三人称視点です。
では本編どうぞ。
異変の首謀者が倒された。幻想郷の異変解決者を代表する【霧雨魔理沙】が敵わなかった相手。【博麗霊夢】が苦戦した相手。その相手を外来人、辰上侠が勝ったのだ。
異変解決者側は辰上侠の元に駆け寄り、紅魔館側は本堂静雅の元に駆け寄る。
「侠! 大丈夫!?」
「ん、博麗……少し疲れた」
「……まさか外来人の侠が異変を解決するとは思わなかったぜ……」
「相手の相性が良かっただけだから。能力を使われていたら危なかったかもしれない」
霊夢と魔理沙は侠に話しかけ。
「悪い、皆……負けちまった」
「……負けてしまったものはしょうが無いわ。まさか能力を使わないとは驚いたけど」
「確かに能力を使えば勝てたかもしれないが……侠に能力を使ってでも勝ちたくはなかった。実力だけで勝てなくちゃ意味が無い。オレにとって侠は目標でもあるんだ。明らかなズルを使って勝っても虚しいだけだからな……」
「逆にお前にプライドがあると安心したわよ。いつもへらへらしているくせに……だけど、誇りを持って全力で戦ったのは良かったわよ」
「お嬢様……」
そして親友であるパチュリーの疑問に答えた静雅の後、いつの間にか咲夜のおんぶから降りて静雅に賞賛を送るレミリア。
そして、魔理沙が紅魔館組の異変首謀者である静雅に話しかける。
「さぁ……侠によってそいつは退治されたんだ。静雅って言ったけか? この異変を収めてもらうぜ」
「それはお前さんではなく侠が言うことだろうよ……お前さんはオレに負けているんだし」
「う、うるさいぜ!? 私だって能力を使われていなければ勝てた可能性もあるぜ!」
「ないな」
「よし、能力無しの弾幕ごっこだ。表へ出ろ」
「オレは表に出たくありまちぇーん」
「……マスパをゼロ距離で当ててやろうかっ?」
「静雅、その辺にしておきなさい。おちょくっても良いことはないわよ?」
二人の口げんかにパチュリーは仲裁する。
「へいへい……」
「それでさ、静雅。自分が君に勝ったんだからこの異変は終わらしてくれるんだよね?」
「まぁ、約束だしな。早速この異変を──」
異変解決者になった侠に言われ、静雅が歩き出そうとしたその時──
『──えっ……? 静雅が……負けちゃった……?』
ロビーの奥から声が聞こえてくる。ロビーにいる人物達は声の主がいる方向へ体を傾ける。
そこにいたのは赤い洋服が多く、帽子を被って左側にサイドテール、背中から順番に七色の宝石のような羽根が生えている少女。
「──女の子? 他にもいたんだ……」
侠はその少女を観察する。
「(……なんとなくレミリアに似ている。妹なのかな?)」
「フラン嬢……見てたのか」
侠の考察をよそに、静雅はその少女の元に歩み寄っていく。
侠は目の前の少女について霊夢に聞くことに。
「博麗……あの子は?」
「……フランドール・スカーレット。そこにいるレミリアの妹よ」
「ふーん……」
「……まずいかもしれないわね……」
レミリアは妹の今の心境を見てそう呟く。
──まるで、これから何かが起きるように。
フランドールの目の前に来た静雅は片膝をついて目線を合わせ話しかける。
「フラン嬢……どうしてここに?」
「……どうしてじゃないよ……静雅が遊んでいたのをずっと見てたんだよ?」
「……そうかい」
「魔理沙と遊んでいて静雅が勝って……ようやく霊夢が来て静雅が勝ちそうだったのに……あの人間は何なの?」
「あの人間はな、オレの親友なんだ。その親友がこの【幻想日食異変】を解決しに来たんだ」
「どうしてっ!? それってお姉様とパチュリーみたいな奴なんでしょ!? 何で!? お友達って助け合うものじゃないの!?」
静雅の言葉にフランドールは涙をこぼしながら言い詰める。彼女の言いたいことは、『親友なら異変に協力してくれるんじゃないの』ということ。
それでも静雅はやさしく諭すように話しかける。
「それももちろんある。だけどな、親友ってのは『間違いを正す』ことをしてくれるんだ。この異変は紅魔館組にとっては正しい。でも、世間──紅魔館組以外の人物から見ると間違っていることなんだ。オレの親友はその代表として間違いを正そうとしたんだ。弾幕ごっこのルールでもあるだろ? 敗者は勝者の言い分を聞き入れるって」
「…………」
「結果、オレが負けてしまったことによりこの異変は『間違い』とされた。勝者である侠の意思によって」
「……だったら──」
フランドールは涙を拭き取り、侠の目の前に立ちながら静雅に話しかけた。
「──私が勝ったら『正しい』って事になるんだよねっ!」
「ちょっとっ!? フラン、この弾幕ごっこは侠の勝ちという結果に終わったわ! そこの侠の親友を承諾している! これは──」
「博麗、ストップ」
フランドールの言葉に霊夢は説得を試みるが、侠に話を止められた。そのまま侠は言葉を繋げる。
「説得なんて多分聞き入れてくれないよ。この子は完全に自分を倒して異変を達成させようとしている。それと合わせて静雅の敵討ちで」
「でも、侠はさっき戦ったばかりよ!? それにここに来るまであんた、紅魔館住民と戦ったんでしょっ!? 見た感じもう疲れが出てるし……」
「……気遣いはありがたいけどね。けど、それじゃこの子は納得しない。この子と戦って勝敗を決めるまで納得しなそうだ」
侠の言葉に反応して魔理沙は前に出る。
「じゃあ私に任せろ! 一応私はフランに勝ったことがある──」
「君……話聞いてた? 霧雨が戦っても問題は解決しない。これは静雅を倒した自分と弾幕ごっこをしなければ納得しないよ」
「…………」
魔理沙は黙った。自分はその条件を満たしていない。
「(……私は侠に手加減されていたのか? 能力を使う使わないはともかく、連戦をして紅魔館に来た。今まで通りのことを思い返すならあり得ないと思っていたぜ。弾幕ごっこをしたがらない、戦いたくない……それは私の心の中で侠は弱いと思っていた。だから特別ルールの弾幕ごっこをして、それでも侠は負けた。だけどその弱いと思っていた侠が私が出来なかった異変解決をした。私が倒せなかった奴を倒したんだ。それで──実力ならトップクラスのフランと弾幕ごっこをしようとしている……。私はレミリア達が起こした異変の数日後にフランと弾幕ごっこをした。でも、侠は疲弊しながら、不利な状況下で戦おうとしている。侠は一体何者何だぜ……?)」
魔理沙は辰上侠の人物像がつかめない。優しいが押しの弱い人物像。厳しく現実主義者。そして静雅と弾幕ごっこで一度見せた態度。辰上侠という人物像がバラバラになり混乱していた。
そんな魔理沙の状態にお構いなく侠はフランドールの前に立ち、話しかける。
「それで……フランドールで良いんだっけ? 出来れば自分的には弾幕ごっこはもうやりたくないんだけど──」
「嫌だ! この異変は私達のために静雅はしてくれたんだもん! ──アナタナンテコワレチャ──」
「フラン嬢っ!」
フランが狂気にのまれそうになったとき──静雅の大きな声がロビー中に広がり、侠以外の人物はびくついて一斉に静雅の方へ振り向く。フランドールも我に返って静雅の方へ振り向く。
「──フラン嬢。侠は絶対に壊すな。殺すな。致命傷になり得る攻撃はするな」
「……どうして? 静雅は私達とそこの人間とどっちが大切──」
「侠に決まっている」
「──っ!?」
間髪に入れず答えた静雅。すぐに返答した静雅に対してフランドールは困惑する。
「そこにいる人間、辰上侠は無二の親友だ。誰が好きこのんで殺されなくちゃいけない? 過ごした時間は侠の方がずっと長いんだ。それだったらオレは迷わず侠の味方になる」
「し、静雅……」
「だが……フラン嬢がこの異変を達成させたい気持ちはよく分かる。だがな──オレから見て決着が着きそうだったらすぐに止めてやる。フラン嬢が侠のことを壊さないようにな。だから──紅魔館のために侠を倒してこい!」
「──! う、うんっ!」
「はぁ……そこは戦わないようにしてくれるんじゃないの……?」
侠は呆れたようにため息をつきながら静雅に話しかける。
「悪いがオレはフラン嬢の従者でもあるんでね。主のワガママを聞き入れるのも仕事さ」
そう言いながら静雅は侠の肩に手を乗せて声を小さくして話しかけ、耳打ちを。
「……フラン嬢は力だけなら紅魔館のトップだ。気をつけろ」
「……わかった」
静雅は周りの人を呼び集めて、被害が及ばない場所に促す。そして侠とフランドールは対峙する。
「さて──俺はお前に勝って今度こそ異変を解決させる!」
「静雅のお友達でも私は負けないもんっ!」
そうして、フランドールから弾幕が放たれた──
はーい、作者段々疲れがマッハです。テストなんて爆ぜれば良いのに。
萃夢想関連では六面終了が普通なんですが……まさかのExStageだよ!? どんだけこの章の話数が増えれば気が済むんだ……? それでも最低限の更新は特別なことが無い限りちゃんと続けます。
ではまた。