では本編どうぞ。
一先ずは一枚目のスペルカードは攻略できた。それに対して静雅はポケットから新たなスペルカードを取り出し始める。
「だが……次はどうかな──乱符【迷える旅人】!」
静雅は次のスペルを宣言。そう宣言した瞬間静雅は──どこにもいなくなっている。そして何より──
【さぁ? オレはどこにいるでしょう?】
いたる方向から静雅の声が聞こえてくる。これは幻覚系スペル!?
「──っ!」
突然背後に何やら気配を感じたので転がり避けた。多分アレは……弾幕!
【おっと、まさか避けられてしまったか。目と耳は封じたんだが……】
「……どこにいるんだ?」
【それを教えたらこのスペルの意味が無いじゃん。ま、さっさと攻撃が当たれば見えるのは確かだな】
次々の迫ってくる弾幕。何とか直感で来る方向を分析して紙一重で躱す。厄介なスペルをやってきたもんだ……。
【……いや、そろそろ当たってくれよ? 何で避けられるんだ?】
「目と耳で感じ取れないなら肌で感じるしかないだろう? 紙一重で受ければ方向が分かるから躱せる」
【相変わらず不可能なことを可能にしているからな? 紙一重で躱すとか】
「人間、やろうと思えば何でも出来る」
『【自称人間が一体何を言っているのよ……】』
レミリアが何か言っていることは気にしない……弾幕をしていない人の位置も耳で把握することが出来ないのか。
となると……静雅の言葉を信じてみるか。
あえて俺は弱い威力の弾幕を──俺自身に当てた。
「くっ……」
『【ちょっ!? 侠!?】』
【……やべ、本当にやられた】
俺の行動に博麗の声が聞こえたが、同時に静雅の焦りの声を聞こえてきた。
しかし、弾幕を俺自身に当てたおかげで──視界と聴力が戻ってきた。
そして、すぐさま静雅の所に走って行き、弾幕を放つ。
「くそっ! まさか信じるとは──」
「喋っている暇はない! 辰上流【爆突】!」
「おぉ──がふっ!?」
走っている速さを上げ、静雅に急接近して家系流体術を放った。義父さん曰く、【一撃の威力、火竜の如し】。腰のひねりを加え、遠心力を追加した全力の拳を静雅の鳩尾に喰らわせ、静雅は五メートルほど転がった。
……視界と聴力に何ともないのはスペルブレイクだろうか。
『静雅っ!?』
「おう……大丈夫だ咲夜……急所に攻撃が当たったが、オレはまだ戦える!」
少しよろめきながら立ち上がった静雅……その様子を見て、少し俺は笑った。
「ははは……ここに来ても俺達は変わらないな」
「あぁ……全くだ。いつもオレは奇襲攻撃をするも、いつも攻略されたけな。やっぱりお前さん相手だと正方向で戦った方が良さそうだな。頭の良さだったらいつも侠に負けている」
「なじみが深いからな俺達は。静雅の考えていることが手に取るように分かる」
「全く。オレはお前さんに頭が上がらん。だが、オレとて負けるつもりはない」
そして、静雅は三枚目のスペルを宣言した。
「槍符【天からの五月雨】!」
そう宣言すると静雅の周囲に槍の形をした弾幕が出てきて、それを天井に向かって放つ。すると……反射したように天井からあまたの槍が雨のように降ってくる!
「む……弾幕がでかいうえに数も多い」
「さぁ! どうやって避ける!?」
一先ずは単純に躱す。これだけなら問題ない。
……これだけならな。
「さて、もう一発!」
また天井に放ち、反射させて雨のように弾幕が雨のように襲いかかってくる。
これならまた躱せる──
「──ぐっ!?」
「よし、引っかかった! 油断したな!」
躱したと思ったら、今度は床に当たった瞬間──反射してきた!? 二回の反射の槍の弾幕が俺の体に被弾する。
「反射スペルなのか……!?」
「もういっちょ!」
「またか!? 今度は引っかからない──」
また槍の弾幕が天井から放たれてきたので今度は床の反射攻撃に注意する。注意してみれば問題は──
『侠っ! 後ろ!』
「!? 後ろ──かはっ!?」
博麗の声が聞こえたが、振り向くのが遅かった。背中に被弾する。
まさか……。
「反射する回数を操れるスペル……!?」
「おう。その通りだ。一回目でただの弾幕に見せて二回目は正面から反射を見せる。そして死角となった背中に向けての攻撃だ。中々トリッキーだと思わないか?」
「やってくれる……! 雨を反射させるな!」
「名前で思い込ませることもオレは重要だと考える」
正面からの攻撃とすり込まれたのを利用して死角からの反射攻撃……中々手強いスペルだ。
俺もスペルカードを宣言しておく必要がありそうだな。
「防符【リフレクション】!」
赤いぼやけを纏い、弾幕を防ぎながら静雅の場所まで突っ込む。
「……試しに──よっとっ!」
静雅は反射する槍の弾幕を放ってくるが、当然跳ね返る。しかし、予想は出来ていたみたいで、弾幕をぶつけて相殺。
「名前からいってそういうスペルか……」
「当然っ!」
こちらも弾幕を放ち近づこうとするが、静雅は距離を取って遠距離攻撃をするばかり。やっぱり近づいてくれないか。
そうこうしているうちに、俺のスペルカードがスペルブレイクした後、続くように静雅のスペルもブレイクした。
「? 何だ? やけにそのスペル効果が切れるのはやいな?」
「そういうスペルなんだ。短時間で決着を付けたかったが……無理だったみたいだ」
「そりゃあ、近づいたら肉弾戦で押されるだろ。こっちは遠距離攻撃なんだからさ。ま……続いて宣言するか──槍符【度重なる連撃】!」
四枚目のスペルを宣言した瞬間、静雅の手から槍の弾幕が生成し、こちらに投げてくる。オレは普通にちょん避けをしようとしたが──
「っ!? 重なってる!?」
躱そうとして横から弾幕を見たら──弾幕の後ろに死角で、弾幕が続いている。しかも俺がずれるのを感知しているのか、重なっていた弾幕がずれてこちらに向かっている。ずれると後の弾幕が標準を合わせるスペルか!
俺はすかさずスペルを宣言。
「武符【リトルセイバー】!」
剣でさばき、攻撃を受け流す。そして俺は剣に弾幕を込めて──静雅の方へ飛ばした。
「おまっ!? 衝撃波飛ばすな──がふっ!」
「攻撃するとさばききれな──くふっ」
静雅は油断したせいか攻撃が当たり、倒れ込む。だが……さばききれなかった弾幕が俺に当たり、静雅と同じように倒れ込む。
『侠っ!』
『静雅っ!』
倒れ込んだのを見てか、博麗とメイドの声が聞こえてくる。
……ここで倒れるわけにはいかないな。
──自分はよろめきながらも立つ。だけど、静雅も同時に立ち上がる。
「静雅……まだ立つのかい? こっちは連戦のダメージもあるし、この異変を終わらせたいんだけど?」
「異変の発案者であるオレが倒れるわけにはいかないだろ……侠、『いつも』に戻っているぞ?」
「よくよく考えたら静雅だったら『こっち』でも良いと思って。君ならこっちの本気も『さっき』とは同じだし。静雅限定だけど」
「お前さんでもやっぱり慣れない場所での連戦はきついか……なら、このスペルでもう終わりにしよう──」
そう言って静雅は最後のスペルを宣言。
「禁制【天上天下唯我独尊──ショット】!」
静雅が宣言した瞬間──何かの違和感が広がった。
この何かについて分析をしていると、静雅は話しかけてくる。
「このスペルはあることを禁止にして使えなくするスペル。この最後の弾幕ごっこのみオレとお前さんは、弾幕を放つことが出来ない」
「……それで決着を付けるの?」
「……結果的に、外界でいつもやっていた【組み手】の武器になるけどな。お前さんは剣、オレは槍。そういうことだ」
静雅は背中に背負っているケースから槍を取り出してケースをそこらに投げた後、構えてくる。
同時に自分もリトルセイバーで構え直す。
「侠……行くぞ!」
「うん!」
お互いに接近して得物で相手を攻撃。その際に得物で防御したりすると火花が飛び散る。実際には斬る必要はない。勝利条件は【敗北を認めさせる】ことなのだから。
「静雅には悪いけど、この異変は終わらせる!」
「オレはお前さんに勝ってこの異変を達成させる!」
互いの思いを言い合いながら攻防を続ける。お互いの得物がぶつかり合い、弾いては弾かれ、押されるときは押され、また押し返す。時折空いている手での攻撃をしようとするが躱され、逆に回し蹴りをしてきた静雅の攻撃を受け流したり。お互いの武器を重ね合わせながらお互いの顔色を伺う。
静雅はここの吸血鬼のためにこの異変を起こしたのかも知れない。
……だけど。自分はこの異変を解決して欲しいと頼まれている。
何より──博麗に言われたんだ。『負けることは許されない』と。自分はその事に答えなくちゃいけないんだ!
そして自分達は同時に離れ――走りながらお互いの得物を振るいながら再び接近!
「ゼァッ──!」
「ハァッ──!」
お互いに移動してガキンッと得物がぶつかり合った音を立てて、一本の得物が宙を舞う。そのまま得物は床に突き刺さる。
そして、得物を持った人物が得物を敗者に向けてこう言い放った。
「──静雅、君の負けだ」
──得物をはじかれて呆然とした静雅だったが、それに答えるように、呆れるようにこう返事した。
「──全く……侠には敵わねぇなぁ……」
両手を左右に挙げて『やれやれ』と伝わってくる仕草をした。
何とか……自分は異変の首謀者、親友の本堂静雅に勝利することが出来た……。
『──えっ……? 静雅が……負けちゃった……?』
Stage6終了。表主人公が勝利して異変が終わり──何て事は無い。もう少し続きます。
一先ず表主人公のスペルと裏主人公のスペル詳細は第四章、特別番外編が終わったら載せる予定。
ではまた。