引き続き表主人公視点。
では本編どうぞ。
階段の上から聞こえる声。喉先から剣先を除いて声の主を見る。同時に我に返ったように女子も振り返る。
そこにいたのは全体的には薄い青系統を着ていて、帽子の額には赤い渦巻きのマークが書かれている。それでセミロングの女性がそこに浮かんでいた。
その人を見た瞬間、女の子は即座にその人に話しかけた。
「幽々子様っ!? どうしてここへ!?」
「そろそろ来ると思ってここに来たのよ。惨事にはなっていないと思っていたけど……予想以上ね♪ さすが紫に連れられてきたことはあるわね♪」
「……自分がここに来ると知っていたんですか? それで紫さんのことを知っているみたいですが……」
この人……紫さんのことを知っているみたいだ……何者何だろうか?
「そんな警戒しなくても良いのよ? 私は紫の友達の西行寺幽々子。この冥界での白玉楼で霊の管理をしているの」
…………冥界!?
「ちょ、ちょっと待ってください!? 冥界ってアレですか!? 自分って死んだんですか!?」
「それは違うわよ? 今の冥界は生きている生物もいることが出来るのよ。時間制限とかは無いから安心して良いわ……さ、妖夢。彼を案内してちょうだい」
「何を言っているんですか幽々子様!? そこの卑怯者は侵入者ですよ!? 興味を持たれたからといってやすやす白玉楼に入れるなど──」
……すっかり嫌われてしまっているな。君が突撃してばかりだったのに……。
あからさまな嫌悪感を見せた後、西行寺さんは言葉を続けた。
「彼はお客さんよ。私が彼が来るように紫に頼んだの」
「…………えっ? 私……そのような話は聞いてはいませんが……?」
「話していないもの。さっき話そうとしたのだけれどあなたが侵入者だと勘違いして行ってしまったじゃない。あなたってば本当に半人前ね」
「……みょん」
変な声を出して絞られている女子。勘違いで殺されたらたまらないよ……。
「あなたもとりあえずはその剣を妖夢に返してあげてちょうだい。ほら、白楼剣は自分で拾ってきて」
そういうと女子は脇差しを取りに行く。鞘に収めた後こちらに来たので、自分は峰のほうをつかみ。前に差し出す。
「……奪い取って悪かったね。それとこの剣、自分でも中々良い物だと分かるよ」
「…………そうですか」
無愛想に受け取り、剣を鞘に収める。そこまで嫌われるようなことはしていないと思うんだけど……。
その様子を見かねてか、西行寺さんが話しかけてくる。
「ん〜……ちょっと予定変更ね。妖夢、先に戻ってお茶を準備しておいて。私は彼と少し話して終わったら白玉楼に戻るわ」
「……わかりました」
後ろ髪を引かれるようにその女子は飛翔して階段の上の飛んでいった後、西行寺さんは話しかけてくる。
「妖夢ってばすっかりあなたのこと親の敵にのよう見ているけど、気にしないであげてちょうだい。あの子はまっすぐすぎるから、一つの決めたことをやり通そうとするの」
「……それは自分を斬るってことですか?」
「あの子ったら妖忌──祖父の教えをそのままの表現でやろうとするのよ。本当に斬れば真実が分かると思っているみたい」
「いや、それは正しく教えましょうよ……」
「あなたがそれ教えてあげるんじゃなくて?──体の隅々まで」
「それってもう自分が殺されても文句は言えませんよね……」
ぽわぽわしていて何て事を言い出すんだ、この人は?
「それはともかく──あなたが辰上侠で合っているわよね? 紅魔館の執事の方ではなく」
「はい、合っていますよ西行寺さん──」
そう肯定したとき、何故か不満そうに文句を言い始める。
「呼び方が何か堅苦しい〜!」
「失礼の無いような呼び方だと思うんですけど……?」
「他人行儀な呼び方が失礼よ〜! 私のことは『ゆゆちゃん』って呼んでちょうだい〜!」
「すいません、自分が恥ずか死にます」
見た目少し年上っぽい人を『ちゃん』付けとか恥ずかしいにも程がある!
「もしあなたが死んだら白玉楼に合法的に住み込めるわね〜」
「……冗談のように聞こえないのは気のせいですか?」
「冗談じゃないもの。幻想郷や付近で死んだ人達はここに来て閻魔様の裁判所の順番が来るまでここで待っている霊もいるのよ?」
何という豆知識。
雑学を言ってくれた後、妥協案という形で提案してくる。
「じゃあ〜……恥ずかしいなら『ゆゆさん』でいいわ」
「まぁ、それなら……」
「じゃあ、そろそろ白玉楼に向かいましょうか。侠はちゃんと飛べるかしら?」
「いえ、背中を龍化して翼を出さないと飛べないんですよ。龍化して飛びます」
そういったと自分は翼を出し始め、前の方を飛んでいくゆゆさんの速度に合わせて飛んだ……龍化については紫さんから聞いたのかな?
「(龍化、ねぇ……確かに紫の言った通り違和感と──並みの量じゃない妖力を感じるわね。それで一番気になるのが……楼観剣を使えた事。楼観剣は長すぎて並みの人間には扱えないはずなのに……自己流剣術と合わせて使ってきた……侠は半身半霊でもない人間の外来人なのに? ま……どちらにせよ、面白い子には間違いないわね♪)」
〜白玉楼〜
白玉楼という名の和式風のお屋敷に着いた。飛んで向かっている最中にいろんな事聞いてみると、ゆゆさんは亡霊だとか。自分に襲いかかってきた子は半身半霊という人間と幽霊のハーフだとか……どうやって子供を授かったんだろう? 実体と霊体なのに。幽霊だからといって驚かなくなったのは幻想郷に慣れてきたおかげだろう。
そして、やけに広い居間に移動してお茶とお菓子が用意された机に用意された座布団の上で正座する。ゆゆさんが自分の対面で右側に紹介で知った──魂魄妖夢がこちらをまだ睨んでいる。
それに気づいたのかゆゆさんは──
「あらあら♪ そんなに熱い視線で侠を見るなんて……惚れちゃったのかしら?」
──茶化し始めた。それに過敏反応した魂魄は動揺する。
「ち、違いますっ! 決してそのような目で見ていません!」
「じゃあ何で侠の事をじ〜っと見てたのかしら〜?」
「う……それは──」
「それでゆゆさん。自分は何時になったら博麗神社に戻れますか?」
適当に話を流して聞いてみたいことを聞いてみる。助け船を出されたのが癪だったのか、不満そうに魂魄はしているが。
「そのこと? しばらくよ」
「……具体的には?」
「紫の気分で変わるわ」
「……大ざっぱすぎませんかね?」
白玉楼にいない紫さんが決めるのが少し意外だけど。
「その大ざっぱな間、侠は白玉楼で生活をしてもらうわ。ちゃんと開いている部屋も貸すし、食事も提供するわ」
「それって紫さんの気分でずいぶん変わる居候ってことになりますよね?」
「そうなるわね〜」
……寺子屋とか紅魔館とかしばらく行けなくなってしまうのか……軟禁に近いような気がするのは気のせいかな?
しかし、ゆゆさんの決めたことに異議を申し立てる人物が一人。
「ま、待ってください幽々子様っ!? それはこの殿方と一つ屋根の下で暮らすということですかっ!?」
「? それがどうかしたのかしら妖夢?」
「どうしたのかじゃありませんよっ! 何も知らない殿方と一日中過ごすなんて私は反対です!」
……良く嫌われているということが分かる一言だ。
しかし、ゆゆさんは何食わぬ顔で言う。
「……名前は辰上侠。外界では寺子屋で言う勉学に学ぶことをしていた。現在は紫の誘いで幻想郷に連れてこられて、博麗神社で居候中だった。コミュニティもそれほど悪くは無くて、寺子屋で人里の守護者の助手として働いている。他にも魔理沙や人形使い、烏天狗と面識があり、最近では紅魔館の住民と繋がりを持ち始めた──これで合っているわよね?」
「え……あ、はい……ですけど……どうやって知ったんですか?」
マシンガンというレベルじゃ無いけど、すらすら言って間違ったことは一つも言っていないことに不思議に思った。
「紫からの情報って結構正確なのよ〜」
……何も言えない。
ゆゆさんは視線を魂魄に戻す。
「妖夢が知らなくても私が知っているから問題ないわ。それでもまだ知らないことがあるでしょうからその時は私か侠に聞きなさい」
「…………わ、わかりました…………」
魂魄はゆゆさんの言ったことを聞き入れた。これでまだゆゆさんが自分のことを知らないと言っていたら反論は出来ただろうけど、ゆゆさんが自分の情報を言ったことで魂魄の頭の中にいくつかは残ってしまっただろう。魂魄は必然的に自分──辰上侠についてもう知らないとは言えないのだから。
「それじゃあ、侠の部屋に案内するわ。その後、お昼ご飯はここで食べるからそれまでここを探索して間取り図を覚えてね」
「わかりました」
「じゃあ、侠の部屋はこっちよ〜」
とりあえずゆゆさんに自分の部屋に案内してもらうことにした……。
「……何で幽々子様はあの人に興味を持っているんですか……?」
幽々子はフレンドリー。個人的にはそう思う。
表主人公が楼観剣を使えたのはある事情……本編が進めばわかります。というよりその回で大体の伏線は回収されます。
ではまた。