幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 もうちょっとだけ白玉楼のターン。
 この章全ては妖夢視点になりそうです。
 では本編どうぞ。


表・第八章
一話 『期間限定の日常』


 侠さんが白玉楼に泊まって五日目。さすがに怪我している侠さんのために幽々子様は早朝の朝に潜り込むなどをしなかった。

 

 ……むしろする方がおかしいんですけどね。今思えば幽々子様は私と侠さんの反応を見て楽しむため……いつも侠さんの所為にしていた自分が恥ずかしいです。

 

 一通り鍛錬が終わり、朝食を作り、幽々子様を起こした後のこと。幽々子様は居間に移動し、侠さんの布団に幽々子様がいないとちゃんと考え、侠さんの部屋の襖を開ける。

 

「侠さーん。食事ができまし──」

 

 言いかけたところで、侠さんは座って起きていました。

 

 

 

 ──ただし、上半身裸で。

 

 

 

「──みょんっ!?」

 

「あ、魂魄。何のよう? ご飯?」

 

 私は顔をそらしたものの、いつも通りの態度で私に話しかけてくる。

 

 ……どうしてその状態で話すことが出来るんですかっ!?

 

「きょ、侠さん!? 服! 服を羽織ってください!」

 

「いや、羽織ってくれと言われても……包帯を付け替えているから終わるまで羽織れないし」

 

 侠さんが言っていたこと……私は侠さんに視線を戻す。侠さんは永遠亭から貰った薬のふたを開けていて、包帯を巻いている途中だった。

 

 ……また、勘違いをしてしまいました……。

 

 私の視線を感じてか、侠さんは困ったように話しかけてきます。

 

「……あまり人の体をじろじろと見るのかいただけないかな……」

 

「!? し、失礼しましたっ!?」

 

 私はすぐに襖を閉めました……何殿方の体を私はじっと見ているんですか!?

 

 ……でも、以前浴場で胸元にあった傷は何なんでしょうか……? そこが気になりますが……今は聞かないでおきましょう。

 

 私はすぐさま居間へ戻ろうと振り返り──

 

『じ〜〜〜……』

 

「ゆ、幽々子様っ!? どうしてここに!?」

 

「別に〜? 妖夢の声が聞いて来たんだけど〜……妖夢はムッツリね♪」

 

 何故か傍に幽々子様がいて……ちょっとそれは酷くありませんか!?

 

「む、ムッツリじゃないです!」

 

「そうよね〜? もう二回お互いの裸を見た仲ですものね〜♪」

 

「幽々子様ぁっ!?」

 

『ゆゆさんー? あまり魂魄を苛めないでくださーい。ハプニングでそうなっただけですし』

 

「は〜い」

 

 色々言われていると侠さんからの助け船が入る。それを受けてか幽々子様は居間へと戻っていった。私はフォローしてくださった侠さんにお礼と先ほどの謝罪の言葉を言う。

 

「す、すいません侠さん。確認もせず開けてしまって……」

 

『あぁ、それは別に良いよ。別に魂魄は悪くないし』

 

「あ、ありがとうございます……」

 

『巻き終えたらそっちに向かうから。先に食べてて良いよ?』

 

「……いえ。幽々子様は先に食べていると思いますが、私は待ちますよ? どのみち全員が料理を食べ終わるまで洗えませんし」

 

『そう? 魂魄が良いなら良いけど。じゃ、居間で』

 

「……はい!」

 

 侠さんに挨拶が終わった後、私は居間へと向かっていった。

 

 ……何故だか、それだけですのに嬉しくなっている私がいます……。

 

 

 

 

 

 

 

 朝食を食べ終えて食器を洗い、洗濯物を干した後(今まで意識していなかったのですが、侠さんは片手でも自分の服を洗っていたらしい)、侠さんにいろいろ話したいことがあるので部屋に向かい、お話をしていました。

 

「──ですからお茶をずっと放置をしていたんですね」

 

「行儀は悪いと思うんだけど、熱茶より冷茶が好みなんだよね。熱い飲み物は余り飲んでいる気がしなくて」

 

「わかりました。では次回から侠さんには冷えた麦茶をお出しします」

 

「まぁ、自分の力で氷を入れても良いんだけどお願いするよ」

 

 侠さんは熱茶よりも冷茶が好み。覚えておきましょう。

 

 そして……私が興味を持っていた事柄を侠さんに尋ねてみます。

 

「そういえば侠さん、外界で剣を習っていたんですよね? 確か義父から指導をして貰ったと」

 

「うん。そうだね」

 

「できればですが……辰上流でしたか? その剣術を教えて欲しいのです」

 

「……辰上流を?」

 

「はい。もちろん、祖父が指導してくれた魂魄流の鍛錬も続けます。ですが、他の流派を学びたいのも事実。状況によってお二つの流派を使い分ければ私も一人前に近づくと思うんです。なので……よろしいですか?」

 

 外界の技術を学びたいのも本音です。それにこの修行を通して……侠さんを見てみたい。

 

 侠さんは悩むような仕草を見せ……最終的にはこう言いました。

 

「う〜ん……まぁ、義父さんが教えてくれた風に教えても良いなら……良いけど」

 

「はいっ! お願いします!」

 

 侠さんから了承を得られましたっ。

 

 そして侠さんは私を見ながら話を続ける。

 

「じゃあ早速始める?」

 

「……え? そんなすぐにですか? そ、それに……侠さんはまだ腕を……」

 

「実践はまだだよ。まずは──考えることから始めよう」

 

 

 

 少年少女対話中……

 

 

 

「──とまぁ、一対一の場合はこうかな?」

 

「成る程……一対一の時は間合いを開け、相手の動きを観察しながら避ける、防御する……そして癖を見つけ、うまくカウンターで攻撃を当てるのですね。これは普段の侠さんの動きなのですか」

 

「そうだね。基本的には自分もそのスタイルだ」

 

 ……ためになることが多い。説明もわかりやすく、理解しやすい。私はメモを取りながら侠さんの話を聞いていました。

 

 侠さんは話を切り替える。

 

「じゃあ次。一対多数の場合。まぁ一対三と仮定して話そう」

 

「自分が一人、相手は複数の場合ですか……賊に襲われるならこの可能性もあるかもしれません」

 

「まずは状況を設定しよう。相手の一人は力自慢で前衛へ。一人はバランスタイプで中間として、サポートする一人が後衛。魂魄なら誰から片付ける?」

 

 前に力、中間にバランス、後ろにサポートですか。それなら……。

 

「前衛ですかね? まずは主力から戦力を削るのが大事かと」

 

「そうきたか。場合によってはそれも大事かも知れないけど、辰上流はそうじゃない。まずはサポートから片付けるのを優先する」

 

「サポートをですか? それは何故?」

 

「サポートというのは味方を補助する存在。仮に今回の三人の職業を前衛から格闘家、弓兵、僧侶だとしよう。主力である格闘家の体力を削られても僧侶によって回復されたらまるで意味がない。こっちが簡単にやられてしまう。後衛というのは戦闘向けじゃない人物、もしかしたら隠し球という可能性もあるけど……その際は置いておこう。戦闘向けじゃない人物を片付けるのを優先する。順番に僧侶、弓兵、格闘家だね」

 

「そう……なのですか?」

 

 言いたいことは分かるんですけど……何となく分かりづらいような……?

 

 そんな私を察したのか、侠さんはさらに条件を変える。

 

「じゃあ幻想郷の人物に置き換えてみよう。前衛が霧雨、中間が博麗、後衛がノーレッジの場合は誰から倒した方が効率的?」

 

「あー……。それならパチュリーさんですね。あの人魔法で常に浮いて移動しているせいで体力がないらしいですし」

 

「…………それは知らなかった。まぁ、それでも言いたいことは分かった?」

 

 わかりやすい説明だったのですが……一つだけ、気になるところがあります。

 

「隠し球というのは幻想郷の人物で置き換えると……どういう方なのでしょうか?」

 

「置き換えると? う〜ん……十六夜かな?」

 

「十六夜……咲夜さんですか?」

 

「だとおもうよ。【時を操る程度の能力】はサポートにもってこいの人物だし、十六夜自体も運動能力は全然ある。むしろどのポジションでも良いぐらいだ。けど……それでも十六夜は早く片付けた方が良いかもね。サポート能力が高い人物兼戦闘能力が高い人物だから倒せれば戦力は大幅にダウンするから」

 

「成る程……」

 

 確かに咲夜さんの能力で行動を妨害されたり、ナイフで攻撃されたら一番厄介ですね……魔理沙さんや霊夢さんより優先すべきなのかも知れません……。

 

 侠さんの言ったことをメモしながら聞いていると、遠くから幽々子様の声が聞こえてきます。

 

『妖夢〜? お昼ご飯〜!』

 

「あ、そろそろお昼を用意しないといけませんね。では失礼します」

 

 そう言って私が立ち上がり、部屋を出ようとしたところで侠さんに話しかけられました。

 

「運ぶぐらいだったら手伝おうか? 片手だったら全然出来るし」

 

「えっ……そんな……悪いですよ、そのようなこと。その傷は私の所為なんですし」

 

「大丈夫だって。片手で運ぶだけだし、それに包帯を張り替えているときに傷は結構治ってたし。念のため左手を使わなければ大丈夫」

 

「う〜ん……じゃあ、お願いしても良いですか?」

 

「いいよ」

 

 私は侠さんと一緒に台所に向かいました……。

 

 

 




 仮に最初から白玉楼にいたらこんな会話をしていただろうなぁと思う一時。

 ではまた。
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