幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 大体静雅が原因。後日談の不貞寝理由が明らかに。
 視点は三人称。
 では本編どうぞ。


裏・第六章
一話 『とある主の不貞寝理由』


 侠達の時間軸とずれて改めて、異変後の侠達が紅魔館に来る前の早朝の話。紅魔館の主であるレミリアは日光が当たらない範囲で窓から外の様子を見ていた。

 

「……また、異変解決者に野望を打ち砕かれたか……」

 

 紅魔館の住人となった本堂静雅の起こした異変。それは吸血鬼に有益な異変だった。日光は遮られ、幻想郷を代表とする博麗霊夢と霧雨魔理沙が敵わなかった。もう一歩といったところでイレギュラー、辰上侠の出現。彼によって異変は解決された。

 

「(……しかし、あの静雅の親友は一体何者なの? 体は人間で有りながら多量の妖力を持っている。それにフランとの戦いで見せた氷精もどきの力。そして、謎の違和感……)」

 

 レミリアにも感じていた侠の違和感。侠には何かがいるという感じ。その正体は分からないが、何かは絶対あるという違和感。

 

「(まぁ、それでも……性格は常識人ではあるわね。静雅との会話でそれが分かる……あの自称人間も静雅に振り回された一人なんでしょうね……)」

 

 そして、今後の予定を決める。

 

「(霊夢の所で居候をしているようだけど……霊夢が良ければ自称人間は紅魔館に配置しよう。静雅の親友という時点、力量からいって最低限紅魔館に貢献できる力はあるものね)」

 

 あとで静雅に自称人間の事を聞いて考えを深めよう、そう思いながら窓から外の景色を見る。

 

 

 

 木は風によってざわめき、小鳥が楽しそうに飛び回り、フランドールも飛び回っている。実に平和な光景だ。

 

 

 

「まったく……異変の後は平和なもの──ってえぇえええっ!?」

 

 レミリアは一度外の景色から目を外したが二度見する。現在の天気は晴れで日光がさしている。そのなか、同じ日光が天敵のはずの吸血鬼の妹──フランドールが外を飛び回っている。日光の中を。

 

 ──何も影響がないように。

 

『静雅ーっ! 大丈夫だよーっ! 日光を浴びても何も問題ないよ!』

 

『そいつぁ良かった。オレの能力は半端ないな』

 

 フランの言葉に自慢げに頷く静雅。静雅は飛び回っているフランのことを見守っている。

 

 ──そして、レミリアはすぐに従者である咲夜に声をかける。

 

「咲夜っ!」

 

「(しゅばっ)はい、何でしょう?」

 

「今すぐ外に出るわよ! フランが何故外に出ても平気なのかを確かめに行くわ!」

 

「え……は、はい!」

 

 

 

 

 

 庭でフランが飛び回っているところに来たレミリアと咲夜。咲夜に日傘を差してもらっているが、フランは日傘を差していなくても大丈夫なのだ。これを疑問に思わない人物はいないだろう。

 

 レミリアはフランのことを見守っていた静雅に話しかける。

 

「静雅……何故フランは日光を浴びても平気でいられる!?」

 

「お、レミリア嬢に咲夜。見てたのか。何。これは単純なことだ。オレの能力で日光を受け付けないことにした。いわば日光を受けることを飛ばしている」

 

「…………」

 

 言葉が出なかった。能力の有用性が桁外れすぎる。吸血鬼の弱点をなくせる能力。レミリアはそれに惹かれた。

 

 続いて、咲夜が静雅に話しかけてくる。

 

「日光を受け付けない……だから妹様は大丈夫なのですか?」

 

「おう。過去にオレは攻撃を一切受け付けなくなる事象としてやったことがあるからな。今回は日光バージョンということだ」

 

 静雅の説明していたのを見てか、フランは静雅達の元へと降りてきた。

 

「お姉様に咲夜! お外で飛び回るのってすっごい気持ちが良いね! それとものすごい楽しい!」

 

「え、えぇ。そうでしょうね……」

 

 レミリアは何だかそわそわしている。妹がこんな自由に太陽の外で飛べている。これなら自分も飛べると希望を抱いているのだろう。

 

 落ち着かないレミリアに向かって静雅は話しかける。

 

「フラン嬢もさ、こういうときには誰かの監督内なら外に連れ出して良いか? 外の知識が足りないフラン嬢のためにこれからの社会勉強も兼ねてさ。いいか?」

 

「も、もちろん、いいわよ……それで、それを私にもかけてくれるのよね? 日光を受け付けないように……!」

 

 希望に満ちた子供のような目で静雅に問いかけるレミリア。

 

 ──だが。

 

 

 

「あ、それ無理」

 

 

 

 何故かあっさりと断った。

 

「え……? な、何で……!?」

 

 断られると思っていなかったのか、動揺した声で静雅に問いかける。

 

「オレ自身に能力をかけるのはともかく、他人に持続性の能力をかけると結構疲れるんだ。フラン嬢までなら大丈夫だが……レミリア嬢までに能力をかけるとオレの疲労がマッハになる。だから無理だ」

 

「何よ……その……いらない制約……?」

 

「それにレミリア嬢には必要ないだろう。これはフラン嬢の社会勉強のために能力をかけているんだ。元々社会の知識があるレミリア嬢には必要ないと思うぞ」

 

「静雅……妹様までということは他に誰かに能力をかけているのですか?」

 

 静雅はレミリアに諭すと、疑問を持った咲夜に聞かれる。

 

「あぁ。親友にちょっと能力をかけておいた。保険のためにな」

 

「し、親友って事はあの自称人間のことよね……? それでも何とかならないの……!?」

 

 レミリアは焦りながら希望を紡ぎ取ろうとするが──

 

 

 

 

 

「悪いなレミリア嬢。この能力は二人までが限界なんだ」

 

 

 

 

 

 無慈悲な言葉を突きつけられた。

 

 そんなレミリアはというと──

 

「──うー☆ 何で私だけがダメなのよーっ!?」

 

 普段の威厳はどこにいったのやら。うーうーいいながらマッハで日光の影響がほとんど出ない速さで紅魔館に戻っていった。

 

「お、お嬢様!?」

 

 それに対して咲夜は能力を使ってレミリアを追いかけた。

 

 そんな姉を見て思ったのかフランは静雅に話しかける。

 

「ねぇ……静雅? お姉様うーうーいってたけど本当に出来なかったの?」

 

「いや、あと二人ぐらいは何とか出来る」

 

「え? 嘘付いたの?」

 

 フランは静雅の自然すぎる嘘に驚き、静雅は答える。

 

「それは予備だ。後……レミリア嬢は名と容姿が知れ渡っている。フラン嬢は余り知られていないからともかく、日光がある中でレミリア嬢が歩き回ると間違いなく問題になるぞ」

 

「そ、そうなんだ……じゃあお姉様のために思って嘘付いたの?」

 

「まぁ、そんなところだ……(その方がレミリア嬢の反応が面白いってのもあるが)」

 

 ……静雅は実際は主をからかうだけのために嘘をついたのである。

 

 そして、レミリアの従者である咲夜が静雅達の元へと戻ってきた。

 

「静雅……あまりお嬢様を苛めないようにしなさい。不貞寝しちゃったわよ?」

 

「あらら。そうか。そういえば小悪魔からの頼まれ事でもあったんだが、侠を紅魔館に招待しても良いか? 小悪魔が返したいものがあるみたいなんでな」

 

 そう静雅は話すと咲夜は思い出したように答える。

 

「そうそう。お嬢様も不貞寝する前に言っていたわ。あなたの友人を紅魔館に連れてきなさいと」

 

「何だ? レミリア嬢も用があったのか。じゃあちょうどいいや。博麗神社に行ってみる」

 

 そう言って静雅は能力で移動しようとしたとき、フランが静雅の服の裾を掴み、尋ねてくる。

 

「ねぇ、私も行って良い? お姉様が許してくれたんだし、私も行ってみたい!」

 

「ん? 良いんじゃねぇの? じゃあ咲夜。フラン嬢の御守はちゃんとやるから博麗神社に行ってくる」

 

「えぇ。行ってらっしゃいませ。妹様、静雅」

 

 そうしてフランは静雅の方に上って肩車をした後、その場から消えた。

 

 

 

 

 

 これが、レミリアの不貞寝の話である。

 

 

 

 

 




 実際彼の能力は制限があります。一瞬で終わるならともかく、持続性の能力で人数を多くすると疲労感が広がる。現在だとフラン、侠。残り二つはストック。

 ではまた。
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