三人称視点。
ではどうぞ。
『……遅いわね。まぁ、侠の事情から仕方ないかもしれないけど……』
博麗神社の巫女、博麗霊夢は縁側に座ってお茶をすすり、龍神の先祖返りである辰上侠の帰還を待っていたが……まだ帰ってこなかった。
のんびり空を見上げていると……見覚えのある姿が二人飛んでくる。もう一方の人物は霊的な存在もあるが。
その人物達は家主に一言挨拶。
「こんにちは、霊夢さん──」
「ご無沙汰です霊夢さん──」
「はいはい、侠なら今いないわよ」
「「あ、そうなんですか……」」
息があったように霊夢の言葉に反応した二人。傍に霊的なものいる人物は半身半霊である魂魄妖夢。霊夢の紅白巫女服を青白の巫女服を着ている現人神、東風谷早苗だった。
呆れて霊夢は言葉を続けて言う。
「あんた達侠にしつこい。特に早苗。あんたはほぼ毎日来ているじゃない……」
「だって侠君は私と同じ外界の人物ですからね! 積もる話もたくさんあるんです!」
「まぁ、妖夢はたまにだけど……また修行とかそういうの?」
「は、はい……同じ剣士として、学ぶべきところはたくさんありますので……」
早苗は何故か誇るように、妖夢は遠慮がちにそれぞれの理由を言う。飽きないわねと霊夢が言っていたが……また空から箒に乗った、白黒の服が特徴的な少女が降りてきて霊夢に話しかける。
「おーい霊夢。静雅知らないかー?」
「……私に聞くより紅魔館に行きなさいよ、魔理沙」
「それは静雅は紅魔館にはいないと中国が言っていてな。パチュリーも知らないと言うし、それだったら静雅の親友がいる侠の博麗神社にいるだろうと思ったんだが……妖夢も早苗もいるのか? 珍しいな?」
「そういえば時間が違えど、あんた達は守矢での宴会以降、顔を合わせていたなかったわね……まぁ静雅は──」
白黒少女は霊夢との腐れ縁でもある魔理沙だった。ここ最近、博麗神社にはいろいろな人物(とは言っても魔理沙、妖夢、早苗、静雅なのだが)が来ていたが、顔合わせするのは久しぶりだった。
霊夢が言いかけているところに、何者かが急にその場に現れる。その人物はメイド服を着ており、霊夢に話しかけた。
「霊夢。静雅は神社に寄って来なかった?」
「一応、来たけど──ん? まるでどこかに行っている事を知っているような言い分ね? 咲夜」
現れたのは紅魔館のメイドである十六夜咲夜。彼女の言い方に疑問を覚えた霊夢は詳細を尋ねてみると、咲夜は答える。
「地底に行っているみたいなのよ。過去に興味があってパチュリー様に行き方と場所を教えてもらって、急に今日『ちょっと地底に行ってくる』って言っていてね……」
「あぁ、確かに来たわね。『侠と一緒に地底に行こうと思っているんだがいるか?』って言われて……ん? そこからどうしてウチの神社に寄るってわかるのよ? あくまであんたが聞いたのは『地底に行ってくる』のはずなのに……?」
「……成程。今回は下見もかねて紅魔館には戻ってこなかったのね……」
霊夢の言葉に一人でに納得し始める咲夜。しかし、彼女の行動に魔理沙は疑問に思い、問いかける。
「? パチュリーも今日静雅がどこに行っているのかわからなかったのに、どうして咲夜が知っているんだぜ? だいたいあいつはパチュリーか中国に伝言を残すはずだろ?」
「(……多分、静雅が侠を連れて行きたかったのはある事を確かめるためね……それで私しか知らないのはおそらく──)」
「……咲夜? どうしたんだぜ?」
「あぁ、ごめんなさい。まぁ、ちょうど私が傍にいたから伝言を残したんじゃない?」
「そういうもんか──」
魔理沙は歯切れが悪そうだったが──
──地面が急に揺れ始める──
「──!? 何だ!? 地震か!?」
「魔理沙それは違う! 不良天人の【要石】で地震は起こることはないはずよ!」
「では、この地震みたいなものは一体なんですか!?」
「その要石が外れたことはないですよね!?」
「早苗、それはないはず! 霊夢の神社の下に要石があるんだから、取り出すには神社を壊すしかないわ!」
急に発生した揺れに耐える五人達。しばらくすると揺れは収まったが──近くにスキマが出現した。そこから幻想郷の管理人である──八雲紫が現れた。すぐさま霊夢はこの揺れについて問いかけようとしたが──
「紫! 今の揺れは一体何!?」
「……気にしなくていいわ。それはもう収まっているから。これは異変でもなんでもない。だから調査は無用よ」
「調査無用って……!? あの不良天人の要石があるというのにどうして地震が起きるのか──」
「──調査無用と言ったはずよ……?」
見透かすように鋭い目線、紫から溢れる妖力。それでもう五人は悟ってしまった。
──今の八雲紫は機嫌が悪い事を。
そして、釘をさすように霊夢以外の人物達にも紫は言う。
「……あなた達も調べようとは思わないことね。特に十六夜咲夜……彼にもそう言っておくように」
「……わかったわ」
咲夜は従うしかなかった。いくら咲夜の【時を操る程度の能力】を行使したとしても、八雲紫に敵うとは全然思えなかった。
そして紫はスキマの中へ入り、消えていく。重苦しい空気がなくなり、紫の事をよく知っている内の一人、妖夢は冷や汗を流しながら言った。
「……紫様があのような機嫌が悪いなんて、天人の人以来です……」
「そ、そこまで悪いんですか!? 私も噂程度で紫さんと天子さんの仲の悪さは知っていますが……そこまで!?」
早苗は妖夢の言葉に驚きしかなかった。紫の妖気に当てられて、妖夢がそう語っているのだ。それは本当の事なのだろう。
魔理沙も少し困った様子だったが……箒に乗りなおして言う。
「紫の言う事には従った方が良いかもな……とりあえず、私は家へ帰るぜ。今の揺れで物が崩れているかもしれないしな」
そう言って魔理沙は飛翔して去って行った。彼女と同じように妖夢、早苗、咲夜も帰っていく。
そして……霊夢は疑問を口に出しながら言う。
「……紫があそこまでなるなんて……今の幻想郷には何が起こっているの……!?」
次回から共通章にはいります。
……正直、これ以降では表・裏と分ける章は無くなるんですよね……しばらくはずっと共通章になります。
ではまた。