幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 恒例フラグ回。
 視点は霊夢。さらにもう一人の巫女も登場。
 ではどうぞ。


『〜Ex side story〜』3

「紫……今度会ったとき覚えておきなさい……!」

 

 紫が意味不明なこと言ったその後、掃き掃除をしながらそう唸った。

 

 ……何が無自覚よ。意味が分からない。

 

 私が掃き掃除しているとき、侠の式神……五徳だったかしら? 転がって私の元に来た。

 

「ナ〜?」

 

「……せめてそれ以外に何か喋れないの? それだけじゃ分からないわよ」

 

「ニャー……」

 

 何やら悲しそうに鳴き声をあげながら転がって縁側に飛び移り、体を丸めて寝始めた。

 

 ある意味気楽で良いわねと思っていた時に、誰かがこちらに向かって飛んでくる。その服装は……私の服を青白にした巫女服となると……あいつしかいない。

 

 その青白巫女は私の近くに着地し、話しかけてきた。

 

『御無沙汰です霊夢さん! 今日は──』

 

「山に帰れ」

 

「──ちょっ!? いきなりそれは酷くありませんか!? 私まだ何もしていないですよね!?」

 

「うっさい。これから私はのんびりお茶を飲むという使命があるの。あんたの分はないわよ」

 

「それはそれで酷い理由です……私聞きたいことがあってはるばる来たのに……」

 

 その青白巫女は東風谷早苗だった。早苗は外界から二人の神様と一緒に自ら幻想入りしてきた。早苗達の守矢神社に信仰を集めるため、幻想郷に来たのだという。その際、私の博麗神社を渡せと言ってきたけど……まぁ、とりあえず和平交渉(弾幕)をして今は幻想郷には二つの神社がある。

 

 早苗は私に押されながらも、ある新聞の記事を見せながら話しかけてきた。

 

「この記事のことなんですが……霊夢さん、本堂さんと戦って苦戦したと書かれていて、それで辰上さんですか? その方が『幻想日食異変』を解決させてと書かれていますが……本当ですか?」

 

「あー、事実よ事実。早く帰って」

 

「何で帰させようと促しているんですか? それと、この記事は本当だったんですか! それはまた凄いですね!」

 

 私が事実と認めたとき、何故か早苗のテンションが上がっている。意味不明だ。

 

 早苗は得意げな顔で話を進める。

 

「本堂さんは私と同い年で、外界では有名な中学生モデル──いや、今は高校生モデルでしょうか……まさか幻想郷に来ているだなんて思いませんでしたよ!」

 

「? 何? あんた静雅の事を知っているの?」

 

 ……何で早苗が静雅のことを知っているんだろう? 外界で知り合いだったのかしら?

 

「知っているも何も! 本堂静雅さんは私と同じ中学二年生の終わりごろ、学校は隣町で違いましたが日本中に知れ渡っていた方なんですよ!」

 

「……学校って寺子屋の事よね? 何で寺子屋が違うのに知っているわけ?」

 

「本堂さんは急に現れたモデルなんですよ! 世間一般的に見てかっこいいという容姿、それにトークも人の心を掴むようなおもしろさもあって雑誌やTVに多数出ていた人なんです! おまけに俳優も任されていって最初は私も見ていた特撮もの【元素戦隊エレンジャー】の主人公の弟役で出てきて、私達が幻想入りする前のドラマの【流れない涙】で主役をした程の人物です! 主人公役の荒祇涙(あらぎるい)にぴったりな──」

 

「ストップ。あんたには常識かも知れないけれど私達には分からない単語が色々ありすぎる」

 

「まぁ、簡単にまた言えば外界の有名な方なんです」

 

 外界の単語はともかく、静雅が外界で有名なのは分かった。

 

 ……あいつって色々謎がありすぎると思ったら、外界ではよく知られている奴なのね……。

 

「それで? 静雅は今日は神社に来ていないわよ?」

 

「そういうことはたまに来るんですね……本日の目的は写真に写っていない、霊夢さんの所で居候しているという辰上侠さんに会いに来たんです。本堂さんの親友というのは初耳でしたから。本堂さんに会う前にちょっとしたコネでも作ることが出来たらと思いまして。辰上さんはいらっしゃいますか?」

 

 侠、目当てねぇ……なんか余り気分が良くないわ。

 

 とはいえ……侠はここにはいない。そういうことは正直に答える。

 

「生憎、しばらくはいないわよ。紫に白玉楼に拉致られたから」

 

「!? 紫さんとの関係もあるんですかその人!?」

 

「紫が侠を直接幻想郷に連れてきたのよ。その後に静雅も多分紫に連れてこられたんだろうけど」

 

「本堂さんはともかく、紫さんが直接連れてきたという辰上さんは一体……? おまけに異変を解決した人でもある……謎の多い人ですね?」

 

 ……実際に侠の方がある意味謎が多い。状況によって変わる【素】。チルノの力も使える。本人曰く幻聴が聞こえ、さらには身元不明。本人も把握できていないところがあるんじゃないのかしら?

 

 そういえば静雅で思い出したけど、あいつの能力……紫みたいに移動させることが出来たわね。そうなると……もしかして侠を取り戻せる!?

 

 思い立ったが吉日、私は箒を縁側に置いて空を飛ぶ。私の急な行動に疑問に思ったのか早苗は話しかけてきた。

 

「? 霊夢さん? どこにいかれるんですか?」

 

「野暮用よ。ちょっと静雅に会いに」

 

「! それなら私も同行しても良いですか!? というよりしますけど!」

 

「……好きにしなさい」

 

 私の後に早苗が着いてくる。まぁ、本来の早苗の目的は静雅に会うことらしいから良いけど。

 

 そうして紅魔館の門まで来て降りると……頭にナイフが刺さっているままの美鈴が珍しく起きて仕事をしていた。

 

「美鈴。あんたが起きているなんて珍しいわね」

 

「あ、霊夢さんと……早苗さんですね? 霊夢さんも珍しく私に話しかけてきましたけど……今日はどうなされたんですか?」

 

「あの……頭に刺さっているナイフは良いんですか?」

 

 早苗が何か言っているけどスルーする。

 

「静雅はいる? ちょっと頼みたいことがあるんだけど」

 

「本堂さんがいるならサインもらっても良いですか!?」

 

 早苗。あんたは黙れ。

 

 でも、美鈴は少し苦笑いをしながら答える。

 

「あ〜……少し前ならいたんですが……今日静雅さんは妹様と外出中です」

 

「フランと?」

 

「はい。妹様に社会勉強の一環として外を探索してくるそうです。なので本日はいつ帰ってくるのかは具体的には分からないんですよ……まぁ、夕食までには帰ってくるとは思うんですけど」

 

 フランの処遇はそういえば変わったんだっけ? それで外のことを知らないフランのために外を回っていると。

 

 ……無駄足だったわね。

 

「そ。いないんならしょうがないわ。気が向いたときにまた来るわね」

 

 そう言って私は神社へ向かって飛んでいった……。

 

 

 

 

 

「美鈴さん! 幻想郷においての本堂さんのことを教えてくれませんか!」

 

「え? は、はい。私が話して良い範囲なら……」

 

 

 

 

 

 ……まぁ、早苗のことは放って置いても良いでしょう。侠目的じゃないしね。

 

 ……なんで侠のことをこんなに考えているんだろう?

 




 守矢神社の巫女、東風谷早苗がフラグ回に登場。静雅のちょっとした概要は話の通りです。

 これで表・第六章は終わり、裏・第六章へと移行します。

 ではまた。
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