幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ……長かった。今回の章までに来るのが。残酷描写が入るので注意。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


共通・第二十章 東方陽陰記 〜Phantom Stage〜
『始まり』


 深夜の時間帯の守矢神社。その巫女である東風谷早苗は気持ちよさそうな寝息を立てて寝ている。

 

 

 

 

 

 そこへ──何者かが部屋に侵入してきた。しかし、扉の開いた音はせずに。

 

 

 

 

 

 

 深夜の所為か姿は確認しづらい。その人物は早苗の部屋に掛けてある──黒いコートに視線を移した。

 

「…………」

 

 その人物はコートを手に取り、羽織った。そしてそのまま、部屋の主に気づかれないまま外へ出て行く。

 

 ここまではその人物の思惑通りだっただろう。だが──

 

 

 

 

 

『そこまでだよ、盗人』

 

 

 

 

 

 謎の人物が外に出て移動しようとしたところで、その人物に警告するかのように岩石が飛んできた。謎の人物は振り返らずに攻撃を躱す。そして、攻撃を仕掛けた人物──洩矢諏訪子が攻撃的に話し掛けた。

 

「こんな時間帯に盗人が現れるとは思わなかったけど……しかも、それは大事な早苗のコートを。これだけ普通に侵入してきたのに早苗は気づかない、ましてや神奈子も気づかない何ておかしい。何で私だけが君の存在に気づけたのか最も不思議な事だけど──この際、それはどうでも良い! それはさっき言った通りの早苗の大事な物なんだ! 返してもらうよっ!」

 

 未だに謎の人物は後ろを振り向いているままだが……諏訪子は周りの岩石を浮遊させて攻撃態勢をとっていた。

 

 

 

 

 

 しかし、謎の人物が左手を掲げた瞬間──眩い白い閃光が辺りを照らす!

 

 

 

 

 

「うわっ!? 目潰し!?」

 

 暗順応していた諏訪子の目を襲い、攻撃態勢を止めては視界が遮られては思わず目を閉じてしまう。視界が回復した後には……もう、謎の人物はいなくなっていた。

 

「……しまったっ!? 逃がしちゃった……!?」

 

 謎の人物を捕らえることが出来なかった諏訪子は、悔しげに呟いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の博麗神社。いつもなら二人の人間が共同生活をしていたのだが……一人しかいない。博麗神社の巫女である、博麗霊夢だ。一応、同居人だった彼の式神の猫がいたのだが……その猫も姿を消していた。

 

「……結局、侠は帰ってこなかったわね……」

 

 外来人で居候していた辰上侠。彼はこの幻想郷で新たな異変解決者と数えられては、この幻想郷を創った龍神の先祖返りでもあった。しかし、現在彼はこの博麗神社にはいない。

 

 その中、霊夢が思い起こす彼の言葉は。

 

 

 

 

 

『もう、帰ってくる事は無い』

 

 

 

 

 

 彼の言った言葉の意味。今となっては冷静に考えてみれば──外界への帰還。しかし、それならばあの侠の態度はおかしいものだと霊夢は考える。

 

「(……本当に外界に帰るっていうのなら、あの侠の【怒り】はおかしい……。侠は外界に帰る前提でこの幻想郷にいた。でも、あの言葉の意味って……?)」

 

 そして、思い浮かぶ。彼の普段の態度では無い、ましてや【素】でも無い。今まで見たことがない彼の表情を。

 

「(……嫌な予感がする)」

 

 彼女の勘がそう告げた時──博麗神社の上空から、一人の妖怪がやって来た。その妖怪とは狐の尾が九本あり、幻想郷の管理人の式神でもある──八雲藍。

 

「霊夢、侠をどこかで見なかったか?」

 

「……見てないわよ。昨日、何か普段とは違う表情で神社から飛び出ていったのよ……」

 

「ふむ……ならば、彼は一体どこに……? 普段、溢れるばかりの彼の妖力を感じないんだ。まさか、本当に自力で外界に帰った事なんてないと思うのだが……一応聞くが霊夢、博麗大結界を開けて侠を帰したなんて事は──」

 

「してないわよっ! だったら静雅も連れてきているはずじゃない! 逆に聞くけど静雅はどうなのよ!?」

 

「彼は紅魔館にいる事は確認されている。では、侠は何処に行ったというのだ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女達が話し合っている時に──空気が震えた。

 

 

 

 

 

 

 

 その事にすぐさま感じ取った藍。その空気の震えからある事を判断した。

 

「これは──紫様の怒りっ!? そして、誰か知らない人物と戦っている……!?」

 

「紫が!? それに、知らない人物って……!?」

 

「それは私にもわからない! この気配は私が初めて確認するものだ! これは妖力なんてものじゃない……これはおそらく、霊力! 人間に似た種族と紫様が戦っている!」

 

「まさか……結界からの歪みで入ってきた特殊な外来人だというの!? それで、紫がそんな状態にまでなって戦う相手……!?」

 

 幻想郷の管理人でもある、スキマ妖怪の八雲紫。彼女が実際に怒った事は霊夢の知る限りでは、天人の比那名居天子という事は知っている。だが、それとは違う人物が、紫と戦っているというのだ。

 

 式神という事もあるのだろう。藍は主のいる方向を判断し、霊夢にも行動を促した。

 

「霊夢っ! お前も着いてきてくれ! いざというときは加勢が必要な場合もある! 紫様に限ってそういう事は無いと信じたいが……我々が対処しなくてはいけないからな!」

 

「侠が行方不明だというのに……どうして面倒事ばっかり起こるんでしょうねっ!」

 

 二人は、紫が戦っているであろう場所へと飛翔し、向かっていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着いた場所は、外界の物が流れるという無縁塚。二人は降り立ったのだが……藍は苦しそうな表情を浮かべる。

 

「ぐっ……!」

 

「藍!? あんた一体どうしたのよ!?」

 

「……紫様の妖力が物凄い速度で減ってきている……! 式神というのは、主が近くにいるほど、それ相応の力を発揮出来るんだ。しかし……これから判断するとなれば、紫様に何かあったのかもしれない……!」

 

「! 急ぐわよ! 何か嫌な予感がするわ!」

 

「……あぁ! 急ごう!」

 

 二人とも急ぎで駆けていく。霊夢は予感と共に、勘で思う。

 

「(本格的にこれはヤバい気がする……!)」

 

 そして、駆けついた最初の場所は──辺りに大小のクレーターが出来ていた。この場所で戦闘が起こり、進むにすれて戦闘が過激になっている。奥に進めば行くほどにだ。

 

 進むにつれ──弾幕の音や、目視出来る弾幕が見えてきた。その様子から判断するならば、紫はまだ応戦しているということを示していたのだが──

 

 

 

 

 

 急に、前方の音が無音に近い状態となる。同時に、先ほどまであった弾幕も確認することは出来なくなってしまった。

 

 

 

 

 

 霊夢は紫が特殊な外来人を何とかしたのかと願いたかったが……現実は、そうでなかったようだ。先ほどの表情とは打って変わって、藍の表情が青ざめている。

 

「まさか──紫様が……負けた!?」

 

「嘘でしょ!? あの賢者の紫がよ!?」

 

「……急ぐぞ、霊夢!」

 

 言葉の真意を確かめていた霊夢を振り切って、藍は早く奥へと進んだ。同様に霊夢も奥へ飛翔して進む。

 

 そうして、ようやく藍に追いついた霊夢。彼女は棒立ちしていた藍に話し掛けたのだが──

 

「……藍? 一体どうしたのよ──」

 

「──どういう……事だぁあああ────っ!!」

 

 怒りが爆発するような藍の妖力。その事に霊夢は驚きはしたが、彼女の目も状態を確認した。

 

 霊夢の写し出した視界は、二人の人物がいた。一人は八雲紫。普段は様子が読めない彼女だが……今の霊夢にでもわかることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは──彼女の腹部が、何者かの片腕によって貫かれている事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──ゴフッ』

 

『……はッ。汚ェ血を吐き出して何になるって言うんだ? スキマ妖怪が。貴様には俺を騙した制裁を一発決めなくちゃいけないと(はらわた)が煮えくりまくっていたんだからな。当然な事だ』

 

 彼女は吐血し、弱くなっていく瞳で、自分を貫いた相手を見ていた。その人物は黒いコートを羽織っており、具体的にコート以外の服装がわからないが……彼の顔は、忘れられもしない、男の顔。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 八雲紫の腹部を貫いている人物こそが──外来人でもあり、幻想郷の創造神の子孫である──辰上侠だったという事は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ※基本的にここの部分の為にタグで残酷描写をつけていました。

 ではまた。
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