幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 皆さんご存じ新聞記者登場。
 では本編どうぞ。


五話 『射命丸文、拾われ子』

 博麗が誰かの名前を呟いたのを同時に知らない人が現れた。

 

「あら、文。ちょうど良いところに来たじゃない」

 

「何かネタになるような感じが来てここに来ました! 皆さん一体何を話して──あやや? どうして人里の人間がここにいるのですか?」

 

 メモ帳とペンを取り何かを書いている──烏の羽を生やして、頭に小さな赤いずきんを被っている。そして自分の服装(作務衣)からか、人里の人と勘違いしているみたいだ。

 

 自分が説明しようとしたが、博麗が説明し始める。

 

「人里の人間じゃないわよ。紫が外界から連れてきた外来人で、今は私の家に泊めているわ」

 

「──あややややっ! 見かけは人里の住人、中身は外来人の方でしたか! これはスクープです! 紅魔館で働いている外来人の方に続いてここにもいましたか!」

 

 ……今、気になる情報を言ったよっ!?

 

 それもマーガトロイドは気になったようで話しかける。

 

「ちょうど紅魔館にいる外来人の情報を整理していたのよ。あなたも持っているのなら情報交換しない?」

 

 これで本宮樹の情報がさらに得られるのだろう──

 

「それでしたらそこにいる方を取材していただくという形で! 取材に応じてくれたら情報を交換しましょう!」

 

 ──え? すんなり情報を渡してくれるんじゃないの? それで自分が取材に応じたら? ちょっとそれはお引き取り願いたい──

 

「侠、よろしく」

 

「よろしくだぜ」

 

「当たり障りのないことを言うことをすすめるわ。変なことに答えちゃ駄目よ」

 

 ……三人とも自分を売りましたね。心配してくれるのはマーガトロイドだけだし……しょうがないか。

 

「はぁ……わかったよ」

 

「交渉成立ですね! それでは失礼して──」

 

 急に高そうな、レトロなカメラを取り出しフラッシュ付きで自分を撮影してくる。

 

「カメラ……? もしかして情報を伝えるようなことをしているの?」

 

「その通りです! 私は文々。(ぶんぶんまる)新聞を作っている記者、烏天狗の射命丸文です! 以後お見知りおきを! それであなたの名前は何ですか?」

 

「……辰上侠」

 

「ちなみに字はどうやって書くんです?」

 

「干支ってわかる? その龍の辰という漢字で、上下の上、名前が任侠の侠」

 

「ほぉほぉ。漢字を変えて読み方も変えたら龍神になりますね! 外界でその名字は珍しいんじゃありませんか?」

 

「……まぁ、自分の知っている限りは親戚でしか見たことがないね」

 

「(ん……? そういえば侠の名字と幻想郷を創ったと言われる龍神と一致するわね……これは偶然なのかしら?)」

 

 ……本家と分家、か……。

 

 射命丸は質問を変える。

 

「では次の質問なんですが──ぶっちゃけ、好みの異性のタイプは何ですか?」

 

「タイプよりも自分を理解してくれる人」

 

「ちょっ!? そんなことさらっと言っても良いのか!?」

 

 自分の答えに霧雨は疑問をぶつけてくる。

 

「別にこれくらい良いんじゃない? 自分を理解してくれる人。それで良いじゃない」

 

「む〜……誇張しようがないですね……」

 

「おい、君今誇張できないって言ったよね?」

 

「いえ、お気になさらず! では次の質問なんですが──居候している霊夢さんにムラッときたことは──」

 

「ない──って痛い!? 何で博麗は自分を殴るの!? おかしいことは言ってないよね!?」

 

「……確かに変なことは言ってないけど、即答で何かむかついたから」

 

 ……逆に時間をかけて答える方が失礼だと思う。

 

 淡々と自分は質問に答えているけど、何故か射命丸は不満そうにする。

 

「……もっと味気のある返し方をしてくれませんかね? 面白味のある記事を書きたいので」

 

「そんなこと言ってもねぇ……」

 

「じゃあ、これはどうですか! 外界ではどのようなことを過ごして──」

 

「黙秘する」

 

「あやややっ!? 答えてくれないんですか!?」

 

「過去についてはノーコメントで。言ってもしょうが無いし」

 

 ……あの世界のことを今のところ話すつもりはない。

 

「外界の人なのに外界のことを教えてくれないとは予想外でした……まぁ、執事の方からは聞きましたけど」

 

「聞く必要ないじゃないの……」

 

「いえ、外来人とはいっても地方やら違いはあるみたいなので聞けたら聞こうと思ったんですが……では次の質問に移らせてもらいます」

 

 射命丸の言葉にマーガトロイドは呆れた声を出すが、射命丸は気にしてはいないようだ。

 

「あといくつぐらいするの?」

 

「そうですねぇ〜……最低でもあと二つぐらいは答えていただきましょう」

 

 そう言って改めてメモ帳を構えてペン持つ射命丸。

 

「ずばり──幻想郷の女性で外見的好みは誰です?」

 

「何でそう君は異性に関する質問が多いの?」

 

「いえ、こう言う内容の方が読んでくれる方は多いので」

 

「女子高生じゃないんだし……?」

 

「おお……執事の方と同じ返し方をしますね!? 彼はJKという略した言い方をしていましたが……」

 

「(……何か紅魔館の外来人と侠の共通点が多いわね……?)」

 

 何故か博麗は考えて異様な仕草をしているが、少し言い方を変えて射命丸は尋ねてくる。

 

「おっと、ちなみにあと二つのことに答えいただかないと情報は交換できませんねぇ? お互い納得する情報にしないと?」

 

 ……うざっ!

 

 それはともかく、外見的好みか……何となくだけど──

 

「複数人答えても構わない?」

 

「どうぞどうぞ!」

 

「何となくだけど──紫さん、慧音さん、藍さんかな」

 

「……あやや? 紫さんまで入っているんですか!?」

 

「え? そこまで予想外?」

 

 射命丸、霧雨、マーガトロイド、博麗の順番に──

 

「予想外です」

 

「予想外だぜ」

 

「予想外ね」

 

「予想外よ(何か慧音の呼び方がさん付けで名前に変わっているし……藍もいるし……)」

 

 ……何故か意外そうな顔をされた。何故だろう?

 

 会話を戻して、改めて射命丸は聞いてくる。

 

「紫さんはともかく、慧音さんと藍さんはどこで会ったんですか?」

 

「……それは最後の質問として答えて良いのかな?」

 

 質問を重ねてきたので、引き合いをする。射命丸は少し悩んだけど、決断したみたいだ。

「……そうですね。お願いします」

 

「……まず、慧音さんは寺子屋で働かせてもらっているから。藍さんは式神であり生徒の橙が呼んだところをちょうど会ったから」

 

「あややや……気になるところが多数ありますが、約束は守りましょう。では、紅魔館の執事の方の情報をお教えしましょう」

 

 メモ帳のページを変え、多分紅魔館の執事──本宮樹のページだろう。書かれているところを読み上げる。

 

「まずは彼──海堂陸さんの事ですが──」

 

「待て文。いきなりそれないだろ」

 

「さすがパパラッチね。いきなり偽情報に捕まれてるわね」

 

「お疲れ。帰っても良いわよ」

 

「ないわー……自分質問に答えたのにそれはないわー……」

 

「あややややややっ!? 何故皆さん私を批判するのですか!? 私ちゃんと本人に会って取材したんですよ!?」

 

 いきなり名前が食い違うって……ある可能性が出てきちゃうじゃないか。

 

 自分たちに否定されてもなお、射命丸は言葉を続ける。

 

「陸さんは紅魔館でレミリアさんの悪魔の妹と呼ばれるフランさんの従者をやっているのですよ!?」

 

「!? それはマジか!?」

 

「聞いたことはあるけど、あの子の従者って相当骨が折れることじゃない?」

 

「……相当な実力者じゃないと、レミリアが妹を任すはずがないわね……」

 

「……他は?」

 

 少し真剣に、情報を集めることにした。

 

「他、ですか? 能力のことも教えていただいて【行動を妨害する程度の能力】と教えていただきましたけど……」

 

「やっぱり違うぜ。あいつ本人は【物質を見えなくする程度の能力】って言っていたぞ? 私も直接お前で言う海堂陸に会ったんだからな。私の時は海堂陸じゃなくて本宮樹ってあいつ言っていたぜ?」

 

 もっとも、他にも能力があるっぽいけどなと付け足す霧雨。

 

「あやや……? でも写真もバッチリ撮ってありますし。本人は乗せないでくれと言っていましたが──」

 

 そう言いながら、カメラのデータを見ようとした射命丸だが──

 

「──あややややっ!? カメラのフィルムがありません!?」

 

「あなたがカメラのフィルムが持っていない? そんな事ってあり得るの? ちなみに予備とかは?」

 

「ちょっと待っててください──あやーっ!? 予備やデータが満タンになったフィルムさえありません!? どういうことなんでしょう!?」

 

 マーガトロイドに問われ、持っていた小さな鞄から探してみるがないらしい。さっき自分を取ったのはフラッシュだけだったのかな?

 

「あんたの大事な物がないってどういうことよ? どこかにでも落としたの?」

 

「落とすはずがありませんよ! 鞄の中に入っていて、その鞄にも穴が開いていないんですよ!? しかも陸さんが写っていたはずのフィルムが全て無くなっているんです! カメラに直接入っていた物までもが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──多分、紅魔館の執事は情報を流したくないのかもしれないな」

 

 

 

 

 

 

 

 【俺】はそう考え着く。この射命丸文は新聞記者だ。博麗の言う大事な取材対象の写真はなくしたりしないのだろう。

 

 俺の急な発言にこの場にいるやつが振り向くが、俺は話を続ける。

 

「射命丸がおそらく今まで取材した内容は全部とは言えないが偽情報だ。おそらく執事は何らかの理由で本当の本人の情報が漏れるのが好ましくないんだろうな。そうなると俺達が考えていた情報も一部間違っている可能性がある。特には名前だな。名前は共通すらしてない。しかし、能力についてはまだ霧雨達の方が近いな。【物質情報を操る程度の能力】と仮定すればそのフィルムという物質を移動させたのかもしれない。射命丸。執事はカメラに手を触れたりかざしたりしたか?」

 

「……は、はい。言われてみれば貸してと言われたので手に触れたのではないかと」

 

「やっぱりか。手をやることが前提条件と仮定しての能力の発動。新聞記者の射命丸にとって執事はやっかいな相手だったんだろう。もしくはわざと何かのために偽情報を流したのかもしれない可能性があるな」

 

 俺はまた深く考え込む。何故偽情報を言う必要があるのか? もしかして誰かにそう言われているのか? そうなると──

 

「なぁ、侠……お前ってそんな饒舌な奴だったか?」

 

「何だ霧雨。そんなことを考えていないで情報を整理したらどうだ」

 

「わ、悪かったぜ……」

 

 霧雨にどうでも良いことを言ってきたので黙らせ、また考える。

 

「(……ねぇ、霊夢。侠の様子がおかしくない?)」

 

「(……それは私だって思うわよ! 普段ヘタレな奴が急に男らしくなっている状況なのよ!? 何か目付きも違うし──)」

 

「そこ、うるさい」

 

「「(地獄耳!?)」」

 

「あややや……侠さん、結局何が言いたいのでしょうか?」

 

 射命丸が聞いてくる。俺がまとめた情報だと──

 

「俺は誰かに情報を伝わるのが不都合で、霧雨と射命丸にほぼ偽情報を流させたのが目的だと思う」

 

「……何でそんなことをする必要があるんだぜ?」

 

「これは俺の直感だが──博麗の言う通り、異変がそろそろ起きると考えても良いかもしれない。その執事が起こす異変でな。紅魔館という場所にいる以上、いつかは存在がばれる。それをカモフラージュといったところだな。偽情報はいわば隠れ蓑の役割をしているんだろう」

 

 俺は考えを伝える。もしかしたら──まさかだと思うが──

 

「あぁ〜……久しぶりに考えたから疲れた。博麗、【自分】はちょっと縁側で横になっているね」

 

「え、えぇ……」

 

 途中で疲労感が来たので考えるのを止め、博麗の許可を得て縁側に移動。少し横になって休んだ──

 

 

 

 

 

 

 

「……何か変だったわね。侠……」

 

「ふだんゆっくりしている奴があんなに語るとは思わなかったぜ……」

 

「おまけに人称も【自分】から【俺】に変わっていたし……最終的には戻ったけど」

 

「……侠さんって普段どんな方なんですか? 私は今日会ったばかりだったのでいまいち性格が把握しづらいのですが?」

 

「融通の利く男版咲夜。家事を押しつけて文句言わずにやってくれるのよ。家事とか万能だし。それで泊めてもらっているだけじゃ悪いと言って寺子屋で働いて義理堅いわね」

 

「でもあいつ弾幕ごっこには乗り気じゃないんだよなぁ。運動神経は良い方なのにもったいないぜ」

 

「今日は家で留守番させているけど、何故か私の上海と意思疎通ができるのよね。どういう仕組みかは分からないけど」

 

「幻想郷では非戦闘的な人なんでしょうか……(それと何でしょう? この違和感)」

 

「(……侠が起きてきたら龍神のことについて聞いてみよ。もしかしたら侠の妖力はそれと関係があるかもしれないし……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁああ……寝てちゃってたみたい。よく寝れた」

 

 久しぶりに良く考えて頭が疲れてきたので気がついたら寝ていたみたいだ。

 

 部屋の方から良いにおいがする。今日の夕飯は博麗が作ってくれたみたいだ。もうすぐできあがるのだろう。今日話し合った三人はもういないみたい。

 

 博麗は自分に気づいたようで、話しかけてくる。

 

「起きたの? だったらもう食べなさい。準備はもうできてるから」

 

「あ、うん。ありがとう」

 

 博麗に促されていつも食べている居間へ移動する。今日は魚料理がメインみたいだ。

 

 号令を言って後、少し食べている途中で博麗が話しかけてくる。

 

「侠の話で気になったんだけど……文の言う通り【辰上】を変換して【龍神】になるけど、侠の祖先とかって龍と何か関係あるの? 能力も聞いたところ龍にしかなれないらしいけど」

 

 ──博麗が自分の家系事情のことについて聞き始めた。

 

 …………。

 

「……【義父さん】からは辰上家は龍に関係している子孫だと聞いているよ。家系流体術を習っていたんだけどそれは龍の力を示すための敬意とするために考案されたものらしい」

 

「へぇ、そうなの……(そうなると……龍が忘れられていない頃。血は薄くなったにもかかわらずその妖力が残っているって事かしら……案外単純なことだったわね)」

 

 さて、誤解しているようだけどちゃんと伝えよう。

 

「でも、それは自分には関係ないことなんだよね──」

 

「? それってどういう──」

 

 

 

 

 

「──自分って拾われた子供だから、辰上家と全く関係が無いんだよ」

 

 

 

 

 

 はっきりと自分は告げた。

 

「──! それって──」

 

「そう。自分は養子なんだよ。どこの子供さえ分からない、元々は身元不明だった子供。分家の義父さんが拾ってくれたらしいんだ。本家には色々嫌なことを言われたけど、義父さん達の家族には感謝している」

 

「……ごめんなさい。そんなことを聞いちゃって……」

 

 このことを聞いた博麗が申し訳ないような表情で謝ってくる。

 

「いや、別に博麗が謝らなくても良いことだから。気にしていないと言ったら嘘になるけど、気にしてもしょうが無いしね。今を精一杯生きるだけだから」

 

 食べ終わったので、食器を片付け始める。

 

「夕飯、おいしかったよ。自分は風呂を焚き始めるから、何かようがあるときはそこにいるから呼んでね」

 

 食器を水につけた後、自分は風呂焚き場へと向かった……。

 

 

 

「聞けば聞くほど訳が分からない……何も侠の情報が無いと一緒じゃない。そして、夕方のあの態度……侠の妖力……紫や萃香に感じる違和感……一体、侠は何なの……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そして次の日。異変は起こった。まさかその異変を起こした張本人が自分のよく知る人物とは、予想が付いていたのに関わらず対立することになる。

 

 

 

 そう……辰上侠が、異変解決者として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 表・第三章終了。次回からは裏物語。
 さてとと……表主人公はいろいろあるんです。本当に。
 後ろで書きましたが、裏・第三章が終わったら本格的に共通の話になります。共通の話を投稿するころは学校が始まるので週1か良くて週2、リアルスケジュールが忙しくならない限り投稿を続けます。諸事情で投稿が全くないときは活動報告を覗いてみてください。おそらくそこに詳細が書いてあると思います。遅くなった場合はすみません。
 ではまた。
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