幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

256 / 267
 最終話。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


終わり『幻想世界に誘われて』

 時は進み、闇も深くなった夜。そこには以前集まった人物達と、その関係者が集まって宴会を楽しんでいた。以前に集まったという人物達は千里の家に集まった霊夢と紫も含む霧雨魔理沙、十六夜咲夜、アリス・マーガトロイド。魂魄妖夢と東風谷早苗に縫ノ宮千里の親友である本堂静雅だ。加え、千里の【家族】でもある五徳、辰上陽花に縫ノ宮縁がいる。

 

 関係者の一例としては、八雲紫と魂魄妖夢経由の人物である西行寺幽々子に八雲藍、橙。十六夜咲夜と本堂静雅経由の人物はレミリア・スカーレットとフランドール・スカーレット。東風谷早苗経由で守矢神社の二柱でもある八坂神奈子と洩矢諏訪子だ。

 

 ……ちなみに縫ノ宮千里の心の中にいる幻想郷の創造神、ティアー・ドラゴニル・アウセレーゼは実体化して酒を片手に楽しんでいる。

 

 一つの集まりとして、まず霊夢と魔理沙、アリスに千里の集まりにティアーがおり、お互いに他愛の無い話をしていた。

 

 先に悔しそうにしながら話を始めたのは魔理沙。

 

「畜生……。本気の侠に全く勝てなかった……。外界でのブランクがあると思っていたのに……」

 

「あいにく、自分は外界では戦争やら紛争やらに自ら飛び込んでいたからね。勘や運動神経はむしろ活性化されているし」

 

「……侠、あなたは本当に人間辞めてきているわね……」

 

「うん、知ってる」

 

「(ついに自覚し始めた……)」

 

 当然のように話す千里にアリスはどこか呆れながら彼の存在を確かめていたり。魔理沙の言葉に反応したのはティアーだ。

 

「魔理沙よ、確かに今日までは我の力に主は干渉していた分、普通の人間以上の能力を持っておる。だがの……我はこれから隠居生活を考えておる」

 

「は? 隠居?」

 

「我は今では現在を統括する龍神ではないものの、主の働きで最低限の力を取り戻した。今の我が実際、微弱ながら常に主の中にいる時は与える力の幅が大きくなっていての。このまま主の体に何十年も過ごしていたら主の種族が龍神化してしまう」

 

「何あんたはこのタイミングで変な事を話すのよ!?」

 

 いきなりの重い話題に霊夢は切羽詰った表情で問い詰めるように、彼の言葉に突っかかる。当本人の千里は「そんな気がしてた」と何故か悟っていたいたが、ティアーは霊夢に「慌てるでない」と諭す。

 

「そのための隠居生活だの。我はこの宴会が終わり次第、龍界に隠居生活をするつもりだ。我と主は一心同体の関係だが、今まで集めていた【力】のおかげでほぼ負担がない。我はもう常に実体化しても制限がないからのう……。それでも、主が我を必要な時は遠隔でも力の受け渡しは出来る」

 

「……それってつまり、侠の心からいなくなるってこと?」

 

「そうだの。それでもたまに博麗神社には遊びに来たりするが」

 

「いっそ、もう霊夢の神社の神様はあなたで良いんじゃないかしら……?」

 

 霊夢の問いに答えた後に、どこか諦めているかのような発言をするアリス。これ以上、幻想郷以上に常識に囚われない会話をしている所為で疲れが見えている。

 

 そして、このティアーの説明に魔理沙はある事に気付いた。

 

「……ん? もしかしてそれって──侠の実力がティアーがいなくなる分、弱くなるという事か?」

 

「我がいることで発動する【龍神補正】は、ほぼ無くなるの。それでも主には我の細胞がある分、最低限の負はかからないようになるが……。主が我を強く思い浮かべば、我は主の元に出現しては同化する事が出来る。まぁ、余程の事が無い限りそのような事はしないとは思うが」

 

「ほぉ~……それってつまり、ちゃんとした人間としての侠と戦う事が出来るのか……。実質一対二で戦っていたが、これからは一対一で戦える……」

 

 どこか強気に思える発言の魔理沙に、千里は釘をさす。

 

「ご先祖様の力が無くてもそれなりに自分は戦えるからね。楽に勝てると思わない事」

 

「はっ、上等だぜ。それでさっきの弾幕ごっことかの借りを返してやる」

 

「本は返さない癖に何言っているんだか……」

 

 どこか揚げ足を取るかのようなアリスの言葉に、魔理沙は彼女に突っかかるが。千里は二人を宥める時には、ティアーが霊夢に近づいては話を。

 

「それに霊夢よ。我がいないようが都合が良いだろう?」

 

「? 別に都合が悪いのは特に無いと思うけど──」

 

 

 

 

 

 

 

「──いやはや、世継ぎを作る時は二人きりが良いだろう。そういう事だの」

 

 

 

 

 

 

 

「────!?」

 

 先の行き過ぎた発言、もしくはティアーの言う通りに【世継ぎ】の想像したのか……霊夢は体中を赤く染め上げた。気のせいか、目の焦点が合っていないように思われる。その分、ティアーは笑みを浮かべながら彼女の様子を楽しんでいるが。

 

 絶句している霊夢を置いて、ティアーは酒を飲んでは言葉を伏せながら、会話を聞いていなかった千里に話す。

 

「主。そんなわけで霊夢と二人暮らしになるであろうが……ちゃんと【相手】をするのだぞ」

 

「? はい。そりゃもちろん、これまでいなかった分も含めて霊夢の【相手】をしますが──」

 

「ティアー~~~ッ!! 今すぐ表に出なさーーいっ!!」

 

 憤怒に満ちた、霊夢のドスの効いた声が関係の無い魔理沙達を驚かせる。無論、当然千里も彼女のいきなりの行動で困惑していたが、名前を呼ばれていたティアーは愉快そうに笑いながら言葉を返した。

 

「はっはっは! 青いのう、お主は! これぞ青春! さぁ、そのありあまる活力を我にぶつけると良い!」

 

「上等だわ……! 龍神かどうかなんて関係ない! 絶対あんたをしばくっ!!」

 

「やれるものならなっ!」

 

 そのまま二人は持っていた食器・酒を床に置いては空高く飛翔。頭上では流れ星と錯覚させるような、弾幕が夜空を駆けていく。

 

 呆然としている三人だが、千里は魔法使い二人に意見を求める。

 

「……何があって霊夢があんなに怒ってるの?」

 

「さぁ……? 私にもわからないんだぜ」

 

「あそこまで激昂している霊夢は初めて見たわ……。一体何を言われたのかしら」

 

 その答えは当本人たちしか知らない。

 

『おーい、お前さん達ー。霊夢と初代龍神はしょうがないとしてオレ達と飲もうぜー』

 

 三人を呼びかける声は、縫ノ宮千里の親友でもあり、紅魔館を居住にしている本堂静雅だ。当然、三人は目線でどうするかを決め、紅魔館住民がいるエリアへと歩いて行った……。

 

 

 紅魔館の主であるレミリア・スカーレットはもちろん、彼女の妹であるフランドール・スカーレットもこの宴会に来ている。それぞれの従者でもある十六夜咲夜と本堂静雅もだ。それとは別に、千里の式神である五徳もおり。彼女は片手に猪口を持ちながらスカーレット姉妹に話をしている。

 

「──それでアタシが千里と行動を共にしたんだ。千里の家族達にも自身の正体を明かしてな。何しろ戦争地域は千里であれど、命の危険があるからな」

 

「フン……人間同士で争って、何を得るんだか……」

 

「……外界って、静雅の言う綺麗な場所ばかりじゃないんだね……」

 

 真面目に語る五徳に、二人は集中して話を聞く、それは外界の知られざる事情も含めてか、千里と静雅の世界はどのような世界なのか知る機会でもあったので興味があるのだろう。

 

 三人を来たのを確認した静雅と十六夜咲夜は言葉を掛ける。

 

「おっすお前さん達。もっともっと騒ごうぜ!」

 

「すでに霊夢と初代龍神は騒いでいるようだけどね……」

 

「これでも自分はそれなりに気分が高揚しているぐらいなんだけどね。それより……五徳が紅魔館の吸血鬼でもあるレミリアとフランに何を話しているの?」

 

 彼の言葉に応えたのは咲夜。話している三人組に視線を送りながら状況を説明する。

 

「外界は改めてどのような世界かお嬢様達は聞いているのよ。それで五徳はあなたと旅していたのを話しているわ」

 

「あぁ~……。戦争紛争を撲滅しに回っていた時か。確かに五徳と二人で世界中を旅して回ったね」

 

「世界……? それはどういう事?」

 

 千里の言葉の意味がよくわからないものが含まれていたのだろう。疑問を抱えるアリスに静雅は酒を飲みながら補足する。

 

「オレ達の世界は幻想郷と比べるとかなり地域がでかいんだよ。しかもそれは国境というものが分かれていて、文化がそれぞれ違ったり。地形が全然違かったり。中には話す言葉が日本語以外で会話する地域もあってな。オレ達がいた国というものは【日本】という国だが、離れた地域には【アメリカ】や【中国】といった、特有の人物が住む地域があるんだ。それを大雑把にまとめて世界という」

 

「離れた地域……それは私の箒で移動してもかなり時間が掛かる距離なのか?」

 

「かなりかかるぞ。魔理沙の箒より早い乗り物関連もあるんだが、中には半日以上も掛けて移動しなくちゃならないからな」

 

「うへぇ……。さすがにそこまで移動する気にはなれないぜ……」

 

 続いた魔理沙の疑問に静雅が答えると、嫌な表情を浮かべている。そんな彼女に咲夜は千里にある事についての言葉を添える。

 

「最も、千里は八雲紫の能力もあるから一瞬で着くんだけどね」

 

「あ、そういやそうか。なぁなぁ、侠。今度私もいろんな世界に連れてってくれよ!」

 

「……いや、無理があるかな……。あくまで自分は能力を使うのはその【世界】の国境内に留めているし、下手したら捕まるからね。穏便に過ごすならともかく、魔理沙みたいな目立つ人物はちょっとね」

 

「(……紫の能力をたくさん使用すれば捕まる事はなくね……?)」

 

「ところがどっこい魔理沙。千里(センリ)が八雲紫の能力を表ざたにするわけにはいかないんだ。それこそ一番厄介な事でもあり、世界中から指名手配になったらそれは人生の終わりだからな」

 

「おまっ!? 人の心を読むなよ!? ……外界も色々大変なんだな」

 

 千里(ちさと)の言葉に腑におちない魔理沙だったが、彼女の顔を読んだのか静雅が理由を代わりに説明する。彼の先読みには驚いたものの、彼女は次第に納得していく。

 

 もしもパチュリーの本を返せという事で、博麗神社、人里、地底までもが自分に追ってくる想像をすると、千里が渋った理由がわかったのだから。

 

「…………ん?」

 

 その中、何かを感じ取ったアリスは嗅覚に集中し、辺りの匂いを嗅ぐ。その正体は明らかになったのだが……この事の答えについてまず、静雅に尋ねた。

 

「静雅、あなた……宴会に来る前にお風呂にでも入ったの? 石鹸の匂いが結構するのだけど……」

 

「おう? 確かに入ったが……それがどうしたのか? オレは折角の千里(センリ)の宴会の為に身支度の一環として入ってきたが……」

 

「……それだけじゃないのよね……」

 

 静雅からアリスは視線を動かし、彼女の視界に入ったのは──十六夜咲夜だ。当然、彼女はアリスの視線の理由を求める。

 

「……アリス? 私の顔に何か付いていたりする?」

 

「いいえ、そういうのじゃないんだけど──咲夜、あなたからも石鹸の匂いがするわ。静雅と同じような石鹸のにおいが。偶然、あなた達は順番にでもお風呂かシャワーでも浴びたの?」

 

 アリスが感じ取ったにおい。それは紅魔館従者組から石鹸のにおいがしたというのだ。確かに、もう夏の季節でもある分、汗なので体を汚しやすくなるだろう。しかし──それはよほどひどくない限りはシャワーにしろお風呂にしろ時間が早すぎるのだ。ましてや、宴会となれば酒のにおいなども体や服にもつく。宴会に来る前にするなどという事は一種の二度手間じゃないかとアリスは考えている。

 

 しかし、アリスの言葉に二人の反応はというと。

 

「あぁー……確かにオレも咲夜も風呂に入ったよ。オレはぬえと弾幕ごっこや、千里が来ていることを知らせるために動きまくったしな……。やっぱり、こういう騒げるイベントは身だしなみを気にしたいじゃん? そういう事」

 

「私は……まぁ、夏だし。家事もしている分運動量もあるから結構汗をかくのよね。例え時を止めたとしても自分はその中で動いているわけだし。だから私も入ったわ」

 

「そ、そう……」

 

 至って変わらない、涼しそうな表情で理由を語る二人にアリスは少し躊躇いながらも返事をした。一瞬、アリスは無いとは思うが【ある事】の可能性について考えていたのだが……二人の表情を見る限りだと杞憂だと悟った。

 

 アリスとの会話を終えた事を確認した静雅は思い出したかのように、親友である千里にある事について切り出す。

 

「そういや千里(センリ)、陽花と縁のところに行かなくても良いのか? 最初はお前さんの所に集まってはいたが、その後自由な場所に移動したぞ。陽花は白玉楼の方に、縁は守矢神社の人物に連れて行かれたが」

 

「(……縁に関しては早苗と洩矢さんが関係しているかもしれないな……)」

 

 静雅に言われた情報を整理して千里は考える。縁に関することは洩矢諏訪子と話したい事がある。本来ならば実の妹である縁に駆けつけるのだが──

 

「陽花が迷惑を掛けているような気がする……!」

 

 ──何故か誰かに迷惑を掛ける光景が浮かんだ所為か、彼は急ぎ足で白玉楼の面々が集う場所へ急いだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼のちょっとした予感というものは、当たっていたようだ。実際に陽花が迷惑を掛けている人物がいる。その人物は頬を紅潮させながら艶のある声を漏らしているという。

 

「あっ、陽花さん、やめ、て、ください……!」

 

「ふっふ~ん♪ 良いね良いねその表情! ちっぱいを揉まれてかなり色っぽくなったよ! この調子でおっぱいが大きくなるとあたしは願うよ!」

 

「あらあら、もう妖夢と陽花は仲良しなのね~」

 

「藍様ー、どうして私の目と耳を塞ぐんですか?」

 

「橙はまだ早いから勘弁してくれ……」

 

「……本当にアグレッシブねぇ……」

 

 白玉楼の傍観者は一部を除いてある二人の様子を見守っていた。とは言っても、その一部の人物である橙は主でもある八雲藍によって視覚と聴覚を封じられているが。

 

 白玉楼の主でもある西行寺幽々子は笑顔を浮かべながら、ある二人に微笑ましい顔を浮かべている。彼女の親友でもある八雲紫は遠い目で二人を見ている。

 

 ──その二人というのが白玉楼の庭師でもある魂魄妖夢に、縫ノ宮千里の義妹でもある辰上陽花である。彼の義妹である陽花は満面の笑みを浮かべながら、魂魄妖夢の反応を楽しんでいる。尤も──彼女は妖夢の胸を揉みまくっているが。彼女に女性の性徴の箇所に触れられている所為か、妖夢は頬を赤く染め上げては、艶のある声はどこか苦しそうだ。

 

 実際、千里(ちさと)の目の前で行われていたのだが──彼はすぐさま陽花を引きはがし、多少の焦りを含みながら彼女に説教を。

 

「対面が二度目だからといって同性の胸を揉む事がないだろっ!?」

 

「あ、お兄ちゃん。そこは同性だからこそのスキンシップだよー! 同性だからこそ胸が揉めるって素晴らしいっ!」

 

「誇らしげにするんじゃないっ」

 

「イタッ」

 

 何も反省していないと彼は捉え、軽くだが陽花の頭に手刀を落とす。少しの痛みに彼女は声を上げたが、その直後に多少自分が悪いと自覚したのか「ごめんなさい」と軽い謝罪の言葉を並べる。

 

 軽い謝罪を終えた彼女を確認したところで、彼自身も妖夢に謝罪。

 

「妖夢、義妹がとんだ愚行をしてしまった事は自分からも謝るよ……」

 

「い、いえ……。そんなには気にしないでください……」

 

 彼女は目を伏せながら、どこか気まずそうに返事を。そのような二人を見たからか、妖夢の主でもある幽々子から茶化しの言葉が。

 

「侠──いえ、千里~? そこはもっと誠意を見せなくちゃダメでしょ♪ 妖夢を抱き寄せるなり頬にキスしたり」

 

「……大方、ゆゆさんが自分を出汁にして妖夢の行動を制限したのでしょう? むしろゆゆさんがちゃんと妖夢に謝るべきです」

 

「紫~! 千里が本格的な反抗期に入った~!」

 

「まぁ、千里はもうちゃんとした自分の意見を主張するようになったからねぇ……。もう彼は冗談は大概な事がないかぎり動揺はしないわ」

 

 助けを求めるかのように幽々子は援護を求めたが、紫自身はどこか否定的だ。親友から言われた言葉に幽々子は「つまらない~」と不満を流していたが、そのような彼女は置いておいて、紫は改めて千里に話を振る。

 

「久しぶりの幻想郷はどうかしら?」

 

「……心地よい騒がしさですね。もう、自分は幻想郷に染まっているんだなと若干実感しています」

 

「もうあなたの行動は常軌を逸しているからね……。外界で戦争紛争を軽減させると聞いたときはもう普通の人間じゃないと思ったわ」

 

「【辰上】の信用を取り戻すためには、世界に貢献しないといけませんでしたからね。でも命の危険はあったりしましたが、ご先祖様と着いて来てくれた五徳もいたので全然大丈夫でしたけど。それに紫さんの支援もありましたし」

 

 過去を思い出しながら話しているのか、千里は自身の左手の手のひらを開けたり閉めたりしながら話をしている。

 

 ……そこで、ジト目で会話を続ける千里。

 

「……自分の行動に便乗して紫さんが【異世界の監視】について頼まれると思ってもいませんでしたけどね……」

 

「私の管轄であるけど、時たま異世界の兆候を見るのも大事よ。下手したら幻想郷に害を及ぼす人物が現れても不思議じゃないからね。私の発展能力を持っているんだから、それぐらいはして私の負担を減らしてもらわないと」

 

「……紫さんの能力云々は仕方ないと割り切るしかなかったですし。過程はどうあれ、自分にもこの発展能力の責任もありますし」

 

「侠──ち、千里さん。紫様がなされている事をしているのですか? それはとても凄い事の気がします……!」

 

「お兄ちゃん、そんな事してたんだ……」

 

 平然と交わされている会話に妖夢と陽花は驚愕しかない。そこで内容に興味を持ったのか、妖夢と陽花は具体的な事について尋ねた。

 

「千里さん、差支えがなければ、異世界というのは他にもどのような世界があるのですか?」

 

「あたしもー! あたしも聞きたい!」

 

「……それは教えられないかな。仮にその異世界の話をして、その異世界の住人がやって来るのは話は別だけど──むやみに他の世界の知識を持つものじゃないよ。それはやっぱり平和な異世界があれば、危険な異世界も存在する。下手な事を伝えたら危害を及ぼす可能性もあるから」

 

「りょ、了解です。他言無用なのですね……」

 

「ぶー……。あたしも異世界に行ってみたいよー……」

 

「(……まぁ、連れて行っても良い世界はあるけど、紫さんとの約束で【特別なことが無い限り異世界の事は私と静雅以外に口外しない】ってあるからね……)」

 

 彼は話している最中に、もちろん紫からの視線は送られていた。その視線は「余計なことはあまり喋らないように」という事が感じられた為である。尤も、彼は約束事は霊夢との異変以来、破らないと誓っているからでもあるが。

 

 一応だが彼の第六感(?)的で感じた事はもう解決はした。千里はこの宴会の場を利用して、話しておきたい人物がいる。

 

「(……洩矢さんにも話しておくべきかな……)」

 

 外界で知った事。彼の母親は辰上で龍神の祖先だが、父親は違う。家系図ではいろんな苗字が書かれていたが、一部の枝分かれした祖先の先が【洩矢諏訪子】が含まれているのだから。その彼女は、現在この幻想郷にいては宴会に参加している。話すならばこの場だろう。

 

「じゃあ、ちょっと縁の様子を見に行きます」

 

「あ、はい。千里さん……今日はゆっくり楽しんでくださいね」

 

 方便は実妹を見に行くことを発言し、この場を去ろうとする千里に、妖夢は暖かい笑みを浮かべながら彼を見送る。彼女の言葉に軽く頷きながら、千里は場所を移した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 守矢神社の面々が集まっている箇所では、ある一人の人物に焦点をあてて話していた。尤も、その一人の人物というのは縫ノ宮千里の実妹である縫ノ宮縁なのだが。

 

 彼の実妹に一番触れ合っているのは、彼に想いを寄せている守矢神社の風祝、東風谷早苗かと思いきや──実は洩矢諏訪子だったりする。座っている彼女は縁の背中の背もたれになりながら、彼女を抱きしめるかのようにしてご機嫌そうにしている。

 

「何かこの子初めて会った気がしないんだよねー♪ やっぱりこのくらいの歳の子供は可愛いー♪」

 

「あーうー……」

 

「あぁ、諏訪子様! 私にも縁ちゃんを抱かせてくださいっ!」

 

「人様の妹によく躊躇いなくボディタッチが出来るな……」

 

 早苗は今かと興奮しながら順番待ちしているのに対し、軍神でもある八坂神奈子は冷静にツッコミを。抱きしめられている縁は諏訪子から抜けだそうともがいているが。

 

 自分の妹は好かれやすいのかなと思いつつ、千里はタイミングを見計らっては挨拶を。

 

「皆さん、この度は宴会に集まっていただきありがとうございます」

 

「あ、侠。ちゃんと私達にも挨拶してきてくれたんだね」

 

「にぃにーっ!」

 

 彼が話して諏訪子が言葉を返した事で彼女の拘束が緩んだのか、縁は諏訪子の両腕から抜け出してすぐさまに千里の腰元に抱きついた。

 

 安心させる為に妹の頭を撫でながら千里は諏訪子に注意の言葉を。

 

「洩矢さん、さすがにそれは過剰なスキンシップですよ。スキンシップするならもう少し軽めにしてください」

 

「あ〜……侠の言う通りだね。気をつけるよ。でも……縁ちゃんだっけ? どこか他人じゃないような気がするんだよね、どうしてか。侠はその理由を知ってる?」

 

「はい、ちょっとそれについてお話が──」

 

「侠君──いえ、千里君っ! 幻想郷にお帰りなさい!」

 

 まだ千里と諏訪子が話している途中なのだが──彼に躊躇いなく正面から抱きつく人物が一人。外界で想いを告げた人物でもある、早苗である。

 

 彼としてもこのようなスキンシップの表現をすると思わなかったのか、どこか冷や汗を浮かべながら早苗に話をする。

 

「ちょ、早苗!? いくらなんでも抱きつくのはどうかと思うんだけど!?」

 

「いいえ、これでも足りないくらいです。どれだけ私が千里君が幻想郷に戻ってくるのかと常々待っていたのですよ? 正直──押し倒したいぐらいです」

 

「君、自分のいない間に色々と吹っ切れ過ぎじゃないっ!?」

 

「だって千里君にはライバルがたくさんいるんですっ! いっそ既成事実までの段階でも──」

 

『さ〜な〜え〜っ!!』

 

 早苗がいきすぎた発言をする前に、聞こえてくる怒気のこもった声。その人物は突如上空から早苗達がいる場所まで降りてくる。彼ももちろんその声の主はわかっている。その人物──博麗霊夢は怒りの表情を浮かべている。彼女は先ほどまで初代龍神であるティアーと弾幕ごっこをしていたのか──乙女の勘なのか、【彼氏】の危機に素早く参上していた。

 

 彼女はそのまま現状している早苗の行動に憤慨の様子を。

 

「何で千里に躊躇いなく抱き着いているのよっ!! 今すぐ離れなさい!」

 

「嫌ですっ! 霊夢さんは携帯電話で千里さんと好きな時にお話できたじゃないですかっ! そもそも千里君は霊夢さんのモノじゃないですっ!」

 

「そ、それはもう──あぁ、もういいわ! 力づくでわからせてあげる!」

 

「望むところですっ! 千里君エナジーを溜めた私の実力を思い知ると良いですよっ」

 

 千里君エナジーって何だよ、と聞いていた人物が疑問を浮かべていたが、当本人たちは第三者の視線を気にせず。霊夢はあくまでティアーと戦っていた途中なのだが、今度は早苗との弾幕ごっこが始まる。

 

 あからさまな一人の男を巡っての戦いの光景を呆然として見ていた千里に縁、神奈子と諏訪子だったが……ゆっくりと彼達の傍に舞い降りる人物が一人。その人物は縫ノ宮千里と容姿が瓜二つである──ティアー・ドラゴニル・アウセレーゼである。

 

「霊夢と弾幕ごっこをしていたのだがのう……。まぁ、優先順位はそのようなものか。神奈子よ。改めて今の幻想郷の状態について聞いても良いかの? まだ幻想郷に帰って来たばかりだからな。まだ情報を把握しておらんのだ。酒を飲みながら軽く話してくれい」

 

「ん、まぁ……私の話でもいいなら」

 

 彼の言葉に神奈子は頷く。彼女の了承を得たティアーは正面に座る。その際に彼は、千里に手を仰ぐ仕草を見せる。その意味を理解した千里は、縁と諏訪子に話を。

 

「洩矢さん、ちょっと個別にお話したい事があるのでよろしいですか? 妹も関連してくれる事柄なので、縁も同席させて」

 

「? 珍しいね。侠が私に用事があるだなんて。それに侠の妹である縁ちゃんも関係あるの?」

 

「はい。一応、縁にも教えておかなければならないので。……ちょっとこちらに」

 

 千里は縁の手を引きながら諏訪子を神社の裏へと誘導する。諏訪子も縁も何を話そうとしているのか疑問符を浮かべているが、彼は直球で本題に入る事に。

 

「単刀直入に言ってしまえば──自分と縁は、洩矢さんの遠い子孫でもあるようです」

 

「……………………えっ」

 

「しそんー?」

 

 諏訪子としてもそのような言葉が飛び出るとは思っていなかったのか、驚愕の言葉を残して固まっている。関連している人物である縁は言葉を復唱しているが。

 

 数秒経っては我に返った諏訪子は、何かを確認するように縁の正面に立っては、彼女をじっと見つめる。数秒縁を凝視してようやく何かの情報を得られたのか、彼女がわかった事を漏らす。

 

「……集中すれば、確かに微弱な神力を感じる……!? あ……もしかして、神奈子には侠の神力を感じられなくては私が感じたのは、まさか侠が私の神力の一部を持っていたから……!?」

 

「出会った当初から自分に神力があるってわかっていたんですね」

 

「あーうー……その事について今まで疑問だったからようやく喉に突っかかった骨が取れた気分だよー……。それで、実の妹である縁ちゃんも私の子孫……」

 

 顎に拳を付けながら考察を続ける諏訪子だったが──彼女の考察が、千里の耳を疑う事になる。

 

 

 

 

 

「じゃあ、侠と早苗は遠縁の親戚なんだねー。すでに侠は風祝と龍神の子孫だった事に驚きだけど」

 

 

 

 

 

 

 後、縁ちゃんもだけどねと諏訪子は言葉を付け足す。その言葉は千里にも衝撃的な真実には変わりはなかった。

 

 先ほどとは逆の状況で、耳を疑うような内容に受け取った千里は諏訪子に復唱要求。

 

「ゑ? 自分と縁は、早苗と遠縁の親戚? それってつまり──」

 

「知らないのはしょうがないかもね。早苗も私の遠縁の子孫だよ」

 

「どういう……こと……!?」

 

「にぃにー、何話しているのー?」

 

 幻想郷にて新たな真実を告げられた千里は動揺を浮かべているのに対し、縁はまだ状況を把握し切れていないようで兄の服の裾を引っ張りながら聞いている。そんな彼女に諏訪子は優しく、頭を撫でながら説明。

 

「縁ちゃん。簡単に言うと私と早苗は千里と縁の家族みたいなものなんだ。厳密には違うけれど、大雑把にそんな感じ。初代龍神と同じような状況……って、言えばわかるかな?」

 

「うー……じぃじみたいなの?」

 

「じぃじ──もしかして初代龍神を示しているのかな? まぁ、そうだけど……それじゃあ私は【ばぁば】って呼ばれそう……。縁ちゃん、私の事は【諏訪子お姉ちゃん】って呼んでみて?」

 

「……すわこねぇね?」

 

 諏訪子は縁に自分の呼称を希望してみたが、当本人の縁は疑問符付きだが自分なりの呼称で彼女を呼ぶ。そのような呼び方をされた諏訪子とはいうと──

 

「はうっ!? 何この破壊力……!? 天然で、私が希望した呼び方をアレンジして呼んでくれている……!?」

 

 いえ、それが縁のデフォルトです。と、千里は付け足そうかと考えるが、あえて流す。今の彼女は喜んでいる様子なので水は差さないことにした。尤も、諏訪子はその喜びを表現しているのか、頬擦りしながら抱き付いているが。

 

「はぁ~♪ 本当に縁ちゃんはいい子だね! ほっぺもぷにぷにして気持ちいいし!」

 

「あーうー……」

 

「(よく縁は頬をいじられるな……。まぁ、幼い子は肌がモチモチしているから、触りたくなるのだろうけど)」

 

 そんな考察をしていた千里だったが、諏訪子は縁の頬を堪能したようで、ご機嫌の笑みを。しかし、そのあとの諏訪子は真顔に戻り、千里にある話を振る。

 

「ふぅ──それでだけど。縁ちゃんは外界に帰るだろうから言わないけど……侠──いや、この際だから私も千里って呼ばせてもらおうかな? 千里──幻想郷に移住するのなら当然守谷神社にするんだよね? 早苗と遠い血縁関係でもあるんだし、私の子孫だし。断る理由はないでしょ?」

 

「それなんですが……まぁ……」

 

 千里はふと、上空で行われている弾幕ごっこを見る。視線を向けているのは彼の遠縁の親戚でもある東風谷早苗──ではなく、今まで幻想郷で暮らしていた博麗霊夢である。その視線の意味を理解した諏訪子は顔を曇らせたが……次第に、何か思いついたかのように、含み笑いを浮かべる。

 

「む……へぇー、そんな返事をするんだ。ミジャクジ様をあまり怒らせない方がいいよ? これからまもなく、千里に修羅場が起きるよ?」

 

「ミジャクジ様って……? 自分、ご先祖様が心にいなくても負にかかる事柄は無効にできますし、それに自分と霊夢は──」

 

「早苗ーっ! 実は千里は早苗と血が繋がっているんだってー!」

 

「ちょ、まっ!?」

 

 神社の裏から諏訪子が出てきては、この宴会に参加している全員に聞こえるような声量で発言。いきなりの暴露に千里は驚いて縁の手を引っ張って神社裏から出てくるが、時すでに遅し。呼ばれた人物である早苗がすぐ傍に降りてきた。

 

「!? 本当ですか諏訪子様!? 私と千里君が血が繋がっているという事は!?」

 

「本当だよ。さっき千里がその事を直接私に伝えてきたもん。ちなみに生き別れじゃなくて、遠縁だから親戚だし結婚は問題無いよ」

 

「何で洩矢さんはすぐさまバラすんですかね!?」

 

 早苗はまるで運命を感じたかのように感動していて、千里が焦る様子を見て諏訪子はケラケラと笑っている。

 

 ……ちなみに、早苗本人は諏訪子の子孫だという事を知らない。加え、千里自身は早苗がすでに諏訪子の子孫だという事を知っていると勘違いしている。ここで千里が早苗も実は諏訪子の子孫と言ったら一種の仕返しになるが、無駄だと彼は思い違いをしているため、その事は言えなかった。

 

 彼の事をまだ知らない部分があったためか、早苗と弾幕ごっこをしていた霊夢もすぐに降りてきては、千里に慌ただしく問いかける。

 

「!? ねぇ、千里!? 早苗と親戚って本当なの!?」

 

「う、うん……早苗とは遠縁の親戚みたいなんだ。それでさらに、自分は──」

 

「──いくら何でもオレは驚いた。どんな奇跡があって、外界で一度は会った人物が親戚だったんだよ……?」

 

 騒ぎに駆けつけて、ある意味ではタイミング悪く静雅も驚愕の表情を見せる。それは次第に情報が拡散していき。

 

「マジか!? 侠と早苗が親戚だったのかよ!?」

 

「……もう何も驚かないと思っていたのに、これは無理だわ……」

 

「それは私もそうね……静雅も知らないとは驚いたけど。……お嬢様は落ち着いていますね?」

 

「まぁ、守矢の巫女の運命を見てその時に知ったわ。だから別に驚きは大してない」

 

「? よくわからないけど驚くものなの?」

 

「……まぁ、普通は驚くモノだな。アタシも知らなかった」

 

 紅魔館で話していた人物もあつまり。

 

「!? ち、千里さんが早苗さんと親戚なのですか!?」

 

「……それってつまり、あたしの親戚でもあるんだ。早苗さん」

 

「あらあら、面白い事になってきたわね」

 

「侠さんにとっては面白くないことだと思いますが……」

 

「加え、侠の実の妹でもある縁も親戚になるのか……」

 

「……ようやくかしらね」

 

 白玉楼の面々も集まり。

 

「……早苗が侠の親戚だと? これは私達にとっても願ってもない事柄だな……(それはつまり諏訪子の子孫という事だよな……?)」

 

「さて、主は誰のモノになるかのう……」

 

 どこか嬉しそうな表情を浮かべる神奈子に、これから起こる事を楽しげな笑みをしているティアー。

 

 当本人である早苗はというと──もう、有頂天に達していた。

 

「フフフ……! これぞ奇跡──いえ、大奇跡です! 私と千里君は、生まれた時から赤い糸で繋がっていたという事! 加えて親戚でもあるのなら──これ以上に触れ合っても遠慮はいりませんねっ! さぁ、千里君っ! 私に愛の抱擁を──」

 

「そんなのダメに決まっているでしょーっ!!」

 

 突撃するかのように千里の元に駆けつけようとしていた早苗だが、その行動は間に入った霊夢により阻まれる。現状の霊夢は顔を赤く染め上げているが──それはどこか、怒りよりも恥ずかしさが含まれている割合が多く見えるのは気のせいだろうか?

 

 行動を阻まれた早苗よりも、大きな声である事実を発言する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

「ち、千里は……私のか──彼氏なんだからぁーーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

『──えぇっ!?』

 

 彼女の発言に、一部は除く大多数の人物が驚愕の声を上げた。その一部の例外というのは静雅に咲夜、レミリアと紫、千里の家族ぐらいなのだが。

 

 顔を赤く染め上げて発言した霊夢は息を切らしているが、大きな声量は出していないものの、別の意味で驚いているのは千里である。

 

「……ゑ? 皆知らなかったの?」

 

 逆にこの言葉でまた大多数の人物を驚かせたのだろう。魔理沙が代表して彼に詳細を求めた。

 

「し、知らなかったのって何だぜ!? 霊夢と侠がそんな、こ、恋人関係になっていただなんて初耳だぜっ!?」

 

「え……そうなの? てっきり霊夢と静雅がその関係について暴露していたのだと思ったけど……」

 

「侠。霊夢は何となく言い渋った理由はわかるわ。霊夢が改めて幻想郷に返ってきた時は確かにどこかおかしい様子だったけど……そんな関係になっていたのなら自分から言いにくいはずよ。それで……静雅。あなたは知っていたのね?」

 

 魔理沙の疑問に答えた千里だが、その答えの考察をアリスが冷静に指摘する。そして、真実を知っていては喋っていなかった静雅に彼女は問いかけると、彼は真顔で答えた。

 

「暴露しない方が今後の展開が面白いと思った。反省もしていないし後悔もしていない」

 

「……そこは霊夢を恥ずかしがらせない為とか、親友の情報を秘密にしておきたかったとか言いなさいよ……」

 

 改めて静雅は平常運転だとアリスは思った。

 

 妖夢は度重なる衝撃の事実で顔を赤く染め上げて困惑している中、早苗は納得しきれていないようで抗議の言葉を。

 

「う、嘘ですっ! 何時そんな関係になったんですかっ!?」

 

「あんた達が先に幻想郷に帰った後よ! それで、千里がわ、私の事を……『異性として好き』って告白してくれたんだものっ!」

 

「ち、千里君っ! 霊夢さんの言っている事は嘘ですよねっ!?」

 

「……本当だよ、早苗。霊夢は心から【本当の自分】の事を理解してくれた異性だから。早苗には悪いけど──俺は霊夢の事が好きなんだ」

 

 早苗の質問の途中で本心を示すためか、彼本来の【素】の言葉の口調で千里は肯定する。躊躇いの無い返事に霊夢は恥ずかしそうに顔を俯けているが、早苗は納得しきれていないようだ。彼女はちょっとした【事】を振ってみることに。

 

「じゃ、じゃあ証明して見せてください! 霊夢さんが本当に好きならば──

私達の目の前でも関係なく【キス】できますよね! 頬ではなくマウストゥマウスでっ!」

 

「……直接キスをしろと?」

 

 早苗の言葉を簡単に要約した千里が条件を確認する。彼女の提案に一番動揺の色を見せているのはもちろん、霊夢である。

 

「き、キス!? で、出来るはずないじゃないっ!! こんな人の多い場所でしろっていうの!?」

 

「キースッ、キースッ!」

 

「静雅は煽るなっ⁉」

 

 両手を左右に振って拒絶の意思を見せている彼女に、悪乗りにする静雅の声が。霊夢は彼を叱責している時に、早苗は思う。

 

「(フフフ……霊夢さんならば必ず拒否すると思いました! 先ほどまでの表情を察するならば、千里君との【異性】としての触れ合いは慣れていないはず! さらに優しい千里君の事でしょう。観衆の目の前で嫌がっている霊夢さんを気遣い、出来ないはず! これで無理やりにでも、霊夢さんと千里君は付き合っていない事にして──)」

 

 早苗の中では(何かに)勝ったつもりでいた。確かに、今までの千里なら現状の霊夢の意思を尊重して自分の意見は出さない。むしろ彼は相手、第三者に意見を委ねては意思決定をする。自分の意思はあまり表に出さない。それは早苗自身も他の人物もわかっている事柄なのだが──昔はそうだったかもしれないが、【今】の彼は違う。

 

 恥ずかしさに染まっていた霊夢に千里は体の向きを変えては、彼女の顎に片手を添えようとしては──

 

「霊夢、前もって言っておく。ごめん」

 

「早苗の証明が出来ない事について!? それは後で私が早苗の事をしばいて────ッ⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──喋っている途中の霊夢だったが、彼女の唇は強引に彼の唇で塞がれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一時の静寂が流れる。急な彼の行動に固まっている人物、もしくは予知していた人物もいたのか、静雅はフランドールの視界を塞ぎ、藍は橙の視界を塞ぎ。五徳は縁の視界をタイミング良く塞いでいたが。

 

 そして、零距離だった霊夢と千里がようやく離れ。事態の把握が追いつかないのか霊夢は顔を赤く染め上げたままで硬直している。そして霊夢を抱き寄せた後に、千里は固まって二人を見ていた早苗に改めて告げた。

 

「……これで良いのかな、早苗」

 

「…………ファッ⁉ こ、こんな積極的なのは千里君じゃないですよーっ!?」

 

 ようやく我を取り戻した早苗だが、軽い現実逃避を起こしている。彼女の発言から聞いて固まっていた観衆は意識を取り戻し、多少頬を赤く染め上げて困惑している女性陣。

 

「……生のラブシーンを初めて見たぜ……」

 

「……少し、侠を異性としてかっこいいと思ったわ……」

 

 普段の彼のギャップで狼狽えている魔法使い達の魔理沙とアリス。

 

「あ、アレがキス……千里さんと、霊夢さんの……」

 

「うーん……まだ、大丈夫だと思うけど……」

 

「正直厳しいと思うわよ。二人が大喧嘩しない限りは」

 

 妖夢はまだ目の前で行われた出来事の整理が終わっていなく、意味深な話を幽々子と紫はしているが。

 

「む~……ちょっと複雑……」

 

「千里の義妹だからなぁ……。もしも霊夢と千里が出会っていなかったら、お前がなっていたかもな」

 

「五徳ー……。それは言いっこなし。まぁ、祝福しようよ、二人を」

 

「前が見えないー」

 

 陽花を宥める五徳に、現状何が起こったのかを見ることが出来なかった縁。

 

「……まさか本当にするとは思ってなかった。……オレの振りの所為じゃないよな、咲夜?」

 

「あなたの所為ではないとは思うけど──お嬢様? 私達を見てどうなされたのです?」

 

「……いえ、別になんでもないわ」

 

「静雅ー、前が見えないよー……」

 

 一種の自分の所為と考えた静雅は咲夜に尋ねるが、彼女は彼の望む答えを。途中で主であるレミリアの視線に気づいた咲夜は彼女に尋ねるものの、流され。フランはまだ静雅の塞いだ手によって現状を把握する事が出来ていない。

 

「……侠、随分と性格が変わったような……?」

 

「もうやめて! 目の前で千里を奪われて早苗のライフポイントは無いのに等しいよ!?」

 

「ふむ。まぁ、それが今の主の行動だろうの。ある意味ではそれが正解だ」

 

 それぞれの考察を喋っている神々。

 

 この場にいる皆の反応が違う中で、未だに反応が返ってこない霊夢に、一応体としてだろうか、彼女に謝罪の言葉を。

 

「……いきなりだった。それで多分、初めてを奪ったようなものだから……霊夢も怒るのも当然かもな。一発以上しばかれる覚悟は出来てる」

 

 彼の予想としては、恥ずかしさに耐えかねた霊夢が怒りの表現をするように、軽い体罰的なものをするだろうと考えていた。実際に彼は彼女の了承無しにキスをした。それには変わりはない。

 

 しかし──それは彼女も同じである。彼の言葉で意識がようやく戻ってきた霊夢だが、しどろもどろだが、少し千里から離れては無意識だか判断できないが──あの日の夜の出来事について切り出した。

 

「……あ、あのね、千里……それは私も同じなの」

 

「……同じ? それはキスをした事を? 確かに、まぁ……自分もしたのは初めてだけど」

 

「そ、そうじゃなくてっ。その、前に千里が幻想郷で大暴れして、それが解決して。その日の夜の事なんだけど──わ、私、寝ている千里に……直接キスした事があるの……」

 

『…………えっ!?』

 

 両手の人差し指の指紋を合わせるようにして恥ずかしながら語る霊夢の言葉に、観衆達は驚愕の声を上げた。今回に限っては彼の親友である静雅、幻想郷の管理人でもある八雲紫も含めてである。

 

 ……ちなみに何でも知っているようなイメージを持つ八雲紫だが、この日に限っては千里と覚醒ルーミアによって体力が膨大に削られたというのもあり、千里の異変が解決したらすぐに休養をとったため、スキマでの姑息な監視はしていなかったのもある。

 

 自分の知らない中でそういう行動をしていた霊夢に千里自身も目を丸くしているが、彼女の発言以降で意識が最初に戻ったのは早苗。彼女は千里の頬にキスした二人目の女性(何だかんだ小悪魔も彼が気を失った時にしている)でもあり、憤慨の言葉を。

 

「霊夢さんっ! それはいくら何でもズルすぎます! 私だって外界の時は頬じゃなくて直接したかったですっ! それはあくまで正式に千里君と付き合い始めてからしようと思っていたのに、フライングにも程があります!」

 

「知らない内にしていたんだからしょうがないでしょ!? 私も気がついたらそうなっていたの! でも、もう今じゃ私と千里が付き合っているんだから別に良いでしょ!!」

 

「……フフフフフフ。そうしますかそう来ますか。だったらもうNTR(寝取り)上等ですよ! 付き合っているからといって油断しない事です! 私と千里君は親戚同士なんですから、そういうチャンスは回ってくるんですからね!」

 

「……ねとり?」

 

 怪しい笑いをしながら特有の単語を言った早苗に霊夢は疑問符を。そんな彼女を見かねた千里の親友でもある静雅は例題を出しながら説明する。

 

「早苗の言った寝取りの意味はな……そうだな。例えば、夜に博麗神社に千里(センリ)が帰ってこなかったとする。それで心配した霊夢は千里に特別な携帯電話で確認を取ろうとするだろ?」

 

「……まぁ、今じゃ簡単に連絡を取り合える手段はあるしね」

 

「ところがどっこい、千里の携帯電話に出たのは早苗。そして早苗はこう言うと思う。『千里君なら私の隣で寝ていますよ☆』ってな。そこからどういう経緯でなったのかは……わかるな?」

 

「っ!? ダメよそんなの!? 絶対そんな事はさせない!」

 

 言葉の意味を理解した霊夢は千里の目の前に立っては警戒の色を見せる。しかし、当本人の早苗は何処吹く風。

 

「もしも霊夢さんが原因で千里(ちさと)君が傷心を追った際は私の出番ですからね〜。何しろ親戚ですからっ! その時の心のケアと体のケアをするのは私の役目……キャー♡」

 

「どさくさに紛れて千里に近寄るんじゃないわよ!」

 

 そそくさと千里に近づいていた早苗だが、霊夢はそれを見逃さない。ついにはお互いに取っ組み合いの牽制をするようになっていたのだが──

 

『妖夢さん、ドーンッ!』

 

『ちょ、陽花さん!? 一体何を──!』

 

『! 妖夢、危ない!』

 

 何故か、陽花は妖夢を義兄である千里に向けて押し出した。それに気づいた千里は体の向きを変えては、彼女が怪我しないようにしっかりと抱き留める。気になる異性に抱き留められている妖夢は彼の胸元で「こ、こんな近くに……!?」と声を漏らしているが、彼は気づかず。彼は彼女を叱責はしたのだが、彼女も不満げの声と共にある事を指摘する。

 

「陽花! どうして妖夢を押したりしたんだ! 下手してたら怪我してたかもしれないんだぞ!」

 

「……ふーんだ。本格的なモテ期になったお兄ちゃんなんか巻き込まれちゃえば良いんだ」

 

「巻き込まれる? そんな事より妖夢に謝罪を──」

 

「「ち〜さ〜と〜(く〜ん)?」」

 

 彼の体に悪寒が走った。同時に嫌な気配を感じたのは妖夢も同じだ。恐る恐る千里は後ろへと振り返ってみると──そこにはそれぞれの御札を構えていた、黒い笑みを浮かべた巫女二人の姿が。

 

「へぇー……堂々と浮気をするだなんて良い度胸じゃない? 誰の彼氏かわからせてあげないとね?」

 

「思わぬ伏兵がいましたねー……。千里君の視界や抱きしめる相手は私で充分ですよね?」

 

「ちょ、霊夢!? 今のはある意味不可抗力だから!? しかもこれって浮気に入るのか!? それと早苗、その発言はある意味危ない!」

 

「「問答無用!」」

 

「どうしてここで気が合うんだこの二人!?」

 

 妖夢を一先ず陽花に預けた千里は翼をだして逃亡をし始めた。そのまま霊夢と早苗の二人はそのまま彼を追いかけ。放心状態に近い妖夢を陽花は介抱していたのだが、彼女は誰にも聞こえない声量で呟く。

 

「万が一でも──お兄ちゃんと霊夢さんが別れたとしたら、もうあたしは遠慮しないもん」

 

 そのまま彼女は追われている義兄を見続ける。彼が修羅場で追いかけられているのを見て静雅は愉快そうに笑っているが。

 

「はっはー! オレの幼馴染みの女性関係が修羅場過ぎる! 見ていて面白! メシウマだ!」

 

 自分と関係の無いみたいに発言している静雅だが、ここで魔理沙はある疑問が浮かぶ。流れるようにして、その事について問う彼女。

 

「……ところでさ、静雅。侠が曲がりなりでも霊夢の事が好きだってわかったんだが──お、お前って好きな奴はいないのかっ」

 

「…………Pardon?」

 

 鳩が豆鉄砲を食ったようにして、静雅が何故か英語を使って復唱を求めていた。それはまるで聞き間違いだという事をどこか願っているようにも聞こえる。

 

 その発言に多数の視線が静雅に集まり。魔理沙の疑問にはアリスも同様のようだ。

 

「そういえば……侠は今みたいな恋愛関係があるっていうのに、静雅はそういう話は出てこないわよね。加えて、あなたは多分未だに彼女を適当に募集しているんだろうけど……」

 

「…………はっはー。そこは気にしてもしょうがないんじゃないか?」

 

「……逆に気になるわね。この宴会で霊夢が公言したように、静雅も公言すれば良いじゃない」

 

「アリスが好きとはいかないけど、気になる異性がいるって教えてくれたら良いぞ?」

 

「その手には乗らないわ。大方動揺を誘っていたんでしょうけど……」

 

 冷静に返される言葉に静雅の表情が固まる。何だかんだ親友のとばっちりを受けているという事を感じていた静雅だったが、会話を聞いていたフランはある会話を思い出しながら言う。

 

「静雅は私の事が大好きなんだよねー♪」

 

「やめろフラン嬢!? ここで火薬を持ち出すんじゃない!? そもそもそのベクトルは違う!」

 

 笑顔で語るフランだが、彼女の言い分は別な人にとっては誤解を生むような発言だ。実際、その意味が分かっているのは紅魔館住民であるレミリアと咲夜ぐらいなだけで、目の前にいる魔法使い二人は勘違いを起こしていた。

 

「なっ……!? フランの事が好きだったのか!? こんな精神的にも幼いフランに!?」

 

「へ、変態っ! 言葉巧みに操ってそんな感情を持たせたの!? せ、せめて外見上はもう少し成長した子にしなさいよ!」

 

「通常なら変態は褒め言葉だが、オレはロリコンじゃないってのっ! これ以上人様の妹に好かれてたまるか!」

 

「静雅、その発言は以前のこいしも関係あるのか? あいつも異様に静雅に懐いていたし……やっぱそういう趣味なのか。だったらその性癖は正してやらないとな……!」

 

「そうね魔理沙。ただでさえ変態なのに、そういう嗜好まで犯されていただなんて……。少しでも真面目にさせないとね」

 

「だぁーっ! 不幸だーっ!」

 

 今度は静雅もダッシュをして魔法使い二人から逃亡を図る。事情を深く読み取れなかったフランは鬼ごっこと勘違いしているのか、彼女は笑顔を浮かべて静雅を追いかけているという。

 

 残った紅魔館の人物であるレミリアと咲夜だが、どこか茶化すようにしてレミリアは咲夜に話し掛ける。

 

「あら、咲夜。あなたは追いかけないのかしら?」

 

「……いえ、追いかけても無駄という事はわかっていますので」

 

「追いかけても無駄、ね……」

 

「お嬢様……? どうかなされましたか?」

 

「何でも無いわ……それよりも、ワインを注いで頂戴」

 

 途中で復唱するレミリアに咲夜は疑問を浮かべていたが、彼女は流して自身の従者に行動を促していた。

 

 ただ、咲夜がわかるのは──一瞬レミリアが口元を若干緩めた事だけであった。

 

 二つの逃亡劇が始まり。その事態に眺めるもの、気にしないで飲み食いをしている人物が多数の中、幻想郷を創った初代龍神は一言。

 

「幻想郷は昔も今も面白い事が盛りだくさんだのう……」

 

 片手に持った猪口の中身を飲みながら、彼は語ったという……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、宴会が終わっては数日が経ち──大規模な人員を集めて宴会が行われ。基本的にはその時に千里と霊夢の交際が明らかになっては多種多様の反応があった。祝福する者、複雑そうにする者、興味津々な者など。その宴会は夜遅くまで開かれていた。

 

 後日、宴会もないただ普通の日。正確には大規模な宴会から三日後が経ったくらいだが、博麗神社までの道中である四人組が空を飛んでいた。四人組といっても、縫ノ宮千里の外界組ではない。外界で学ぶべき事が残っている辰上陽花と縫ノ宮縁は外界へ帰還。五徳は博麗神社、人里の命連寺、地底を行き来しては自由に過ごしている。

 

 ならこの四人組は誰かというと──順に霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド、十六夜咲夜に──縫ノ宮千里の親友である本堂静雅である。その中で彼は数日間で起きた事を振り返っていた。

 

「全く……理不尽なロリコンのレッテルを貼られて魔理沙達に追いかけられては、大宴会の時はこいしも参戦しては休まる事がなかったぞ……。アリスもそうだがお前さん達、もう少し人の話を聞こうぜ? そして挑発にはのらないようにしようぜ?」

 

「そ、そんな事言っても意味深な事を言われたら気になるだろ! 普通心を閉ざしているこいしがお前にベタベタと! フラン同様に変な事をしたからだろ!」

 

「確かに私達にも非があるけど……静雅って基本見境なしよね。どうしたらあの覚り妖怪が懐くのよ……」

 

「オレにもよくわからん。人様の妹に好かれるモテ期とか悲しすぎて解せない」

 

 少し反抗するかのような発言の魔理沙と、バツが悪そうにしながらも意見するアリスの疑問に、当本人の静雅も複雑そうだ。空気を変えるつもりなのか、これからの予定を確認するようにしてそれぞれの予定について喋る咲夜。

 

「私は千里に外界の料理について聞こうと思って博麗神社に行こうとしていたのだけど……静雅は私に便乗して付いてきたのよね? そろそろ千里と弾幕ごっこがしたいということで」

 

「おう。千里(センリ)が幻想郷に帰還してまだやっていないからな。そろそろ自分の実力を量りたい」

 

「それで魔理沙とアリスは道中で私達に会って。魔理沙は千里(ちさと)の心の中に初代龍神がいなくなった事でのリベンジ。アリスは千里に人形について尋ねたいのよね? 技術云々や知識について」

 

「私はそうだな。弱体化はした侠だが、それでも私は勝つつもりだぜ」

 

「そうね。長い期間が空いてしまったけど、侠に裁縫の技術を見せたら、私の気づかない裁縫の技術が知れるかもしれないしね。真似られる以上は仕方ないけど……それよりも自分のスキルアップはしたいし」

 

 後者のアリスはともかく、前者の魔理沙の用事についてはもう広まっている。初代龍神、ティアー・ドラゴニル・アウセレーゼは大宴会を終えた後、龍界へと移りこんだ。大宴会の前の宴会での言っていた理由通りだが、実際には意思疎通は可能なので、いないようでいるようなものなのだが。ただ、その差分として直接千里がティアーに力を借りる際には手間がかかるようになり、その手間の間に千里は自身の力でやり通さなければならなくなったが。

 

 この場にいる皆の予定を確認する中で、見知った神社が見えてくる。四人は博麗神社の存在を確認し降り立つが、二人の人物が先客にいる。一人は何か暴走しており、もう一人は羽交い絞めにして行動を抑制させている。

 

 その二人の人物は順に新たにわかった真実として縫ノ宮千里の親戚である、守矢神社の巫女である東風谷早苗と、冥界の庭師をしている魂魄妖夢のわけだが。

 

 焦りながら羽交い絞めをしている妖夢に、どこか懇願するような必至さが伝わる早苗の声。

 

「妖夢さん、お願いです! 千里君を寝取るのは今しかないんですっ! 霊夢さんも無防備なこの状態がっ!!」

 

「だ、ダメですよっ⁉ それはやっぱり私も羨ましい──もとい、二人が心が安らいでいる時間を邪魔するのはダメですって!」

 

「ぐぬぬ……!」

 

「……何をしているんだぜ、お前らは……?」

 

 一進一退の攻防をしている二人に、魔理沙はどこか呆れたような声を出す。アリスは何故早苗がここまで暴走しようとしているのか疑問に思い、彼女の前に出て原因を確認したところ──

 

「……まぁ……」

 

 どこか気まずそうだろうか、それとも意外性があっての言葉だったのだろうか? アリスはマジマジと現在のある二人の状態を見ていている。

 

 続くように見た魔理沙も彼女と同様の顔色に変わり、少し反応に困っている。最後に紅魔館従者組がこの博麗神社に住んでいる二人──博麗霊夢と縫ノ宮千里の状態を確認した。

 

 二人の内、最初に言葉を発したのは咲夜だ。彼女は見たままの言葉を口にする。

 

「……仲がいいわね、この二人──いえ、恋人関係なら当たり前のかしら?」

 

 彼女の疑問に答えたのは、千里の親友である静雅だ。彼は現在の二人の様子を見て振り返るように言う。

 

「……そうだろうな。宴会の時は何だかんだ理不尽な状態になっていた千里(センリ)に怒っていたりしていた霊夢だが──それよりも、本当に千里が好きだから和解が早いんだろうなぁ……。この表情が、この距離が二人の信頼の距離を示しているんだろう──」

 

 そして静雅は、二人の状態を見て笑みを浮かべる。この光景こそが、彼の望んだ光景でもあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今の二人は──博麗霊夢は縫ノ宮千里(ちさと)の肩腕を枕にしながら安堵した表情で。対して千里は心なしか笑みを浮かべながら、お互いに昼寝をしているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ──幸せになれよ、親友──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

             ―幻想世界に誘われて 完結―




 本編、終了しました。投稿してからの約23か月間というのは長かったような、短かったような気がします……。

 自分的には区切りのいい終わり方は出来たと思います。投稿に関しても最低週一更新が出来ていましたし。計画的にも投稿できたんじゃないかと思います。

 それと、一度このような物を書いてやりたかったこと。それは──ラノベみたく原作者とイラスト担当の人と分けて一緒に投稿してみたかったんですよね。今回の挿絵は他サイトのイラスト投稿サイトなどで活動している人にお願いしました。以前の活動報告で挿絵云々のリンクを貼り、辰上侠と本堂静雅、辰上陽花を描いてくださった人と同じ人です。〆にはちょうど良い挿絵だと思っています。

 それとこの話の投稿の約一時間後の前後に、ある活動報告をあげる予定です。以前の活動報告でもあるアンケートを取ろうとしたものです。

 それは──人気投票でもしようかなと。

 突発的的な番外編のメインキャラの募集はしましたが、今回はガチの人気投票をしてみようかなと。出そうと思っていたキャラは全部出せましたし。一先ずこの作品の中で一番人気のあるキャラは何かと私自身も知りたいので。

 この人気投票の結果は台本形式で番外編の形にして投稿したいと思います。せっかくなので裏話やメタァ……と話を交えつつ。詳しい投票のルールについては活動報告にて。

※感想欄に投票しないでください。したとしても無効票として扱います

 番外編などは不定期に投稿する予定です。本編の補完だったり、IFだったりなど。その時は気長に待っていただけると嬉しいです。

 ここまでのお付き合い、ありがとうございました。また私の作品を時間のある時に読んでいただけると幸いです。

 では、また。

 ―P,S―
 人気投票は期日を過ぎた為締め切らせてもらいました。たくさんの投票、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。