幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 彼本来の戦い方。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


『辰上侠の力』

 始めに攻撃を仕掛けたのは魔理沙。彼女は手元から密度を高めた弾幕を繰り出した。侠は手を空に振りかざすようにして挙げると、目の前の大地が盛り上がり、土の壁が出現しては彼女の弾幕を防ぐ。妖夢は接近戦を試みるものの、彼は適度に距離を保ちながら足場を変形させる。足場が安定しない所為で妖夢は地上で満足に剣を振るう事が出来ない。早苗は風を操り、彼に接近して五芒星の弾幕を放つが、彼の周りに浮遊している要石が盾となって防がれる。アリスは人形を使ってはレーザーの弾幕を放つが、最小限の動きで侠は回避。時を止めて移動した咲夜は死角を中心とした侠の周りにナイフを配置させて攻撃するが……どこからかわかっているように、さらに彼の周りに浮遊している要石が攻撃を防いだ。

 

 全ての攻撃を躱されている事実に魔理沙は、苦虫を噛み潰したかように言う。

 

「攻撃が全く通用しない……!?」

 

「つまらん。こっちが少数だというのにまともにダメージを与えられないのか……」

 

 退屈そうに言う侠に、咲夜は情報を整理したのだろう。味方に今までに得た情報を伝える。

 

「おそらく今の侠は大地を操る能力を持っているのよ! あの不良天人と同じ以上の能力を!」

 

「初代龍神様の能力で手に入れた能力を、侠さんが今使っているのですか……!」

 

 咲夜の情報を確認する妖夢。そしてアリスはスペルカードを取り出し、宣言の準備を。

 

「まずはあの浮遊している要石から破壊した方が良さそうね──魔符【アーティフルサクリファイス】!」

 

 宣言したアリスは手元から一体の人形を取り出しては侠に向けて投擲。彼女の様子を見て早苗もスペルカードを宣言する。

 

「投擲物のスペルカードなら私もあります! 御籤【乱れおみくじ連続引き】!」

 

 早苗も侠に向けて多数の白い固まりを多数投擲する。

 

 アリスのスペルカードは、簡単に言うならば爆弾のような攻撃。早苗のスペルカードは、運が絡むものの攻撃力がムラのある攻撃だ。当たるまで威力がどうなるかわからないもので、まるで目にするまで運勢がわからないおみくじみたいなもの。

 

 二人のスペルカードを確認して侠も同時に、彼もスペルカードを宣言した。

 

「地心【アースブレイカー】!」

 

 彼は大地に殴るようにして拳を着ける。すると──大地が震え、一直線に高く隆起した大地が出現。それは盾としても機能するようで、アリスと早苗のスペルカードを防ぐ。彼女達の弾幕が触れた瞬間大きな爆発が起こったり、『大吉』や『大凶』となどといった、運勢を表す弾幕の文字も現れたが。

 

 彼女達のスペルカードはそれで終わってしまったが、彼の隆起する大地の進行は止まらない。勢いがついていくなかで彼女達を襲おうとしている時──妖夢はスペルカードを宣言。

 

「断命剣【冥想斬】!」

 

 一刀両断。弾幕を纏わした楼観剣で隆起してくる大地を切断した。すぐさま彼女達は散らばり、アリスは彼の今の攻撃に驚愕の表情を浮かべていた。

 

「三人がかりでようやくスペルブレイクなんて……硬いわね」

 

「元々そういう適合スペルだ。防御に特化した属性スペルなんだからな」

 

 余裕を浮かべながら悠長に説明する侠。彼の今の瞬間を隙だと思ったのだろう咲夜は彼の背後方面に出現し、ナイフを投擲する。

 

「そこよ!」

 

 素早いナイフの投擲。侠は反応したのだが……何故か、手をナイフを投擲された方向に合わせるだけ。咲夜は手元から弾幕を繰り出して相殺するのかと考えたのだが──

 

 

 

 

 

 

 

 彼の手に当たったナイフは、硬いモノに反発されたかのようにはじかれた。

 

 

 

 

 

 

 

「──!? 今、確実に当たったはずなのにはじかれた……!?」

 

「甘いな」

 

 侠は周りに浮遊している要石の一つを咲夜に飛ばした。彼女は再び時を止めて回避行動をとると同時に、ナイフを侠の周りに配置しては魔理沙達が密集している場所へと戻っていったのだが……侠はどこからナイフが来るかわかっているかのように、要石を自分の周りに動かしたり、手でナイフをはじいてはを繰り返す。そして一本のナイフの柄を掴んで侠は咲夜に向き直る。

 

「そんな貧弱な攻撃が通用すると思ったか? まだ威力の高い攻撃をまだ勧めるぞ」

 

「……ナイフの位置がわかっているように対処しているのも気になるけど……今、どうして被弾したはずのナイフにびくともしないのかしら?」

 

「フン……優しい俺が丁寧に説明してやろう。心して聞け」

 

 侠は手元に持ったナイフを自身の腕を切りつけようとしたが──そのナイフによる切りつけは反発される。その光景を見せながら侠は言う。

 

「適合スペルは単に相手の姿を似せるわけではない。元々の持ち主の個性や性質、特性や能力といった固有のものが適合スペルに表れるんだよ」

 

「……今の姿はあの天人──まさか!? そのナイフをはじくといった防御力──天人の防御力を表しているというの!?」

 

「!? どういう事なんだぜ咲夜!?」

 

 咲夜は察せたが、魔理沙は情報が足りないのか困惑している。そのような彼女にアリスが補足するように説明を。

 

「……侠の言っている事はあの適合スペルを使った場合、元々の持ち主の個性やら性質が表れると言っているの。侠はあの状態はあの天人に酷似している。天人は確か桃の影響とかでめっぽう防御力が高いでしょ? それで今の侠は──ナイフをはじくほどの天人の体になっているのよ」

 

「! 天人の体に……!? じゃあ、チルノや妹紅もそういう特性もあるっていうのか!?」

 

「ご名答だ。チルノは妖精だからな。自然が周りにあればあるほど力の回復が早い。妹紅は蓬莱人。いわば不老不死に。東風谷は能力である奇跡の影響で、運が高くなる。今となっては他の力で竜宮の使いは【空気を読む程度の能力】で攻撃を受け流しやすくなる。今となっては他に適合スペルはあるが……それは別にいい。察しの通り、今の俺は天子並の防御力を兼ね備えている」

 

「何と……!? そのような秘密が!? しかし、侠さんは人間のはずです! 天人の体や、ましては蓬莱人になるなど──」

 

 侠の説明に妖夢も驚きを隠せない様子だったが、最もな疑問を侠に投げかける。そんな簡単に人間を超えるような事ができるのか問いかけたのだが……彼は含み笑いと同時に答える。

 

「ククク……俺はこの世界を創った創造神の先祖返りだぞ? ましてや、その意思が俺の中にある。俺は幻想郷で確認されている種族は全て当てはまるんだ。だからこそ【適合】スペルなんだ。その種族や特性が付与された酷似した姿になる事が出来る」

 

「そういえば、前に私の神社で全ての種族に当てはまると言っていたような──! 待ってください! 初代龍神様はどうしたのですか!? いくら何でも今の状態の侠君を止める行動をしているはずです!」

 

 早苗は納得しているところに、新たな疑問。彼の中にいる初代龍神であるティアーはどうしているのか? 今では暴走状態に近い子孫である侠に何も反応が無い事はありえない。彼女の疑問に思い出したかのように侠は答える。

 

「あぁ、ご先祖様か? ご先祖様は俺に同意してくれたよ。『このような状態になっても仕方ない事。八雲紫が正直に話さなかったからこそ起きてしまった事だ。主は思う通りの行動をとれば良い』ってな」

 

「そんな……!? 一体、紫さんと何があったのですかっ!?」

 

「先ほども言った通り、答える義理は無い」

 

 頑なに答えない侠。そんな彼に痺れを切らしたのか……魔理沙は前に出ては、八卦炉とスペルカードを構えては強きに出る。

 

「なら力尽くに喋らせてやるぜ! いくら天人の防御力を持っていたとしても──弾幕はパワーだ! その防御力を超える攻撃力ならば問題無いぜ──魔砲【ファイナルスパーク】っ!」

 

 彼女の十八番のワザである【恋符『マスタースパーク』】の発展ワザである攻撃。マスタースパークとは広範囲で、さらに密度が濃くなったレーザー弾幕。それに対応するかのように、彼もまたスペルカードを宣言。

 

「対抗して防御力のある攻撃ワザを出すか──地心【グラウンドドラゴン】」

 

 侠が宣言すると、周りの大地が集まっていき──大地が集まってで出来た岩石の龍の弾幕が形成されていく。岩石の龍は魔理沙の弾幕と真っ向にぶつかり合う。魔理沙の攻撃は彼の弾幕を超えないような境界線を彷徨っていたが──

 

「弾幕は──パワーだぜッ!!」

 

 言葉と共に気合いを入れて、八卦炉に込める魔力の量を増加した。その事により魔理沙の攻撃の威力が上がり、侠のスペルカードを押していき──岩石の龍は砕けた。まだ威力が残った光線は侠を襲う!

 

「む……」

 

 侠は浮遊している五つの要石を盾にして、転がるようにしてレーザーを回避。要石はレーザーに飲まれては壊れてしまったが……その様子を見て魔理沙は勝ち誇るように侠に指を指しながら言う。

 

「どうだ! 例えどんな防御力を持っても──それを超えるパワーならば関係ないぜ!」

 

「……確かに、そうだな。それは認めてやろう。だが──それなりの力を消費したみたいだがな」

 

「へっ! 個人戦ならまだわからなかったかもしれないが、まだ私達には仲間がいる! それなりにフォローしあえれば問題無いっ!」

 

「……良いだろう」

 

 侠は【土】の適合スペルを解いた。その事により黒いコートを着た状態に戻る。元の姿に戻った侠を確認しては、アリスは人形──上海を構えて照準を侠に合わせながら牽制の言葉を。

 

「どうやらその適合スペルはブレイクだか知らないけど、止まったみたいね……違う適合スペルを宣言するつもりかしら? だったらその間に私の人形の弾幕があなたを攻撃する」

 

「……いや、現状持っている適合スペルは使わない。しばらくの間は俺本来の力で相手してやる」

 

 そう言いながら侠は白紙のスペルカードを構え、左手の照準は密集しているアリス達に合わせる。妖夢は警戒するように味方に行動を促し始めた。

 

「! 皆さん、一先ず離れましょう! 未知のスペルカードの攻撃かもしれません!」

 

 妖夢の言葉に全員がそれぞれの場所に散らばる。その中で攻撃すると宣言していた為か、侠の手の照準はアリスに向いているままだが。

 

 アリスもまたスペルカードを持っては宣言。

 

「咒符【上海人形】!」

 

 上海の手元から紫色のレーザーが侠に向けて発射された。侠もスペルカードを輝かせながら──魔理沙に語りかけた。

 

「……霧雨。確かに貴様の言った事は正しい。どんな攻撃でも──それを上回る攻撃力があれば、相手の攻撃力と防御力は無視出来るからな」

 

「そんなのわかりきっているぜ! だからどうした──」

 

 彼女が言いかけているところで──彼はスペルカードを宣言する。

 

 

 

 

 

 

 

「──模倣【マスタースパーク】」

 

 

 

 

 

 

 

 彼の宣言したスペルカード名。それは誰もが聞いたことあるような名前だった。侠が宣言したと同時に──彼の左手から赤く太いレーザーがアリスの弾幕を打ち消していく!

 

「!? そのスペルカードの名前は──」

 

「攻撃力の低い攻撃なぞ無意味だ!」

 

 アリスの攻撃が飲み込まれ、目の前の現象に戸惑ってしまったのか、アリスは動きを忘れていた。

 

 が──アリスの姿は急に場所が変わっている。その理由は、咲夜だ。彼女が素早く時を止め、アリスを抱えて被弾しないような場所に移動させた。彼の放った攻撃はそのまま通り過ぎる。

 

 早苗は二人に近より、安否を確かめる。

 

「アリスさん! 咲夜さん! 大丈夫ですか!?」

 

「……私は大丈夫よ。咲夜……悪いわね」

 

「正直、私もかなり焦ったけどね……。でも、明らかにあの攻撃……」

 

 咲夜は侠に視線を向けるも──今度は侠は妖夢に体の向きを変えており、また新たなスペルカードを宣言。

 

「模倣【ミゼラブルフェイト】!」

 

「なっ!? このスペルカードはレミリアさんの……!?」

 

 彼の手元から多数の鎖のような弾幕の出現。妖夢は走り回りながら弾幕をグレイズしながら剣で攻撃を受け流す。

 

 もう、明らかだった。前者のスペルカードは魔理沙の【恋符『マスタースパーク』】と似たスペルカード。後者はレミリアの【運命『ミゼラブルフェイト』】。彼は他者のスペルカードを使っている事を。

 

 当然、この場にいる誰もが疑問に思う事だろう。ようやく時間をかけて妖夢は侠の攻撃を躱した後。特にスペルカードがそのまま真似された魔理沙は驚愕を含んだ声で侠に疑問を投げつけた。

 

「お前!? 私のスペルカードを……!?」

 

「どういう仕組みかは一目見れば大体わかる。俺は龍神の先祖返りだぞ? 貴様らのワザなぞ限定されていないモノを除けば他人でも出来るだろうが」

 

「そんな簡単に真似されてたまるかっ!」

 

 攻撃を止めていた侠はそう答えるものの、魔理沙は納得してきれない。

 

 だが……今の説明を聞いて、何故かアリスは心のどこかで納得していた。

 

「(……今の話、どこかで聞いた覚えがあるような──)」

 

 

 

 

 

 

 

『──あいつが興味を持ったことはとことんまで追求するからな。しかも覚えるスピードが半端じゃない。他人がやれることは自分も出来ると思っているからかもしんない。侠の特技というか……真似る相手より発展させて技術を得るんだ──』

 

 

 

 

 

 

 

 唐突に思い出した会話。アリスは味方に聞かせるように言う。

 

「皆! これ以上侠にスペルカードや他のワザを見せないで! 侠はおそらく──見ただけで相手の技術を得るのよ!」

 

「えっ!? 見ただけで……ですか!?」

 

 早苗がアリスの言葉に驚愕の声をあげるものの、それは他の人物も同じだ。その中──咲夜はスペルカードを宣言していたが。

 

「幻葬【夜霧の幻影殺人鬼】!」

 

 彼女の宣言と同時に多数のナイフが周りに展開。そのナイフ達が侠に襲いかかっている間、彼女の行動を魔理沙が指摘したが、根拠を述べて言う咲夜。

 

「おい咲夜!? アリスの話を聞いてなかったのか!?」

 

「大丈夫よ。私の能力が無い限り、侠は私のスペルカードを真似する事が出来ない。確かにアリスの言う通り、スペルカードを覚えられるだけの侠はスキルを持っているけど──中には根本的な能力を介さなければ出来ないスペルカードも存在する。私の他にアリスもまだ真似されることはないわ。彼は人形を一つも持っていないしね」

 

「私だと剣……侠さんも剣を持っている分、私のスペルも真似されるということですか……!」

 

 咲夜の説明に妖夢を代表にして納得していく彼女達。確かにあまり能力を介さないスペル云々の攻撃なら彼に盗まれてしまうが──中には根本的な能力がないと発動できないスペルカードも存在する。

 

 だが……この場でまだ侠にスペルカードを見せても大丈夫な人物は咲夜とアリスだけに限定されている。アリスは咲夜の横に立ち、彼女に話し掛ける。

 

「……よくそこまで考えられたわね。私は偶然静雅の会話を思い出したから警告出来たけど……」

 

「静雅からキッチンでの雑談でそういう事は言っていたから。もしやとは思ったけど……アリスほどじゃないわ」

 

「(……キッチンで雑談しているの!?)」

 

『──防符【リフレクション】』

 

 静雅の新しい情報でアリスは驚いている中──侠は自身が持っているスペルカードの宣言。彼は赤いぼやけを纏ってはナイフを防御。ぼやけを纏っている間に咲夜のスペルカードによる攻撃が終わった頃には……侠の防御スペルも終わった。

 

「めんどくさいから防御スペルを使ってしまったじゃないか。どうしてくれる? それと……やはり貴様は厄介な人物だな」

 

「知らないわよそんなの……。でも、私達は迂闊にスペルカードを使えなくなった仲間もいるけどね……」

 

「だからどうした? それならば俺は攻めるまで。それと──単に真似るだけだとは思うな」

 

 侠は再び白紙のスペルカードを取り出して──宣言。

 

「発展【ラスターカノン】!」

 

 彼の構えた両手に、質量のある大きな赤い弾幕の球が肥大化していく。みるみると弾幕が大きくなっている中、彼の攻撃に危険性があると判断した早苗が味方に呼びかける。

 

「! 皆さん、急いで回避行動を──」

 

「ゼァッ!」

 

 彼のかけ声のともに放たれる大きい赤い弾幕の球。それは咲夜の方向に向かって飛んでいくが……彼女や付近にいる人物も回避行動を。対象となっていた咲夜は無事に避ける事は成功したが──彼女のいた足場は、火柱の如く弾幕の柱が。弾幕の柱が終わった頃には、その地表が円の形で抉れている。

 

 攻撃力の高さに唖然としていたのだろう。彼女も弾幕はパワーという口癖の魔理沙は、戸惑いを含めて侠に言葉を投げかける。

 

「何だよこのスペルカードの攻撃力の高さ……!? 一体どうすればこんなスペルカードが出来るんだぜ!?」

 

「元々は貴様の攻撃をモデルとしたものだ。レーザーによる持続性の攻撃ではない。球にまとめることによっての一点特化。貴様のいう【弾幕はパワー】を元にしたスペルカードだ。貴様はただの人間である分、攻撃力が高い代わりに燃費が悪い。だが……俺には力のストックがあるからな。今使っている霊力をが尽きかけたら他の素養に代えれば良いからな。しかもその力は時間と共に回復していく。実質、俺の力は無限に近い!」

 

「なっ……!? 何なんだよそれ!? おかしすぎるだろ!?」

 

 侠の言っている事。今使っている力は霊力だが……彼は霊力の他に魔力、妖力、神力を扱う事が出来る。使用した力を切り替え、減っている力は自然に回復していく。加えてはそれぞれの力の素養と量は、過去に永琳が考察した事で密度が濃い。それぞれの侠の力の素養は並外れた力を持っているのだ。彼の言っている通り──実質無限に近い。

 

 そして、侠の言葉にある事を思い出すアリス。

 

「(確か、静雅は言っていた!『真似る相手より発展させて技術を得る』って! それはつまり……今まで侠が見た他人のスペルカードを、本人以上に扱う事が出来るという事! 他人のスペルカードを見る度に、実質侠の実力も上がっていく……!?)」

 

 ワザを見せる程に侠は強くなっていく。その信じたくない事実に気づいてしまったアリスだが……妖夢は剣を構え直して、味方に言い聞かせるように話し掛けた。

 

「ならば……侠さんの体力を減らせば良いということ! いくら侠さんでも、私達の相手をするのは難しいはず! 私達がきちんと協力すれば──侠さんを止める事が出来るはずです!」

 

「そうですね妖夢さん! 私達が協力して、侠君の心を取り戻すんです!」

 

「……私とアリスで主体に攻めるわ。まだ、彼にスペルカードを見せても問題ない。アリスもそれで良いわね?」

 

「……えぇ。ここはきちんとするしかないわね」

 

「最後に私が残りの力を込めてとどめをさす! 皆──行くぜ!」

 

 そして彼女達はフォローしあえるように、陣形を組み直す。彼女達の様子を見て……侠は溜息交じりに呟く。

 

「……無駄だという事がわからないのか……仕方ない。めんどくさいから──出てきて良いぞ」

 

 彼は誰かに呼びかける。当然、彼女達は疑問に思う事だったが──その疑問は晴れる事になる。彼の言葉に反応し、近くの森の茂みからとある女性が現れた。

 

『……出てきて良かったのかしら? いっそ、奇襲で私が襲えば良かったと思うのだけど……』

 

「それでも良かったけどな。だが……ここで一気に戦力差を見せるのも一つの手だ。俺の攻撃を察して貴様も攻撃をしろ」

 

『……ま、良いけどね』

 

 侠と話す人物は、黒服を主体とした服で、腕は白いシャツ部分が見えており、襟元は赤いネクタイのようなもの。髪の長さはセミロング。正直に言うと……魔理沙達がどこかその女性を見たことがあった。ただ、気がかりに思う事は──思い当たる人物の外見は少女に近かったはず。そして、彼はその女性の名を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

「貴様は俺の邪魔をしなければいい単純な事だ。なァ──ルーミア?」

 

 

 

 

 

 

 

 侠が呼んだ名前。それは誰もが聞き覚えがあった。闇を操る妖怪少女であり、空腹の時は人間を食べる妖怪。だが、普段の彼女は間の延びた喋り方をする事が多いが、目の前にいる【ルーミア】は落ち着いた喋り方をしており、何より少女の外見が淑女みたく体が成長している。

 

 ルーミアを詳しく知らなかった五人は驚愕するばかりだ。魔理沙を代表にして侠に彼女の存在について問いかけた。

 

「!? る、ルーミア!? そいつは本当にルーミアなのか!? 全く外見や喋り方が違うぜ!?」

 

「あら、魔理沙……私はルーミアよ。正真正銘の、ね」

 

 含み笑いをしながら彼女達の目の前にいる【ルーミア】は答える。彼女の言葉で疑問に思う事があったのだろう。妖夢が気になる言葉について疑問を。

 

「正真正銘……? それは今までのルーミアさんは違うと?」

 

「そうよ? 真実を言ってしまえば──今まで貴方達が知っている【ルーミア】は封印された状態だったの。強力な封印だったけど……望んで侠に封印を解いてもらったのよ」

 

「封印を……!? 侠っ! 何故そんな事をしたのよ!?」

 

 ルーミアの言葉に反応してアリスが怒りを含めて言葉を飛ばす。だが、彼は何処吹く風。

 

「俺は別に強制はしていないがな。ご先祖様が本来のルーミアと知り合いだというから……真実も含めて、封印されたルーミアに話した。それでどうしたいと聞いたら……封印を解いて欲しいと言われたんだ。お互いの同意で封印を解いたんだ。間違いは無いだろルーミア?」

 

「そうね。嘘は一つも無いわ」

 

 侠の言葉を肯定するルーミア。そして、今の現状を重く受け止めた咲夜は考える。

 

「(封印されていた……それはつまり強大な力を持っていて、それが害する力だったからこそ封印が施された。そうなると──今までのルーミアの実力とは段違いの実力だという事! それに加えて龍神の先祖返りである侠……勝ち目はあるの!?)」

 

「さぁ……折角封印を解いてもらったんだもの。八雲紫の時は奇襲だけで不満だったのよね……。だから──私を楽しませなさい♪」

 

「!? 紫さんの時もルーミアさんがいたのですか!? それでは実質、紫さんは二対一で──」

 

 早苗が言いかけている途中で、ルーミアは両手に闇を纏い始める。それが戦闘再開だと悟った魔理沙達は体勢を立て直す。

 

 再び、魔理沙達と侠達は動き出した……。

 

 

 

 




 紫の言っていた「やみ」というのは彼女の事を示していました。

 次話は違う場面に一時変わります。

 ではまた。
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