっと何時の間にかに来ていた天牌が肯定した。アリスが急な発言で驚いている中、静雅は紅茶をおいて困ったように言う。

 

「コラ天牌。シリアスブレイクをするんじゃない」

 

「シリアスハコワスモノー」

 

「だからってシリアルに変えられると逆にオレが困るんだが……?」

 

「バックアップダカライイタイノモアルー」

 

 やれやれ、と静雅は言いながら、アリスに補足するように説明。

 

「そういう事だからオレは知っているんだ。だが、何時伝えられるのかわからないけどな……」

 

「……結局、どんな秘密があるのよ?」

 

「トップシークレット──と、言いたいところだが、一部の真実の少しヒントを出そう。さすがにこれだけじゃわからないかもしれないけどな」

 

 彼はそう言いながら、紅茶を少し含んだ後に話をした。

 

「ヒントとして。辰上侠は本家に存在を隠さなければなりませんでした。特に、龍神の先祖返りという可能性が発見されたときは。当時は二、三歳の侠は本当の両親から養父へと引き取られました。前提条件として、本家は侠の本当の両親のその当時まで情報を知っている。実は片方の親は、実は良心を持った本家の人物だ。しかも、駆け落ちだ」

 

「……改めて聞くと、本当に侠は人間なのにそれなりの人生を送っているわよね……。侠の本当の親もそうだけど……」

 

「違いない。とは言っても、本家に侠を一時奪われるまで幸せに生活していたみたいだが──ここからが問題。侠は実際に【辰上】の血が流れている。本家に【侠の本当の両親】を悟られないようにするため──【辰上】と関係無い養子とするために、何を隠した?」

 

「…………え?」

 

 アリスは困惑した。彼の言っている意図が掴めない。その彼女を見てか、少し悩むように言う。

 

「うーん……さすがにこれじゃあ厳しいか。じゃあ、ちょっくらスペシャルヒント。【本来、オレ達が普通は持っているモノ。しかし、侠はそれを隠さなければならなかった】。以上」

 

「…………情報が少なすぎない?」

 

「そりゃあ、そういう事だからこういうまどろっこしい言い方しているんだしな。逆にこのヒントだけでわかったら尊敬するわ」

 

「……誰か、その事について知っている人はいないの?」

 

 情報が足りなさすぎる所為か、アリスが知っている人物の情報を求める。彼は──言葉を繋げた。

 

「知ってるよ。咲夜が」

 

「──咲夜がっ!? 紅魔館のメイドの!?」

 

「あぁ。侠についての弁論大会で──唯一、オレの不自然さに気づいたんだ。それで咲夜には知っておいてもらおうかと思ってな。万が一に、侠の事を話せる人物の一人として」

 

「……不自然さ?」

 

「そうだ。じゃあ今だからこそ聞いてみるが──侠の話題というのに、何故あの場にいた人物達は【侠の親友であるオレに】質問をしなかった?」

 

「──あっ! 確かに……! 侠の情報なら静雅が一番知っているはず……なのに静雅はちゃんと会話に参加していたけど、私達は一度も静雅に問いかけなかった!」

 

「そういうこった。オレの能力で存在を空気に近い状況にしていたからな。オレが侠の話を止めたときに──きっと咲夜は何かの不自然に気づいて、時を止めて考えていたんだろうな。【何故親友の話題なのに、その親友が打ち切るのか?】という事を。それにしても……咲夜は凄い。家事万能で気遣いも出来て、頭も回る。それに別嬪だしな。世の中の男が嫁にしたい気持ちがわかる」

 

「…………」

 

 話をしているときに、後半の咲夜のべた褒めにアリスは機嫌が悪くなった。どうも彼がそういう事を言うと、冗談かもしれないが本当のことかもしれないという疑念が生まれていた。過去にアリスは静雅からのメモで『良い嫁さんになれる』と伝えられたからだ。わざわざ追記で書く事じゃないことが書かれている。

 

 仮にも、褒める言葉がアリスだけに向けられていたのなら満更でも無かったが──彼が他の女性を褒めていると負の感情が湧いてきた。

 

 その事を踏まえてか、ぶっきらぼうにアリスは意見する。

 

「へぇ……そう言うなら実際に伝えてきたら良いじゃない? 案外、彼女は満更じゃ無いかもしれないわよ?」

 

「……アリス?」

 

「それにあなたは紅魔館で唯一の男だもね。紅魔館関係にしろ、そういう関係の人はいるのかしら?」

 

「いや、静雅さんは彼女募集中だが……まだ名乗り出てくれる奴がいないから、そういうのはいないぞ?」

 

「……どうだか」

 

 静雅は否定したが、アリスは疑念に満ちた目をしている。そして──とある話題を持ち出した。

 

「魔理沙から聞いたんだけど……永遠亭の月の兎の鈴仙だっけ? 何か、彼女泣いてたみたいじゃない? 何? 彼女に何したの?」

 

「魔理沙ェ……。いやー、その話題は……言えないんだ。うどん──鈴仙との約束だからな。この事は広めちゃいかんのだ」

 

 少し困ったように静雅は言葉を返したが……追い打ちを掛けるように、アリスは言葉を続ける。

 

「……いつも、侠並みとは言わないけど……秘密ばかりじゃない。咲夜には侠の秘密を共有して、侠にはいつもはぐらかしているあなた自身の能力を教えて、鈴仙とは【約束】で話せないとか。しかも鈴仙には胸を貸していたのでしょ? どうしてか泣いていたみたいだけど……どんな行動をしたらそうなるのよ……」

 

「……あのさ、アリス──」

 

「それで二人の状況を見て、魔理沙は【付き合っているじゃないか?】という疑問もあったのよ? 結局のところそういう関係じゃないみたいだけど……もう付き合っちゃえばいいじゃない。咲夜にしろ鈴仙にしろ。あなたの人生はあなたの人生だもね。勝手にすればいいじゃない」

 

 プイッと顔を背けるのと同時に、アリスは椅子の向きを変えて静雅を視界から外した。明らかに機嫌が悪いように見えた静雅は、声を掛けようとしたが──

 

「……アリス──」

 

「紅茶を飲んだらさっさと帰って」

 

 言いかけている途中で彼女は彼の言葉を遮り、帰宅を促す。

 

 静雅は立ち上がり──能力を利用して彼女の背後に移動し、耳元に口を近づけて──

 

「──ふぅ」

 

「ひゃぁんっ!?」

 

 ──耳に息を吹きかけた。彼女には珍しい可愛らしい悲鳴を上げ、椅子から転げ落ちそうになるも──静雅が両腕で彼女の肩を掴んで防止。

 

 顔を赤く染め上げながらもアリスは、顔の向きを変えて彼に非難の言葉を。

 

「な、何っ!? 秘密を喋らないと思ったら、からかい!? いい加減にしなさいよっ! 大体いつもあなたは人を小馬鹿にしたような行動を──」

 

 

 

 

 

「──アリスさ、もしかして妬いているのか?」

 

 

 

 

 

 彼女の言葉を遮って、彼が思っていたことをアリスに言う。急に言われた彼女は、先ほどと比べて赤く染め上げて戸惑うばかり。

 

「な……!? や、妬いてるって何よ!? 別に私は妬いてなんかいないわよ!?」

 

「何かさぁ……『私は特別扱いされてないのに……』的な感じに聞こえるんだ。咲夜とは確かに共有しているし、侠にはオレの能力を教え、鈴仙とは約束事。加えて言うなら……魔理沙も何だかんだ弾幕ごっこをする仲だしなぁ……。それで、自分の対応との違いに怒ってるんじゃないかと」

 

「か、勘違いよっ! 私は別にそんな事思ってないんだからっ」

 

 顔を染めたままアリスは否定し、顔を背けて肩に触っている静雅の手を払う。

 

 その様子を見てか、静雅は少し呆れたように、聞こえるように呟く。

 

「ツンデレ乙っと。でもさ、アリス……アリスにはアリスだけの奴がいるじゃないか」

 

「……? 私だけの……?」

 

「そ。○ジラはおまけとして──紅魔館外で、プレゼントをしたのはアリスだけだぞ? 今のところ」

 

「…………! それって……天牌の事?」

 

「オフコース。現在彼女がいないオレはいろんな人物にいろんな反応や対応しているんだよ。それでアリスには好きな人形を、な。自発的にそうしたんだぞ?」

 

 彼はアリスの正面に回り込んで──アリスの頬を触りながら、妖しげに言う。

 

 

 

 

 

 

 

「それとも──人形じゃなくて、温もりのある小さな生命がご所望か?」

 

 

 

 

 

 

 

「────!? そ、それって────」

 

「アリスが悪いんだ。オレだってそれなりに接しているつもりなのに、まだ足りないと言うのだから。このままオレに──」

 

『天誅【リトルリトルセイバー】』

 

 静雅の言葉でしどろもどろになっていくアリスに話を続けていたが──天牌はどこからか西洋の剣を持ち出し、剣を構えてドリルのように体を回転させて静雅の脇腹に攻撃し始めた。攻撃を喰らった静雅は軽く吹っ飛び倒れる。

 

 すぐさま彼は起き上がったが──天牌に申し訳なさそうに謝った。

 

「……雰囲気って怖いな。自分でやっておいて何時止めれば良いのかわからなかった。すまない、天牌」

 

「シンコクテキナツッコミブソクー」

 

「お前さんを作っておいて正解だったな……。アリス、からかいが過ぎたな──」

 

 謝りながらも静雅はアリスに視線を向けるが──当本人は、背後に多数の人形を展開させていた。それに戸惑い始める静雅だったが──

 

「……アリス? まさかMK5──」

 

「──一発、殴らせなさいっ!!」

 

 人形が静雅を押さえ込み──綺麗な右ストレートが静雅の頬を打ち抜いた。無造作に彼の体は転がり、玄関先まで移動させられ仰向けに倒れていた。

 

 数秒、アリスは行動を静止していたが……急に我に返り、転がっている静雅に慌てるように声をかけて謝罪。

 

「……っ!? ご、ごめんなさいっ! さすがに今のはやり過ぎたわ!?」

 

「……まぁ、オレが悪いからアリスは気にする必要はない──」

 

『おーい、アリスー? 折角だからお前のところから本を借りに──』

 

 扉が開いては急な来訪者。その人物は黒い帽子を被り、白いエプロンみたいものをしていて、黒のベースの服を着た霧雨魔理沙。彼女は足を踏み入れて入ろうとしたが──男の下半身が視界に入っている。そして、彼の上半身の──頭の場所はというと──

 

「……白のドロワーズか……。幼く見えるが──だがそれが良い!」

 

 ──もろに、頭が彼女のスカートの下にいた。顔の表情は見えないものの、片手をグーの形にして、親指を突き上げていた。

 

 知り合いの声がスカートの下から聞こえた魔理沙は、すぐさまにバックステップ。そこには良い笑顔をした静雅の姿が。

 

 現状を把握した魔理沙は羞恥で頬を染め、ミニ八卦炉を構え──照準を静雅にしながら光を溜めていた。

 

 そして発射されるわけだが──光の中で、彼は思う。

 

「(ラッキースケベには粛正が当然ですよねー……)」

 

 

 

 

 

 ──その日、魔法の森には光の柱が出現した。

 

 

 

 

 

 ※この際の破損云々は静雅がキチンと修復しました。誤解も解けたようです。

 

 

 




 静雅のヒントは一部例外キャラがいますが……仮にこの話のヒントで、とある事がわかった方は答えを感想欄には書かないでください。メッセージにて「こういう答え何じゃないか?」とメッセージにてお願いします。感想に書かれても申し訳ないですが、どういう答えであれスルーします。

 ではまた。
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