久しぶりに裏主人公視点。
では本編どうぞ。
一話 『地底、明るい洞窟』
「……ここが地底への入り口か」
パチュリーに地底の行き方を教えてもらい、現在入り口傍にいる。本当なら侠を誘って一緒に地底に行こうかと思っていたんだが──
「まさか現龍神に言われて【龍界】に行っていただなんてなぁ……」
博麗神社に移動して、霊夢に侠はいるか尋ねてみたところ……竜宮の使いが侠を誘って龍界に行ったらしい。さらに詳細を聞いたところ、その竜宮の使いはとある不良天人のお目付役でもあるらしい。それで天人は【天界】に住んでいるらしいな。
……龍界に行った後、絶対天界に行くよなぁ……初代龍神が何か行きたいって言いそうだ。侠が【天】でオレが【地】。こんな偶然の天地は本当に珍しいと思うぞ。
「……本当は覚り妖怪とやらに心のチェックしてもらいたかったんだが……仕方ないか」
オレは地底に向かって降りて行った……。
『──あれ? 地底の入り口に知らない人が……あ、降りてちゃった。でも……あの人に着いて行くの面白そう♪』
地底に降りて行くものの、視界は結構良好だ。結構はっきり見える。何かこの洞窟、明るいんだよな……。
途中でそのまま快調に進んでいたら何やら少し上から砂埃みたいなものが落ちてくるのを感じ、頭上を見上げてみる。
「? 崩れかけているのか──」
天井の方を見ていると──桶が降ってくる!?
「うおっ!?」
一先ず当たらないように一歩後退。オレの目線波の高さにぶら下がったので、その桶を見てみると──
「…………(じー)」
……白い和服を着て短いツインテールに結っている少女がいた。桶の縁に顔下半分を隠し、こちらを見てくる。
……何これ可愛い。
「……お前さんは何者だ?」
「…………キスメ」
聞いてみると、ぼそっとだが答えてくれた。口数の少ない少女だ。だが……それが良い。
とりあえずオレは詳細尋ねようとしたが──それは遮られることになる。
「何故天井から桶に乗って──」
『そろそろ妖怪らしく驚かせてみたかっただけだよ、キスメは』
桶少女の隣に……また天井からぶら下がって誰か降りてきやがった⁉ 体の天地を逆にして頭が下に、足がオレの目線に。何やら糸っぽいのを掴んでいるみたく、宙ぶらりんだ。そして全体的に茶色の服を着て。髪の毛をポニーテールしている女だ。
平常心を保ちながら、オレは宙ぶらりん少女に話し掛けてみる。
「おっと。そういえば妖怪は人間を驚かせるのもある意味仕事か?」
「そうだけどね~。ただ、こんなところに来る人間も珍しい──? あれ……本当に人間? 巫女や魔法使いと違って人間じゃない気配がするような……?」
「…………同感」
宙ぶらりんポニテ少女は普通に天地を正して地面に着地、そして同意するように桶少女であるキスメが頷いた。
……こんな早く見抜かれるものなのか?
「確かにオレは人間じゃないが……こんな早く見抜かれると思ってなかったぞ?」
「地底にいる所為か、妖怪以外の気配に敏感になっているような気がするんだよね~……。それで前に来た人間達と気配が違うんだもん。あ、ちなみに私は土蜘蛛だよ。名前は黒谷ヤマメっていうの。となりにいる子は釣り鐘落としのキスメ。悪気はあって驚かしたわけじゃないから許してね?」
「キスメの仕草にもうどうでもよくなってきた。だから気にすることはない。ちなみにオレは本堂静雅。神様やってる」
どうやら女ヴァージョンスパイダーマッ! であるヤマメと釣り鐘落としのキスメは感じ取っていたようなのでオレも自己紹介。神様と伝えてみると、少し意外そうに言葉をヤマメは返した。
「へぇー神様? 前に地霊殿の方の異変の発端は神様による力を渡しによるものらしいけど……まさか誰かに力を与えに?」
「……出来るかもしれないが、そんな目的じゃない。とりあえず地霊殿に行こうかと思ってな。下見だ」
「物好きな神様だねぇ? こんな地底に来て地霊殿に行くなんて?」
「そんな物好きな神様なんだオレは。とりあえずこの先を進めば地霊殿に行けるのか?」
オレはずっと繋がっている先を指先で示すと、ヤマメは同意。
「そうだね。まぁ、その先で橋の管理をしているパルパルがいるんだけど……追い返そうとするかもしれないね」
「? 管理者か何かなのか? そのパルパルって?」
「まぁ元は地獄の場所だし、地上の妖怪は基本的に出入り禁止だからね。それを見張っているツッコミ属性の橋姫だよ」
「苦労人か。尚更行くべきだな」
「わーお。恐れもしないとは良い度胸。だったら私も着いていこうかな? ここで会ったのは何かの縁。地霊殿前まで案内してあげるよ、しずまっちゃん」
「……しずまっちゃん? まさかあだ名のつもりか?」
幻想郷に来てから懐かしい呼び方に感じ、疑問に思ったので聞いてみると代わりにキスメが答えた。
「…………人を選ぶけど、それなりの友好の証」
「まぁ、人によってはあだ名を嫌がる人物もいるからな……それに懐かしいな。その呼び方」
「? その言い方だと前に呼んでいた人がいるの?」
ヤマメの問いかけに、淡々とオレは答える。
「あぁ。外界にいたころ、親友の義理の妹にそう呼ばれていたな。だから一向にそう呼んでもらっても構わない」
「そうなんだー。じゃあ私はそう呼ばさせてもらうけど……今更だけど外来人だったんだ? いや、神様だから外来神なのかな?」
「オレは突然変異で神様になったからある意味それは正しいかもしれないな。逆に神様をあだ名で呼ぶとはある意味恐ろしい」
「おぉ。これで私が一歩大妖怪に近づいたね! 神様に特別な呼び方をした妖怪なんてほとんどいないでしょ!」
「いないな。今のところ」
「これで私の格が少し上がったよ! やったねキスメ!」
「…………そして私がその現場に立ち会った」
二人はハイタッチをしながら気分を高揚させていた。随分イメージと違って仲が良い光景じゃないか。
……誰だ地底の妖怪は嫌われている人物が多数とデマを広めた奴。オレが静粛してやろうか?
少しデマを広めた奴に苛立ちを覚えていたが閉まっておき、改めてヤマメ達にオレは案内について要請する。
「じゃあ頼んで良いか? 元々は誰かを連れて来ようかと思ったんだが、生憎予定が悪くてな……着くまで話し相手になってくれるとありがたい」
「良いよ♪ 私も外界の話に興味があるし! じゃあまずは私が地底の基礎知識を教えてあげよう!」
「…………補足は私が」
ヤマメは快く承諾してくれ、キスメの入っている桶を抱えてオレの隣に並んだ。そしてしばらくオレ達は歩きながらお互いの情報を交換していった……。
『……へぇー? ヤマメ達と凄く仲が良くなっている。表裏がない人──いや、神様なのかな……?』
???追跡中……(誰かについては触れてはいけない)
ではまた。