視点は三人称。
では本編どうぞ。
侠と妖夢の弾幕ごっこが始まり──彼は氷柱の弾幕を形成し、妖夢に放つ。しかし妖夢も剣を振るって弾幕を出し、相殺させる。
「氷精よりは扱いは出来るようですが……それで私を倒せると思わないことです!」
「倒せる!」
「っ!? 自信があるからって……いいでしょう。その自信、私が斬る!」
そう言い、妖夢はスペルカードを取り出し、宣言する。
「人符【現世斬】!」
そう宣言し、一瞬にして猛スピードで侠を斬りつけようとするが──
「──ふっ!」
一瞬の判断で侠は跳躍して躱した。その場に着地した後、妖夢は困惑した。
「……避けられた!?」
「危ない危ない。一瞬のうちでの居合い切りか。構えと冷気の急な動きで察しなかったら斬られていただろうな」
「冷気……? あなたの体から発生しているものですか!?」
侠の変化スペル──適合【ブリザードオーバードライブ】は姿が変わると同時に冷気が発生し、
過去に特別な外来人が幻想郷に迷い込んできた時と同じ戦法だ。そして、侠もスペルカードを構える。
「さて、こちらも準備しておくか──武符【リトルセイバー】!」
いつもの武器スペルを発動させる。普段はその剣の色は赤紫のようなワインレッドなのだが──今回は現在の侠の髪の色と同じ水色だった。そしてこの剣も冷気を出している。
「(……? 何であの時と同じで色が違うんだ?)」
「武器を出現させるスペル……!? そして剣ですか……おもしろいです! どちらの剣技が上か証明する時が来たようですね!」
「そんなもの、どうでも良いんだがな……行くぞ!」
お互いに接近し、剣同士がぶつかり合う。妖夢は二本の剣で、侠は一本の剣で受ける。彼は左腕は使えない状況だ。慣れない右腕で剣をさばいて受け流す。
彼は普段足技を使うことはない。むしろその得意分野は親友の静雅が得意だ。そして左腕が使えない今……隙を見つけたならば親友の足技を見よう見まねで繰り出す。妖夢は剣だけの攻撃だと思っていたのか足に注意をしてなく、脇腹にヒットして少し怯んだが……後すざりをし体勢を立て直した。
「くっ……油断した……!」
「足下がお留守になっているぞ? よくそんなんで従者をやっていられるな? 誰かにその役目を譲り渡した方が良いんじゃないか?」
……これも普段はしないことなのだが、侠は挑発をする。当然ながら妖夢の注意を侠自身に集めるためだ。
──あることを悟られないようにするために。
しかし妖夢は案の定、彼の挑発に乗った。
「幽々子様ならず、私まで侮辱しますか……っ! なら、後悔しないでください! 魂魄【幽明求聞持聡明の法】!」
妖夢は次のスペルを宣言。そうすると近くにいた妖夢の半身である半霊が妖夢の姿を写したように実体化した。
「……傍にいる霊を実体化させるスペルか。装備まで実体化させるとは」
「卑怯だと思わないでくださいね。私は半身半霊なんですから!」
そう言い半霊と共に妖夢は斬りつけようとしてくる。
「……少しテンポを速くするか」
それに対して侠は動きを速くさせるために──氷翼を背中からだし、機動力を上げる。それと同時に妖夢と半霊の攻撃を避けて、右手の剣での攻撃を撃ち込もうとするが、半霊が侠の剣をさばく。
そして自分が有利だと思っているのか、彼女も挑発するように言う。
「……やっぱり左腕を使えないのは辛いでしょうね。攻撃が読みやすいです」
「……なら違った攻撃方法をしてみるか」
「一体何をするつもりで──」
妖夢がそう言いかけたとき……妖夢と半霊を狙った攻撃で──氷翼から氷の
「あ、危ないところでした──」
「喰らいたくなければそのまま防御をしていろ」
侠がそう言ったとき二人に急接近し、氷翼で直接二人にたたきつける。二人とも何とか防御をしたが、半霊は元の姿に戻ってしまった。
侠は
「(……まだ足りないか……)」
だが、まだ妖夢には彼の作戦は気づかれていない。悟られないように話しかける。
「はっ。どうやら効果が切れたみたいだな。それに……さっきの攻撃は中々重かっただろ?」
「くっ……手が痺れるぐらいでしたが……まだ、戦えます!」
「なら、俺もスペル宣言をしておくか……氷水【凍てつく大地】」
侠は手を地面に付けて発動させる。段々と地面が凍りつき、周りの木々達も凍っていく。それを見てか妖夢は飛翔した。地面、木々からも冷気を出すようになり、
「……地形を凍らせたからなんですか? そんなのは飛翔すれば問題ない──」
「【突き出ろ】」
侠がそう呟くと──妖夢の真下から氷の柱が襲ってくる。間一髪気づいた妖夢はグレイズするも避けた。
「──この! 【
妖夢は楼観剣と白楼剣をクロスさせ、振るって弾幕として衝撃波を飛ばした。
「……俺も同じようなことが出来るぞ──ゼァッ!」
侠は剣に弾幕の力を込めて、剣を振るって衝撃波として飛ばした。しかし……出てきたのは氷属性が付いたみたいで冷気も出てきた。二つの弾幕はぶつかり合い──侠の弾幕が消えたと思ったら妖夢の弾幕に凍りつき、自然消滅していった。
彼は連続して氷の刃を飛ばす。それに対して妖夢も剣から弾幕を飛ばす。ぶつかり続けることで冷気はどんどん溜まっていき、霧のような
そして──それを狙っていたのか、靄に隠れて突進し、翼で真上からたたきつぶそうとする。妖夢は侠が来ることは肌で感じたが、靄で反応が遅れた妖夢は剣で防御をしながらも凍った地面へたたきつけられそうになるが、勢いを何とか殺して着地する。
それを見計らったのか、侠は地に降り立ち次のスペルを宣言した。
「氷水【ブリザードドラゴン】!」
宣言した瞬間──侠の構えた手から氷龍が生成されて妖夢に襲いかかる!
……このスペルは白玉楼で試し打ちはしていないものの、龍神の石像と何か関係があるのではないかと考えながら出来たスペル。何故か頭の中のイメージで氷の龍が浮かんだためこのスペルを開発した。
それに対して妖夢もスペルカードを発動させる。
「断霊剣【成仏得脱斬】!」
宣言と共に楼観剣と白楼剣を構え、両方ふるい弾幕の柱を立てて侠の弾幕に当てる。妖夢は歯を食いしばりながら弾幕を出し続ける。
「このまま……押し通してもらいますっ!」
「…………」
二つのスペルカードが正面からぶつかり合った結果──侠の弾幕が水となってはじけた。その水が両者の体、手足に降りかかる。
「! もらいました!」
相殺せずに残っていた弾幕が侠を襲う。侠は氷翼を前方に出して防御をしたが威力は下げたものの氷翼は砕け、弾幕が侠に当たり転がりながら倒れる。
「……私の勝ちです!」
倒れている侠に向かって妖夢は勝利宣言をした。
……だが──
「──知っているか? そういう発言は──」
侠はゆっくり立ち上がり──
「──負け台詞だ」
右手の照準を妖夢の足に合わせながら言った。
防御されたとはいえ、体が飛ぶような衝撃は残っていたはずだった。しかし、ゆっくりと平然と、立ち上がった侠に妖夢は困惑した。
「なっ!? 防御をされたとはいえ、直撃したはずですのに──」
「……凍てつけ」
侠はそう呟き──妖夢の足下が凍りつき始め、動けないように凍りついた大地に一体化するように足が氷ついた。
「足が……!?」
「狙い通りだ。うまく水がはじけて足下に掛かってよかった。そこからこの能力で凍らせることが出来るからな。直接、お前を凍らせるも出来ると思うが……降りかかった水を媒体にして凍らせてもらった。その方が凍らせるのが早いからな」
そう言いながら彼は剣を持ち直し、斬りかかろうとする侠。妖夢は動けなくても剣で防御したが──
「……そらっ」
「(ガキィン)え……っ!? 剣が……はじかれて──
妖夢は二本の剣をはじかれ、二本の剣は妖夢の手元から離れた。手に力が入らなかった理由──妖夢の体温を奪っていたのだ。
最初は力強く持っていた手も、気温が下がれば手の体温も下がり力が入りにくくなる。妖夢は剣を使って戦う。剣術を極めている彼女にとっては剣が使えなくなることは力が大幅に下がることになる。そして──動かなくさせ、手を悴ませて武器を使えない状況に追い込むことによって、これ以上の戦いを無力化することが侠の目的であった。
当然、途中で気づかれるリスクもあった。気づけば遠距離攻撃にシフトすれば事は足りるからだ。しかし、侠は挑発することによって注意をそらして、侠と戦うことに集中させていた。彼女は一つのことに集中すると他のことを余り考えなくなることは侠は初日で知っていた。そこを上手く利用して戦っていたのだ。
そして、何時の日か同じように剣先を妖夢の首の前に向ける。
「……今の状況は分かるな?」
──敗北を認めろ。
そう侠の目は語っていた。
しかし……妖夢は侠に激昂した。
「……何でですか!? 何で幽々子様の言うことに逆らうんですか!? あなたはそれなりに物わかりは良いはずです! なのに……どうしてあの夜雀を優先するんですか!?」
「…………」
「どうして……何ですか……っ!?」
涙を流しながら妖夢は侠に問う。彼は頭の中では何を言えば良いのかは分かっている。しかし、この状態の彼女が素直に聞いてくれるかどうかわからない。
──その時だった。
『──そこまでよ。侠。剣を下ろしなさい』
しょっちゅう書いていた、氷水スペルを使った事で気温が下がる。この為でもあります。
そして、デジャヴ。
ではまた。