三人称視点。
では本編どうぞ。
妖怪の山。そこで侠を止める為に魔理沙と妖夢、アリスに咲夜、早苗は対峙していたのだが……彼の隣には、封印が解けたルーミアが。未だに実力が測れない二人を目の前に、魔理沙は味方に話し掛ける、
「……数は5対2だ! 侠に三人、ルーミアに二人で対応するぜ!」
「無難にその方が良いですね……」
彼女の発言に妖夢は同意するが……ルーミアは侠に確認を取るように声を掛ける。
「……どうやら優先順位は私より侠みたいね……。まぁ、妥当とは思うけど」
「……ルーミア。貴様は咲夜を狙え。残りは俺が相手をする」
「咲夜以外を侠が全て相手……!?」
侠の言葉に対象となった咲夜をアリスは代表にして驚愕の言葉を漏らす。だが──彼はスペルカードを取り出しては宣言。
「模倣【フォーオブアカインド】!」
「!? そのスペルカードは──」
この場にいる人物にとっては咲夜が最も聞き覚えのあるスペルカード。彼が宣言し──辰上侠は合計四人になる。それぞれの辰上侠はさらに──スペルカードを重ねた。
『適合【ブリザードオーバードライブ】』
『適合【ヴォルケイノオーバードライブ】』
『適合【ストームオーバードライブ】』
『適合【エレクトリカルオーバードライブ】』
それぞれが宣言した【適合スペル】。
一人は水の力を。
一人は火の力を。
一人は風の力を。
一人は雷の力を。
水の力を持った侠は妖夢に対峙。火の力を持った侠は魔理沙に対峙。風の力を持った侠は早苗に対峙。雷の力を持った侠はアリスに対峙。そして四人の侠の声は重なる。
『『『『これで5対5だ。誰も暇すること無く戦えるだろう?』』』』
「常識外れで無茶苦茶過ぎますよ!? ただでさえ、一人の侠君で苦労しているというのに……!?」
早苗の声は尤もだろう。ただでさえ先ほど侠との戦い方を理解したというのに、その戦いは封じられて個人戦のような形に。侠にとってはスペルカードは満遍なく使えるが──アリスと咲夜以外は満足にスペルカードが扱うことが出来ない状況になってしまったのだ。例え使えるとしても、確実に攻撃が当てられるときに限定される。
四人の侠が誘導するように魔理沙達を他の離れた場所招き、対峙し終え。ルーミアは改めて咲夜に対峙する。
「さて……侠が遊んでいる間に、私も遊んであげるわ。精々、抵抗する事ね」
「……人間だからって舐めない事ね。さっさと終わらせる!」
それぞれ、自分が相手をすべき人物に向かっていった……。
適合スペルのそれぞれの相手は咲夜以外の人物が奮闘。そして咲夜は目の前にいる、封印が解かれたルーミアと弾幕ごっこが始まった。彼女は手始めにナイフの投擲。それに対してルーミアは最小限の動きで回避した後、彼女は闇を纏った球の弾幕を放つ。闇を纏っている所為が弾幕との距離の把握が難しく、ギリギリのところでグレイズ。
「くっ……認識しづらい……!」
「まぁ、闇で空間を崩しているもの。それは当然よね。じゃあ──さっさと攻めさせて貰おうかしら」
ルーミアはスペルカードを取り出し、宣言。
「夜符【ナイトバード】」
彼女が宣言したことで、左右から交互に弾幕が展開されては咲夜を襲う。だが……それは普段のルーミアと違う所為か、弾幕が一回り大きい。それだけではなく、闇の靄も一緒に放たれており咲夜の視界を奪う。仮にも封印状態の彼女なら簡単に対処出来たのだが……封印が解かれた彼女の力は膨大だ。例え時を止めたとしても対処が難しい。
「……出し惜しみしているしている場合じゃないわね……!」
回避しながら咲夜もスペルカードを取り出して宣言しようとしたが──他方向から雷の弾幕と風の弾幕が流れ弾として咲夜に襲いかかる!
「! 幻符【殺人ドール】!」
彼女は周りにナイフを展開させては、それぞれのナイフを弾幕の相殺にあてる。ルーミアの弾幕なり、流れ弾の弾幕なり。しかし流れ弾の弾幕を対処する分ルーミアに対する弾幕量が減る。相殺しきれなかった弾幕は咲夜自身が避けるしかない。
その隙を──ルーミアは見逃さない。
「──そこね」
ルーミアは闇で作られた大剣を手元に装備。そのまま急接近しては斬りつける!
「っ!? 危ない……!」
紙一重。正面から来たルーミアの動きに合わせて咲夜はバックステップ。何とかメイド服が少し切れたぐらいに抑える事は出来た。
冷や汗を感じている咲夜だが、ルーミアは休めない。すぐさま新たなスペルカードを宣言!
「闇符【ディマーケイション】」
それぞれの弾幕のが彼女の周りに円上に広がる中、タイミングをズラして並んだ弾幕は左右から順番に鞭のように放って来る。これも彼女の封印状態とは違い、大きめな上に速度が速い。このスペルカードも闇を纏っており、視界を妨害している。
「(攻めるなら──今しかない!)」
咲夜は危険を承知でなるべくルーミアへ近づいていく。極力グレイズしながら、危ないと判断したものは時を止めたりなどをして。ルーミアの近くに来ることが出来た咲夜はスペルカードを宣言!
「時符【咲夜特製ストップウォッチ】!」
彼女の周りにアナログ時計のような弾幕が周りに散らばる。ルーミアも避けようとしたのだが、避けきれずに時計の弾幕が当たると──彼女の時が止まったように停止した。彼女の時計の弾幕に当たった人物はしばらくの間動けなるスペルカードだ。その間こそが攻撃のチャンス。咲夜はルーミアの周りにナイフの弾幕を展開しようとしたのだが──
『咲夜さん! 氷の弾幕と炎の弾幕がそちらに向かっています!』
妖夢の警告する声。咲夜は反応し、妖夢の声がした方向に振り返って見ると──氷柱の弾幕と炎球の弾幕が彼女に襲いかかろうとしている!
「また!?」
咲夜は同じように弾幕を回避するなり、相殺するのに時間を奪われていく。その時間切れが来たのか──彼女の背中に弾幕が被弾した。
「うっ……!?」
「よそ見はいけないわね。1対1の純粋な勝負ならわかるけど……あくまで5対5。そういうのは頭に入れないとね」
「(……魔理沙達はきっと手一杯、侠の相手をしている。けど……流れ弾としても、弾幕が多すぎるような感じは気のせい……?)」
どこか納得が出来ていない咲夜だったが、一先ずは目の前にいるルーミアに集中する事にした……。
四人の侠の内、氷を主体とした弾幕を放つ【水】の力を扱う侠の相手をしているのは妖夢だ。過去に彼女は目の前にいる属性の侠とは戦ったことはある。彼女は精一杯対応している中で……違和感を感じていた。
「(……? やけに、攻撃が単調すぎるような……?)」
妖夢と戦っている侠の攻撃が単純。何のひねりの無い氷柱の弾幕を放って来るのだが……妖夢は冷静に自身の弾幕を当てて相殺したり、グレイズして躱していた。時折、他の侠を相手している味方も同様だ。仮にも相手は最高神の子孫だというのに、善戦している。まだ侠達を相手している味方は誰も不利にはなっていないのだ。
そして、侠自身の動きもそう。あまり積極的には攻撃してこなく、遠距離からの弾幕がメイン。ここまでだったら単純に手を抜いているとしか思えないだろう。
その中……どこか、妖夢は侠の行動に違和感を感じる。
「(……侠さんならもっと効率の良い戦いをするはず。スペルカードも四人になってからは使ってはないですし……何か、あるはず)」
「そのまま避けても良いのか? 後ろで戦っている奴に流れ弾となるだけだぞ?」
「なっ!?」
妖夢は素早く躱した弾幕の方向を見る。すると彼女の視界に映ったのは──ルーミアに攻撃しようとして、背後からの弾幕に気づいていない咲夜の姿が。
「咲夜さん! 氷の弾幕と炎の弾幕がそちらに向かっています!」
妖夢は必死に警告する。そのおかげで侠から放たれた弾幕に被弾する事は無かったが──代わりに、咲夜のスペルカードの効力が切れたルーミアからの弾幕が被弾。
その様子を見て、どこか笑いながら侠は言う。
「避けた分だけ十六夜への攻撃になるからなァ? それでも構わないなら別に良いが」
「くっ……!」
時折妖夢は咲夜の様子を確かめる。彼女はルーミアの弾幕の対処と、流れ弾の対処をしなければならない。その事について考えていた妖夢だが──ここで強い違和感が広がった。
「(──? そんなに都合よく流れ弾になるんでしょうか……?)」
妖夢の感じた疑問。彼女の出来る範囲で、周りの侠を対処している魔理沙達を確認してみる。共通しているのは……魔理沙達が内側で戦っているのに対し、侠はどれも外側から弾幕を放っている。内側にいる魔理沙達は弾幕に対処しているものの……躱した弾幕が、咲夜に襲いかかっている。
そこで──一つの謎が解明される。
「(!? 何時の間にか──私達は東西南北の方角で戦っている!? そして、その中心にいるのが咲夜さん!? もしかして私達は避ける度に、中心にいる咲夜さんに流れ弾になる仕組み……ならば!)」
妖夢は試しに内側から外側になるように移動する。だが、彼女の読みが当たったのか──侠も動いては外側をキープ。ここから得られる答えは、彼女の読みの通り。
「(やはり、わざと侠さんは自身の弾幕が当たらなくとも他者に当たるような作戦を実行している! ……でも、何故咲夜さんを執拗に狙うのでしょうか──)」
新たな疑問を展開していた妖夢だったが──彼女のある記憶が呼び起こされる。それは、彼女の疑問を解消する記憶で──
『──隠し球というのは幻想郷の人物で置き換えると……どういう方なのでしょうか?』
『置き換えると? う〜ん……十六夜かな?』
『十六夜……咲夜さんですか?』
『だとおもうよ。【時を操る程度の能力】はサポートにもってこいの人物だし、十六夜自体も運動能力は全然ある。むしろどのポジションでも良いぐらいだ。けど……それでも十六夜は早く片付けた方が良いかもね。サポート能力が高い人物兼戦闘能力が高い人物だから倒せれば戦力は大幅にダウンするから』
『成る程──』
「(──まさかっ!? 最初から、私達ではなく咲夜さんが狙い……!?)」
彼女は思い出した。彼の戦い方のスタイルで自身が少数対相手が多数の時は、誰を優先にして対処するのかと。
彼がフランドールのスペルを使うまでは5対2だった。これでも、彼の考えている戦術に当てはまる。そして何より──侠は咲夜に対して『やはり貴様は厄介な人物だな』と発言している。それ以降だ。彼の発展スペルカードの宣言は誰に対象にして放っていたか。それはもちろん──十六夜咲夜を対象として放っていた。
以降、それを悟られないようにするために、あえて侠はルーミアに咲夜の相手をするように頼んだ。彼女も咲夜に狙いを定めては──彼の攻撃は咲夜にしないと思わせる発言。流れ弾は全て咲夜に狙いを定めた計算された攻撃。彼の策略に乗っていたことに、今気づいた。
その事実に気づいた妖夢は大きな声で、彼の作戦を味方に気づかせようとして発言。
「皆さん! 今すぐ侠さんから離れて咲夜さんの元に向かってフォローしてください! 侠さん達の狙いは私達戦力の分断! それに伴った咲夜さん狙いの攻撃です!」
「はっ!? 嘘だろ!?」
「まさか、今までの侠さんの攻撃は咲夜さんへの伏線だったのですか!?」
「急いで咲夜の元に戻るわ──」
妖夢の言葉に味方は反応して行動をとろうとするが──それよりも早く、侠達が動く。
「「「「今更気づいても遅い!」」」」
四人の侠は翼を出して、速度を高める。誰よりも速く、咲夜の元へ。咲夜に急接近している四人の侠の内三人は消え──水の適合スペルを使っている侠だけが残り、スペルカードを宣言!
「氷水【ガトリングブリザードアロー】!」
大きい多数の氷柱の弾幕が彼の周りに形成される。その弾幕は至って単純な攻撃なのだが──ルーミアの事も対処しなければならない咲夜にとっては、彼の攻撃を対処しきれなかった。
「きゃっ──」
侠とルーミアによる多数の弾幕に対応出来てなかった咲夜は、能力を使用しようとしたが間に合わず。彼女は被弾許容量を超え──倒れ込んでしまった。
「咲夜さん!」
いち早く味方でたどり着いたのは妖夢。彼女は倒れた彼女を抱き上げるものの……気絶。咲夜は戦力から外れてしまった。
妖夢は怒りを込めながら、非難の言葉も含めた声を侠に飛ばす。
「……侠さんっ! どうしてこんな事を……っ!」
「どうしようもあるか。十六夜は間違いなくこの面子で俺の情報量を持っていたからな。それに【時を止める程度の能力】は厄介だ。敵の情報源と戦力の大部分を叩いて何が悪い?」
「……ですがっ!」
「そして──能力の条件は満たした」
侠は指を鳴らす。その音に呼応するように──咲夜の体から銀色の光が出現。その光は侠の体内へと入っていく。
妖夢達に追いついた魔理沙達だが……今の光景の意味が最も理解している魔理沙が悔しそうなうめき声を。
「今の光……能力を満たす──! まさか、咲夜の──」
「ご名答だ霧雨! 味方の力によって失せろっ!」
侠は白紙のスペルカードを取り出して──輝かせながら宣言!
「適合【タイムディメンショナルドライブ】!」
彼の宣言により、アナログ時計の模様に酷似した弾幕が彼を包み込む。すると彼の髪の毛は銀髪へと変わる。後ろ髪には一つの三つ編みで束ねられた髪の毛。服装は変わらないモノの、その外見は──十六夜咲夜にも見えないことは無い。
彼の姿を見て、アリスは驚きしか無い。
「! 咲夜の同じ髪の毛と、さっきの時計の弾幕……! 咲夜の適合スペル!?」
「……ククク。この能力は以前から欲しかったんだよなァ。時を止めるというのは誰もが憧れるモノだ。そして、自分の能力により発展──これほど有用性のある能力も素晴らしい!」
「……随分と楽しそうね、侠」
彼の気分の高揚にどこか呆れ声のルーミア。そして、彼の能力の詳細についてしらないアリスの言葉を代表に侠に問いかけようとしたのだが──それを知る早苗が補足する。
「能力!? あなた、確か龍化が能力のはずじゃ──」
「アリスさん! 侠さんの能力は龍化は先祖返りとしてのデフォルトで、本当は【力を発展させる程度の能力】です! おそらく、侠さんの能力で咲夜さんの【時を操る程度の能力】はさらに強くなる──そのような能力なのです! そして、知っての通り先ほどの光の能力は初代龍神様の能力! このお二人の能力の相性が物凄く良いのですっ……!」
「!? 侠の能力ってそんな能力なのか!? 初代龍神は【力を手に入れる程度の能力】って事は知っていたが……!?」
「……やはり、どこからか情報が漏れているな。まぁ、それは些細なことだ。貴様らを制圧するまで!」
侠は再び戦闘態勢を取り、それに伴いルーミアも同じ行動を。咲夜を抱きかかえている妖夢は、魔理沙達に必死に呼びかけながら咲夜をおんぶしながら行動を。
「咲夜さんを安全な所まで運んできます! その間手薄になってしまいますが……宜しいですかっ」
「……流石に追い打ちはしないと思うが……さっさと行ってこい! ここは私達が食い止める! もう、相手に真似されるかどうか何て関係無いぜ──魔廃【ディープエコロジカルボム】!」
魔理沙は箒を構え、何かの薬品が詰まった瓶を飛ばすようにして放つ。その間に妖夢は戦線離脱をし、距離を離していく。
侠は妖夢を気にすることは無く、新しいスペルカードを取り出して宣言。
「時空【フューチャーズホール】!」
彼は渦巻く空間を召喚。その空間の中に魔理沙の放った瓶は飲み込まれていった。そして、その渦巻く空間は閉じていく。
「!? 私のスペルカードが飲み込まれた!?」
「不用意に攻撃するなんてするからだ。これで、攻撃する権利はある意味俺にある」
挑発するかのような侠の言葉だが、それとは関係無く、妖夢達がこの場から去った事についてルーミアは問いかける。
「……追わなくてもいいの?」
「別に構わん。こいつら三人の戦力から考えても、俺達二人なら問題無い」
「バカにしやがって……! だったら直接ぶっ飛ばす──彗星【ブレイジングスター】!」
彼の言葉に堪忍袋の緒が切れた魔理沙は異なるスペルカードを宣言。彼女の周りに弾幕が纏い、突進攻撃をしようとするが……アリスの制止の言葉を聞かず。
「待ちなさい魔理沙! まだ侠のあの適合スペルの性質を分析してから──」
「そんな悠長なことなんてしてらんないぜ! さっさとあいつらを倒す!」
魔理沙はアリスの言葉を振り切り、そのまま突進攻撃をする。だが、侠は口元を緩めながら呟く。
「……こうも思惑通りに動いてくれると楽しいものだな」
侠は片手を振り上げる。それと同時に──さっき閉じられた空間が現れ──瓶が魔理沙の飛んでいる足下へと落ちてくる。
「…………は?」
彼女の間の抜けた声がした頃はもう遅い。その瓶が魔理沙の足下に落ちた瞬間──爆発。そもそも前に彼女の宣言したスペルカードは、彼女お手製の爆弾でもある。威力は最低限抑えられているが……彼女の口癖であるパワーの分、まともに防御しなかった魔理沙へのダメージが大きい。
「がっ……!?」
「魔理沙さんっ! 大丈夫ですか!?」
箒から落ちて転がっていく魔理沙に素早く早苗が駆け寄る。彼女は少しふらつきながらも立ち上がり、侠を睨みつけるようにしながら話し掛けた。
「今のは……私の真似じゃないな。どうなっているんだぜっ!?」
「単純に説明してやろう。俺がさっき発動したスペルカードは至って簡単。お前の攻撃を未来の空間に送っただけだ」
「…………未来!? 咲夜はそんな事出来ないのに……!?」
同じく早苗と同じようにアリスは魔理沙に駆け寄りながら──情報を整理して、確かめるように彼に問いかけた。
「……それが本当のあなたの能力ってわけね。過去の静雅の雑談の偶然かわからないけど……侠の【真似る相手より発展させて技術を得る】特技が具現化した能力が、【力を発展させる程度の能力】……!」
「まぁ、そうだろうな。十六夜の【時を操る程度の能力】から、時間と空間を操る力──【時空間を操る程度の能力】だ。こいつは龍化に重ねる事は出来ない適合スペルだが……それでも充分だ!」
そして、彼の能力を聞いてかどうかわからないが……ルーミアは彼の片手を手に取り、闇の弾幕を作りながら言う。
「そして、侠と接触していることで……隣接している人物の能力も発展されるのよね!」
闇の弾幕を疲弊している魔理沙へと放った。アリスが庇うようにして人形を展開させていたが──それより前に、早苗が出る。
「ここは私がっ!」
早苗は腕で何かの術式を動かして描きながら、水で出来た盾を出現させる。だが──その盾を通り抜けるように、闇の弾幕が早苗を襲う!
「!? 防げられない……!?」
「残念ながら、それは回避するのが正解の弾幕よ」
ルーミアが答え合わせするような言い方で早苗に言ったが……その闇が晴れるころには……外傷が無い早苗が。
「……? 痛くない……? 不発だったのでしょうか──ならば! こうなったら奇跡の力で風を起こして反撃しますよっ!」
早苗は普通に能力を使用して風を起こそうとしたのだが──何も起こらない。その様子を味方である魔理沙が恐る恐る問いかける。
「お、おい……? 風が起きてないぜ? 風を操るの、お前の得意技じゃないのか?」
「わ、私としたら発動しているつもりなんです! ですが──どうしてか風が起きないんですよーっ!?」
「何だよそれ!?」
焦る早苗の様子に魔理沙達も焦る。何が原因で早苗の能力が発動しないのか考えていたところに……ルーミアから呆れた言葉が飛ぶ。
「……無意味な弾幕を飛ばす必要無いでしょ? ちゃんと、さっきの闇は意味がある。侠の能力で私の【闇を操る程度の能力】が──【闇に葬る程度の能力】に発展しているの。安心しなさい。一定時間でランダムにだけど……何かの力を一時的に使えなくする。そこの霊夢もどきの場合だと──能力が葬られているわね。これで実質戦えるのは二人──いえ、負傷者に近いのが一名だから一人ね。そこの人形使いがどこまで頑張ってくれるかしらね?」
「デタラメ過ぎる……!?」
今の不利な状況にアリスは滝のように冷や汗が流れる。最初は侠と対面した時は5対1で、数はアリス達が有利だったはずなのだ。しかし、今は何だ? 人数が減らされ、まともに体力と戦える力があるのはアリスのみ。魔理沙は体力が極限まで減っている。早苗の大幅な攻撃力の低下。実質的には──1対2。
その中の状況でも、魔理沙と早苗は体勢を立て直す。
「異変解決者を舐めるなっ! だったらこれ以上弾幕に被弾しなければ良いことだぜ!」
「奇跡が使えなくとも、まだ戦える手段はあります! 私達で侠君達を──止めるんですっ!」
「……今の状況でよくそんな事を言えるな。尻尾を巻いて逃げるのが得策だというのに……。もう貴様らが知っている【辰上侠】なぞいない!」
何度目かになる戦闘が、始まった……。