では本編どうぞ。
みんなそれぞれの物から食べ始める。自分は煮物から食べる……うん、まぁまぁうまい。
霧雨も煮物から食べ始めたみたいで、思ったことを口にする。
「やっぱ霊夢が作った奴はうまいな〜。この煮物とかいつもと違ってうまいぜ」
「……あいにく、私は煮物は今回作ってないわよ。それ作ったの侠だから」
「「……え?」」
博麗の言った言葉に二人はきょとんとする。そんなに意外だったのかな……?
とりあえず二人に話しかける。
「……二人はそんなに自分が作ったことに意外だった?」
「……男の子って料理が出来たの?」
「……香霖は絶対作らなさそうだから他の奴も料理が出来ないと思ってたぜ……」
「? 誰なの香霖って?」
霧雨が誰かの名前を言っていたのでどういう人か聞いてみることに。
「私が古くからの知り合いでもある商売人だ。今度その店に連れてってやるよ」
……幻想郷では男は料理が出来ないという先入観があるみたいだ。
博麗は自分のことについて説明を続ける。
「一日で分かったことは侠は家事万能。炊事洗濯掃除はお手の物。それに見た目と違って力があるみたいだから結構便利よ。それに結構融通が利く」
「咲夜なみのスキルを持ってんのかよ侠は……? メイド長ならぬ執事長かよ?」
「(……これからどんどん鬼みたいにしばかれていきそうね……)」
何かマーガトロイド辺りから不穏なことを言われた気がした。でも気にしないようにする。
「【すごいですね侠さん! 男の人なのに家事が出来る人って!】」
自分のステータスのことに上海がマーガトロイドに体を向けておだててくる。半自立と言っていたがそれなりに感情はちゃんとあるみたいだ。
「ありがとう上海。幻想郷に入る前からちゃんと自活は出来るよう家で学んできたから。ちゃんと真面目にやれば男子だって出来るからね。上海だって自分で動けるから人が出来ないような場所とかも掃除できるんでしょ?」
「【はいっ! ご主人様の手の届かないような場所は私がやって──あれ?】」
「えっ……?」
途中で上海は言うのを止めて、何故かマーガトロイドは間の抜けた顔でこちらをみてくる。博麗と霧雨もきょとんとしながらこちらを見てくる。
……何か悪いことでもしてしまったんだろうか……?
「……急にどうした? みんな急に黙っちゃって?」
「侠……あなた何で上海の言葉が伝わっているのっ!?」
……何を言っているんだろう? こんなにはっきり聞こえるのに。
「ゑ? みんな伝わっているんじゃないの?」
「上海と意思疎通ができるのは私だけよ……。魔理沙や霊夢も上海の意思疎通は出来ないわ」
「…………そうなの?」
人形の制作者ではない博麗と霧雨にどうか尋ねてみる。
「アリスの言う通りよ。アリスの話だとアリスの魔力で上海は動いているから、アリスは上海と意思疎通が出来るのよ」
「私達は上海の言葉は『シャンハーイ』とぐらいしか聞こえないんだ。でも何で侠は上海と意思疎通ができるんだ……? ワケ分からねぇぜ……」
……てっきりみんなも聞こえているのだと思っていた。でも、本来はマーガトロイドしか意思疎通が出来ない……?
『はーい。みんな元気かしら〜?』
自分の背後から聞き覚えのある声が聞こえた。後ろに振り返ってみるとそこには白い帽子を被った紫色の上着みたいのを羽織っているた女性の人が立っていた。その女性の後ろには……奇妙な空間があって、だんだん閉じていく。
すかさずその人に反応したのは博麗。
「紫……っ!?」
「どうしたのよ霊夢? そんな焦ったような声とか出して?」
紫……? もしかしてこの人が……、
「……あなたが八雲さんですか?」
「あら? 姿を見せていなかったのに私だと分かったみたいね? 侠」
「ついに元凶が現れたぜ……」
「私達が食べているタイミングで現れるのね……」
……何かあまり人気がないみたいだ。霧雨とマーガトロイドの反応で何となく八雲さんの性格が出ているような気がする。
しかし、八雲さんはそんなことを気にせずに自分の箸を勝手に借りて作った煮物を食べ始める……ためらいなし?
「ん〜……まさか料理が出来るなんて思っていなかったわね。それに家事も色々こなせるみたいだし……私の家に送るべきだったかしら?」
「……八雲さん、それ、自分の箸なんですけど?」
「あら、そんなところを気にしているの? 別に私は気にしたりしないわ。後、呼び方は紫かゆかりんで構わないわよ?」
「いやいや、いきなりそんな気軽には呼べませんって。それにゆかりんとか……」
「……年上の女性の言うことには素直に聞くべきよ?」
「紫は年上というか年齢的にはババ──(ヒュンっ)」
霧雨が何か言おうとしたが、足場に八雲さんが奇妙な空間を作って落ちていってしまった。
博麗とマーガトロイドは気の毒そうな顔でスキマを眺めていけど……。
おそらく、紫さんは年齢のことで怒ったのだと思うけど──
「八雲さん──紫さんの年齢ってどれくらいなんですか? 見た感じ二十代の方に見えますけど?」
「あら♪ 嬉しいことを言ってくれるわね♪ そこは永遠の十七歳と言ってくれたら百点あげたんだけど♪」
「さすがにそれは盛りすぎですよ? 同年代には見えませんし、どうみても年上のお姉さんですけど?」
「……霊夢、この子やっぱりマヨヒガに連れて行っても良いかしら?」
「利便性が分かったから駄目。そもそも紫がここに連れてきたんじゃない」
「う〜……やっぱりしばらく観察してから連れてくるべきだったかしら……」
……なんか紫さんに気に入られたっぽい。
「それであなたは何でここに来たのかしら?」
話をマーガトロイドが戻す。その言葉で紫さんが我に返り、話をした。
「一応
「! 待ちなさい紫! 侠達っていうのは──」
博麗が呼び止めようとしたが、奇妙な空間が消えていってしまった。
何故か少し疲れたように呟く博麗。
「……侠以外に幻想郷に連れてきた奴がいるのね……異変が起こらなければ良いけど」
「異変?」
博麗の言葉に疑問を持った自分だが、それをマーガトロイドが説明してくれる。
「異変とはそのままの意味でもあるけど、人や妖怪、環境に人為的な何かなどに何らかの影響を与えられる事件のことよ。異変は基本、霊夢が解決したり、魔理沙も異変解決したりして平和に導かせているのよ。私もたまに関わったりしたけど」
「へー……今までどんな異変があったりしてた?」
「幻想郷に紅い霧で覆われたり、春が来なくなったり、毎晩満月が出ていたり、地底の怨霊がわき出たり──」
「……人の気質を集めて、私の神社だけ狙って地震を起こさせて倒壊させたはた迷惑な異変もあったわ……」
いけない、規模がでかすぎる。
「どれも基本的に霊夢と魔理沙が解決させているのが多いわね」
「自分よりも年下なのに……博麗や霧雨って凄いんだね? どこからそんな異変を解決させる力を持っているんだか?」
「……別に凄く何てないわよ。私は幻想郷の巫女として当然のことをやっただけ」
素っ気ない返答をされてしまった。でも気になる。年下の子が事件を解決させるなんて。
……ここが幻想郷なんだ。面白味はある。
そんなことを思っていると少し上の方に奇妙な空間が開き、霧雨が落ちてきた。
「いてて……うっかり口が滑ったぜ」
「紫の目の前では老いぼれ発言は厳禁でしょうが」
「……老いぼれ?」
見た目全然そんな風に見えないんだけど……?
自分の疑問に博麗が簡潔に答えてくれる。
「紫は確か千年以上近くは生きている妖怪よ」
「…………ゑ? 紫さんも妖怪?」
「……ちなみに言うと私も人間ではないわ。種族的な分類として魔法使いよ。魔理沙は種族的に人間で魔法使いなのよ」
マーガトロイドは自分についての種族を説明してくれる。
幻想郷……マジ半端ない。見た目全員人間に見えるんだけど。
「服装とか除いてみんな人間の普通の女子に見えるのになぁ……」
「幻想郷には常識にとらわれないように注意しなさい。……どこかの巫女よりかは常識を最低限持ってて欲しいけど」
「霊夢〜それよりまだ私は腹が減ってるぜ。とりあえず飯を再開させないか?」
「そうね……食事を再開しましょう。後片付けは侠がよろしく」
「わかった」
「(霊夢からある意味理不尽なことを言われているのに嫌なそぶりは見せないのね……? それに魔理沙から聞いた話だと人外な能力を持っているという話しだけど……彼ならここにいても心配なさそうね。見るからに善人だわ)」
とりあえず自分らは食事を再開した。
幻想郷、か……。ここで過ごしている間に元の世界に戻ることを願いつつ過ごした。
『……侠はうまくやっているようだし今のところは問題はないわね。後は侠の親友……
表・第一章完結。次は裏・第一章から始まり、裏主人公は紫の言った名前の人物です。
表主人公は何故か上海の言葉が聞き取れる。不思議なことに。前回の話では、上海の言った言葉は侠以外の人物には「シャンハーイ!」と聞こえています。このことも物語が進めば分かるかも……?
次話は主人公視点が変わりますのでよろしくお願いします。