とある少女視点。
では本編どうぞ。
『──えぇ。そうなの。ありがとう、お燐……』
私は【お燐】の心を読み、この地霊殿にお客様が来ることを知る。お燐は概要しか知らなかったみたいだけど、【静雅】という名前の外来人が私に会いにやってくるらしい。お燐は一先ず【猫の変化】のまま私の部屋から出て行った。
「……物好きな人ね、その人……」
ここは忌み嫌われている妖怪が住む地底とその人は分かっているのかしら? 特に私なんかが代表格。怨霊ですら私を恐れるという人物なのにも関わらず。というよりも私自身というよりは能力である【心を読む程度の能力】が恐れられているのかしら。もしかしたら私自身も恐れられているのかもしれないけど。
……私が心を読めないのは妹でもある【こいし】だけなのよね。仮に恐れない理由があるとすれば心が閉ざされているという事もありうるけど。
でも、お燐が見た感じだと友好的だと心の中を読んだ。ヤマメ、キスメ、パルスィ、さらには勇義さんまでと談笑をしていたという話だ。おそらく、心を閉ざしているという事は無い。
「……対面すれば、その【本堂静雅】という人物をこの第三の目で見分けることが出来るでしょう……」
万が一、この地霊殿を攻め入る目的ならば……彼のトラウマを想起させるだけです。
もしもの対策を立てていた時──部屋に二本の三つ編みをして頭には猫耳を、全体的に深緑の服を着た人型の【お燐】が焦るようにして入ってきた。
「お燐? どうかしたの?」
「さ、さとり様! ちょっと今大変な事になっているんです!」
焦っているというのはわかるけど、言葉だけではわからないので、心の中を読んでみると──
「──!? 何故彼がそのようなことをしているんです!?」
「あたいはさとり様みたいな能力を持っていないので分からないですよ!? 今もずっとさとり様の部屋を【お空】と一緒に探しているみたいで──」
お燐が説明していた途中で──いきなりお燐の背後にある扉が吹っ飛んだ。その衝撃でお燐も私の方へ飛んできて……お互い重なる様になる。
「フニャッ!?」
「うっ……」
私はお燐の姿勢を正させて、改めて扉の方を見てみると──
「──うにゅっ! さとり様の部屋に一発で着いたよ! お静!」
「その呼び方は何とかならないのか……? かなり独特すぎるぞ?」
「だってそれが一番しっくりきた!」
「……まぁ、良いか。お空、道案内ご苦労さん。後でさとり様という人物にゆで卵でももらっておけ」
「わーい♪ さとり様ゆで卵ー♪」
「さてとと……扉を直しておくか」
大きな黒い羽根、大きなマントを着て胸には赤い水晶みたいなもの。後頭部にはリボンをして、今では核融合の力を持つ【お空】が扉を突き破った。彼女の近くには執事服を着崩した男性がいる。
お空は彼の言葉にしたがってか、お空は私に無邪気に抱きついてほおずりしてきた。でも、私は彼の方をずっと見ていると──手をかざした瞬間、扉が直った!?
私はすかさず、彼の心の中を読んでみると──
「(しっかし……どうして扉まで壊して入るんだろうな? 鳥頭みたいだから忘れているのか? おかげでオレも変人扱いにされるんだろうな……むしろ怪しまれるな。そもそもその地霊殿の主という【さとり】と対面していないわけだが──)」
彼は心の中でそう思いながら、私のことを視界に入れた時……たくさんの情報量が第三の目を通して私の中に入ってくる。
「(……まさかこの子が地霊殿の主か子供の外見にも見えるがおそらくきっと外見はロリでもそれなり生きてきたのかもしれないなきっとレミリア嬢と同じような感じなんだろうしかしなんだ幻想郷には外見が整っている女しかいないのかそれが不思議でたまらない目の前にいるおそらく【さとり】っていう子もそうだしお空も頭は残念だがそれを補う可愛さがあるし橙とは違う猫耳少女だってそうだ旧地獄まで案内してもらったヤマメ達もそうで地上の人物達も何故そんなに美少女が勢揃いなのかすごい気になるところだそれにしてもロリには珍しくクールに見えて知的にも見えるクールビューティーといえば咲夜だがそれとはベクトルの違う咲夜をかっこいいと言うならば目の前の【さとり】という人物は可愛らしいが当てはまるような気がするこんな広い地霊殿の主なんだきっとそれなりのカリスマ性を備えた人物なんだろうなやはり幻想郷は面白い所だな面白い発見が出来て飽きが来ない)」※この間3.6秒
!? 心の中でざっと私達を分析して、わ、私を心の中で褒めてる!? 嘘も何もない、本心で……!?
「? さとり様……どうかしたんですか? お顔が赤いようですが?」
私はきっと予想外すぎる本心を読んでしまって顔が赤くなっていたんだと思う。顔が赤い事を指摘してきたお燐がそう尋ねてくる。
「い、いえ、大丈夫よお燐……彼の心の内をみたらちょっとね……。悪い人では無いみたい」
「まぁ、あたいも旧地獄での会話で仲良くやっていたみたいなので何となくは分かりますが……さとり様が言うなら本当ですね」
私がそうお燐と話していると……静雅さんは【お燐】という名前に聞き覚えがあるので詳細をお空に尋ねていた。
「【お燐】……? まさかだと思うがさっきの黒猫なのか? そうなのかお空?」
私に頬ずりしているお空はその行動を止めて、静雅に向き直って会話をする。
「あれ? お静知らなかったっけ? お燐を追って地霊殿の中に入ってきたんだよね?」
「いや、人間状態になれるとは知らなかったんだ。どうやらお互いの中で食い違っていたみたいだ」
「えーっとつまり……お静は普段のお燐を知らなかったって事?」
「正解だお空。正解したからご主人様からゆで卵をもらえるぞ。やったな」
「わーい♪ さとり様ゆで卵ー♪」
先ほどと同じ事を良いながら私に頬ずりしてくるお空。
……なるほど。何かしらのことを頼むのにご褒美を私からもらえることにしてここまで誘導してきたのね。お空にはあの異変以来「知らない人には何かをもらってはいけない」という事は教えてありますし。でも、私自身から貰えれば何も問題は無い事を彼は指摘した……中々頭が回るようですね。次からはその事も教えなくてはなりませんね……彼は善人……いや、善神でしょうか? 性質は悪に近い神様のようですが、それを利用する気は全くない。人柄が良いから今回は良かったものの、人柄の悪い人物なら危なかったです。
私はお空の行動を止めさせた後、向かい合って話し掛けました。
「……どうやらお空に私の所まで案内させたみたいですね。でも、こう言っては何だけど……あまり彼女は覚えていられないのにどうやって……?」
まぁ……例え彼が嘘を付いてもこの第三の目で分かるんですが。
私の問いかけに彼は少し呆れたように答えます。
「どうやってやったのかはトップシークレットと言いたいところだが……その第三の目で筒抜けなんだろ? 聞いても意味がないんじゃないか?」
「えぇ。確かに──どうやらあなたの能力は【事象を操る程度の能力】みたいですね。その気になれば幻想郷を支配できる能力だというのに……娯楽、救済目的にしか使わない。どうやらその能力で吸血鬼の妹であるフランドールという吸血鬼の弱点を軽減し、厄神の厄を祓って肉体的接触をその時に可能にした……ん? あなたの親友……二つ──」
「リバーススキルオープン!【マインドフィルター】!」
彼は意味不明なことを言った瞬間──私が読んでいた彼の心がこいしみたく読めなくなってしまった!?
「!? 嘘っ!? どうして急に心が読めなく!?」
「えっ!? さとり様の能力がこのお兄さんに通用しなくなったのですかさとり様!?」
「うにゅ?」
お燐は私の言うことを理解しましたが……お空はまだ理解していませんね……心の底から。
そして心の読めなくなった彼から注意するように話し掛けられます。
「……さすがに心を読んで口に出すのは感心いただけないな。その事実はオレの親友が本当のことにたどり着いたらのやつだ。お前さんは知ってしまっただろうが……その事はあまり公表しないでほしい。どこからか情報が漏れるかわからないからな」
「……静雅さんの能力は心にまで応用が利くみたいですね……失礼しました。あなたの親友──辰上侠さんの事を思っての事ですね。ですがその事を知っている人物は他にもいるみたいですが? 心の中に龍神の先祖返りである親友の隣に女性の方が──」
そして……私はこの行動によってしばらく後悔することになる。
急に第三の目から静雅さんの心が読めるようになり──
「(第一回!【さとりと過ごした熱い夏】〜君に心を奪われて〜)」
私はそのまま彼の心を読んでしまい──
『なぁ……さとり? 今夜熱くないか?』
『はい……少々、もう少し薄着にならなくてはきついですね……』
『──っておい!? 何でここで脱ぎ始めるんだ!?』
『え……何も遠慮する仲ではないでしょうに静雅さん。そろそろ……この火照りを利用して、その先へとイこうとしているだけです』
『待ってくれよさとり!? その段階ってオレ達そんな関係じゃないだろ!?』
『うふふ……口ではそう言っても、心の中が期待に満ちあふれていますよ? 心を読んでわかっているんですよ……いつも私の妄想で一人寂しくシているということを……静雅さんは私のような外見に惹かれている事は既に知っています。静雅さんの外見で私の外見も含めて好きだということは心を通じて知っているんですよ』
『……解せぬ。ここは男が空気を作るべきなんだが……』
『いつも、私はからかわれているばかりですからね……逆です。今度は私が静雅さんをからかう番です』
『……畜生。心を読む能力が本当にチート過ぎる……!』
『心を読んで静雅さんの弱いところは知り尽くしていますからね。さぁ──私に身を委ねてください──』
「────────ひゃあっ!?」
な──何を考えているんですかこの方はぁっ!? どうして心の中で私と官能的な事を妄想しているんですか!? それと何故私が誘っているんですか!? 予想外すぎて顔が赤く染まっているような気がします……!
やはり、今の私の顔の表情がおかしいと思ったのかお燐が心配気味に尋ねてきた。
「さとり様!? 顔が赤いようですがどうかなされたんですか!?」
「い、いえ……私の軽率な行動で……私の能力を利用して彼は精神攻撃をしてきたようで……」
「お前さん……心を読むのは一向に構わないんだが読み上げないでくれ。その事実はまだ誰にも教えていないんだからな」
「えぇ……申し訳ございませんでした」
注意するかのように静雅さんは私の行動を指摘してきた。
……心を読まれても構わないというのは本心みたいですね……。彼の今までの人生の記憶が読み取れますが……それは私の心の内にしまっておきます。
お互いの情報は大体知っていますが……改めて、自己紹介をしておきましょう。
「申し遅れました。私はこの地霊殿の主、古明地さとりです」
「あぁ、荒人神の本堂静雅だ。今日の目的は……お前さん達に会いに来た」
彼女の視点は次話まで続きます。
ではまた。