三人称視点。
では本編どうぞ。
侠が下克上を達成して翌日。幻想郷側から助っ人として呼ばれていた人物達は幻想郷に帰還する事に。同じ幻想郷の人物として霊夢も同伴すると思い行動に移していたのだが……紫に前もってある事を話し掛けられている。
『霊夢はまだ外界にいて良いわよ。尤も、後数十時間後には帰って貰うけど』
『? 何で私だけ遅いのよ?』
『もう、わかってるくせに。もっと侠の傍にいたいでしょ?』
『……うっさい』
『まぁ、それは置いておくとして。侠はある場所にいかないといけないから、霊夢も同伴してもらおうと思ってね。親友である静雅ではなく、あなたに』
『……?』
侠が行く場所と聞いて彼女はすぐに思い浮かばなかったものの、一先ず置いておくことに。そして、見送りは侠の家族に加えて静雅もいる。
静雅に疑問を持つように話し掛けたのは魔理沙だ。彼女はどこか納得いかないような表情を見せている。
「……静雅は外界に残るのか?」
「そりゃな。オレは外界の人物だし、色々とやらなきゃいけない事が残ってるんだよ」
幻想郷では日食異変を起こした人物でもある本堂静雅。彼はそう伝え、どこか名残惜しそうに前髪を触りながら答える。
彼が幻想郷に来ないという事を伝えられてか、アリスは強がるような声で言葉を繋ぐ。
「……あなたがいなくなる事で、幻想郷は静かになるわね……」
「お? 何だ? オレがいなくて寂しいのか? デレはよ」
「そ、そんなのじゃないわ!? これ以上無意味にちょっかいを出される事が無いって安心しているのっ」
「じゃあオレの目を見て話そうぜアリス」
「……うるさいわよ……」
他に何か言いたいことでもあったのかもしれない。しかし彼女は意地っ張りになり、その先の言葉は言わなかった。
彼女の様子を見て言わなければいけない事を言わなくてはと思ったのか、魔理沙は強気な言葉で静雅に命令するかのように言う。
「いいかっ! 絶対幻想郷に一度は戻ってこいよ! 勝ち逃げのまま勝負を終わらせるだなんて、私は許さないぜ!」
「無理難題を言ってくるなぁ……。その時が来れば良いな、本当に」
頭をかきながら答える静雅。彼に最後に話し掛けたのは、十六夜咲夜。彼女は彼に近づいては──
「ねぇ、静雅──」
彼の傍によっては、彼の耳元で何かを言う。伝え終えたのか咲夜は離れ、彼女に笑みを浮かべ、静雅は言う。
「……ありがとうな、咲夜」
「別に良いわ」
「……? 咲夜、お前静雅に何て言ったんだ?」
「……内緒よ」
「(凄い気になるんだけど……?)」
魔理沙同様に疑惑の視線をアリスは送ったが、それには気づかれることはなかった。
一方。侠と話していた人物は妖夢と早苗だ。妖夢はどこか悲しそうな表情をしながらも、彼と話を。
「……侠さんと色々ありましたけど……もう、お別れなんですね」
「確かに色々あったよね。最初の出会いはいきなり斬りつけられては、ゆゆさんに翻弄されたりとか」
「う……その節は……すみませんでした」
「でもさ、一生の別れじゃないんだから。生きていればその内会えると思うよ?」
「……だと、良いですね」
無理矢理でも妖夢は笑顔を見せながら答えつつも、その表情は無理に作っていると侠は悟っている。しかし、今の彼には先ほどの言葉が精一杯だった。
妖夢との会話のタイミングを見計らって早苗は恨めしそうに彼と話を。
「侠くーん……私は忘れませんよ? 覚えていたことをどうでも良いなどと言って流した事を。今でもオコなのですよ私は?」
「……どうしたら本当に許してもらえるの? それ?」
「そうですね〜……侠君、体も含めて動かないでくださいね」
侠の行動を制限し。彼と共に周りの人物は疑問に思う事柄だったが──その答えをすぐに知る事になる。
彼女……早苗は侠に近づき──軽く頬にキスをした。
「うぇっ!?」
「みょんっ!?」
いち早く反応し、妙な声を上げたのは霊夢で次に妖夢だ。早苗の行動にどこか微笑ましい目で見ている柊史と佳織に紫。不機嫌そうに侠を見る義理の妹の陽花。唐突な事で魔理沙、アリス、咲夜は呆然としているが、静雅は必死に笑いをこらえて「修羅場キタ(笑)」と声を漏らしている。
心の動揺的な意味で一番驚いているのはキスをされた侠であろう。彼にしては珍しく動揺を浮かべ、気のせいか冷や汗を浮かべて顔を赤面させていた。同じく張本人でのある早苗も自分のした行動の所為で頬を染めているが。
「ちょ、ま……っ!? 早苗!? 君は何を……!?」
「いやぁ〜♪ よくよく考えたら私は真っ先に侠君に告白していたなと思いまして。だったら侠君のご両親に私達の関係を──」
「早苗っ!? あんた、ななな……何て事を……!?」
どこか自慢げに語っていた早苗だが、霊夢は本当に動揺している。幻想郷の面々も、ここまで彼女が動揺している様子は初めてみたいで驚きもあるが。
そんな状態の霊夢に構わず、タイミング良く作られた紫のスキマに早苗は入りながら別れの言葉を。
「じゃあ侠君! 幻想郷に戻る決心がついたら良い返事、待ってますね♡」
お茶目に人差し指を自身の唇に付けてウィンクした後には、すでに彼女は幻想郷へと帰還していった。後に残された人物達は動けないでいる中……紫は行動を促し始めた。
「じゃあさっさと幻想郷に送るわよ。後……侠は頑張りなさい♪」
彼女もまたお茶目にウィンクしながら、霊夢を除く幻想郷の人物達をスキマで覆い隠し──彼女達もまた幻想郷に帰還された。
この場に残っているのはもう侠を受け入れた辰上家と静雅、霊夢だけである。
ようやく動揺から戻ってきた霊夢は、侠に詰め寄るように近寄っては焦燥に駆られているかのようにして彼に話を始めた。
「ど、どういう事なのよ侠!? さ、早苗からの告白って!? そ、それに……頬にキスって……!?」
「え、えっと、それは……過去に自分が暴れたときに、早苗からの言葉をまともに聞かず一蹴した事があって。それで、その……早苗が自分に対する気持ちは何となく察していたから……さっきのキスとは、そういう事だと思う……」
「一体あんたが暴れていたときは本当に何していたの!?」
彼女にとっては初耳みたいで、侠からの推察に彼女はさらに目を丸くしていた。
……どうやら彼女は自分自身の恋愛も含めて、他人の恋愛についても鈍感なようである。この場に居る霊夢以外の人物はその事を理解した。
この二人の様子を見てか、陽花はどこか呆れ声を心の中で言う。
「(……仮に霊夢さんと結ばれたとして、何時かお兄ちゃんの事を他人に寝取られるんじゃないのかな? お兄ちゃん自身は無いと思うけど、何か心配になってきた……)」
彼女の悩みの表情を見てか察した静雅も同じく頷いているが。
だが……このまま続けても事態は変わらない。侠の養父でもある柊史は空気を変えるかのように話題を変えた。
「まぁ。早苗君とのは置いておくことにして。侠君……今の君には、行ってもらわなければならない所がある」
真剣な話。彼から感じるものに霊夢も含め、一先ずの感情はしまっておくことにした。話を今度は佳織が引き継ぐ。
「侠にとっても、これは大事な事よ。侠次第でこれからの人生は変わってくる、重大な事。例え離ればなれになっても──私達は家族としての繋がりがある。そういう事は覚えて欲しいわ」
「……義父さんにも言われました。その事は、重々承知です」
「……そう」
彼の意思を確認した後、彼を今まで育て上げた父親──辰上柊史は、辰上侠に告げる。
「君は──本当の両親に会わなければならない」
ずっと、行方不明として聞かされていた、侠の実の親。その親の行方を、目の前に居る人物達が知っている。
そして……この事に意見したのは、侠の義理の妹でもあった──陽花。
「……やっぱり、お兄ちゃんは私の血の繋がったお兄ちゃんじゃなかったんだね……」
彼女は自身の胸に手を置きながら、顔を俯けながら現実を確認する。彼女の事を察していたのであろう。静雅は言葉を繋げる。
「……数十年過ごしていれば、そりゃやっぱり矛盾点は見つけるよな。そこまで、家族の事を想った陽花はバカじゃない」
「でもね……お兄ちゃんがお兄ちゃんには変わりないよ。しずまっちゃんが言ってくれた、【お前さんの兄には変わりは無い】。血が繋がっていなくても、あたしとお兄ちゃんは家族として一緒に過ごしてくれた! あたし、辰上陽花は辰上侠の妹には変わりない事実だからっ!」
吹っ切るように、大事で伝えたい言葉に力が入る。彼女もまた、侠の事を受け入れてくれる存在だった。彼もまた──家族として陽花の事を愛している。
「陽花……ありがとう……」
彼は陽花に近づくと、軽く体を抱きしめた。彼女もまた優しく侠の事を抱き返す。その抱擁は数秒後には離れてしまったが、心はずっと近いままだ。
だが、まだ侠が知るべき事がある。侠に質問するように、静雅は普段の態度とは違い真剣な表情で彼に話を振る。
「……お前さん自身にとって、まだ疑問に残っている事はあるだろう?」
「……うん。やっぱり、自分について不可解な事はあるよ。本当の両親とは数年過ごして。それから実験に巻き込まれては柊史父さんの養子になった。辰上という名字はともかく、物心のついてない頃に付けられた【侠】という名前は柊史父さんが名付けてくれた……」
侠自身にある実験の爪痕に触れながら、確信に近い推察を言う彼に、霊夢はその事について考える。
「(侠自身にとって不可解な事……? 本当の両親と数年過ごして、そこから柊史さんの家庭に引き取られて、【侠】という名前を──)」
考えている途中で、彼女はある答えを導き出した。導き出した本人も、その考えは衝撃的で。
霊夢の考察で導き出された──静雅の問いかけの答えを、彼女は驚愕を含めて言う。
「もしかして侠って──【辰上侠】とは違う、本当の親が名付けた名前があるというの!?」
彼女の考察の言葉に、柊史に佳織、静雅が頷いた。陽花はまだ納得しきれていない様子だが……霊夢の答えに侠は補足する。
「だと思うんだ。本家に先祖返りの可能性があった自分の存在を隠さなきゃいけなかった。それは本当の両親はどのような存在かも隠す必要がある。両親の名前と──自分自身の名前についてもね。特に特徴的な名字とかは簡単に割り出される可能性もあるから」
「名字に関しては、当時辰上の分家だった柊史さんが引き取ったから名字は【辰上】に……」
「それと。元本家当主の最後の言葉を覚えてる? ご先祖様が自分の素性についてバラした後、あの当主は自分に視線を向けて【ホウノミヤ】って言った。おそらく察しがついたんだろうね。どちらかの親が辰上だとして……何かしらの反感を買った方の名字がその【ホウノミヤ】という名字で。わかっていることは、自分の名字は【辰上】じゃなくて、【ホウノミヤ】なんだろうね」
侠からの解説でようやく納得のいった陽花はともかく、彼の推察を柊史が肯定。
「……やっぱり。君は【ツキシロ】によく似ている。落ち着いた説明の仕方が特にね」
「……? それはおそらく……本当の自分の父親の名前ですか?」
「そうだよ。彼の名前は結構特徴的だからね。月の白と書いて【月白】。ちなみに本家の言っていた名字は月白の名字なんだ。裁縫の【縫】に、【ノ】。宮殿の【宮】で【縫ノ宮】だよ」
縫ノ宮月白。侠の父親の名前。
柊史に続いて、佳織も侠の本当の親についての情報も話す。
「それで、侠のお母さんは私達と同じ【辰上】──ご先祖様のティアーさんと同じ血を分けたお母さんが【アカネ】ちゃんっていうの。彼女の名前は辰上紅音。元々は元本家の娘だったのよね。過去の本家が嫌になった、常識を持っているのが紅音ちゃんぐらいしかいなくて。本家の習わしだった【血縁関係の結婚】を破った親友。その後は月白君と駆け落ちして──貴方が生まれた」
「……そう、なんですか……」
辰上侠はおぼろげだが覚えている。何時か見た夢の中で、何かを言い争っていた二人。その二人こそ──自分の両親なのだと理解した。
補足するように、静雅は腕を組みながら侠に話を続ける。
「実はオレはお前さんの本当の名前を知っている。オレの両親もお前さんの両親に協力していたからな。本当に色々な事を教えられた。何時か、お前さんの助けになってやれと。姉貴は年の差があった分無理だったが、ちょうど同世代のオレが生まれたからな。親に言われたからお前さんと過ごしてきたが──オレにとっても、有意義な時間であり──最も心から信じられる親友だったからな」
「だからご先祖様騒動の時、静雅は知っていたんだね……」
「これでオレの役目は終わったな。後はお前さんが本当の家族に会うだけ。お前さんが本当の両親に会ったその日から──お前さんの本名を使った名前で呼ばせてもらう」
彼の言い方に疑問が湧いたのか、陽花は確かめるように彼に質問を。
「? しずまっちゃん、それってつまり……渾名?」
「そうだな。でもこれが中々男らしい呼び方だったりするんだぞ?」
「ふーん……」
「さて、話を戻すぞ。オレもお前さんの本当の両親の居場所を知っている。その場所を能力を使ってイメージを送る。そうすれば八雲紫の発展能力でその場所にいけるはずだ」
静雅は侠に近づき、彼の頭に手を置く。見た目はただ触っているようにしか見えない光景だが……彼が手を離した後、侠は言葉を返す。
「……わかった。そこに住んでいるんだね。よりによって海外とは思わなかったけど」
「日本で逃げ回って、お前さんが生まれて……だが、本家に場所を突き止められて一度奪われた。そこがトラウマ化しているんだろうさ。その分、比較的平和に暮らしている」
「……ん。じゃあ行ってくるよ」
侠は受け入れた家族、静雅に別れの挨拶をすると左手を使い、人が入れるような黒い空間を作る。彼はそのまま進もうとしたが──引き止めるかのように彼の腕に別方向から力が入る。
その人物こそ──まだ外界にいる幻想郷の人物、博麗霊夢なのだが。
彼女の行動を察した侠は、念のためという事か、彼女に確認を取る。
「……霊夢、まさかだと思うけど……」
「えぇ。私も行くわ。紫が折角他の皆より時間を作ってくれたんだもの。私は残りの時間を──侠と過ごしたい」
「! ……うん、一緒に行こうか。君にも自分の生みの親や、自分の事を──もっと良く知ってもらいたいからね」
「……ありがとう」
侠の言葉に、頬を染めて笑みを見せる霊夢に彼はどこか気まずそうに一度顔を反らしたり。その事に彼女は疑問に思ったが……二人以外の人物達は察していて温かい視線を送っているが。
仕切り直すかのように侠は咳払いをした後──霊夢と共に、黒い空間の中を進んでいった……。
侠達が黒い空間から出た先は、一本道だった。視界に広がるのは広大な畑が広がっており、人は確認出来る限りでは一人もいない。時間帯ではもう夕日が差し込んでおり、夕方の時間だと太陽が教えてくれる。
しかし……今の日照で霊夢は疑問を持つ。
「……? 侠、さっきまで朝の時間帯だったはずよね? もう時間帯が夕方ってどういう事? これは何かしらの異変の兆候なの?」
「幻想郷には馴染みがないと思うけど、それは時差の影響だね。太陽が出ている箇所は昼だけど、日光が当たらない場所は暗くなる。地球の自転、公転の関係でそういう違いが出てくるんだよ。地球は丸い分、太陽の角度や地球の向きで変わってくるんだ。例外として一日中太陽が出ている白夜だったり、その逆のパターンもあったり──」
「要するに場所によって明るかったり暗かったりするのね」
「……ま、まぁ、そんな感じ」
ばっさりとまとめた霊夢に戸惑いを覚えながらも侠は肯定。一先ずの説明は終えては、彼女にこれからの行動について話す。
「静雅に教えて貰った場所は、このまま一本道を進んでいけば着くって。だからこのまま自分に着いてきて」
「……ねえ」
侠は体の向きを変えて進もうとするが、霊夢の問いかけに進行をとめて彼女に向き直り。彼は霊夢の様子を確認すると──彼女の顔は、どこか不安な表情で彼に話を振った。
「……さっきの出来事を置いていたけど──早苗のこと。どう返事をしようとしているの?」
「…………」
彼女からの質問に、侠は目を閉じながらどう答えるか考える。しかし、彼女は待ちきれないようで、彼に詰め寄るようにして自身の不安について語っていく。
「やっぱり、外界の知り合いって事も含めて早苗とは触れ合いやすいの? 特に今ではお互いの問題も無くなって、しかも守矢の二柱はあんたの事を快く思っている。過去にね──あの二柱は侠を早苗の婿にするから寄越せって言ってきたことがあったの」
「……それは初耳なんだけど──あぁ、もしかして妖夢も神社にいた時の話? 後で恋愛云々の話題になった時の」
「……そうよ」
彼女の肯定は、どこか弱気な気持ちが出ている。現に彼女は侠の目を見ずに伏したままだ。
今の霊夢の様子は、過去に侠が暴れた際に見た表情と似ている。どこか、悲しそうな事を感じているような、見ているような。普段の強きな態度は感じられない。
彼としても──今の彼女を見続けるのは辛かった。だからこそ、彼は言う。
「──早苗には悪いけど、断るつもりだよ。それよりも、大事な人を見つけたからね」
「大事な人……まさか──陽花だというの!? 実際には実の兄妹じゃなかったから、ようやく結ばれる的な意味で──」
「違う」
ここまで鈍感な彼女にはっきりと伝わるように、彼は霊夢の考えを否定する。今度の彼は──遠回しの言い方ではない、勘違いをさせない為に。彼は頬を染めながらも、腹をくくった。
「自分──俺は、一人の異性として──博麗霊夢の事が好きだ」
静寂が走った。元々第三者などがいないはずなのだが、世界が一瞬にして変わるかのように。霊夢の映る世界が変わろうとしている。
「……え? え? え?」
急な世界を受け止められていないのか、繰り返すようにして疑問符を言い続ける霊夢。一部はちゃんと聞こえたのか、顔が極限までに赤くなっているが。
何時まで経っても返事が来ない。心配気味になった彼は恥ずかしさを感じながら、彼女に答えを求める。
「……俺は霊夢の事が好きだ。それで……霊夢は、俺の事をどう想う?」
「…………嫌、じゃない…………」
「……それは肯定と受け取っても良いのか?」
「何度も言わせようとするんじゃないわよバカッ!!」
乱暴な言葉遣いを使った霊夢だが──発言とは裏腹に、侠の胸元に顔をうずめていた。彼女の体温が伝わることに侠は内心かなり驚愕しながらも──ゆっくりと、彼女の背中に手を回しては優しく抱き寄せる。
彼の行動に一瞬霊夢の体は震えたが……それでも尚、彼女はまだ顔をうずめたままだ。霊夢は小さな声で、呟く。
「……嬉しい」
「……ありがとう」
お互いの存在を確認しあうように、二人の時間は過ぎていった……。
……本当にいろんな意味で長かった。次話である問題の答えの回です……とはいっても、ほとんど答えは出ているんですが。
ではまた。