三人称視点。
では本編どうぞ。
料理ができるまでの間、霊夢達六人は適当に雑談していた。何故か静雅が話の主導権を握り、魔理沙を弄って反応を楽しんでおり、二神も悪乗りしていた。霊夢はお茶を飲んで傍観、侠は呆れながらも会話を聞いていたり。
料理ができた頃には侠も配膳を手伝い。料理を並べ終え、各々の場所へと座った。
……余談だが、侠の隣がすぐに埋まった時に妖夢がかなり焦っていたが、静雅が小声で彼女に「正面に座れば合法的に侠の顔を見れるぞ」と囁いて正面に座らせた。
全員座るのを確認し、音頭を神奈子はとることに。
「集まってくれありがとう。まぁこの宴会みたいなのを楽しんでくれれば幸いだ。適当に飲んで騒いでくれ!」
「「イエーイッ!」」
神奈子の言葉に諏訪子、そして静雅も声を上げて盛り上がる。
そして思い出したかのように諏訪子は言葉を繋げた。
「そうそう! 食べるのが進んだらゲームするからね!」
「ゲーム……それは?」
諏訪子の言葉に咲夜が疑問の声をあげたのに対し、気楽そうに返事をする。
「ゲームといっても弾幕ごっこや外界の電化製品のゲームじゃないから~」
「じゃあ何のよ?」
今度は霊夢が諏訪子に問い掛ける。彼女が答える代わりに早苗が答えた。
「おそらく、侠君と本堂さんなら知っているかもしれませんね……人数分の【割り箸】を使った遊びです」
「……ゑ?【アレ】をやるの?」
「オレは賛成だ。この人数なら楽しめそうだな!」
二人は察しがついたのか、侠はあまり乗り気じゃない表情、静雅は肯定的な表情を示している。
何か検討がつかない魔理沙は静雅に概要を尋ねようとしたが──
「なぁ、静雅? 割り箸を使って何をするんだぜ?」
「そいつは後でのお楽しみだな。言えるとしたら主導権を握った人物が大いに楽しめる遊びだ」
「主導権を握った奴が楽しめる遊びか……ま、楽しみにしてるぜ」
「逆にそれ以外の人は苦労する可能性が大だけどね……」
「え? そうなんですか?」
補足するように言った侠の言葉に妖夢が聞き返したが、神奈子が不安を払うように言う。
「何、主導権を握る、または運が良ければそんな事はないさ」
「運が絡んでくるんですか……」
「まぁそうだ……さて、前置きが長くなってしまったな。まずは早苗達が作ってくれた料理を舌鼓をしよう!」
神奈子の言葉で各々コップを掲げ、宴会が始まった……。
『本当に騒がしくなって来たわねぇ……』
『それは博麗が知っている事じゃ──あ、この出汁巻き卵の味って魂魄が作った?』
『! 私が作ったのをわかったのですか!?』
『白玉楼で食べた味と似ていたからね。何となく』
『そういえば侠は拉致られたんだったんだな。すっかり忘れてたぜ』
『……確かに過去に私が侠君に会いに行った時、その時には白玉楼にいたんですよね……』
『神奈子……かなりそれって不公平だよね……』
『さぞかし楽しく過ごしたんだろうなぁ……同意で風呂に入っていたりとかな』
『──!?』
『八坂さん!? その話は掘り返さないでくださいよ!?』
『『…………』』
『……早苗はともかく、何で霊夢も気まずそうに顔を反らしているの?』
『う、うっさいわね! あんたには関係ないでしょ!』
『咲夜ー、そこのある料理取ってくれー(何かあったんだな……)』
『えぇ、わかったわ(何かあったんでしょうね……)』
その場にいる人物達は食事や談笑(?)をして時間が過ぎていった。時折侠はお酒を飲もうとしたが、事情を知っている人物は当然止めた。侠は事情を話したが聞いてもらえなかった。
その時の心にいる人物が寂しい表情をしていたのな侠しか知らない。
そして、侠以外の人物達は適度にお酒が体中に回ったところで諏訪子が注目を集めて発言。
「じゃあそろそろゲームを始めるよー!」
「結局何するのよ?」
霊夢の発言に早苗が代わりに答えようとして──どこからか数本まとめた割り箸を取り出して言った。
「それは【王様ゲーム】ですっ!」
お酒を飲んだ影響かテンションが高いまま早苗は言ったのに対し、ゲーム概要を知っている外来人二人組は正反対の反応を。
「……本当にやるの?」
「いやっほぉおおおいっ! 待ってましたーっ!」
「静雅、あなたは騒ぎ過ぎよ……それで【王様ゲーム】とは?」
控えめに飲んでいた咲夜が静雅に注意をした後、概要を尋ねたところを神奈子が簡単に説明をする。
「この割り箸の中には数字が書かれている。しかし、その中で一本だけ赤く染められていて、その赤いのが王様の権利を得る。得た者は指定した番号を命令する事が出来るんだ。指定する番号は複数でも構わないし、王様自身を含めてもいい。ただし命令に関しては下品な事は無しだからな。それとこの場合の王様ゲームは後日の約束の取りつけも有りにしよう」
「要するに王様くじを引いた奴は基本何でも命令出来るって事だな──面白いじゃねぇかっ!」
説明を理解して魔理沙は賛成の意を示したが、妖夢は悩むように言う。
「人に命令する遊び、ですか……そういう事はあまり気乗りしませんね……」
侠と同じように否定的に言葉を言った妖夢。自分と同じ反対側の侠は安堵したような表情をしたが、静雅が妖夢に話し掛ける。
「まずはやってみて体験する事が大事だ。剣士でもある人物が物事から逃げる事は関心しないな。侠だって参加するのに」
「静雅? 自分は参加するとは一言も──」
「侠。せっかくの催しだぞ? せっかくこの宴会に誘ってもらったんだ。 こういう主催者の企画に乗るのはオレの実体験で大事な事だぞ?」
「……一理あるね」
「それに──」
再確認の意味で、静雅はこの場にいる人物達に言い聞かせるように言った。
「──言わばチャンスでもあるからな。よほどの命令じゃない限り、言う事を聞いて貰えるという事だからな」
静雅の言葉に、早苗が行動を促すように、箱に入れた割り箸を見せて発言するが──
「では、この箱に入っている割り箸を順番に一人ずつ引いて頂いて──」
『私が引いた奴、さっそく割り箸の先が赤いんだけど……これって私が【王様】って事でいいのよね?』
早苗が喋っている最中に霊夢が手を伸ばして割り箸を一本引き抜いた。
そして──霊夢が持ってる割り箸の先は赤い色である。
急な行動、そして霊夢がいきなり引き当てた事で全員は焦りの表情を。我に戻った早苗は霊夢に抗議したが──
「ちょ!? 霊夢さん!? 引くの早すぎますって!? 侠君から逆時計回りにして回そうかと思っていましたのに──」
「だったら今回は私から逆時計回りでいいじゃない。最初なんだから規則なんてないんだし。侠もそれで良いわよね?」
「博麗の言うとおりで自分は構わないけど……よく当たりを引いたね?」
侠はそう霊夢に尋ねると、当然の顔で言った。
「勘」
……この時、全員が同じ事を考えただろう。
【博麗霊夢を先に引かせてはならない】
改めて今起きた事実を霊夢以外の全員が確認していると、霊夢は早苗の行動を促す。
「ほら、さっさと他の番号引いちゃいなさい。次は魔理沙ね」
「お、おう……わかったぜ……」
「(いきなり霊夢さんが王様とは……どんな命令をなさるんでしょう……?)」
霊夢に受け答えしながら引いている魔理沙だが……誰もが博麗霊夢の命令内容が気になってしょうがなかった……。
いきなりの霊夢の引きに驚かされたが、一通り引き終えたのを確認した静雅は霊夢に改めて問いかける。
「で? 何番にどんな命令をするんだ?」
「……6番が急な私用が入らない限り、3日間私の神社の家事を全般的にやる」
「微妙にエグい命令をしたわね……」
「では6番は誰なんでしょうか……?」
咲夜は霊夢の命令に少し困ったように反応し、妖夢は指名された人物の番号を探す。
そして──6番の人物が挙手して言う。
「──自分が6番なんだけど……どうすればいいの?」
『えっ』
「……狙った通りに侠だったわね。勘だったけど」
「霊夢の勘は反則過ぎるぜ!?」
当然のように言った霊夢に思わず魔理沙はツッコミをいれてしまった。
しかし、霊夢に静雅は腑に落ちないようで疑問を投げつける。
「ってか侠は博麗神社に居候してるだろ? 命令の意味が無いじゃないか?」
「意味はあるわよ。ウチの家事は当番制でやっているし、今回みたいに何かに誘われる事もあるでしょ? そういう場合でもまずは神社に戻って私の許可を得る。侠の緊急の私用がない限りは私の傍にいるの。最近でも侠はあちこちでフラフラしているからね。少しは家主を労りなさい」
「(露骨な侠君の生活の束縛じゃないですかっ!?)」
「まぁ、それぐらいなら構わないけど……」
「侠さんはそれでよろしいんですか!?」
妖夢は心配するように侠に問い掛けたが、本人は気にしていないのか、当然のように言う。
「王様の命令に極力聞くのが【王様ゲーム】だからね。むしろ博麗の命令は随分自分はかなり気楽だよ。精神的疲労が少ない」
「そうなのですか……?」
「しかしなぁ……霊夢がこんな命令するとは……」
「だよね~……」
二柱は少し納得のいかないみたいだが、早苗は行動を促した。
「まだまだ始まったばかりなので盛り上がりましょう! それでは魔理沙さんから逆時計回りに割り箸を回しますから、どうぞ引いちゃってください!」
「……そうだな。それじゃ私が王様になってやるぜ!」
順番に魔理沙が引きはじめ、王様ゲームは再開した……。
……ちなみに席順はこんな感じである。
諏 妖 咲 静
|────────
神| 長い机
|────────
早 侠 霊 魔
それと命令内容に関して疑問に思う方はいるかもしれませんが、常識に囚われない王様ゲームなのであしからず。
ではまた。