三人称視点です。
では本編どうぞ。
『師匠〜ただいま戻りました〜』
竹林のある屋敷──永遠亭へと戻ってきた鈴仙・優曇華院・イナバ。そこにちょうど玄関に人影が現れる。永遠亭の薬剤師であり、大きく長い三つ編みをして、赤と青の特徴的な服を着た──八意永琳が迎えに来た。
「あら、うどんげ。遅かったけどどうかしたの?」
「怪我人が居るといわれて直接治療をしてきました。出血量は少し多かったですが、すぐに止血して薬を塗って渡しておきましたよ」
「ちゃんと仕事やってるじゃない。ちなみにどんな患者だった?」
「……男の人間の方でした。何でも白玉楼で一時的に預かっているだとか……」
「……人間が白玉楼に居るだなんて妙な話ね……。どんな名前だか覚えているかしら?」
「確か……『きょう』って名前で呼ばれていましたね」
鈴仙の言った単語に、聞き覚えがあるような表情を見せる永琳。
「『きょう』……確か新聞であったような──思い出したわ! おそらくその子は辰上侠って名前のはずで、『幻想日食異変』を解決させた人間よ!」
「えっ……そうなんですか!?」
「どうせあの新聞屋だからガセかと思ったけど……本当だったのね」
永遠亭にも何故か新聞が届けられていた。永琳は一通り新聞を読んで後窓ふきに使用したが、書いてある記事を思い出した。
「(確か、異変の犯人は写真の載ってたのが本堂静雅。辰上侠が異変の首謀者と同じ外来人だったわね。写真は無かったけどそれで親友同士という)」
「あの、一応初めての患者ということで血液を採取してきましたけど……」
鈴仙は鞄の中からふたをした試験管を取りだし、中に入っている血液を見せる。
それを見た永琳は素直に鈴仙を褒めた。外来人の血液は珍しいからだ。
「良い仕事をしたわ、うどんげ。じゃあそれを渡してもらえるかしら?」
「はい。それはもちろん」
「ありがと。じゃあさっそくこの血液を調べてみるわね」
永琳は試験管を受け取ったすぐに、研究室へ向かった……。
「……これは……」
研究室にこもって一時間。永琳は血液の成分などを調べている内にとある真実が浮かび上がってきている。
「……うどんげは人間って言っていたけど──」
永琳は試験管に入った血液を見ながらこう言った。
「──霊力、魔力、妖力、神力……っ!? 何故人間が多様な力を持っているのっ!?」
永琳は驚きしかない。血液に含まれている力が多様な力が含まれていたのだ。
一応、永琳は様々な人達の血液を採取している。その血液は人によって力の素質は永琳は長年の研究で分かるようになった。
例えば、博麗霊夢ならば霊力。
例えば、霧雨魔理沙ならば魔力。
例えば、射命丸文ならば妖力。
例えば、東風谷早苗ならば神力。
そして何かしらのハーフだとしても、二つの力は宿らない。どちらか一方の力になるのだ。
ただの人間なら、霊力か魔力しかあり得ない。神力は例外もあるが……ましてや、普通の人間は妖力を普通に持つことは出来ない。
しかし……唯一妖力を持てる可能性はあるにはある。
「……まさか……【先祖返り】? でも、それならば妖力だけあるはず……!」
永琳が導き出した一つの可能性。それは先祖返りだ。
先祖返りというのは生物が進化の過程で失った形質が、子孫において突然現れること。この場合の永琳の考察は【最初は妖怪と人間が交わり、その子孫がそれ以降人間だけと交わっていき、その妖怪の形質が突然辰上侠に現れた】。過去に妖怪と交わり、その後妖怪の血が薄くなっているときに突発的にその妖怪の血が濃く表れ、妖力を手にすることが出来る。先祖返りの特徴としては、妖怪にもよるのだが身体能力が極めて高い。一説によれば、濃く受け継いだ者はその妖怪の力を得るができ、変化ができる人物もいるそうだ。
「外界は妖怪や神が忘れられている……妖怪達がまだ忘れられていないときに、辰上侠の祖先はその妖怪と交わり、先祖返りとなった……。でも、他の力の説明はどうする……?」
そう、それだけでは説明しきれない。何故多様の力を持っているかという説明が出来ない。
そして、永琳はため息をして試験管を置き、椅子から立ちがり背中を伸ばす。
「……今その事を考えても仕方ないわね。彼がこの永遠亭に来た時に詳しく調べるとしましょうか……。それに、この血液は他のことにも利用できしそうだしね」
永琳は研究室を後にした……。
表主人公の仮説がでました。先祖返りです。もしかしたらユーザー様の中でそれを題材にした漫画を知っているかもしれませんね。
過去に魔導書が読めた理由。単純明快、魔力があったため。他の【力】やこの理由については後に明かされます。明かされたとしたら、おそらく「それなら仕方ない」と思うかもしれませんが……。
……むしろ勘の良い方はこの時点で表主人公の謎の一部が解けてしまうかもしれません。しかし、確信した答えを感想欄に書かないでくださると助かります。まだその時ではないので。
次回、裏・第七章。
ではまた。