幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 多少、あの人物の説明がちらほら。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


四話 『ゲーム』①

 魔理沙が引き、全員に割り箸が回ったのだが──

 

「……結局、王様は誰だったんだぜ?」

 

 明らかに彼女は王様でない事はわかる言葉だ。もっとも、彼女は引いた時に顔に表情が出るらしく、彼女以外の全員が悟った。

 

 各々引いた表情はわかりやすかったり、ポーカーフェイスだったり。そして後者の一人が自ら名乗り出た。

 

「オレだな。今回の王様は」

 

「……てっきり静雅の事だからいち早く名乗り出ると思ったけれど?」

 

「名乗り出るまでの詮索する時間も一種の醍醐味だぞ?」

 

「さすが人気モデルは楽しみ方がわかってる! ……それでどんな命令を?」

 

「そうだな──」

 

 今回は侠の親友である本堂静雅だ。咲夜の問い掛けに答え、諏訪子の疑問に彼は考える素振りを見せ、命令。

 

「──3番自身が一番の黒歴史暴露」

 

「中々オードソックスな命令だな?」

 

「まずは定番の命令をしないとな」

 

「あの……【黒歴史】というものは何でしょうか?」

 

 神奈子は少し意外そうな反応し、言葉の意味がわからないのか妖夢は疑問の声をあげたが、侠が代弁するかのように概要を説明する。

 

「簡単に言えばその人の人生での恥ずかしい出来事、もしくは汚点だよ。思い出したくない歴史の事」

 

「この手の命令は鉄板ですよね~……ちなみに私は3番ではないですよ?」

 

 侠の言葉に同調するように早苗は言ったが、番号が違うと公言。

 

 早苗の発言に続くように番号を周りの人物達も公言していったが……明らかに一人だけ違う反応の人物が。

 

「……………………」

 

「魔理沙、あんたも番号を──って魔理沙が3番じゃない。さっさと話しなさいよ」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいや!? それだけはごめんだぜっ!?」

 

 霊夢に行動を促された魔理沙だが、首を素早く横に振りながら彼女は拒絶の意を示した。彼女が本当に黒歴史を持っているかのような反応である。

 

 その様子を見かねた諏訪子は注意するように言う。

 

「駄目だよ~? 王様の命令を聞かないと?」

 

「そ、そんな事を言われても……静雅! 黒歴史は本当に喋りたくないんだぜっ!! 他の命令なら良いから、なっ!? この通り頼むぜ!!」

 

「……仕方ないなぁ、魔理太君。それじゃ──」

 

 

「た、助かったぜ! 恩に着る──」

 

「3番の黒歴史を知っている人物が暴露で許してやる」

 

「何が変わったんだぜっ!? むしろ悪化したような感じるが!?」

 

 命令を単に他人が語るだけで根本的なものは変わらなかった。

 

 しかし当本人は何食わない顔で語る。

 

「だって魔理沙は喋りたくないって言っていただろ? だったらオレの優しさで知っている人物がいればだが、代わりに喋ってくれるようにな」

 

「そっちの方がよっぽど質が悪いぜ!? でっち上げの過去を言う可能性もあるだろ!?」

 

「まぁ、それは魔理沙の反応を見て確かめるとして……誰か魔理沙の過去を知っている奴はいるか?」

 

 静雅が全員にそう聞いて──挙手して名乗りでたのは霊夢だった。

 

「多分、この中で詳しいのは私ね」

 

「お、そうか。じゃあさっそく魔理沙の黒歴史を──」

 

「霊夢っ! 私達昔からの馴染みだろ!? 無理に言わなくても良いんだぜ!?」

 

「……そんな事を言われてもねぇ……」

 

 流石に良心と天秤にかけているのか、珍しく困っている表情の霊夢。

 

 しかし、そんな霊夢に──静雅はある言葉を問いかけた。

 

「じゃあ霊夢。魔理沙の【うふふ】や【きゃはは】に覚えがあるか?」

 

「その事? 魔理沙が良く幼い時に言ってたわね。今はどうしてか思い出したくない過去らしいわよ? 魔理沙が女の子らしい言葉遣いの時の事」

 

「霊夢ぅっ!? 頼むから喋らないでくれぇ!!」

 

 ある意味の誘導尋問で答えてしまった霊夢の言葉にあからさまに反応してしまった魔理沙。

 

 その様子を見て咲夜からもっともな質問が。

 

「……別にあなたは女性なんだから気にしなくても良いんじゃない?」

 

「気にするんだよ!! あぁ、何であの頃の私はあんななんだったんだぜ!?」

 

「どうしてその過去が汚点なのかよくわからないな……」

 

 呆れるように言った神奈子だったが──霊夢は続けて言う。

 

「私もそうだけど……あんたはあの頃と比べると随分違うわね。服装や髪型も全然違うし──」

 

「頼むからこれ以上の事は言わないでくれよぉっ!?」

 

 霊夢の言葉を遮るように懇願し、恥ずかしさで手で顔を覆って辺りを転げ回っている。

 

 流石に良心が痛んだのか、もしくは満足したのか判断しづらいが静雅は霊夢に声をかけた。

 

「霊夢。一応ここまでで良い」

 

「あら? そうなの?」

 

「そんなに喋っていないにも関わらず、拒絶反応が面白かったんでな。十分だ」

 

「……くそう。こうなったら私が王様になって静雅に恥ずかしい事をさせる」

 

「オレの番号を当てられたらな♪」

 

「それでは王様ゲームを再開させましょう!」

 

 早苗の言葉で各々割り箸を引きはじめた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーうー? 私が王様だね!」

 

 次に王様くじを引いたのは祟り神である諏訪子だ。仕草は子供っぽかったが、名乗り出る。対角線上にいる神奈子は問いかけた。

 

「諏訪子が引いたか? どんな命令をするんだ?」

 

「んとね……4番が7番に料理をあーんして食べさせる!」

 

 諏訪子の命令はいたって単純だが、普通では実際にやるには難しいかもしれない。二人きりならともかく、周りの目がある。大勢の目でそういうことをするのは恥ずかしさが多少ある。

 

 命令されて、7番のくじを持っている──魂魄妖夢が名乗り出た。

 

「……7番は私なんですが……」

 

「妖夢か。それじゃあ4番は誰何だぜ?」

 

 魔理沙は名乗り出ていない番号の人物を探していたが……その中、侠は悩むようにして静雅に話しかけた。

 

「……ちょっと聞きたい事があるんだけど静雅」

 

「何だ? どうかしたか?」

 

「……どうしてまた自分に当たるのかな?」

 

 悩むように言った侠……その言葉は侠が4番である事を公言している証拠だった。

 

「…………えっ!? 侠さんなのですか!?」

 

 無論、妖夢も驚いた。男女比で確率的に言うのならば四分の一。それで気になる異性がピンポイントで当たったのだ。これからする行為を思い浮かぶと彼女は顔を赤く染め上げた。

 

 しかし、当本人の彼はというと──

 

「まぁいいや。ほら魂魄、あーん」

 

「侠躊躇いないな!? まさか何とも思わないのか!?」

 

 何も躊躇いなく、近くにある料理を箸で掴んで妖夢の口の前に差し出す。ちょうど真正面だったので動作は簡単に行われたが、羞恥がないような侠の態度に神奈子は少し戸惑うように問いかけた。

 

「そういう事ではないです八坂さん。陽花だと思ってやれば全然問題ないだけですよ」

 

「確かに一緒に食っている時、ねだるよな陽花は。【お兄ちゃん食べさせて!】って。侠は慣れっこか」

 

「年は二歳ぐらいしか変わらないけど。いい加減義兄さん離れしてほしいよ、まったく」

 

 侠の言葉に補足した静雅の後に悩むように言う。陽花は侠の義理の妹。大体の人物は侠の家族事情を知っているが……意外にもまだ守矢神社の人々は知らなかったりする。

 

「(……義妹さんではなく、私個人として見て欲しいです……)」

 

「(もし侠君と結ばれたら【お義姉ちゃん】と呼ばれるのでしょうか……?)」

 

「…………(妖夢、さっさと食べなさいよ……!)」

 

「(……何か隣の霊夢から何か不穏な空気を感じるぜ……)」

 

「(霊夢から何か怒りが感じとれるわね……?)」

 

 侠の行動である人物は複雑そうに、ある人物は何かを考え、ある人物は機嫌を悪そうにする。その人物の隣と正面にいる人物から見ても、その人物から怒りを感じた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お……私が引いたか」

 

「神奈子様が引かれましたか! どのような御命令を?」

 

 ある意味簡単だった諏訪子の命令を終え、順番にまた引いていくと……今度は神奈子が王様となった。そして少しの間命令内容を考え、発言した。

 

「そうだな……二番が五番に膝枕というのはどうだ?」

 

「……地味じゃないの、神奈子それは? 座布団で座っている宴会で机とかで姿が見えずらいし」

 

「う、五月蝿いな……いざ自分が王様になると考えるんだ」

 

「それで誰なんだぜ?」

 

 命令内容に諏訪子は不満そうだが、神奈子も不満げに。そして魔理沙が誰か問いかけると、咲夜が番号を名乗り出たが──

 

「私が二番だけど……五番は誰が──」

 

「咲夜の膝枕キタ──────ッ! 軍神様感謝する!」

 

「はっ!? 静雅かよっ!? しかも何でそんな嬉しそうなんだ!?」

 

 咲夜の隣にいた静雅が高揚した声で命令した神奈子に感謝し始めた。魔理沙はそんな彼の反応に戸惑った。普通この命令をされた人物達は羞恥があるはずの命令だと思っていたからだ。しかし、当本人の静雅は嬉しそうに言う。

 

「好感度をあげてから、あるかないかのイベントが発生だぞ!? しかも最近通い妻になりつつある咲夜とは……!」

 

「ちょっと!? こんな場所でそんな事を言わないでくれる!?」

 

「そうなのですか!? まさか咲夜さんと静雅さんがそのような関係でしたなんて驚きです!?」

 

「魂魄、実際どんな関係かわからないけど、そのような関係じゃないと思うよ?」

 

 静雅と咲夜の会話を聞いて一歩先の関係と勘違いしているところを侠が冷静になるようにツッコミをいれた。

 

 その静雅の様子を見て霊夢は言う。

 

「あんたってば本当に異性関係になると騒がしいわね……」

 

「外界ではまともに異性との青春を送れないからこういうイベントは大事なんだぞ?」

 

「(本堂さんの脳内は【ギャルゲ脳】というものなんでしょうか……?)では咲夜さんは本堂さんに膝枕を!」

 

 静雅の意外な一面を見て疑問に思った早苗だが、この状態のままでいるわけにはいかない。早苗は咲夜の行動を促す(静雅はもうすでに準備万端である)。

 

 しかし……年頃でもあるためか躊躇い、頬を少し赤くしながら命令をした神奈子に問いかける咲夜。

 

「……や、やらなくてはダメなの?」

 

「王様の命令は基本絶対だ。すまんな」

 

 そう神奈子は言った後……観念したように咲夜は星座をして、スカートを伸ばした後に恥ずかしがりながら注意するように言う。

 

「……静雅。静かにしなさいよ……?」

 

「極力はな。じゃあ失礼して……」

 

 静雅はゆっくりと頭を咲夜の太ももの上にゆだねた。咲夜は落ち着いていないように見えるが、静雅をじっと見ている。それに対して静雅も咲夜の顔が見れるような頭の位置に変更して、お互い見詰め合っているようにも見えなくもない。

 

 その二人の空間を見てか、侠と霊夢は好き勝手(?)に言った。

 

「……傍目から見ると付き合いたての彼氏彼女にも見えなくもないね……」

 

「あー、はいはい。あんた達もう付き合いなさいよ。見てて鬱陶しいわ」

 

「あなた達好き勝手に言わないでくれる!?」

 

「咲夜の太ももから良い匂いする……」

 

「静雅も変な事を言わない!?」

 

 咲夜は侠達の発言を聞いて表面上顔を赤く染め上げながらも抗議したが……同時にこう思う。

 

「(……でも、言われて嬉しい私がいるのよね……)」

 

「咲夜? どうしたんだ? デレ期か?」

 

「あなたは静かにしていなさい。この状況の中でこの状態は……恥ずかしいん……だから……」

 

「お、おう……」

 

 素直に恥ずかしいと言われた所為か静雅も予想外の反応として捉え、応対に困っているようにも見えた。

 

 その様子を見て守矢神社の二柱はこう思う。

 

「「(ナチュラルにイチャついているように見える……)」」

 

 二柱がそう思っている時、静雅と咲夜の状態を見てか……侠に視線を送る妖夢と早苗。

 

「…………(チラッ)」

 

「…………(チラッ)」

 

「? 魂魄に東風谷どうかしたの?」

 

「「な、何でもありません!」」

 

 二人の視線を感じ取ったのか侠が問いかけると、二人は何でもないと答え、すぐさま視線を外した。

 

 しかし……静雅の真正面に座っていた魔理沙は……何故か不機嫌そうに見えた。

 

「(……静雅と咲夜を見てて凄いムカつくぜ……!)」

 

 そして耐え切れなくなったのか、彼女は命令をした神奈子に牽制するかのように話しかける。

 

「何時までそんな事を続けるんだぜっ!?」

 

「そうだな……次の命令が終わるまでだ」

 

「そ、それまでやらなくてはダメなの!?」

 

「皆。ゆっくり引いても構わないからな(キリッ)」

 

「静雅……膝枕してもらいながら真顔で言ってもしょうがないよ……」

 

 神奈子の応えに咲夜は驚いた。それは彼女は少ない時間のみと思っていたため。膝枕をされている静雅は真顔でゆっくりするように促したが、呆れたように静雅にツッコミを入れる侠。

 

 そして神奈子の答えを知った後、それでも尚咲夜に行動を魔理沙は促した。

 

「咲夜! 次はお前からだからさっさと引くんだぜ!」

 

「え、えぇ……そうね……(どうして霊夢に続いて魔理沙も機嫌が悪いのかしら……?)」

 

 

 

 




 陽花の情報は次話でも出てくる予定。

 ではまた。
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