最初は表主人公視点。
では本編どうぞ。
静雅が紅さんを見捨て、能力で図書館に移動。目の前に本棚の風景が広がっているけど……。
「ねぇ、静雅……紅さん……良かったの?」
「……美鈴は犠牲となったのだ……」
「確かに自業自得かも知れないけど……」
「侠。気にすることは無いわよ。いつものことだから」
「そうだぜ。いつものことだ」
いつもの事ですまされる紅さんって一体……?
『あら? 遅かったわね──って何であなた達もいるのよ……?』
自分達に感応して声をかけてくれたのはノーレッジだった。図書館の管理をしているんだっけ。
ノーレッジの問いかけに博麗がまず答えた。
「巫女の勘でここに来たのよ」
「……勘を働かせてここに来るものかしら……? 魔理沙はおそらく──いいえ、大丈夫でしょうね。静雅が何とかしてくれるもの」
「なぁパチュリー……静雅って一体何者何だ?」
「それについては辰上侠がよく知っているんじゃなくて?」
ノーレッジは雑談するものの、会話が振られる。
「静雅っていってもねぇ……面白いことが大好きぐらいしか」
「十分だ、侠」
「十分って……それよりノーレッジ、君の机に座っているのは……」
ずっとさっきから気になっていた。ちょこんと置物のように座っている生物。それは──
「ナ?」
──五徳なのだから。本人は何ともないようにゆっくりしている。
自分が指摘して他の人達は五徳に注目する。
「何で侠の家で飼っていた五徳がいるんだろうな? オレも見た時はビックリしたぞ」
「ナ〜」
「……何それ? 一種の妖怪?」
「妖怪じゃ無いよ博麗。五徳は普通の猫だし、一応自分の式神みたいなもの」
「……猫? こいつ猫なのか? 頭に何か乗せているし……」
「それが五徳という生き物なんだよ霧雨。そういえばずっと図書館にいさせたんだっけ……」
博麗達に説明した後、ノーレッジが五徳について説明してくれる。
「あなたが帰った後でもこの五徳という生物は寝てばかりか、食べてばかりでいてね……どんな生物か調べようと魔法をかけても抵抗とか全然しないし……でも直接触ろうとすると転がって逃げるのよね」
「五徳って自分以外基本懐かないからねぇ……とりあえず五徳については博麗神社に帰った後呼び出すからそういうことで良い?」
「……連れて帰ろうも結構重いわよねこれ……一体何を食べたらこんな体が大きくなるんだか……」
ノーレッジはそう言っていると、五徳が何かを訴えようと鳴いている。
「ナッナッ」
「……あぁ、そういえばこぁさんにお礼を言わなくちゃ。ノーレッジ、こぁさんはどこにいる?」
「いや、何でその猫の言うことが分かるのよ?」
「う〜ん……何となく?」
「何となくで動物と会話されてたまるかだぜ……」
霧雨に突っ込みを入れられたが気にしないでおこう。
ノーレッジは考えた後……何やら笑みを浮かべてこう言った。
「そうね。こぁと色々お話がしたいのならその猫について行きなさい。その猫、こぁに懐いているようだから場所は分かると思うから」
「ゑ? そうなの? それは珍しい……本当五徳?」
「ニャッ」
「そうなんだ……じゃあ転がっていく五徳に着いていこう」
転がり始めた五徳に自分は着いていった……。
〜side 静雅〜
「……パッチェさん、計画1段階目は達成しやしたね……」
「……したかもしれないけど、そのうさんくさい言い方は止めなさい」
ふざけた口調で言ったら叱られてしまった。
オレの言葉に霊夢が反応する。
「……侠が使い魔に会うのが計画ってどういうことかしら……?」
……何故か分からないが、霊夢が不機嫌になっているな……フラグを既に立てていたのか?
「小悪魔曰く、異変前にオレが侠の事を話したら興味を持ったみたいでな。小悪魔も異変が終わった後は仲良くしてくれるみたいなことを約束していたみたいだ」
「じゃあちょっと侠の事をしばいてくるわ」
「そこはおかしくないか霊夢!? どこにしばく要素があったんだぜ!?」
魔理沙は霊夢のことを引き留める。しばく脈絡を感じられないんだが……?
「異変の真っ最中だったていうのになに仲良くしてんのよ! 私達が先に戦っている間!」
「そんなことを言われてもなぁ……今の侠は非戦闘的だから話が通じ合える小悪魔とは相性が良かっただけだろうよ。それぐらいでしばくな」
「……仕方ないわね」
納得がいかなそうだが、近くにある席に座る霊夢。今のひとときを邪魔させるわけにはいかないからな……。
魔理沙も近くの席に座り、オレに【あること】話しかけてくる。
「『今』の侠ってさっき言ったよな? それはアレか? 侠が男らしい口調になったりするのと関係があるのか?」
……侠の『素』についてか。
「それも関係あったりはする。ある時をきっかけに出来た口調が『今』のであり、元々の口調が『アレ』なんだ。『今』は非戦闘的で誰にでも基本優しい。『アレ』については元々の侠の性格でもある。現実主義で場合によって人の扱い方が全然違うんだ」
ざっと説明をすると、パチュリーから疑問を投げかけられる。
「じゃあ何で元々の性格じゃなくて『今』の口調で普段過ごしているのかしら?それは何か普段から理由でもあるの?」
「理由は単純明快だ。勉学は除くが本気のセーブという役割がある」
「……それって手を抜いていること?」
「ニュアンス的にはそういうことだ」
「じゃあ侠は今までの弾幕ごっこは手を抜いていたと言うことなのか!?」
パチュリーの疑問に答えていくと、すこし怒気のこもった声で魔理沙が聞いてくる。
「弾幕ごっこで手を抜いていたかどうかはオレには分からない。だが、手を抜く理由は元の世界からあるんだ」
「外界……ってことね……」
「話して良い範囲まで話すが、侠は
オレも空いている椅子に座り、話を続ける。
「だが……本家が侠の事を嫌っている。本家は龍に関係している子孫だという言い伝えがあるんだ。そこに身元不明の侠が『辰上』を入るのを嫌っていた。なるべくは
「……嫌う理由?」
「……侠は本家の同年代の子供たちよりも抜群に才能に溢れていた。一種の天才なんだ」
「天才……!?」
大まかな理由を話すと魔理沙がビックリしたようにした後、少しだけだったが霊夢の方をちらりと見た。
……そういえば侠とは違うタイプの天才だっけか?
「本家から見てもこれは由々しき事態だった。本家と分家を決める境界線というのは子供の才能だ。どんな大学──まぁ良い成績を修めたら分家と本家を入れ替えることが出来るんだ。そして侠は分家の枠組み。身元不明の侠は本家にとって脅威な存在だったんだ。中には陰湿なことを侠はされたんだ」
オレは足を組み直して話を続ける。
「それである時をきっかけに侠は一度変わって──それからだ。自分を受け入れてくれた分家のために、学力は除いて適度に手を抜いて、少しだけ本家の子供たちの成績、運動神経とか花を持たせるようになったんだ。手を抜いていることは本家の奴は気づかずな。それで出来た一つが、『今』の侠。当たり障り無いことをして余り人の上に立とうとしない、優しい性格だ」
当たり障りの無いことをする……それは他人に心を開かないことも含めている。裏切られることが最も侠が嫌いなこと。だからオレは絶対侠の事を裏切らない。『アッチ』にさせないためにも。
そして……その姿の侠を二度とさせたくないんだ。
何か空気が重くなってしまったので、オレは軽々しくこう言う。
「ま、要するに『俺は強いから手を抜いてやンよ』みたいなことだ」
「台無しじゃない、その言葉……」
パチュリーからジト目の視線を向けられるも、気にしない。
「ねぇ、静雅……侠は基本外界でどんなことを過ごしていたの?」
霊夢が侠の事について聞いてきた。
「何だ? 侠の事を知っておきたいのか?」
「……少しね」
「まぁ、追々気分で話してやるが……一つだけ守ってもらいたいことがある。魔理沙もパチュリーも、この場でオレの話を聞いている奴は」
「? 何だぜ?」
「……話してみなさい」
オレは胸に思っていたことを三人に伝える。
「お前さん達が侠とどう接しようと全然構わない。だが、プラスとして接していくなら──侠を裏切るな。これだけは約束して欲しい」
「……わかったわ」
霊夢は声を出して返事をして、二人は頷いてくれた。少なくともこの三人は裏切るようなことはしないだろう。
「でも……外界の人間として過ごした侠が何故妖力を持っているのかはどうなの?」
霊夢は侠の力の根源である妖力について尋ねてきた。
……ぶっちゃけて言うと、親伝いでその正体は大体分かっているが、侠にまだ話していないので話すことは出来ない。
「今は何とも言えないな。まぁ、そのうちわかるんじゃないか──それより、侠達は今どうしている?」
話を適当に切り上げ、パチュリーに話を振る。
「ん。ちょっと待ってなさい……」
パチュリーは机の中から水晶を取りだした。魔法を念じると……水晶に風景が映し出される。そこに映し出されていたのは──
『侠さんっていつもどんな本を読んでいらっしゃるんですか?』
『基本的には乱読。でも、こういう魔術概論を読んでみると結構面白いよね。こぁさんは魔法とか使えるの?』
『はい。パチュリー様には及びませんけど、それなりには使えますよ?』
『自分も魔力があったら魔法を使ってみたいんだけどなぁ……』
『侠さんが魔法を極めるとしたら……どんな魔法を極めたいですか?』
『う〜ん……回復系の魔法は便利だよね。状態異常を治す魔法とか。静雅とかなら間違いなく呪術師とかだからね。だったら自分はその逆だと思う』
『所謂僧侶ですか……何か侠さんだとしっくりきますね』
『こぁさんも僧侶は向いていると思うけど? 悪魔の種族にしては優しい雰囲気とか出てるし。本当は元天使だったりしないの?』
『いえいえ!? そんなことはないですよ!?』
『何かこぁさんが元天使といっても何らかの違和感は無いと思うけどな〜。ねぇ。五徳?』
『ナっ!』
『五徳も同意だって』
『……ふふふ。侠さんったら……♪』
「何か……微笑ましいな……」
「えぇ……微笑ましいわね……」
「……何か背中が少しかゆいぜ?」
軽く恋愛A◯フィールドが張られている。二人だけ(+α)の世界に感じられているんだが……小悪魔が幸せそうだから良いとするか。
……だが、黒い空気を出している人物が一人いた。
「……何かイライラしてきたからあの使い魔しばきに行ってくるわ……」
「何でお前はしばきに行こうとするんだぜ!?」
いつの間にかフラグが立ちかけている霊夢が侠達の所へ移動しようとするが、パチュリーが先回りをして霊夢を止めた。
「こぁの方へは行かせないわ」
「何? 邪魔する気?」
「使い魔の幸せは私の幸せでもあるの。邪魔はさせないわ」
「へぇ……良い度胸ね……!」
二人はいかにも弾幕ごっこをしそうな雰囲気だったが──
『(しゅば)侠様、お嬢様は起床したのでお呼びです』
「咲夜。ナイスタイミング!」
「え? あ、そう……」
ちょうど良いときに咲夜が現れた! これで勝つる!
「……休戦ね」
「……仕方ないわね」
二人は取り出していたスペルカードをしまう。
オレは呼ばれていた侠のために、能力を使い移動。二人の所へ来た。
「侠。レミリア嬢がお呼びだ」
「あ、起きたんだ。じゃあこぁさん。また」
「はい! お気を付けて!」
侠は小悪魔に挨拶をした後、本を持ちながらオレの肩に手を乗せてきたので、咲夜の所へ移動。
「咲夜。連れてきたぞ」
「ありがとう……では、失礼します」
「あぁ、静雅みたいに移動するのか……あ、でもちょっと待って。本を置いてからにして」
侠は本をパチュリーの机に置いた後、咲夜は侠の体に触れるといなくなった。おそらくロビーかレミリア嬢の部屋だろう。
「さて、オレもどんな話しか気になるから行こうかな」
オレは移動しようと能力を発動しようとしたが、ある二人に服の裾を捕まれる。
「巫女の勘がいっているわ。私も連れて行きなさい」
「私もレミリアがどんな話しをするか気になるぜ☆」
「……まぁ、いいけどよ」
オレ達は時間を少しおいてから移動することにした……。
「……魔術概論を読んでいたみたいだけど──って、これって
表主人公の本格的情報。しかも裏主人公は妖力の根源の見当がついているという。そして魔導書も読める……謎が増えていく……。
ではまた。