幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 最近私用が忙しいなぁ……。
 裏主人公視点。
 では本編どうぞ。


三話 『旧地獄』

 旧地獄前。キスメが入った桶を持ちながらのヤマメの先導の元でとりあえず着いたのでパルスィの拘束は解いた。パルスィにこれからどうすると聞いたが、「どうにでもなりなさいよ妬ましい」と言ったのでしばらくの間は同行することになった。合意の元だから問題ない(確信)。

 

 四人で旧地獄に入り、オレは旧地獄を状況を見て一言。

 

「……何か商店街みたいだな」

 

 イメージとしてはもっと殺風景みたいな感じがしてたんだが……賑わっている。出店で売買してたり、適当なところで食べていたり。地上の人里とあまり変わりが無い。そこらで酒の臭いが結構するが。

 

 ちょっとしたオレの呟きにパルスィが答えてくれる。

 

「そりゃ買い物とかしないと生きていけないし。地底の妖怪の多くは酒豪揃いだからお酒が必須なのよ。そこらの酒屋ではよく鬼達が飲み比べとかしてたり、賑やかに妬ましくやっているわよ」

 

「……何だかんだツッコミに疲れても丁寧に解説してくれるよな、パルスィ」

 

 オレの言葉に同調するようにヤマメとキスメも会話に参加してくる。

 

「そこがパルパルの優しいところだよね♪ 面倒見が良いんだよ!」

 

「…………いつもお世話になってる」

 

「どうせ誰かが無理矢理参加させてくる宴会で、酔いつぶれたりとかで後片付けや処理は私の役目なんだもの……そう思うなら適度にお酒は止めて片付けを手伝いなさい」

 

「努力はするー」

 

「はぁ……本当にそういう性格妬ましいわ……」

 

 ヤマメの軽い返事にパルスィはため息をつきながら口癖の言葉を漏らす。

 

 しかし……真面目キャラをパーティに加えたら話が盛り上がるな。やっぱり参加させといて正解だった。

 

 

 

 

 

『おーい、一人は知らないがそこにいるのはパルスィ達じゃないか?』

 

 

 

 

 

 急にオレ達に掛かる声。代表としてパルスィの名前が呼ばれ、オレ達はその声の主への方角へと振り返る。

 

 そこにいたのは長身で半袖の白いTシャツみたいなのを着て(しかも胸がでかい)、ロングスカート。片手にはおそらく酒が入っている大きな杯を持っており、額には星模様がある凜々しい赤い一本角。周りにもいたが、鬼の姿を連想させた。

 

 声をかけられたパルスィ達はその人物を知っているようで、各々違った反応を見せる。

 

「げっ、勇義……」

 

「あ、勇義だ。ヤッホー」

 

「…………こんにちは」

 

「おう。ヤマメとキスメはいつも通りだとして……パルスィ。私を見て嫌な顔しただろ?」

 

「宴会の主犯で無理矢理呼んでは酔いつぶれて、私に片付けをさせている鬼がよく言うわね……」

 

「はっはっは。そんな事を気にしちゃあいけないよ! お前さんのおかげでいつも大助かりだからな! その事も良く感謝をしているんだ!」

 

「……ふ、ふん。煽てたって何も出ないんだから……」

 

 お? パルスィ、デレてるな。何だかんだ触れ合いを楽しんでいるみたいじゃないか。良かった良かった。

 

 そしてその勇義という姉御肌の鬼はオレへと視線を移し、興味があるように話し掛けてきた。

 

「見ない顔だね。見た目は人間のように見えるが……気配や臭いが全然違うな。お前さんは何者だ?」

 

「やっぱり見抜かれたか。オレの名前は本堂静雅。神様やってる」

 

「ほうっ! 神様がこんな地底にやって来たのか! 私は星熊勇義。見ての通り鬼だ──? 本堂静雅? 誰かに聞いた覚えがあるな……?」

 

 そう言って悩むような仕草を見せて考える勇儀。誰かにオレの事を聞いたことがあるのか……? 勇儀は鬼で──

 

 

 

 

 

『お前とは初めてだね。鬼の伊吹萃香だよ。今後ともよろしく』

 

 

 

 

 

 ──そうだった! オレは以前の宴会で鬼に会ったことがあったな!

 

 オレは思いだしたことを勇義に伝える。

 

「勇義、誰かに聞いたことがあるというのなら同じ鬼の伊吹萃香じゃないか? 見た目がかなり少女で、二本の角を持った、酒をいつも飲んでる鬼だ」

 

「──そうそう! 萃香から聞いたんだ! 確か……【幻想日食異変】だっけか? 萃香経由でその事を聞いたよ。その異変は静雅が起こしたようじゃないか。それであの博麗の巫女を追い込んで……さらには今じゃ龍神の先祖返りがこの幻想郷にいるんだろ? そいつはさぞかし強いんだろうなっ!」

 

「酒には滅茶苦茶弱いけどな」

 

「何? そうなのか? それは意外だな……幻想郷の実力者に数えられている人物達は皆酒が好きだというのに……」

 

 どうやら同じ鬼だけでもあって、地上を行き来している萃香から情報をもらっているみたいだ……そして侠と会ったらすぐさま勝負を申し込みそうだな。鬼は戦闘好きみたいなイメージがあるが……大体予想通りか?

 

 しかし、今の会話であることを知らなかった人物が一人。

 

「……龍神の先祖返り!? そんなのが地上にいるの!?」

 

 パルスィが凄い驚いてた……そういやパルスィには詳しく教えていなかった気がするな。簀巻き状態で旧地獄前に運んでいるときそういう話をしていなかった。

 

 その事にヤマメがフォローしてくれる。

 

「そういえばパルパルはまだ知らなかったね……その龍神の先祖返りとしずまっちゃんは親友みたいなんだよ。しかもただの龍神じゃなくて創造神の方の初代龍神みたくて」

 

「強大なパイプを持っていたなんて妬まし過ぎるわよ!? 幻想郷の創造神の先祖返りってどういうこと!? 今の龍神は一体何!?」

 

「オレにそんな事を聞かれてな……詳しい龍神事情は知らないし」

 

 いずれかはこの地底に侠を連れて来るつもりだからその時にでも話してもらおう。その方が楽だしな。

 

 話が終わったのを見定めたのか、勇義が新しい話を振ってきた。

 

「ここで会ったのは何かの縁。中々酒のつまみがうまい店を知っているんだ! パルスィ達も来ないかっ! 出会いを祝して宴会だ!」

 

「お、プチ宴会か? いいねいいね。用事があるが、寄り道して──」

 

「勇義っ!? また宴会なの!? この間したばかりじゃない!?」

 

 オレはその誘いに乗ろうとしたが、どうやらパルスィは否定的みたいだ。勇儀の誘いを一蹴しようとする。

 

 しかし勇儀は何処吹く風。気にしないようで彼女はパルスィに答える。

 

「別に良いじゃないか。どれくらい宴会しようが? 今回は静雅に会った記念の宴会だ。その内静雅にでも頼んで龍神の先祖返りでも呼ぼうかねぇ……」

 

「初対面の人物と会う度に宴会をするつもりなのあんたはっ! 大体私は静雅に振り回されながらも、地霊殿前に送り届けたら帰るの!」

 

 ……何だかんだパルスィは巻き込まれる運命にあるような気がする。

 

 そんなパルスィを見てかヤマメとキスメは、説得するように話し掛けた。

 

「え〜? パルパルも参加しようよ。静雅を送り届けた後でも良いからさ?」

 

「…………勇義の宴会、好き」

 

「あんた達が良くても私は良くないのよ! 仮に地霊殿の奴が静雅を偶然案内してくれるならともかく、私は行くつもりは──」

 

『──ニャーン』

 

 猫の声がした。オレ達は声のした方向に向くと……全体的に黒いが、首元に赤いリボン。尾は二本あるようで、尾の先には炎が灯っている。それを見たパルスィは黙り始めたが。

 

 パルスィとオレを除く勇義達はその猫を見るなり声などをかけたりし始める。

 

「おぉ! ちょうど良いところにお燐じゃないか! 通りかかってくれて助かるよ!」

 

「パルパル……宴会参加決定♪」

 

「…………(なでなで)」

 

「ニャーン♪」

 

 お燐というニックネームか知らないが……それなりに面識がある猫らしい。キスメはその黒猫のお燐の喉をなで続けている。黒猫も気持ちよさそうにしているようだ。

 

 勇義の言葉の真意がわからないので、概要を尋ねてみる。

 

「勇義、その猫を知っているのか?」

 

「そうだな。お燐は地霊殿に住んでいる猫と言っても良い。さとりのペットさ」

 

「ん? そうなると目的地である地霊殿に、その猫を頼りに進めばいけるのか?」

 

「そういうことだ。お燐、申し訳ないがこの本堂静雅を地霊殿へと案内を頼めるか? 詳しいことは知らないが、静雅本人は地霊殿に用があるんだろ? パルスィが言っていた情報と合わせると」

 

「あぁ、その主に会ってみたいな。一応それが目的なわけだし」

 

「そういうことだ。お燐、頼めるか?」

 

「ニャーン!」

 

 勇義の言葉に反応し、オレの少し前へ歩き出すと、止まり振り返ってオレをじっと見てる。どうやらこの猫は随分賢いみたいだ。

 

 その猫の様子を見て満足したのか、勇義は最後にこう話しかけてくる。

 

「それじゃあ私達は近くの店で飲んでるよ。幸い、地霊殿への案内してくれる人物が現れたんだからな。よし、パルスィ……言葉に嘘は無いな?」

 

「……何でこう運が悪いの私!?」

 

「パルパル。現実は無情なんだよ。じゃあ私達は宴会でもしてるよ。しずまっちゃんも用事が終わったら参加してね」

 

「…………また」

 

「あぁ。後で合流しよう」

 

 キスメの言葉を最後にオレがそう返事をすると、勇義は豪快な笑い方をしてパルスィ達と一緒に近くにあった店へと向かっていった。パルスィに関しては「私の運が妬ましいぃいい……」と言っていたのは空耳だろう。

 

 オレは丁寧に誘導していく『お燐』という猫に着いていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒猫であるお燐に着いていくと……宮殿に近いような屋敷がそこにあった。入り口付近では……いろいろな動物がいた。オレを見るなり警戒するような鳴き声をしていたが、お燐がニャーニャー言って説得してくれたみたいで収まった。この猫強すぎる。

 

 そして扉は若干隙間が空いていたようで、お燐は入っていった。オレも後を追いかけるようにして扉に手を掛ける。

 

「お邪魔しやーす」

 

 一応声に出して挨拶。入ると扉が多数あり、道もいろいろある。お燐は真っ直ぐ走っていくと、曲がり角でそのまま曲がっていった。後を着いていってオレも曲がり角を曲がってみたが……お燐は既にいなかった。

 

「……さすが猫。気まぐれと言ったところか?」

 

 自分の手でここの主を探してみるか。勇儀は確か地霊殿の主の名前は【さとり】と言っていたのを覚えている。

 

 ……しらみつぶしに探していくか……。

 

 

 

 

 

 

『パルスィはご愁傷様としか言いようがないね……ちょうど良くお燐が通りかかって、静雅の案内……じゃあ私は先回りしてよ♪』

 

 

 

 

 

 




 次からはようやく地霊殿です。

 ではまた。
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