幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 実は侠は静雅のことを神様だとはまだ知らない。
 表主人公視点です。
 では本編どうぞ。


四話 『紅魔館の主、約束』

「ここでお嬢様がお待ちです。失礼の無いよう、お願いします」

 

 連れてこられた場所は個室だった。自室で話すのかな?

 

 ……そういえば、このメイドさんの詳しいことは知らないような気がする。

 

「ねぇ、君とはまだ自己紹介していなかったような気がするからするけど……自分は辰上侠。君は?」

 

「……メイド長の十六夜咲夜よ」

 

「そ、ありがと」

 

 簡単な自己紹介を終えると十六夜はどこかに消えた。さて、自分は入るか。

 

 ノックをして声をかける。

 

「十六夜に連れてこられた辰上侠だけど、入っていいかな?」

 

『……入りなさい』

 

 了承を得たので部屋に入る。レミリアは机に置いてあるティーセットで紅茶らしきものを椅子に座って飲んでいた。

 

 自分の見てレミリアは一言。

 

「……昨日と全然服装が違うわね。人里の人間みたいな服装」

 

「こっちの方が楽ってのもあるけどね」

 

 ……ちなみにだけど、今は作務衣で、こぁさんからブレザーは返してもらったので持つのはめんどくさいから肩に羽織ってたりする。

 

「まぁ、いいわ。腰を下ろしなさい」

 

「ん」

 

 レミリアと対面する形で椅子に座る。それで、レミリアは話しかけてきた。

 

「本題に入るわ。あなた……ここで働かない?」

 

「……ずいぶんと急だね? 何で?」

 

「異変が終わった後、静雅からお前のことを聞いたわ。外界での自称人間の生活模様を」

 

 ……何時になったら自称人間と呼ばれなくなるんだろうか?

 

「具体的にここで働いて欲しい理由は?」

 

「咲夜と同じ家事万能。これは静雅から聞いたわ。そして幻想郷での適応力が高い。弾幕ごっこをそんなにもやっていないのにも関わらず、強い部類に入る。そして──並みじゃない量の妖力を持っている。この三点かしら」

 

「……最初はともかく、残り二つは余り関係ないんじゃ──」

 

「実力者だからこそ、紅魔館で受け入れて良いと言っているの」

 

「それは買いかぶりすぎだよ。自分はまだ新参者だし、まだまだ弱い」

 

「あのスキマ妖怪が霊夢達より優先で異変解決をしろと言ってきたのでしょ? 相当な実力を持っていないとあいつはそんなこと頼まないわよ」

 

 ……見た目より結構言葉が出ているみたいだ。

 

「そんなことを言ってもねぇ……自分は博麗神社を拠点としているし、寺子屋で働いているし──」

 

「なら住み込みで働けばいい」

 

 パンが無ければケーキを食べればいいニュアンスで返してきた……。

 

「何でそこまで自分に構うの? 結構妖精のメイドがいるみたいだし、他にも十六夜や静雅がいれば十分──」

 

 そこまで自分で言って、察しが付く。

 

「──もしかして……静雅のため? 外界の唯一の友人である自分をここに置くため?」

 

「……察しが良くて助かるわ」

 

 そう同意をした後、レミリアは紅茶を飲み直す。

 

 そして口をカップから離して紅茶の水面を見ながら理由を言った。

 

「……静雅には感謝はしているの。あいつが偶然にこの紅魔館に来たからけど……フランの心の問題を解決させてくれた。私が何百年もかけた問題を数日近くで解決したの。私達の姉妹の問題を解決してくれたことは感謝しているのよ」

 

 ……静雅は人の悩みを親身に答えてくれるから納得する話だ。

 

「だからこそ、少しは静雅本人に何かしてあげられないかと思ってね。お前がここにいれば、心の内は少し満たすと思ったわけ。お前も親友がここにいるのなら居づらいというワケではないでしょう? だからどうかしら?」

 

 まぁ……言いたいことは分かる。それは自分にも得をする話だ。

 

 ……だけど。

 

「そういう申し出はありがたいけど……自分じゃなくて博麗が良いって言ったら良いよ。紫さんも何らかの意味があって自分を博麗神社に送ったのだろうし……ちょうど博麗もいることだし聞いてみるよ」

 

「……そう。なら無理強いはしないわ。けど……良い返事を待っているわ」

 

「ん。また来る」

 

 軽く会釈をして部屋を出る。

 

 ……静雅って人見知りしないからうまくやっているんだなぁ。

 

 図書館に頑張って戻ろうと道を曲がったとき……誰かがそこにおり──

 

「あれ? 博麗? こんな所で何をしているの?」

 

「……そろそろ侠を連れて帰ろうと思っていた所よ」

 

「あ、そうなんだ。ちょうど良いから話を聞いてもらいたいことがあるんだけど、いいかな?」

 

 

 

 

 

 少年説明中……

 

 

 

 

 

「──それで博麗が良いならここで住み込んでは働こうと思うんだけど、どうだったりする?」

 

「…………」

 

 博麗は顔をうつむいて考えている……予想だとすぐに返事を返すかと思ったんだけど。

 

 それで考え終わったのか、博麗は顔をこちらに向けて言った。

 

「……だめ。侠は紫がわざわざ神社に送ってきたのよ? そんなことをしたらスキマで強制送還されると思うけど」

 

「やっぱりそう思っちゃう?」

 

「思うわよ……(何か嫌よ、そんなの)」

 

 博麗は許可を出さなかった。まぁ、その可能性もあるからねぇ……。

 

 自分でも考え直していたとき、博麗は言葉を続ける。

 

「別に住み込みじゃ無くても静雅には会えるんでしょ? どうせあっちからも神社に来るだろうし……悪いけど、その話はなかったことにしてちょうだい」

 

「わかった。じゃあ伝えてくる」

 

 博麗が言ったことを伝えるために自分はレミリアの自室に戻っていった……。

 

 

 

 

 

 

 

「……何であんな事を私は言ったんだろう……? それは侠のためにも良いはずなのに……?」

 

 

 

 

 

 

 

 レミリアにそう伝えたところ、『霊夢がそう言うなら仕方ない』と割り切ってくれた。でも、そんな自分でもレミリアは常に紅魔館に来て良いと許可してくれた。

 

 紅魔館の人々に挨拶をした後、博麗に促されるまま神社に帰還した。そこから夕食を作ったりして食べたりしたのだが……余り会話が無い。

 

 ……どうしたんだろう?

 

 疑問を抱いているが、五徳を紅魔館から呼び出し、適度に晩ご飯を与えると満足そうにして眠った。可愛いやつめ。

 

 異変が終わって三日ほど、この生活が続いて過ごして……【ある出来事】が起こったけど、それは割愛。

 

 その日でやることや身支度の類も終わり、就寝前にあることを試していたとき……博麗が部屋に入ってきた。

 

「侠……ちょっと良いかしら?」

 

「ん……別に構わないよ」

 

 寝間着のままか、そのまま博麗は部屋に入ってきて正面に座った。

 

 自分は手で何やら妖力を集めていることに気がついたのか、話しかけてくる。

 

「……何をやっているの?」

 

「んー……ちょっとあの時の感覚を──お」

 

 そして手のひらの上の空間に作り出されたものは──小さな氷だった。

 

「……え?」

 

 その様子を見てか、博麗が呆然とした。

 

「できたできた。スペルの宣言をしないともっと大きいものは作れないけど……生活には役立ちそうだ」

 

「いやいやいや!? そもそも何でチルノっぽい能力が使えるのよ!? それとも何!? 二つ目の能力!?」

 

「……一応、心当たりがあるんだよ」

 

 自分の言葉に博麗は冷静さを取り戻し、静かにして言葉を聞いてくれる。

 

「実は過去にチルノと弾幕ごっこをやったことがあるんだよ。その際に何故か──チルノから水色の光が出て、それが自分の体内に入ったんだ。その時は何ともなかったんだけど……その日以来、チルノの近くに行っても寒くなくなったんだよ。でも……弾幕ごっこで勝ってこうなるんだったら紅魔館の人々も何らかの光が出て体内に入ると思ったんだけど……光が出てこなかったんだよね」

 

「……チルノ限定でそうなわけ?」

 

「今のところは」

 

 そう言って肯定すると、博麗は話を続ける。

 

「じゃあフランと戦っているとき、やむを得ずその力を使ったの?」

 

「いや、フランドールと戦っている最中に幻聴みたいなのが聞こえたんだよ。過去に龍神の像を見に行ったときと同じ声が」

 

「……幻聴?」

 

 あのときは慧音さんもいたのだけど……自分にしか聞こえなかった声。

 

「見に行ったときは『ちゃんと我を手入れしているみたいだな』って聞こえて。それでフランドールに負けそうだったときに『そろそろ頃合いか』って聞こえた後、氷のイメージが頭の中に流れ込んできて……初めて使ったのはその時だよ」

 

「……龍神の石像を見てからってのは気になるけど、侠は『辰上』と関係が無いんでしょ? それなのに何で?」

 

「そこなんだよねぇ……自分は辰上家に関係ないのに」

 

 ……一体何でチルノっぽい能力が使えるようになって、幻聴が聞こえるようになったんだろう?

 

「…………気にしてもしょうが無いか」

 

「いや、自分のことなんだから気にしなさいよ……」

 

「気にしているだけ時間の無駄だし。特に害があるわけじゃないからね」

 

 自分は手の上で作っていた氷を溶かした。溶かし終わった後に、何故この部屋に来たのか本題を尋ねる。

 

「それで……博麗は何しに来たの?」

 

「……静雅から大ざっぱに侠の事を聞いたわ」

 

 さっきの表情とは違って、真面目な顔に博麗はなった。

 

「……どれくらいまで?」

 

「侠の『素』と家庭事情について聞いたわ。あんたと同じで私も基本全力は出さない。全力で戦って負けたら後が無いしね」

 

「……それが?」

 

「私は侠の事を絶対裏切らない」

 

 ──裏切らない。それは最も自分が望んでいること。

 

 博麗は言葉を繋げる。

 

「侠がどんな過去を持っているかどうかは知らない。その事で文に取材を断ったくらいだしね。でも──親友である静雅の目は本気だった。これから侠と一緒に過ごす中でいろいろ触れ合うわ。そしてなにより──異変をバトンタッチさせてもらったとき、イレギュラーなことがあっても侠は私との約束を守ってくれた。裏切らなかった」

 

 一呼吸し終えた後……博麗はじっと目をまっすぐ自分のことを見て──こう言った。

 

 

 

 

 

「だから──今度は私が答える番。幻想郷においては私のことを信用しなさい」

 

 

 

 

 

 博麗の瞳には嘘のことのようには見えない。

 

 …………。

 

「……そうさせてもらうよ」

 

「ならば良し!」

 

 満足そうにする博麗。まぁ、別に良いんだけど。

 

 これで話は終わりかと思い、姿勢を崩していたとき──博麗は言う。

 

 

 

 

 

「──んじゃ早速なんだけど、もうさすがに名前で呼べるわよね? 異変解決したぐらいだし、暮らしはもう慣れたわよね?」

 

 

 

 

 

「…………ゑ!?」

 

 

 

 

 




 そろそろこの章は終わり……え? 話が少ない? 異変時は仕方ないとして、この章は基本的には文字量を少し多めにしてますのでそこを何とか。

【ある出来事】というのは、活動報告で募集していたコラボ回の話です。この章の終わりにコラボ回を載せる予定。まずは最初にコラボ要請をしてくださったユーザー様です。

 ……正直、【東方Project】以外の世界観でのコラボ要請が一番焦りましたけどね。まさか世界観を超えてでのコラボです。

 ではまた。
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