幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ぶっちゃけサブタイは投稿予約時に考えている。下書きの文書にはサブタイが元々なかったり。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


最終章
一話 『時』


『──図書館でやっと涼しいぐらいか……』

 

 幻想郷に夏が訪れ。紅魔館にある図書館で、椅子を並べて即席ベッドを作ってダレている──本堂静雅がそこにいた。彼の服装は執事服なのだが……いつもの着こなしスタイルで着崩しているには変わりは無い。ただ、夏服仕様になっているのが唯一の変更点か。

 

 その彼に声を掛けたのは本を読みながら書き記している、図書館の魔女であるパチュリー・ノーレッジ。一休みをするのか、掛けていた眼鏡を机の上に置き、呆れるようにして彼に言葉を。

 

「……能力で涼しくすれば良いんじゃないの?」

 

「パッチェさんは水の魔法で体温調節しているからそんな事が言えるんだ。そんなんだから運動能力や代謝が悪くなるんじゃないのか? たまには体に負担を掛けない程度に外で走り回ろうぜ?」

 

「嫌よそんなの」

 

「引きこもって研究とか、何が楽しいんだ……?」

 

 彼女は彼の提案をすぐさまに拒否。これでも彼女の喘息を心配しての発言だったのだが。

 

 彼は何かしようか考えていたところ、歩きで彼に近づいては話し掛ける人物がいる。その人物の外見は、紅魔館においては誰もが知っているメイド長。

 

「あん──もとい、あなたはだらけているのね……」

 

「? 何だ、咲夜か? わざわざここまで来て──ん?」

 

 静雅は即席ベッドから上半身を起こし、レミリアの従者である十六夜咲夜に返事をしている途中で……彼はある事を思い出す。

 

「咲夜さ、さっき紅魔館ですれ違って『買い出しに行ってくる』って言ってなかったか? いくら何でも、買い出しが終わるには早すぎると思うんだが……」

 

 彼は自室を出て図書館に向かうまでに、彼女に一度会っている。軽く雑談をしては、彼女は静雅の言う通りに紅魔館から出かけているはずなのだ。そして先ほど静雅は図書館に訪れ、簡易ベッドで数分はだらけていた。その時間も踏まえて、彼女の帰還がやけに早すぎるのだ。

 

 何かを思い出したかのような表情を見せながら、どこか焦り気味にその理由を述べる。

 

「そ、そうなのよ。忘れ物に気づいて戻ってきたの」

 

「忘れ物? お前さんが忘れ物をするなんて珍しい。どっかの肩書きでパーフェクトメイドと言われているのに」

 

「に、人間なんだから欠点は誰だってあるでしょ」

 

「……普通はそうだな。悪かった」

 

「それで? 咲夜は何を忘れに戻ってきたの? 図書館で忘れ物だなんて初耳だけど……というより、何故買い出しに行く途中の忘れ物で、買い出しにはまったく関係ない図書館に来る必要があるのかしら……?」

 

「えっと、それは……」

 

 静雅は引き下がって謝罪したものの、パチュリーの観点では疑問が尽きないようで、その答えを求めている。質問されている咲夜には何故だか落ち着きは無い。

 

 そんな彼女を見かねたのか、静雅は『忘れ物』について指摘してみる。

 

「もしかして普段太もものナイフを収納しているホルスターか? 何時も左についているアレ」

 

「! そ、そうよ! そのホルスターを忘れていたの!」

 

「…………なぁ、どうして忘れた物がホルスターだとして図書館にあるんだ? 昨日は確か普通に付けていたはずだし、ここ最近咲夜は図書館で弾幕ごっことかしていないのに」

 

「え……!?」

 

 拳を顎につけて考察を言う静雅に対して、咲夜はどういう理由か驚愕の表情を浮かべている。パチュリーは彼の質問の意図がわからなかったが……彼は呆れたように、溜息をつきながら彼女に言葉を続ける。

 

「……しかも、普段咲夜がホルスターを付けているのは右だ。それに同調するって事は……もういいだろ──ぬえ」

 

「──っ!?」

 

 彼が告げた名前に反応し、咲夜の姿をした人物の格好が変わっていく。少し首元までに掛かる黒髪、全体的には黒い服をきてはスカートを一体しているタイプのスカート。首元には赤い蝶ネクタイをしているが。そして背中から生えている、翼とは形容しがたいもの。片方は赤いモノが3連続であり、逆は青モノが3連続である。

 

 彼女は咲夜に能力で化けているだけだった。彼女は正体不明と言われている妖怪の鵺であり、名前は──封獣ぬえ。

 

 彼女の正体について知ったパチュリーは、彼女についての情報を口に出していた。

 

「……通りで咲夜にしては違和感があったわけね……。それであなたは……【命連寺】に居座っている妖怪じゃない。宝船の異変の時に、人里の住職の封印を妨害していた奴の」

 

 ……静雅が時折幻想郷で過ごす時間が長くなり。春頃に異変といっていいのか不確かだが、地霊殿の怨霊騒ぎの後から度々上空に宝船を見かけるという情報が出回っていた。元々その宝船はある地底の妖怪と共にあったらしいのが間欠泉騒ぎに便乗するかのように、地底の外へと出て行った。さらには空中には多数の未確認飛行物体まで飛ぶ始末。実はこの飛行物体に関してはぬえの仕業だったが。

 

 その情報を小耳に挟んだ静雅は幻想郷の代表的な異変解決者でも有り、博麗神社の巫女である博麗霊夢に情報を伝える。霊夢は静雅の情報を聞いた後、提案するように彼に言った事。

 

 

 

 

 

 

 

『──じゃあ静雅。あんたが私の代わりに異変解決しに行きなさいよ』

 

 

 

 

 

 

 

 まさかの仕事の押しつけに静雅は当時驚いたものの、どこかでは心が踊っていた。過去に異変を起こした彼だが、今度は異変解決業をする事が出来る事に。彼の親友と同じく──異変解決者として行動出来る事に。

 

 途中、同じく異変解決の道中にあった霧雨魔理沙と東風谷早苗に遭遇。魔理沙に関しては言うことではないが、早苗も同じく異変解決者となっては信仰を集める為に来たという。そこからは簡略するが、事は収まった。

 

 それから以降、ぬえは静雅にちょっかいもしくは勝負を挑み来るようになった。そのような理由としては過去に新しく出来た寺の人物から頼まれ、彼女を探しに行ったときに、抵抗した彼女を静雅は問答無用で能力で屈服させた。正体不明が売りな彼女は、出会った当時から正体不明な静雅の能力を暴かんと行動している。

 

 パチュリーの指摘はともかくとして、ぬえは指を静雅に指し示しながら攻撃的な言葉を。

 

「またアンタ、私の能力を能力で見破ったでしょっ!!」

 

「いや、能力使ってないし。というよりは演技がぬえの演技がガバガバだったのもあると思うんだが──」

 

「ええい、問答無用! 今度こそ私の正体不明に怯えなさいっ!!」

 

 彼女の言葉と共に、弾幕が放たれた。静雅は能力でリフレクト・ジャベリンを出現させながら、今日のことを考える。

 

「(……今日はなぁ。あいつがやるべき事を終えて帰ってくるというのに……。ま、気長に情報が回るまで遊んでいようかね)」

 

 静雅はしばらくの間、ぬえとの弾幕ごっこをする事になった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──二人が戦い始めていたその頃。とある森の中で黒い空間が発生した。その黒い空間からは順番に、四人の人物が出てくる。

 

『──着いた着いたーっ! へぇ〜、ここが幻想郷なんだっ! 自然が多くて空気が美味しい!』

 

『うまいー』

 

『こらこら、あまりはしゃぐんじゃないよ』

 

『……妹達にも好評で何よりだよ、この場所は』

 

 最初に出てきた人物は後ろ髪を前方向に星模様の入った玉のゴムで結っており、白いノースリーブの変わったワイシャツと黒いベストを着ていては、チェック柄のスカートを履いている。次に出てきたのは、かなり幼い少女だ。白いワンピースを着ては、暑さを和らげる麦わら帽子を被っている。三人目の人物はオレンジのワイシャツは前回で、その下にはサラシを巻いている。茶色系統の長いロングスカートを履いては頭には猫耳があり、頭上には調理に使う【五徳】がある。最後に出てきた人物は黒い空間を閉じているが。その人物は学生服を着ては、竹の笠を深く被っているが。体格から判断すると男だが、髪の毛は肩に掛かるぐらいで多少長く見える。

 

 一緒に同行してきた彼女も疑問に思っていたのであろう。最初に幻想郷に来て感想を言った彼女は問いかける。

 

「ねぇ、お兄ちゃん? どうして竹の笠なんて被っているの? 縁ちゃんと同じで日光対策?」

 

「違うよ。自分はこの世界だと有名人だからね。しばらくの間はなるべく正体を隠していた方が良いんだよ──陽花」

 

「ほぇ〜……幻想郷ヴァージョンのしずまっちゃんみたいなもの?」

 

「大体それに近いね」

 

 どこか感心するように言う陽花という少女。彼女からの発言から考えると、どうやらこの男は兄であるらしい。納得を見せている彼女だったが、陽花の言った名前である──縁が男に何かを見せるように言う。

 

「にぃにー。何か拾ったー」

 

「ん? どれどれ……ってこれ──」

 

 男は縁からある物を受け取って分析した彼は、どこか悩ましい表情を浮かべている。陽花も彼が持っている物に興味を持ったようで、詳細を尋ねる。

 

「? それって何? 土台っぽいの上に綺麗な球の上には屋根みたいなモノだけど……?」

 

「……幻想入りしていたんだ……この【宝塔】」

 

「「ほーとー?」」

 

「毘沙門天が持っていたと言われている物だよ。毘沙門天については四天王である十二天の一つで、須弥山(しゅみせん)中腹の北側に住んで北方世界を守護する神様。憤怒の形相で、右手に矛または宝棒、左手に宝塔を捧げた武将像で表されているんだよ。日本では財宝をもたらす神として信仰されていて、七福神の一つなんだ。これはその神様が持っていたと思われる物だと思うよ。文献とかなり似ているし」

 

 男からの説明を理解したのか、驚愕しながら陽花は縁の賞賛の言葉を贈るのに対して自慢げに縁は胸を張る。

 

「凄い縁ちゃん!? ある意味国宝物を拾えるって!?」

 

「えっへん!」

 

「(……まぁ、とあるお店では草薙の剣があったりするんだけどね……)まぁ、とりあえずは縁が持っていて良いと思うよ。良い物を拾えて良かったね」

 

「宝物ー!」

 

 掲げるようにして喜びを表現した後、縁は肩に掛けていたポーチに宝塔を入れる。

 

 だが……縁の持っている宝塔を見て、どこか思い出すように五徳を乗せた人物は呟く。

 

「……宝塔がこんな所に? あいつらは地底にいるはずだし、まさかだと思うが地上に出ているのか……?」

 

「? どうしたの──五徳?」

 

「あ、いや……知り合いがこれと同じような宝塔を持っていたような気がするんだ」

 

「知り合い、ねぇ……」

 

 男は五徳という女性の名前を呼んで問いかけるものの、一先ずは詳細を聞くのを見送る。

 

 そして、五徳と話を終えた後、男は二人に行動を促す。

 

「さてとと……まずは人里に向かおうか。静雅の情報通りだと新しいお寺が出来たというし、挨拶をしておかないと」

 

「お寺かー……。お兄ちゃん、【博麗神社】にはまだ行かないの?」

 

「お楽しみは後で取っておこうと思ってね。じゃあ、行こうか」

 

 二人は男に寄り添いながら、人里へと向かっていった……。

 

 

 

 

 

 

 

『──ん? おかしい……確かここにご主人の宝塔の反応があったはずだが……消えた……?』

 

 

 

 

 

 

 

 




 幻想郷に来た四人組。

 ではまた。
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